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SEEDS-net vol.157

2012/07/24







vol.157
 
2012年07月24日発行
 

こんにちは。
ユーロもあっという間に終わり、7月も後半。
いよいよロンドンオリンピックの開幕が近づいてきました!


今号は、栃木県障害者スポーツ協会、佐々木清美さんに行ったインタビューとイベント報告「Spocon」の二本をお届けします。
インタビューでは19歳で障害を負ってからスポーツを始めた佐々木さんならではの視点でスポーツを語ります。
イベント報告では twitter 、ブログなどで告知いたしました「 Spocon 」第一回企画のレポートをお伝えします。(渡辺)


もくじ

栃木県障害者スポーツ協会 佐々木清美さん

「spocon」スタートアップ企画を終えて

 

 

++ インタビュー ++

栃木県障害者スポーツ協会 佐々木清美さん

 

障害者スポーツ。この言葉を聞いてあなたは何を思うだろうか。私自身、サッカーや野球といった人気のあるスポーツはテレビで見ても、障害者スポーツはまともに試合を見たことすら無い。何も知らなかった。スポーツファンにとってはあまり馴染みのない障害者スポーツのリアルを、もっと知りたい。そんな思いから日本車椅子バスケットボール選手権大会の会場に、ある時は観客として、ある時はボランティアスタッフとして、足を運んだ。そこで出会った底抜けに明るい車椅子に乗ったおっちゃんが、今回インタビューした佐々木清美さんである。佐々木さんの周りには常に人がいて、笑顔が溢れていた。そんな佐々木さんの人柄に魅せられて、私は栃木県へと向かった。

 

■障害を負ってからスポーツと出会うまで 

「19歳で怪我して、そこからものすごい格差 ( 健常者と障害者になった自分との間に ) が広がったんです。同級生に会うのも嫌でした。成人式にみんなが行ってるのに私はまだ寝たきりの状態。6人いた兄弟も次々にみんな結婚していく。私はまだ寝たきり。こうして家の隅でずっと寝て一生を終えるんだろうなあと思ってた。23歳くらいまではずっとそんな状態で、5年くらいひきこもり。人に会うのが嫌だった。今の俺からは想像つかないでしょう?でもなんで変わったかというと、やっとスポーツが出てくるんだけど、25歳の時に車椅子バスケットボールに出会ったんですよ。車椅子の人が50人もいるような作業所で働いていたんだけど、仕事終わった後はみんな飲みに行くとか、麻雀かパチンコするか、みたいな感じで。私はたまたま職場の同僚に誘われて、バスケットクラブに入った。見たら、俺もすぐに出来そうな気がしたんだよね。でも出来なかった。それで偶然入ったチームが日本一を争うような強いチームで、良い先輩や良い同僚を抜こうと思って必死になってね。でも向こうも本気だからなかなか抜けない。60過ぎても抜けたとは思っていない。十分よぼよぼになってるんだけど、生き方とか、今でも見習うものがいっぱいあって。だから抜こうと思って頑張っていたことで、知らないうちに変わっていったんだね。前向きになれた。その当時はバスケットを楽しんではいなかった。なんでやってたんだろうなあと今振り返っても思うくらい、練習が厳しくて。こうやってなんで自分が変わってこれたかっていうのをどうしても伝えたくて、今も裏方として日本選手権を支えてるんです。スポーツと出会ったことで、人生が変わった」

 

 

■「障害者が得するなんて、格好悪い」

 「障害を持って不便なことって聞かれると昔は全部不便だった。でも今はいろいろ考えたり、工夫したり練習したりしている。段差を乗り越えるために車椅子の前輪を持ち上げて、ウィリーしたりね。初めて行くところは必ず事前に調べていくし、行った先で文句言ったりしない。スロープないとか、言ったってしょうがない。今まで争ったりしたことないんですよ。中には障害者ってそんなに偉いのか?って言いたくなる人もいてね。障害者用の駐車場に健常者が止めたとか何とか。ディズニーランドとか行くと障害者用の入口と健常者の入口が分けられてて、障害者は先に入れて有利になってるでしょ?俺あれ嫌いなのよ。やっぱりね、我々も並んで自分の番が来たら入りたい。だって1時間並んでる人がいるのにその脇をスーって得したように行くって格好悪くないかな。俺は気に入らないんだよな。障害者が得するなんて格好悪い。それってずるだよね。子どもが泣いてることもあるんだよ、あー車椅子行っちゃったって。たまたまロス行ったとき遊んでんだよな行列で。踊ったり、並びながら。日本人は配給待ってるみたいに黙々と順番来るのを待ってるけども。並んでる時間もっと楽しめばいいんだよな。あっちはなんでも盛り上がってる。俺ああいうのが好きなんだよ」

 

■海外で感じた日本人のきっちりさ

「今は総合型地域スポーツクラブっていうのが日本でも徐々に出来てるんでしょう? (アメリカでは)障害者もそこに入れるんだ。バリアフリーになってるとかなってないとかそういうのじゃなくて。外国の生活はベッドまで靴で行くじゃない。日本人はどうしてもそこで靴を脱ぐ、履き替えるといった伝統的なところがある。向こうはベッドまで靴で行くという生活スタイルだから、案外シャワーも、トイレも、障害者にとって苦がない。わざわざバリアフリーとか障害者のために考えなくても。日本はきっちりしすぎだから、バリアフリーを障害者のためにわざわざ考えないといけない。海外は大きくて、広くて、オープンで、そういうのも気にしない文化なんだよね。大リーグのロッカールームとかテレビで映ってるのを見るとよく分かる。服とか着ないで歩いてるもん。その感覚が理解できないんだけど。そういうオープンなところが障害者にとっても楽なのかなあと」

「もうひとつアメリカで面白かったのは、大会の参加費を前もって払ってるんで、普通はお弁当とかが選手にも支給されるのよ。でもアメリカは違って、前もって参加費を払っているのに、ドルでよこすんだよね。これで好きなもの食べてきてくださいって。変でしょう?すごいよねえ。ああいうやり方もあるんだと思ってびっくりした。ボランティアの方に僕もよく面倒みてもらう事あるけれども、すっぽっとけばいいんだよなあ、子どもじゃないんだし。だから日本人はきっちりしすぎ。縛り付けるというか、面倒を見てやるというか。もう少し一人ひとりに時間をくれても良いよね。集合時間だけ決めておくとかにして、あとは自由ですと。だから障害者も、障害者だからそうしなさいという訳ではないけれども、やっぱりそういう風にするべきだと思うんだよね。面倒見すぎじゃない?小学校くらいから放っておいて良いんじゃない?と僕は思っちゃう。過保護って良いのか悪いのか」

―過保護だと自分で考えることが出来ないですからね。

「そうだよね、それが障害者にあてはまるんですよ。みんながやりすぎちゃうとね、もうやってもらうのを待ってる。車椅子の人でも、自分で漕がないで誰かに押してもらうのを待ってたりね。自分で好きな所へ行けば良いんだからそれはおかしい。自分の出来ること自分の出来ないことは何かっていうのを考えないとね。障害者だからって大事にされていると疎外されている感じがする」

 

■佐々木さんにとってのスポーツ文化

―障害を負われてからスポーツと関わり始めた佐々木さんにとって、スポーツ文化とは何ですか?

「スポーツ文化はやっぱり、人間性づくりだったり、関係性づくりに繋がっているんじゃないでしょうか。というのも、僕は障害を負ってから車椅子バスケを始めた訳だけれども、スポーツによってそれを覚えたと思うんだよね。上下関係のことだとか、友達の作り方、人間の関わり方だとか。それらを全部スポーツを通して学べたと思ってる。だから、ずっと目一杯スポーツを続けてるとスポーツで出来た仲間が今のようなお茶飲み友達にもなるし、敵同士だった人とも仲良く出来て何年ぶりに会ったとしてもすぐに昔話に花を咲かせたりできる。それが自分の人生にとってはすごい大切なことですね。学校で話すときはスポーツのことばっかり話すと必ずしもスポーツ好きじゃない人もいるから違うように伝えるんだけど、25歳でバスケットに出会った僕のように、人は自分で好きなものを見つけたら、結構前向きになれるんじゃないかなって思うんですよ。調べたり、練習したり。音楽好きな人でも一緒。俺はあらゆるものに一生懸命取り組んでる人が好きだね。全部。それは必ずしもスポーツばっかりじゃない。何か好きなものを見つけて、そこから人間の関係性が始まるってことがあるんじゃないのかなあ。そういうものが生きていく上で必要だと俺は思う」

「スポーツは見ることもあるからね。 (リンク栃木)ブレックスの試合観戦がきっかけで応援団の人と仲良くなって飲みに行ったりもするし。その人たちはバスケットボールをしてはいないんだけど、ただブレックスが好き、そういう気持ちがあるだけでファンがファン同士友達になれる。するスポーツだけじゃなくて、見るスポーツの方からでも友達になれる。そういう意味でも、スポーツは人間関係作りに一番良いんじゃないかなあと思う」

 

 

インタビュー後、佐々木さんと一緒に宇都宮名物である餃子を食べに行った。私たちが食べている姿を見ながら、佐々木さんは言う。 「俺は人が食べてるところを見るのが好きなんだよ。普段からあまりご飯は食べないようにしてる。なぜならお腹空かせておけば誰かに誘われてもすぐ一緒にご飯行けるでしょ?」

スポーツを通して培われたその人間性を、象徴するような一言だった。

 

 

( 文・渡辺 和哉、写真・松下 大樹 )

 

【佐々木 清美(ささき きよみ)プロフィール】

昭和23年10月11日生まれ。63歳。19歳の時に脊髄損傷が原因で障害が残る。『栃木WBC車椅子バスケットボール』に所属し、競技の普及に尽力した。昭和57年フェスピック香港大会に出場し2位。平成2年日本車椅子バスケットボール連盟理事に就任。事業部長として競技の振興に尽力した。平成5年には「栃木県車椅子バスケットボール連盟」設立し、会長に就任。「栃木県バスケットボール協会」常任理事に就任した。平成13年に「栃木県障害者スポーツ団体連絡協議会」を立上げ、会長に就任した。平成24年から「栃木県障害者スポーツ協会」臨時嘱託員として勤務。

 



++ イベント報告 ++

「spocon」スタートアップ企画を終えて

 

7月1日、「spocon」スタートアップ企画である交流会が行われた。

 

○「spocon」とは

「spocon」という企画は、“日本のスポーツ文化を変革する”ためにはスポーツ界を発展させることが必要であり、そのためには若者が積極的にスポーツ界で活躍していかなければならないという思いから始まったものである。「spocon」を通じて、意識の高い学生にスポーツ界で活躍するための土台を作ってもらいたい。また、現在スポーツビジネス系のサークルや学生団体が非常に少ないので「spocon」に参加した人達を中心に新たなサークルや学生団体が立ち上がってほしい。今回は、このような想いが込められた「spocon」のスタートアップ企画である交流会について報告する。

 

○イベントの様子

今回の企画は初めての試みであったため、どのような人が参加してくれるのか分からなかった。交流会がどの程度盛り上がり、参加者に刺激を与えられるのかという不安な思いも持ちつつ当日を迎えた。当日は参加者同士のつながりを作るための名刺交換タイム(交流タイム)を中心とし、その他に盛り上がるイベントとしてクイズとビンゴを用意した。名刺交換タイムでは参加者同士が長い時間話し込んでいる様子も見受けられ、多くの参加者がつながりを作ることを楽しんでいるようであった。クイズは三人一組のチーム戦で行ったが、SOJメンバーで考えたスポーツに関連する問題に対して、チームで話し合い答えを導き出している様子が非常に印象的であった。イベントの最後に行ったビンゴでは、事前に配っていた名刺と相関性を持つ形で行った。読みあげた番号に該当する名刺番号の方に一言コメントを求めるというサプライズにも参加者が笑顔で楽しそうに応えており、参加者同士の親睦が深まっていることを証明する場面となった。当日参加者に記入してもらったアンケートにも参加者同士で親睦を深められたという意見が多くあり、スタートアップ企画としては非常に良いイベントとなった。

 

○ SOJ メンバーの活躍

最後に今回の会の成功にはSOJメンバーの働きが必要不可欠であった。当日はどのメンバーもイベントの成功に向けて必死に動いてくれた、また、1年生も積極的に参加者とコミュニケーションをとっているのが印象的であった。この場を借りてSOJメンバーには心から感謝の気持ちを述べたい。

 

○今後の展望

「spocon」の今後の展望であるが、主催者が学生であるという特徴を生かして、今回のイベントの参加者と積極的に意見交換をしつつ様々なイベントを実施していくつもりである。現時点ではまだ認知度も高くなく、スポーツ界で活躍するための土台作りの場になっているとは言い難い。しかし、今後規模を拡大し、交流会以外のイベント(講演会やスポーツビジネスコンテスト等)も実施して質を高めていくことによって、「spocon」自体も成長していくに違いない。5年後、10年後にスポーツ界に大きなインパクトを与えることができると信じて、私は今後も精力的に動いていく。

 

 

田中 敬太






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