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元外交官・原田武夫の金融史探訪 あなたの知らない、歴史の中からマネーを掴め!

これから何が起きるのか?キーワードは「分散化」

2008/10/14

本当のキーワードは「分散化」

サブプライム・ショック以降、金融マーケットの揺れは収まるどころか、ますます激震となるばかりである。いろいろな口実をつけて「今が底だ」「大型の優良株なら大丈夫」などとノタマウ向きが依然絶えないが、そうしたまやかしの議論に騙されてはならない。

なぜなら、今、私たち=日本の個人投資家の眼の前で繰り広げられているのは、もはや「金融ショック」などという生易しいものではないからだ。より長期にわたり、深きにわたる「金融メルトダウン(溶解)」。これこそが現状を呼ぶにはふさわしい言葉なのだ。

だが、やや逆説的に聞こえるかもしれないが、「メルトダウンだからもう打つ手は無い」と考えるのも間違っている。十年やそこらの景気循環ではなく、もっと大きく振幅するメルトダウンという現象。だからといって「出口」が無いわけではない。ファンドや投資銀行といった“越境する投資主体”や、その母体である国際金融資本たちは、実は密やか、そして着実にその「出口」に向かって動き始めていることを今こそ悟らなければならないのである。

それではその「出口」とは一体なにか?―――私が思うに、順番から言って、それは「分散化」である。なぜならば、マーケットを流れる基本的なルールである「資本主義」というものは資本が集積するフェーズと、それが離合集散するフェーズとが繰り返し交互にやってきて初めて成り立つものだからである。つまり、カネが集まり、ヒトが集まることで生産活動が行われ、それが消費者へとわたる中で、さらにカネが集まり、ヒトが集まっていく。その結果、最初は中小企業、今の言葉で言うと「ベンチャー企業」だったものが、大企業へと発展していくのである。

しかし、そのままでは潮流としての資本主義はやがて血管が詰まって壊死するかのように行き詰まってしまう。「マネーの潮目」が生じ、潮流が途絶えないためには、絶えず新しいヒト、新しいアイデアがマーケットに参入することが必要だからだ。そのため、大企業が形成され、繁栄を誇る資本の「集中化」の時期の後には、歴史上、必ずそれらがバタバタと倒れ、その代わりに中小企業が続々と勃興し、競い合い始める資本の「分散化」の時期が続いてきたのである。

なぜ今、欧州で「中小企業支援」なのか?

現在、「危機」が叫ばれる割にはこうした全うな歴史観に基づいて、将来像を描こうとする論者が余りにも日本には少なすぎるように思う。しかしその一方で、既に欧州では大変気になる動きが発生しているのである。

10月4日、英仏独伊の首脳はEU議長国であるフランスのサルコジ大統領の呼びかけを受けて緊急首脳会合を開催。しかし、その場で決められたことといえば、数十兆円規模で期待されていた大規模な金融救済策ではなく、「貸し渋りにあっている中小企業を助けるため、欧州の公的金融機関に約4兆7千億円の資金融通を要請すること」などだけだったのである(5日付朝日新聞ほか参照)。失望感からであろう、続く週明け、ユーロは徹底して売り込まれ、もはや1ユーロ=140円近くにまで下落してしまったのである(10月6日午後現在)。

しかし、ここで大手メディアたちが口をそろえて語るような「失望感」に惑わされてしまってはならないだろう。重要なのは、先ほど記したとおり、これからの時代は「分散化」がキーワードになるということなのだ。今回の措置を通じて、欧州勢は実のところ、「大は捨て、小は拾う」ことを明らかにしたのである。もっといえば、これから資本主義の歯車を回す主役としての「中小企業」を彼らはあからさまに選び取り、これに惜しみない支援を与えるという態度を鮮明にしたのである。

つまり、欧州勢は着実に次の「潮目」へと動き出し、現在の危機的状況が向かう「出口」へと一歩踏み出したというわけだ。金融危機というと、どうしても派手な米系“越境する投資主体”たちの動きに眼を奪われがちである。だが、よくよく考えてみれば、シード(種)を育てるからこそ、巨木になった際になる果実をたんまり得ることが出来るのである。本来、悠長な歴史そのものといえるマネーの「潮目」が織り成す資本主義の本質にかなった、あるべき振る舞いが欧州勢の対応には見て取れるのである。

これからやって来る本当の「潮目」を読み解く

こうした論点も含め、今後、激動が想定される“マーケットとそれを取り巻く国内外情勢”と、その背景にありながら私たち=日本の個人投資家が知ることのなかった歴史上の”真実“について、私は、10月18日・19日の“東京”“横浜”、そして11月8日・9日の“東京”“仙台”等でそれぞれ開催するIISIAスタート・セミナー(完全無料)で詳しくお話できればと考えている。ご関心のある向きは是非ともお集まりいただければ幸いである。

これからやって来る本当の「潮目」をつかんだ者だけが、私たち=日本の個人投資家の中でも生き残ることが出来るということを、今あらためて胸に刻んでおくべきである。それは一つには「分散化」であり、「大企業主導の時代の終り」という“潮目”なのである。今、死んだようになっている日本の新興株マーケットに依然として目配りを忘れるべきなのではないのは、そのためである。

たとえば今、米のシリコンバレーでは盛んに“WEB3.0”が語られ始め、しかもその主役となるのが日本の“ケータイ文化”であり、“ケータイ技術”であると叫ばれていることをご存知だろうか。驚くべきことかもしれないが、そう遠くない将来、まだ名も知られていない日本の「ケータイ・ベンチャー」が、突然、世界的に脚光を浴びるかもしれないのである。「潮目」に多くのものが気づく前に、こうした「分散化」の時代の覇者となる、新しい主役たちを探し出すことこそ、一つには私たち=日本の個人投資家がとるべき模範的な「戦略」なのだ。

「分散化」以外にも、現下の金融マーケットがたどり着くであろう「出口」はいくつもある。その「出口」に向けって静かに「潮目」が動き出しているということ。―――このコラムでは順次、その密やかな動きについても一つ一つ追っていきたいと考えている。


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著者:原田 武夫(はらだ たけお)

原田 武夫

1971年生まれ(36歳)。東京大学法学部中退後、外務省にキャリア外交官として入省。12年間奉職し、アジア大洋州局北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)を最後に自主退職。その後、個人投資家の情報リテラシー向上を目的とした日本初の“private intelligence agency”「原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)」を立ち上げる(2007年4月に株式会社として設立登記)。現在、同社代表取締役をつとめる一方で、これまで合計16冊の著作を日本とドイツで刊行する。また、社会人や大学生を対象に無償の『情報リテラシー』セミナーを開講し、好評を博す。


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