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SEEDS-net vol.154

2012/05/25







vol.154
 
2012年05月25日発行
 

こんにちは。新しくメルマガ編集長に就任しました渡辺です。今年度は昨年度より多く、メルマガを発行していきます。

さて、今年度一発目の記事はメンバーがスポーツの現場に足を運んで感じたことのレポートです。競馬と震災復興、車椅子バスケットボールと福祉。様々な視点から見るスポーツをお楽しみください。


もくじ

福島競馬場で聞いた復興の足音

幅のある世界〜車椅子バスケットボールを通して〜

 

++ マイレポート ++

福島競馬場で聞いた復興の足音

 

2012年4月9日、福島競馬が再開された。1年5か月ぶりの開催に、地元ファンのみならず県外からも多くのファンが訪れた。開催8日間の入場者数は10万6193人(一昨年比16.9%増)、場内売り上げは12億3545万7100円(一昨年比13.4%増)にのぼった。競馬再開を待ち望んでいた地元ファンにとって、震災復興の大きな一歩になったといえるであろう。

 

競馬場入口に掲げられたメッセージボード

 

4月21日、私は再開して間もない福島競馬場に足を運んだ。私にとって、人生2度目の競馬であった。初めて競馬場を訪れた際には、そのスケールの大きさに圧倒された。対岸の見えない周回コース、目の前を駆け抜ける蹄(ひづめ)の音、怒号のように響くファンの歓声。初心者の私は100円ずつしか賭けることができないが、その100円が微力ながら地域経済を活性化させていると思うと、競馬という公営競技 *1 に熱いものを感じる。その上、勝てば配当金が与えられる。競馬とは「最も興奮する100円」であると私は認識している。そんな競馬がどのように復興に携わっているのかを、この目で確かめておきたかったのだ。

この日、福島競馬場には1万3507人が訪れた。4月の福島には多少肌寒さが残っていたものの、多くの人々が競走馬の勇姿に熱狂した。有料のスタンド指定席も第1レースの発走を待たずに完売したという。再開後初となる重賞レース「福島牝馬ステークス」がその盛り上がりの中心となった。馬場内の広場では「会津ソースかつ丼」が振る舞われ、会場をより一層賑わせていた。また、ポニー試乗会やけん玉日本チャンピオンによる実演も行われており、若い人や家族連れが多いのも印象的であった。こうして福島競馬場に笑顔が取り戻されるまでには、並々ならぬ苦労と努力があった。

 

「サラブレッドから元気を」「心をひとつに」などのメッセージ入り記念馬券

 

福島競馬場は東日本大震災によって甚大な被害を受け、昨年度は開催中止を余儀なくされた。スタンド5階では天井が客席に崩落し、地震から3ヵ月が経過しても破損物は撤去されず、修復資材の調達もままならない状態であった。また、福島第一原発事故による放射能汚染による被害も見逃すことはできない。福島競馬場は事故のあった原発から約62キロメートルの地点に位置している。2011年6月下旬、馬場内広場の中央部の放射線量は毎時3.37マイクロシーベルトと、福島市内でも高い線量を示していたという。そして、2011年6月29日には年内の開催中止が決定されたのであった。

JRA (日本中央競馬会)は2011年9月から改修工事に着手し、券売機が置かれている2階部分のリニューアルも進めてきた。放射能対策としても、競走馬が走るコースの芝の張り替えやダートコースの砂の入れ替えがおこなわれた。高い数値を示していた馬場内広場の放射線量は毎時0.23マイクロシーベルト(2012年4月26日現在)まで減少した。観客席や遊具周辺も高圧洗浄機で除染するなど、JRAは競馬再開のために手を尽くしたといえる。

現在も定期的に場内の放射線量が測定され、ホームページ上で情報が公開されている *2 。しかし、隣接する福島市役所の放射線量は依然として毎時1.05マイクロシーベルト(2012年3月31日現在)を示している。今後も安全への取り組みを継続・公開し、ファンが安心して楽しめる環境を整備していくことが望まれる。

 

次回開催は6月16日、7月には七夕賞が控えている。ぜひ足を運んでみてほしい。除染が徹底された場内で子供たちの笑い声が響き渡る。私はそこで、力強い蹄音を聞いた。それは、明日への復興の足音であった。

 

「福島牝馬ステークス」を制したオールザットジャズ

 

*1 公営競技は競馬・競輪・競艇・オートレースから成り、所管省庁や収益金の用途はそれぞれで異なる。競馬は農林水産省の管轄にあり、中央競馬では収益金の75%を畜産振興に、25%を社会福祉事業に充てることになっている。(地方競馬では畜産振興・社会福祉・医療・教育などに利用されている。)

*2 福島競馬場の安全への取組み(環境放射線測定値)   http://www.jra.go.jp/news/201203/033004_01.html

 

松下 大樹

 



++ マイレポート ++

幅のある世界 〜車椅子バスケットボールを通して〜

 

車椅子バスケットボールの第40回日本選手権大会が5月初旬に東京体育館にて行われた。今大会は、昨年震災の影響で参加できなかったチームも顔をそろえての開催であった。今大会で私はボランティアとして運営に携わり、大会役員や選手の方との交流をすることができた。その交流で得たことを通して、「車椅子」ならではの視点から「福祉」をテーマに少し考えてみたい。

 

 

これは開会式の様子。恥ずかしいことにこんなに多くの車椅子を見たことがなかった。あまり見かけないと忘れがちだが、トップクラスでもこんなにいるのだ。2006年の調査で肢体不自由、つまり車椅子の人の総数は約176万人。もっともっと身の回りには様々な人がいることを心に留めておきたい。

車椅子バスケットボールとは、プレーヤーが車椅子を使用するバスケットボールのことで、コートの大きさ・ゴールの大きさ・ボールの大きさ等、一般のバスケットボールと変わらない。ルールもほぼ同じである。ただし、スピード・敏捷性・持久力に加えて、車椅子を操作する技術が高度なレベルで必要とされる。

 

 

上の写真から、黒いユニフォームの17番の選手が、車椅子を斜めに傾けてブロックしていることが分かるだろう。倒れないバランスで車椅子を操る、これも巧妙な操作技術の一例と言える。

しかし試合を見ていると、なぜあれほどまでに身体を自由自在に動かすことができるのだろうかと感じてしまう。ごく自然にバスケットボールが展開されているのだ。共にプレーをしているのは、下肢のみに障害がある人から、腹筋・背筋の機能がなく背もたれから離れると体幹の保持ができないほどの人まで。チームメイトの中でも障害の度合いはそれぞれで、幅広いのだ。競技ができるようになるまで1〜2年かかるというが、それを乗り越えてきた選手らに興味を持ちながら、白熱した試合に私は惹きこまれた。

中でも、スクリーンプレイ(相手選手の前に立ちはだかり、味方選手の通り道をつくるプレー)が非常におもしろい。なぜなら、車椅子に「幅」があるからだ。この70センチ程ある「幅」をうまく利用し、前に進むのを妨げ思い通りに動くことを難しくする。様々な工夫をこらしたスクリーンプレイが戦略的に行われ、各チーム 絶妙なチームプレイが展開されていた。大会役員の車椅子の方がおっしゃっていたが、「幅があるからおもしろいよね」という言葉がとても印象的で、私の中に今も残る。

 

この「幅」の見方を変えると、「バリアフリー」につながるのではないだろうか。狭いと通れない。遠いと届かない。例えば、道路に自転車が乱雑に止められていると、狭くてその道は通れない。ごみ箱の前に何かものが置いてあると、それが障壁となって手が届かず捨てられないのだ。これは、普段の暮らし方がいかに自分よがりかを反省したい事例である。

車椅子以外の例としては、点字ブロックの上に物を置いていないだろうか、集団でバスや電車に乗った時その入り口をふさいでいないだろうか、といったことも挙げられる。当り前のように思える少しの配慮が欠けてしまうと、ひょっとしたら誰かの障壁になってしまう。

障害のある人は、自分で動けないから外に出られないのではない。リハビリを乗り越えて自分で動けるようになったとしても、外には多くの障壁があるから出にくいのであろう。

 

車椅子に座ることを苦痛に感じる人もいれば、そこに生きる喜び、生きがいを描く人もいる。その違いが、老後や障害を持つ人たちの生活の質、スタイル、人生観といったものを決める大きな要因になるだろう。車椅子の方に限らず、自分の負った苦難や壁を苦痛に感じさせないような社会にしなければならないのではないか。そのために、ハード面では段差のフラット化やエレベーターの増設といったバリアフリーの徹底。ソフト面では、やはり未だはびこる障害に対する固定観念、偏見に変わる新たな認識を。そして最後に、日常生活の中に他己へのちょっとした配慮を今一度。

様々な人が様々なスタイルで豊かな生活を送れる共存社会でありたい。

 

「車いすバスケを始めたことで、生活の行動範囲が変わった」と多くの選手が口にすることから、生活に彩りを与える役目としてスポーツの力は確かであろう。スポーツを考える際にふと、自分は特定の母集団しか見ていないのではないか、そんな投げかけも忘れずにしていきたい。

 

三上 真帆






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