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ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン neoneo

映画関係者必読のメールマガジン。プロデューサー、監督、評論家、映画館支配人など、さまざまな立場からこれからのドキュメンタリー映画を熱く語ります。

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ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン neoneo 157号 2010.11.15

2010/11/15

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 †01 ■ドキュメンタリー映画のかたち
       中国ドキュメンタリーの現在(3)  中山 大樹
 †02 ■neoneo坐11月後半の上映プログラム
 †03 ■広場
      ■投稿:前号は読みごたえがありました  春田 実
      ■上映:『BIG RETURNS』
        レイトショー公開中  シアターN渋谷
      ■上映:『with…若き女性美術作家の生涯』
        11/27(榛葉健監督トークあり) 金光教大阪センター
      ■第2回 座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル
        コンペ部門応募作品募集中! 2010年12/10〆切
      ■「自作を語る」などの原稿募集!
      ■上映の告知の有料化とカンパのお願い
 †04 ■編集後記  伏屋 博雄

    ★バックナンバー閲覧はこちらまで
     まぐまぐ配信   http://blog.mag2.com/m/log/0000116642/ 
     melma!配信    http://www.melma.com/backnumber_98339/ 



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┃01┃□ドキュメンタリー映画のかたち
┃ ┃■中国ドキュメンタリーの現在(3)
┃ ┃■中山 大樹
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●当局との攻防

中国では、ややもすれば当局から取り締まられかねない映画を“敏感的”映画と呼
ぶ。近年のドキュメンタリー映画の中には、こうした敏感的作品が少なくない。
例えば、09年に東京フィルメックスで上映された趙亮監督の『北京陳情村の人々』
は、地方政府との間で解決できない問題をかかえた人々が北京にやって来て、中央
政府が設けた窓口に長い年月をかけて直訴する話であるが、こういった内容は政治
批判につながることから、政府からは上映してはならない作品とされている。09年
5月に北京市宋荘で行われた中国紀録片交流週のオープニングでこの作品が中国で初
上映され、この映画祭期間中には6時間のロングバージョンも上映された。

その時こそ政府からの注意などは受けなかったものの、各国の映画祭などで評判を
呼ぶにつれ政府からも目をつけられるようになったのか、ネット上からこの作品を
紹介した記事が次々と消されるようになった。我々の仲間である現象工作室のウェ
ブサイト・fanhall.comも、あるとき突然「この作品に関する一切の情報を消すまで
あなたたちのサイトを閉鎖します」という通知を受けた。やむなく削除して再開と
なったのだが、再開までには1週間以上を要した。今年の夏には、この作品を観たい
という人たち十数人のために現象工作室のホールを開放し、内部上映をしていたこ
ろ、区の政法委員会、文化委員会、公安局治安大隊などの人々がやってきてその場
で中止させられた。理由は「この作品は上映してはならないから」である。

ロカルノ国際映画祭などで賞を獲り、現在各地の映画祭を周っている『KARAMAY』と
いうドキュメンタリーも、敏感的作品のひとつである。これは16年前に新疆ウイグ
ル自治区カラマイ市で発生した火災事故についての証言を集めた映画である。この
地域には油田があり、政治的にかなり重要な都市とされているのだが、その市が開
催した小中学生の文化行事の最中に火災が発生し、三百人以上が犠牲となった。そ
の大半が14歳以下の子供たちであった。

事故はなぜこれほどまでの大惨事となったのか、救助はどのように行われたのか、
どのような調査がされ、誰がどのような処分を受けたのか、といったことが数々の
証言を通じて明らかとなり、さらには当時警察が撮影したビデオ映像も流れる。長
い年月がたっても心の傷が癒えることのない遺族たちの訴えを聴くにつれ、理不尽
な政府の対応に怒りがこみ上げてくるといった内容だ。この事件は当時政府によっ
て封印され、未だに真相は明かされていない。そのため、こういった映画が公にな
ることは、政府にとって非常に都合の悪いことである。

そんなわけで、この作品も極めて敏感的とされている。この作品の上映を企画した
人々は、ほとんどが関係当局からの圧力を受け、上映中止に追い込まれている。天
津市で上映を予定していたある学生グループは、作品タイトルなどを一切伏せてい
たにもかかわらず、上映前夜にリーダーの自宅へ公安局員が押し寄せて連行され、
グループの活動停止に追い込まれた。彼は未だにそのショックから立ち直れず、仲
間からの電話やメールには応じていないらしい。

こういう話が広まると、どんな映画か観てみたくなるもので、密かに仲間内で上映
している人もいるらしい。我々の電影基金にも頻繁に問い合わせが来る。北京在住
の芸術家・艾未未(アイ・ウェイウェイ)は、『KARAMAY』をネットにアップロード
し、誰もが見られるようにした。もっとも、その数日後にはそのウェブサイトもア
クセス不可能となったのだが。
実はこの二つの作品を各国の映画祭に送り出しているのは我々の電影基金である。
『KARAMAY』に至っては、製作資金も出している。だが、そのことで直接関係当局か
ら事情を聞かれたことはない。また、監督たちも特に通知を受けたことはないとの
ことだ。どうやら、映画を作るのは構わないが、上映するのはけしからんというこ
とらしい。

それにしても、外部に上映情報を流していないのに、なぜ当局の人間たちは上映す
ることを知っているのだろう。そのことを同僚に尋ねると、彼は「きっとこの電話
が盗聴されているからだ」と言った。うちの基金はマークされているから、電話も
携帯のショートメッセージも筒抜けなんだそうだ。うちの事務所が送ったDVDが、よ
く紛失したり届いてもディスクが割れていたりするのもそのためだ。それならバレ
ないように工夫すればいいんじゃないかとも思うのだけど、あまり対策は講じてい
ない。でも、たまにはDVDがちゃんと先方に届いたりもする。取り締まるほうも、取
り締まられるほうも、何だか適当だ。そのへんが中国らしいと言えば中国らしいの
だけど。  (つづく)


■中山 大樹(なかやま・ひろき)
中国インディペンデント映画祭( http://cifft.net )の代表として日本へ中国の
インディペンデント映画を紹介する傍ら、今年春より北京郊外の宋荘にある栗憲庭
電影基金のスタッフとして、映画祭や映画学校の運営を手伝っている。



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┃02┃□neoneo坐11月後半の上映プログラム
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会場はいずれも神田・小川町のスペースneo(都営新宿線小川町駅B5出口より徒歩1
分JR御茶ノ水駅聖橋口より徒歩5分)です。詳細と地図はneoneo坐のHPをご覧下さい。
 http://www.neoneoza.com/

■「知られざる短篇映画を見てみる」上映会
「短篇調査団」

16mm上映 会費500円(作品資料付き/映画は鑑賞無料)
追加情報はblog版短篇調査団へ

三角マークの4本立(計120分)
(105)東映の巻...2010年11月25日(木) 19:30〜21:45
『一匹をささえる一兆 ―水中の小さな生物たち―』
1975年/20分/カラー/制作:東映教育映画部 脚本・監督:細見吉夫/撮影:川崎
籠彦/音楽:杉田一夫
■ボーフラもメダカも、その生命は無数の小さな生物たちに支えられている。自然
界の原則を、野外実験と顕微鏡観察を通じて描いてゆく。

『鶴っ嘴の青春 ―差別とたたかう若者たち―』
1975年/42分/カラー/制作:東映教育映画部
監督:山口昇/脚本:金子武郎・中村稔/撮影:大山年治/
音楽:長沢勝俊/出演:矢野勇生
■主要な生産関係から排除されている実態こそ部落差別の本質である。ひとりの青
年の生き様の中にそれを描き、部落外の人々の偏見からの解放の条件を示唆する。

『黒い血』
1966年/21分/白黒 制作:東映教育映画部
プロデューサー:大橋公威/脚本:高木昭夫/監督・撮影:大山年治
■梅毒の恐ろしさ、その症状や感染経路などを示して、対策を説く。

『ダンプの母さんと六人の子どもたち』
1976年/40分/カラー/制作:東映教育映画部
脚本・監督:山下秀雄/撮影:北川英雄/音楽:杉田一夫
■ダンプトラックの運転手をやっているお母さんが突然二人のみなし児をつれてき
て、一年生から六年生までズラリと揃った6人兄弟。彼等がまきおこす様々な生活。
そしてお母さんの別けへだてない優しさ、思いやり等、涙と感動をこめて描く。

【料金】会費500円(作品資料付き/映画は鑑賞無料)
【お問合せ】清水 E-mail:shimizu4310@bridge.ocn.ne.jp



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┃03┃□広場
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■投稿:前号は読みごたえがありました
■春田 実(「恋するアジア」発行  http://www.geocities.jp/haruasia/ )

毎号、興味深く読んでいます。
ことに前号は”思わず膝を打つ”文章が2つあり、感想を書きます。

ひとつめは、中山大樹さんの書かれた「中国ドキュメンタリーの現在(2)」です。
中国のドキュメンタリストは、どうやって食ってるんだろ、という疑問は私も持っ
てました。何人か会う機会があり、聞くと、「なんとか」と口をにごすばかりです。
アルバイトをしてるようですが、それだけで制作資金が集まってるようには思えず、
不思議に思っていたのですが、中山さんの文章で、「女房の稼ぎ」と知り、たいへ
ん腑に落ちました。やっぱりアジアの男は働かないんだなあ、と改めて思ったので
した。真面目に働くのは日本男子だけですね。

もうひとつは、編集後記に書かれていた伏屋さんの『包囲』に対する感想です。
私もまったく同感です。この作品を批判する評はあまり見ないのですが、私もこの
作品は駄作だと思っています。この作品は「新自由主義を批判する一方の勢力」の
政治宣伝映画いがいの何物でもありません。このような党派色の強い問題あり作品
がなぜヤマガタで大賞をとったのか、審査経過を知ってみたいものです。ともあれ
『包囲』はダメと書いた伏屋さんには、そうだそうだ、と拍手を送ったのでした。

今後もneoneoに期待しています。


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■上映:ロックミュージシャンという生き方の選択
映画『BIG RETURNS』

なぜロックミュージシャンとして生きていこうと思ったのか、どうやって続けてき
たのか、そしてその選択は……。無秩序のようでいて整っている、やんちゃで熱い
博多の音楽人が無邪気に未来を語り、本気で挑む“自分の行き方を貫き通す”姿は、
非ロック・リスナーにも強く響くはず。「自分の生き方」を貫き通す彼らの姿は、
困窮する時代の中で迷う多くの人への道標となるはずだ。

ロックミュージシャンという生き方を選択した人々に触れたヒューマン・ドキュメ
ンタリー映画『BIG RETURNS』が11月6日(土)よりシアターN渋谷にてレイトショー
公開。
製作:ATMK.CO.,LTD. 監督 川瀬美香 作品情報:2010年/日本映画/83分/
配給:ATMK 公式HP: http://www.art-true.com/big/ 
出演:柴山俊之、坂田紳一、奈良敏博、山部善次郎、水戸華之介……
その生き様に触れたとき、オリジナリティとは何かを知る

ロックで生きる男たちってどんなだろう。挨拶を交わしカメラを廻し、初めて接し
たロックミュージシャン。「朝から晩まで音楽の事を考える」ロック界の大御所・
柴山俊之がさらりという。10個指輪をした手を静かに重ね、真摯にインタビューに
応える。「もっと出会いたいね、新しいミュージシャンと」ニット帽の坂田伸一が
「まずやってごらん、聞いてごらん」と一言で優しく強くロックへ導く。ドラムを
叩くステックの美しさは我われをリハスタジオからサクッと別世界へ引き込む。天
神JUKE RECORDSから堤防まで2時間カメラを引き連れてくれた山部善次郎。「このま
まずっと音楽をやり続けたい」とインタビューを締めくくり、ずぶ濡れのスーツ姿
にくわえ煙草で帰っていった。「触ってしまうんだよ、ここに楽器があると…」究
極に照れ屋なベーシスト奈良敏博が重く口を開く。それでも音楽の話になるとなん
とも素敵な苦笑いを見せてくれる。見事に整理されつくした自分の事を、わかりや
すく話してくれた水戸華之介。その堂々とした言葉は、突撃的インタビューで撮影
させてもらった背景を感じさせない。しかし、それがステージでは一転する。ロッ
クミュージシャンって非常でいて優しい。無秩序のようでいて整っているやんちゃ
で熱い博多の音楽文化人たち。彼らのこの力強いいまの姿がそこにあるだけでいい。


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■上映:『with…若き女性美術作家の生涯』
上映&榛葉健監督トークライブのお知らせ

●日時 11月27日(土) 14時〜15時40分(映画上映60分)
●場所 金光教大阪センター 4F AM(アム)ホール
●参加費 500円

『with…ある女性美術作家の生涯』は、大阪の毎日放送で制作された、佐野由美さ
んという女性美術作家の大学卒業前からネパールに渡った3年間を取材したものです。
2000年のテレビ放映後、佐野さんの生き方に感動したという多くの反響が寄せられ、
追加取材の後、映画版が2001年末に完成しました。
あるルポライターが、「このドキュメンタリーは、観客にただ感動を与えるだけで
はない。観た人が「自分も歩き出そう」と思い立ち上がる、不思議な力に満ちてい
るのだ。」(抜粋)と評しています。
人生に迷っている人、躓いている人、悩んでいる人…、一人でも多くの方にこの作
品の“不思議な力”に触れていただきたいと心から願っておりますので、お誘い合
わせのうえ、是非ご参加ください!
上映会当日は、監督の榛葉(しば)健監督(毎日放送ディレクター)にもお越しい
ただき、主人公である佐野由美さんのこと、作品にまつわるエピソードなどをお話
いただきます。

☆『with…ある女性美術作家の生涯』公式サイト:
  http://with2001.com/ 

参加希望の方は、電話、FAX、メール等にて、金光教大阪センターまで事前にお
申込みください。

主催:金光教大阪センター
〒541-0056 大阪府大阪市中央区久太郎町1-4-13
TEL 06-6121-2323 FAX 06-6121-6323
E-mail: osaka@konkokyo.or.jp 
URL: http://www.konkokyo.or.jp/center/osaka/ 


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■第2回 座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル
コンペ部門応募作品募集中!
今年3月に第1回を開催した「座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」は、初
回ながら約2千名の来場者を集め、おかげさまでATP賞特別賞を受賞しました。
同フェスティバルは、時代やテーマ、映画・テレビなどの枠を超えたドキュメンタ
リーの祭典を目指しています。
第2回は2011年2月9〜13日に開催、特集テーマは「1969」です。
「1969年。戦後日本の情景と日本人の心が変わったのは、この時かも知れない。
学園紛争、三里塚闘争、沖縄返還、水俣病、永山則夫、ベトナム反戦、アングラ、
高度経済成長、アポロ月面着陸、ウッドストック…。政治・社会・文化が大きく揺
れた頃。
今回、1969年に制作或いは上映された作品や、1969年という時代を描いた作品を集
めます。
優れたドキュメンタリーは、常に時代を見つめ、描き、暴いて来ました。
1969年、何が起こっていたのか、そして何故、今の私たちがあるのか-----。
ドキュメンタリーを通じて、一緒に考えてみませんか?」
ゲストセレクターは、田原総一朗氏をはじめ、映画・報道・演劇・写真など幅広い
分野から参加していただく予定です。
コンペティション部門は2010年12月10日〆切、未知なる作品との出会いに期待して
います。
応募要綱は下記HPで、ご覧ください。
  http://zkdf.net/ 

なお、第1回の入選作は、下記の通りです。
『ナナイの涙 〜米兵が残した命の物語〜』(監督:中井信介)
『GOD AND FATHER AND ME』(監督:鈴木光)
『団旗の下に』(監督:大須賀康之)

●お問い合わ先
「座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル実行委員会」
〒107-0052東京都港区赤坂8-12-20 和晃ビル1階
(株)ドキュメンタリージャパン内
電話 03-5570-3551 FAX 03-5570-3550
E-mail: za.koenji.documentary@gmail.com 


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■「自作を語る」などの投稿、歓迎!
「自作を語る」欄は、監督自らが作品について語るコーナーです。制作した動機や
撮影のポイント、編集で心がけたこと等を内容に盛り込んで頂きたいと思っていま
す。その他の投稿も歓迎します。「自作を語る」は1600字程度。監督のプロフィー
ル(150字)、作品のデータ、上映スケジュール、HP等をお知らせください。
原稿締め切り:配信日(1日&15日)の5日前までに、下記に送信ください。
E-mail: visualtrax@jcom.home.ne.jp  伏屋まで


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■上映の告知の有料化とカンパのお願い
■伏屋 博雄(本誌編集長)

neoneoの購読は無料ですが、経費を(その大部分は稿料ですが)賄うため、上映等の
告知は有料にしています。なおカンパにもご協力くださいますよう、お願い申しあ
げます。

(1)上映等の告知料は、 40字×30行(行数の空きも計算)以内につき
2,000円(税別)です。それ以上の行数の場合は比例して加算します。
(2)カンパのお願い 一口2,000円。何口でも。

送金先:みずほ銀行小金井支店、普通口座、1211958 ビジュアルトラックス
(入金を visualtrax@jcom.home.ne.jp 伏屋宛にお知らせください。)
以上、neoneoの継続ため、よろしくお願い致します。



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┃04┃■編集後記:伏屋 博雄(ふせや・ひろお)
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●中山大樹さんは前回のレポートで、中国のドキュメンタリー監督がどのようにし
て製作費用を獲得しているかを報告した。この反響は大きかった。私は多くの人か
ら声をかけていただいた。「日本の実情と変わらないですね」とか、「中国のドキ
ュメンタリストの苦労がわかった」等々。投稿があった春田実さんもその一人であ
る(「広場」欄参照)。実際、推測してはいても、彼らの資金調達に真っ向から言
及する文章は眼にしないものだ。北京で生活し、彼らと親しく交流する中山さんな
らではという文章だった。

さて今回は、中国の監督たちが直面している表現の自由に関する問題だ。中国では
映画をつくることも観ることも極めて限定された枠の中にある。政府は政治に触れ
る問題には極めて敏感だ。公安は眼を光らせている。したがって、表現者は政府と
の攻防に直面せざるを得ない。こうした事態に、中山さんはメスを入れた。その踏
み込んだリアルな文章は昨今の寒さ以上のものだ。

●ところで投稿くださった春田さんからはもうひとつの指摘は、昨年の山形映画祭
で大賞を受賞した『包囲』の評価に疑念をもつ意見だ。これは私が前号の編集後記
で書いたことに同意する意見だったのだが、改めてこの作品が何故に大賞に値する
のか、どのような選考行われたのか、さらに予備選考そのものが通過したことすら
理解できないのだ。私たちはこの作品のもつ政治主義に反対する。しかし、私たち
の気付かない評価すべき点があるのかもしれない。異論のある方の投稿を期待した
い。



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創刊日:2003-09-01  
最終発行日:  
発行周期:月/2回  
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