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元外交官・原田武夫の金融史探訪 あなたの知らない、歴史の中からマネーを掴め!

メディアが変われば世界が変わる

2008/11/04

“大衆民主主義”と“金融資本主義”の密やかな関係

金融メルトダウンが引き続き止らない。さすがに「もう底だ!」と叫ぶ勢力もいなくなり、あとは一体どこまで下がるのかという恐怖心だけが募りつつあるのが、マーケットとそれを取り巻く国内外情勢の日常風景となりつつある。

しかし、このような時だからこそ、考えなければならないことが一つある。それは、現在の強烈な“下げ”局面の中が、現在の世界システムをどのように変えようとすべく仕掛けられたものなのかということである。そのためには、まず、「現在の世界システム」の源流へと歴史を辿っていく必要がある。

この文脈で私がいつも語る話がある。―――「今起きている強烈な“下げ”は、100年に1回のシステム転換を促すものである可能性が高い」ということである。

それでは、100年前に一体何が起こったのかというと、まず思いつくのが、米国における恐慌だ。1907年10月から始まった恐慌は、調子にのった信託会社が投機的売買を派手に繰り返したことが主たる原因であったが、次々に暴落を巻き起こし、それこそ米国マーケットが「総崩れ」になってしまった。そのような中、まずロンドン・マーケットで米国勢に対する不信が巻き起こり、これへの対抗措置として、ついに米国勢はそれまで忌避してきた中央銀行制度(FRB)の設立へと踏み切るのである。つまり、米ドルによる“覇権”の淵源は100年前に生じた恐慌にある。

しかし、この時期、もう一つの大きな世界システムが産声を上げたことを忘れてはならないのだ。それは「大衆民主主義」である。19世紀後半から勢いづいた第2次産業革命は、大量の工場労働者を生んだが、過酷な労働条件に耐えた彼らは徐々に政治における権利を求め始め、ついには「普通選挙権」を求め始めたのである。これが大きなうねりを世界的に見せ始めたのが1910年代からであり、米国においては1920年に女性の普通選挙権が認められるに至るのである(男性については1870年)。

一見すると相互に関係がなさそうな、これら二つのシステムではある。しかし、マネーの視点から見ると二つが緊密につながっていることに気づく。―――大衆社会が当時、最も発展した国の一つが米国だったのである。そこで普通選挙権を認めるということは、要するに大衆から「あなたたちが決めた代表が求めている税金なのだから、しっかり払いなさい」という論理を押し付けられるようになることも意味する。そしてそのカネ(税金)で武器を買い込み、大砲外交を繰り返す中で、今や中央銀行(FRB)が一元的に管理するようになった米ドルを世界に普及せしめ、世界を米国化していくことになる。

地上波デジタル化放送で世界は一気に変わる

したがって、米ドルに象徴される米国流金融資本主義を押し進める米国勢からすれば、いまや「普通選挙権」を持って嬉しそうな一般大衆をいかに良い気にし続けられるかがカギとなってくる。すなわち、ある時は彼らをまとめて鼓舞し、またある時は慰撫し、動員するための大掛かりな演出道具が必要となってくるのである。

その役割をこの頃より果し始めたのがいわゆるマスメディアなのである。つまり、「米ドル=大衆民主主義=マスメディア」というトライアングルは、その生い立ちからして密接につながりあっていたのである。したがって、逆にいえば、その一ヶ所でもほころび始めるのであれば、同時に他二ヶ所もほころび始めるであろうことは容易に想像がつくのである。

この観点から最近、気になる報道があった。来年(2009年)2月17日に米国では地上波デジタル放送へテレビが全面的に移行する。ところが、アンケートによると既に2割の視聴者が「デジタル化への移行と共にテレビを見なくなる」と答えているというのである(10月24日付テクノバーン参照)。

これは大変驚くべき結果である。なぜなら、第一にテレビを見なくなる人がそこまで大人数ということになると、マスメディアそのもののみならず、これに付随する一連のビジネス・モデルが崩壊する。もはや収益を上がられなくなるからである。

それと同時に、マスメディアが人々の政治行動に対する影響力を大幅に減らすことになるので、これまでのような「大衆民主主義」を前提とした統治は行えなくなるのである。その結果、あれやこれやと「大衆=有権者」はまとまりの無い意見を随所で叫び始める結果、米国内政は徐々に溶解していくことであろう。

米国内政の溶解は、米国外交の弱体化へとつながってくるはずだ。もはや大砲外交が出来ない状況にまで追い詰められることとなれば、それをバックに世界進出を果たしてきた米ドルの威光もほころび落ちることとなる。―――その結果、世界システムは歴史的な大転換を迎える。

その先にあるものは何か

こうした論点も含め、今後、激動が想定される“マーケットとそれを取り巻く国内外情勢”と、その背景にありながら私たち=日本の個人投資家が知ることのなかった歴史上の“真実”について、私は、11月8・9日に東京、仙台で、そして11月29・30日に横浜、さいたま、東京でそれぞれ開催するIISIAスタート・セミナー(完全無料)で詳しくお話できればと考えている。ご関心のある向きは是非ともお集まりいただければ幸いである。

今、私たち=日本の個人投資家が考えるべきなのは、このように世界システムが大転換を迎えた時、一体私たち自身が何を目指すべきかであろう。なぜなら、米ドル、そしてマスメディアを巡って米国からまず発される上記のような「潮目」は必ずや日本社会を襲い、ひいては日本の政治をも大幅に転換していくはずだからである。今となってはもはやかつてのようなご威光を失いつつあるテレビの「政治討論番組」、あるいはそれをこれまで牛耳ってきた傲慢なキャスターたちが一気に失墜していく日はもうすぐそこまで来ている。しかし、そうであればなおのこと、とめどなく“分散化”してしまう危険性にさらされている日本社会を、私たちは自らの手で一体どのようにしてまとめていくのかという巨大な試練にさらされることになるのである。

「その先にあるものは一体なにか」―――“潮目”はもはや動き始めている。「自分のことは自分でやる」というのが大原則ではあっても、マーケットとそれを取り巻く国内外情勢について最も敏感な私たち=日本の個人投資家だからこそ、次なる一手を考えるべき、日本の最先端に立たされていることを自覚したいものである。


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著者:原田 武夫(はらだ たけお)

原田 武夫

1971年生まれ(36歳)。東京大学法学部中退後、外務省にキャリア外交官として入省。12年間奉職し、アジア大洋州局北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)を最後に自主退職。その後、個人投資家の情報リテラシー向上を目的とした日本初の“private intelligence agency”「原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)」を立ち上げる(2007年4月に株式会社として設立登記)。現在、同社代表取締役をつとめる一方で、これまで合計16冊の著作を日本とドイツで刊行する。また、社会人や大学生を対象に無償の『情報リテラシー』セミナーを開講し、好評を博す。


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