国際情勢

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

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軍事ジャーナル【7月12日号】欧州情勢に変化あり!

2019/07/12

 次期EU首脳の人事案がまとまった。欧州委員長にフォンデアライエン独国防相、欧州中央銀行(ECB)総裁にフランス人のラガルドIMF専務理事である。二人とも女性だから、女性の社会進出を歓迎するマスコミは、すぐさま支持を表明して欧州情勢への無知をさらけ出した。
 欧州情勢を多少理解しているメディアは、「独仏で重要ポストを分け合った」と、それなりの解説をして見せたが、欧州で起きつつある重大な地殻変動にまだ気づいていないようだ。

 フォンデアライエンはEU軍の創設に前向きな人物である。ところが英国がEUを離脱すれば、EUでフランスが唯一の核兵器保有国になり、EU軍は必然的にフランス軍の指揮下に入ることになる。
 さらに英国のEU離脱で欧州の金融の中心地をロンドンからフランクフルトに移そうとしている矢先に、ドイツ銀行の経営不振に伴う大リストラが発表された。こうした状況下でラガルドがECB総裁になれば、マクロン仏大統領のかねてからの狙い通り、欧州の新たな金融の拠点はパリになろう。

 しかもEU首脳会議の議長はEU大統領ともいわれるが、そこにベルギーのミシェル首相だ。ベルギーはフランス語圏であり、ミシェルもフランス語が堪能な人物である。EU外相ともいわれるEU外交安保代表にスペインのボレル外相。スペインも歴史的にフランスの影響力が極めて強く、現国王もルイ14世の子孫なのである。

 こうしてみると、独仏で重要ポストを分け合ったどころではなく、フランスの圧勝と言えるほどの次期首脳人事なのである。この十年、欧州はドイツの強い経済力を背景にしたメルケル旋風に翻弄されてきた。メルケルはEU混乱の元凶だったとも言えよう。ようやくその混乱から脱する事が出来るか。欧州はあらたな局面を迎えている。

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創刊日:2011-06-24  
最終発行日:  
発行周期:不定期(原則:週1回)  
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  • 名無しさん2019/07/12

    フォンデアライエンはEU軍の創設に前向きな人物である。ところが英国がEUを離脱すれば、EUでフランスが唯一の核兵器保有国になり、EU軍は必然的にフランス軍の指揮下に入ることになる。

     さらに英国のEU離脱で欧州の金融の中心地をロンドンからフランクフルトに移そうとしている矢先に、ドイツ銀行の経営不振に伴う大リストラが発表された。こうした状況下でラガルドがECB総裁になれば、マクロン仏大統領のかねてからの狙い通り、欧州の新たな金融の拠点はパリになろう。



     しかもEU首脳会議の議長はEU大統領ともいわれるが、そこにベルギーのミシェル首相だ。ベルギーはフランス語圏であり、ミシェルもフランス語が堪能な人物である。EU外相ともいわれるEU外交安保代表にスペインのボレル外相。スペインも歴史的にフランスの影響力が極めて強く、現国王もルイ14世の子孫なのである。