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映画関係者必読のメールマガジン。プロデューサー、監督、評論家、映画館支配人など、さまざまな立場からこれからのドキュメンタリー映画を熱く語ります。

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ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン neoneo Vol.18 2004.8.1

発行日:8/1


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┃n┣━┫o┣━┫e┣━┓ ★ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン
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∽∽∽∽∽∽ HEADLINE ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

 †01 日本のドキュメンタリー映画のかたち
      対極のドキュメンタリー
         ―小川紳介と土本典昭(1)  大津 幸四郎
 †02 自作を解剖する
      『戦争が終わって僕らは生まれた』  荒木 真登
 †03 ワールドワイドNOW ≪ニューヨーク発≫
      貪欲なドキュメンタリーであること
        ―米国内での『華氏911』の受容を巡って―  東谷 麗奈
 †04 列島通信≪名古屋発≫
      テーマ上映会「実験映画再発見〜マヤ・デレン作品を
      中心に〜」を終えて  越後谷 卓司
 †05 neoneo坐通信(5)
      華氏8.15〜それは日本人の態度が変わる温度?
          清水 浩之(neoneo坐プログラマーズ)
      neoneo坐上映会 vol.5『華氏8.15―60回目の昼下がり』
      neoneo坐プログラマーズ・企画会議開催!
 †06 広場
      投稿:『Cuba/Okinawa サルサとチャンプルー』(8)
           キューバの現在地  波多野 哲朗
      投稿コーナー「クチコミ200字評!」(17)提案者:清水 浩之
      投稿「私的ドキュメンタリー」私見(学)  中村のり子
      アンケート募集!「8月15日に見たい映画」
 †07 編集後記  伏屋 博雄


    ★バックナンバー閲覧はこちらまで

   まぐまぐ配信   http://www.mag2.com/m/0000116642.htm
   melma!配信    http://www.melma.com/mag/39/m00098339/



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┃01┃□日本のドキュメンタリー映画のかたち
┃ ┃■対極のドキュメンタリー ―小川紳介と土本典昭(1)
┃ ┃■大津 幸四郎
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                はじめに
この記録は、小川紳介さんの初期のドキュメンタリー作品『圧殺の森』と土本典昭さ
んの『パルチザン前史』の上映後(2003年3月15日、アテネフランセ文化センター)、
催されたセミナーで、レジメのつもりで話した、その記録に加筆したものです。小川
紳介と土本典昭を対比して何か話して欲しい、そんな主催の側の要望でしたが、小川
紳介さんの死と土本典昭さんの身体の不調のすぐ後で、そのショックの影をいまだ引
きずりながらの話だった為か、分析に甘さが出てしまったかと思いますが、そのまま
提出しておきます。土本典昭、小川紳介、リアリティを追求する映像作家の双巨樹と
言ってよいと思うが、二人の作風を比べてみると、そのベクトルの方向は正反対とも
言えるのではないか、その辺りやや具体性を欠いてしまったが、自分なりに考えてみ
ました。両者の映画に対する姿勢・方法のより明確な対比は、両者の映画制作の或る
時点でカメラマンとして両監督と時間を共有した者に課せられた宿題かもしれない。
(2004年7月記)

註:
☆『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』
1967年(昭和42)/16ミリ/白黒/105分
製作:記録映画「圧殺の森」製作実行委員会+自主上映組織の会
演出:小川紳介、撮影:大津幸四郎、録音:久保田幸雄

☆『パルチザン前史』
1969年(昭和44)/16ミリ/白黒/120分
製作:小川プロダクション
製作:市山隆次、小林秀子 演出:土本典昭、撮影:大津幸四郎、一之瀬正史、
録音:久保田幸雄 編集:土本典昭、松本武顕

☆『日本解放戦線・三里塚の夏』
1968年(昭和43)/16ミリ/白黒/108分
製作:小川プロダクション
演出:小川紳介 撮影:大津幸四郎、田村正毅、録音:久保田幸雄
製作:小林秀子、伏屋博雄、市山隆次 製作進行:野坂治雄


●『圧殺の森』と『パルチザン前史』の時代背景

『圧殺の森』と『パルチザン前史』2本の制作は、ちょうどこれは60年の後半ですよ
ね。『圧殺の森』が67年夏、『パルチザン前史』が69年夏、両者にはさまれて『三里
塚の夏』があるわけです。60年代の後半というのは非常に面白い時代、若者たちの体
制的権威に対する反逆の時代です。ここに描かれているように『圧殺の森』というの
が67年ですね。67年の夏です。4月の入学式から撮影に入りまして夏の間に、9月まで
撮影するわけです。これは高崎経済大学という田舎の大学というか、そういう風に言
われていた高崎のわりあい新しい大学―ちょうどこの頃が確か6回か7回目ぐらいの卒
業生を出した当時は新しい大学です―その中でこの年、更に、もう少し前からも含め
まして、大学に対する国家の干渉というか、それまで当たり前と認識されていた大学
の自治を反古にして、国家が大学そのものをどのように管理していくか、産業界の要
望にどう応えていくかを含めての、国家的統制の動きが非常に大きくなるわけですね。

今では当り前のことと考えられているかもしれないけど、例えば大学内で何か事が起
こった場合、すぐに機動隊というか警察がね、大学の中にワッと入ってきちゃって、
しかも簡単にほとんど大学の許可も取らないぐらいの形で入ってくるという段階なん
ですけど、実はこの『圧殺の森』の少し前までというのは、特に50年代には、私服を
含めて警官が大学の構内に入るということは全くできなかった。それだけ大学という
のは、ある一つの聖域という形での、権力からは全く独立した形で、きちっと学生と
大学で管理されていたところなんです。いわゆる「大学の自治」という奴ですね。

●前兆

ちょっと話がそれるかもしれませんけど、私が今撮影している九州、大牟田の三井三
池炭坑の話をさしてもらいますが、1960年代の初めですが、いわゆる60年安保闘争、
それと同時に産業経済的な部分において闘われたのが三井三池闘争です。僕はこの炭
鉱の闘争をずっとここ1年半ぐらい、資本の側の動きも含めて、いろいろな証言を撮
りながら複数の作品にしようと思って、それにずっと関わっているんですけど。

三井三池闘争というのは、ちょうどエネルギー革命の時期なんですね。と言っても何
のことかわからないかもしれませんが、石炭産業は、1950年代までエネルギーの基幹
産業でした。1960年代以前は、特に1945年の太平洋戦争が終わった直後は、できるだ
け多くの人間を炭鉱に呼び寄せようとした。そこでものすごい膨大な数の従業員に膨
れてしまい、例えば三井三池の場合は労働組合員だけで2万人、というくらいの大き
な労働組合になる。石炭産業の歴史は国家と資本との関係、国家権力と産業資本との
関係の歴史として見ると非常に面白いんですね。最初、明治の頃は国家権力が囚人を
使って炭を掘らせるわけです。明治中頃、炭坑は三井に払い下げられますが、囚人の
使役付きでした。囚人労働は昭和の10年くらいまで続きます。同時に一番安い労働力、
例えば婦人労働、女性の労働者を使っていくという形で、完全に国家権力といわゆる
炭鉱資本が共同して、エネルギー支配をやっていくんですね。その中で資本はますま
す膨らみ、独占資本、国家独占資本へと成長していくのです。囚人労働から朝鮮人労
働、中国人捕虜・白人捕虜の労働、国家との共謀の下に次々とこれらの労働の上に築
かれていく王国、石炭産業があったわけです。

ところがちょうど60年頃を境にしまして、いわゆるエネルギー革命が起こってくる。
石油という使用価値のより高いエネルギー資源が起こってきますね、そうすると石炭
がどんどん衰退していく、その境目が60年なんです。「首切り」、最近はリストラな
どと聞こえの良い言葉に置き換えられてしまいましたが、過剰な労働者を整理して、
企業のリストラクション=再建を計ろうと、大量の労働者を解雇してしまいます。企
業の労働者支配の拠り所、解雇という暴力を振り回す企業・三井鉱山と、労働者の団
結権、抵抗権を掲げて闘う労働組合。三井鉱山をバックアップする日本の総資本と炭
坑労働組合を主体とする労働者達の闘い…総資本と総労働の対決と呼ばれたのですが、
政治の局面での安保闘争、産業と労働の分野での三井三池闘争、この二つの大きな闘
いが日本の戦後の社会を根底から変えてしまうのです。1年近い大々的な闘争になる
わけです。この中で、結局最終的には労働組合が負けてしまいます。中労委の仲裁で、
最後に負けて和解しちゃいます。

同時に、その時今まで炭労という一つに結集していた労働組合が、闘争の中でいわゆ
る会社側の切り崩しに会い、新労働組合、新労組という第2労組を作っていくわけで
すね。これはほとんどの労働抗争における二つの動き、経済と労働条件をめぐって資
本の側とぶつかり、その結果、労働組合側が負ける。そして労働組合が変質してしま
う。同時に資本の側は労働組合を手なずけることでどんどん大きくなっていく、そし
てその二大闘争で労働者の敗北した4〜5年後には「もはや戦後ではない」と池田勇人
なんかが言う形で、どんどん経済的に突っ走っていく。そして資本の要求のみが肥大
化し、今のような政治的には無風状態になっていくというわけです。それが、ちょう
ど67年、まあ65年ぐらいからどんどん顕著に現れてくるわけです。

●大学の空洞化

そしてこの傾向が、大学闘争にも同時に現れてくるのです。というのは、それまでは
「学問の自由」という意味での学問の独立があったのですが、それを何とかして、今
はもう見事に無残としか見えないと思いますけれども、全部、産業とか経済の側の必
要性に学問の側が従属されちゃう事になってきています。そういう状態が作られてい
くのが、ちょうど65年ぐらいから、まあ60年を過ぎた直後からであるわけです。

そのような社会状況の中で高崎経済大学(群馬県高崎市立)の闘争というのがある。
この闘いの後半戦をフィルムで記録したものが、『圧殺の森』なのです。これは高崎
経済大でだけではなくて、例えば国際基督教大学(ICU)であったり、早稲田の学館
闘争であったり、明治大学であったり、あちこちにあるわけですね。それはどういう
ことかというと、日本の資本主義経済の、いわゆるブルジョワジー―僕はあんまり好
きじゃない言葉ですけど―と言われている部分が、学問も含めて市民生活を支配して
いこうとする、ちょうどその時だろうと思うんですよね。それが65年です。その中で、
学生たちは資本の側のイデオロギーがじわじわと浸透し、ブルジョアイデオローグの
象徴、フェティシュな思想に支配されつつある社会からだんだん孤立していく。
孤立していく中で、高経の中では学館闘争という形で、自治会の権利と自治の聖域を
守る闘いに現れてきます。ということが67年の高経大です。なお、この闘いの真相
は、『圧殺の森』が世に出るまでは学生の間でもほとんど知られていませんでした。
(つづく)


■大津 幸四郎(おおつ・こうしろう)
カメラマン。1934年生まれ。1958年、地方の大学を出て、少しは知的にましな生活を
と東京へ。5年間岩波映画で社員生活後、組織に順応不能な人間を自覚し、会社人間
を廃す。それは同時に体制社会からの追放を意味し、一匹狼を自称しつつ、諸々の映
画づくりに手をそめる。その間、60年安保、70年安保を経過、年を経るごとに、自己
の知の崩壊に愕然としつつ今日に至る。現在『花子』『チョムスキ―9.11』などで、
ハンディなデジタルカメラを使って35ミリフィルムをつくるのに熱中。次回作はエド
ワード・サイードの生と死を追ってパレスチナへ。



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┃02┃□自作を解剖する
┃ ┃■『戦争が終わって僕らは生まれた』
┃ ┃■荒木 真登 
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昔はやったフォークソングの歌詞である。親の世代にはまだ子供の頃の記憶や、60年
代安保闘争があったりして「戦争が終わって僕らは生まれた」の実感がある。僕らの
世代にとっては当たり前すぎて実感のないフレーズだ。同級生にはあまりこの歌を歌
える人はいないだろう。僕はこの歌を子供の頃から覚えて歌っていた。そういう環境
で育ってきたことは僕にとって幸か不幸かこの作品を作る上で背景になっているのだ
ろう。

僕の生まれ育った東京都東久留米市には父母達が作った青空学校という団体が毎年夏
に小中学生を集めて小学校でキャンプや工作を教える教室をやっている。上の兄弟が
参加していたこともあり、僕も小学校3年から中学校3年生まで毎年楽しみにしていた。
そこでは夜の集いという行事があり戦争に関する映画を見たり、被爆者の体験談を聞
く機会があり、そこで感じたことなどを同級生達と話あう時間があった。そして昼間
にはギターを持った大学生や若手社会人の指導員達が先導して「戦争が終わって?」
と子供達と歌っている。

家庭でもよく戦争の悲惨さを教えられていたように記憶している。平均的な子供より
少し多く反戦教育を受けている、そんな子供時代だったと思う。そうは言っても1976
年生まれ、アメリカを憎む気持ちなどなく憧れる気持ちが大きかった。アメリカ=英
語=かっこいい=勉強がんばる。だった。

大学に入る頃は国際関係学を学び、英語もばりばり使えてテキパキ紛争解決とかする
国連職員になるんだと張り切っていた。英語の勉強は続けてある程度はなせるように
なったが、興味の対象は紛争より環境問題の方向へ進んだ。カナダに留学したのは環
境政策や都市計画などを学ぶつもりだったからだ。.

カナダでこのドキュメンタリーを撮影し始めたきっかけは作品の冒頭で語っているの
で、ここでは割愛するが、ここで「戦争が終わって僕らは生まれた」あの歌詞の僕ら
の世代にとっての意味が浮かび上がってきた。

僕と同じようにカナダに留学している同世代の中国人、韓国人の若者から「なぜ日本
人は歴史教科書を変えて歴史をゆがめようとする?」「なぜ日本人は戦争犯罪につい
て謝罪しない?」こんな問いをぶつけられて腹立たしいような、申し訳ないような複
雑な気持ちになった。「なんでだ?なんで俺が責められなきゃいけないんだ?」

作品の中での主題は明らかに「日本の戦争犯罪を知らない若者を啓蒙する」になって
いる。インタビューをしている時はそういう気持ちだった。今でも歴史認識に関して
日本が近隣諸国からどんな目で見られているかは知るべきだと思う。しかし取材が進
むに連れて「歴史は立場によって見方や考え方が変わり、完全な事実ではなく主観的
要素が多く入り込む」ということや、「自分の受けて来た教育を信用していいのか
?」などの疑問、雑念、思い込みが混ざって混乱した。.

本当は最後まで自分が登場して何らかの思いを伝えようとするべきだったのかもしれ
ないが、結局、「戦争で何が起こったのか」「日本人はどうすべきか」という自分な
りの答えは見つからず、人の言葉を借りて「日本人はもっと歴史を知るべきだ」とい
うことを言っているだけに終わっている。ドキュメンタリーの作りとしていいものか
どうかは別として、この作品の結びとしては間違ってはいないと思う。人の言葉を借
りることしかできない自分の迷いとか弱さが現れている。

この作品を作ることによって、自分の生まれ育ってきた環境や受けてきた教育を振り
返り見直すことができた。「ドキュメンタリーは作者を映す鏡だ」と誰かが言ってい
たが、こうして改めて自作解剖をしてみるとこの作品はその通りだと思う。そしてこ
の自作解剖も自分の四半世紀を振り返るようで楽しいやら恥ずかしいやら。
別に僕の生い立ちまで深く読み解きながら見なくても、自分の歴史認識を問い直す一
つのきっかけくらいになれば作者としては大満足です。.

個人的には中国、韓国、日本の学生のトークバトルが一番面白いと思います。みんな
興奮して言いたいことはいっぱいあるのに母国語じゃない英語で伝えようと必死に言
葉を探して、それでも誤解をしあって険悪になったり、でも何とか建設的な方向に進
めようとしているお互いの気持ちもあって。その辺の空気を感じ取って自分に当ては
めて、こんな質問されたら英語でどうやって答えよう?とか考えるといいかもしれま
せん。

ある日この作品の上映会で、上映後のディスカッションである人から「中国は日本に
対して歴史を勉強しろというが、もし教育によって戦争がなくなるならば中国のチベ
ットでの殺戮はどう説明するのか?教育だけでは戦争はなくならない。その先の解決
方法まで考えなくては」という意見をいただいた。確かにその通りだ。

ドキュメンタリー作品は完成してしまうと変化しなくなる。でも僕自身は変化し続け
る。この作品を作る前と後ではずいぶん変化した自分に気付く。この文章を書くこと
によっても僕はまた変化する。変化していく僕は次に何を作るのか僕自身にとっても
興味深いところだ。

☆『戦争が終わって僕らは生まれた』(2001年、ミニDV、79分./East West 
Productions)監督:荒木真登 + マティス・ニューバーガー
☆本作は、8月15日(日)にneoneo坐の「華氏8.15」のなかで上映されます。詳しく
は、neoneo坐のHPをご覧下さい。
 http://www014.upp.so-net.ne.jp/kato_takanobu/neoneoza/index.html 


■荒木 真登(あらき・まさと)
東京都東久留米市出身。1976年生まれ。男。横浜市立大学・大学院国際社会研究コー
ス、修士課程修了。23歳の時に留学先のカナダでドイツ人の友人マティスと『戦争が
終わって僕らは生まれた』を制作し始める。ドキュメンタリー制作の面白さに目覚め、
番組制作会社グループ現代に2002年に入社後、こつこつ取材と編集を続け、2003年春
完成。その年の山形国際ドキュメンタリー映画祭・日本パノラマ上映作品に選ばれる。
現在もグループ現代で番組制作に忙しくしながらも、次なる映像作品作りを狙ってい
る。



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┃03┃□ワールドワイドNOW
┃ ┃■貪欲なドキュメンタリーであること
┃ ┃ −米国内での『華氏911』の受容を巡って−
┃ ┃■東谷 麗奈
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「カンヌ国際映画祭でドキュメンタリーが最高賞を獲得」、「親会社ディズニーの意
向で配給がキャンセル」、「週末興行収入の新記録達成」と、とにかく次から次へと
センセーショナルな話題にことかかない本作を、やはりここでも語らずに済ますこと
は到底できないと思う。それほどマイケル・ムーアの新作『華氏911』は、映画とい
う枠をはるかに超えて、ここ数ヶ月のアメリカを語る上での重要な出来事とさえなっ
ている。

全米に先駆け二日早く公開されたニューヨークでは、チケットが完売し長蛇の列をな
した観客達に各局がこぞってインタビューをしていた。これだけの関心を集める理由
は、何よりこの作品が持つ圧倒的な即時性にある。これは60年前の戦争の話をしてい
るのではなく、どこかの国で続いている独裁政権の話をしているのでもない。ここで
語られていることは、まさに「今」、「ここで」起こっていることなのだ。しかしこ
の即時性を手に入れること、つまり現行の政権を国内から批判するという行為は、表
現の自由が保障されていると信じられているアメリカにおいても、決して容易なこと
ではない。

本作の中で、クッキーをつまみながら談笑しているような平和運動に関わる無害な老
人がFBIの訪問を受けたことが紹介されるが、それならばムーアが、政府のブラック
リストのトップにいるであろうことは容易に推察できる。自分の身を危険にさらすの
は、なにも戦場でカメラを回すことに限られているわけではない。主要メディアこそ
が権力に握られ様々な妨害がある中で、現行の権力に真っ向から挑んだ力強さがここ
にはある。

そして、そのことを可能にしたのは、皮肉にも多くの人がドキュメンタリーではない
と指摘してきた彼のエンターテイメント的なアプローチにある。シネマ・ヴェリテの
時代から恣意的な操作をできるだけ排除し客観的であることを目指してきたドキュメ
ンタリーの方向性など意に介することなく、ムーアは自分がカメラの前に立ち意見を
主張し、突撃取材をしてウケを狙い、「悪者」は容赦なく茶化して笑いものにする。
映像も音楽もそのためにはより効果的になるように利用する。それは彼がジャーナリ
ストからキャリアを始め、彼の信念に基づいて社会を変える手段として映像を手にし
たからで、その力を大いに利用しなければ意味がないからだ。.

しかし、このことが、彼と政治的には同じ立場にある批評家や制作者たちからも、目
立ちたがり屋で人や物事をおもしろおかしく扱いすぎて論点を逆にぼかしてしまうと
これまで批判されていたことも事実だ。しかし、彼をそう評価していた人たちがこぞ
って絶賛するほど、本作では彼のこの手法は驚くほど上手く機能している。つまり、
彼のテレビショー的なアプローチが大きな権力に対して向けられたとき、それは皮肉
とユーモアという彼らを攻撃する非常に洗練された武器として生まれ変わったのだ。
テロリストにしても、現在のアメリカ政府にしても、暴力に訴える主義主張の仕方が
まかり通っているだけに、逆に彼のベタなアプローチの方が洗練されて見えるのだ。.

そして、彼のこのアプローチが重要な点はもうひとつある。それは、本来なら生真面
目なドキュメンタリーなど見ない、政治に関心を示さなかった国民層の興味を引くこ
とに成功したということだ。国民の政治への無関心や投票率の低下が取り沙汰される
のは、ここアメリカでも同じである。実は、この映画で暴かれたと言われているひと
つひとつのこと自体(例えばブッシュとビン・ラディン家の繋がりなど)は、いわゆ
る知識階級の人たちにとってはそれほど衝撃的なことではない。なぜなら、普段から
政治に関心を持ち様々な情報媒体に触れていればブッシュ政権の問題点は理解してお
り、イラク侵略への国際的な批判があることも承知しているからだ。.

この意味では、色々な人種が住み様々な情報があふれ、リベラルな考え方が全米の中
でも最も浸透しているニューヨークにおいては、一般的な観客もそれほど衝撃的な事
実を知ったわけではないと言える。では、この映画は一体誰に向けられているのか。
まず、政治に無関心で投票にいかない人たち、それから政治に関心はあっても情報が
極端に不足している人たちだ。前者は、日々の生活で精一杯の人たち、つまり貧しい
層に属する人たちである。しかし、実はその人たちこそが今のアメリカの政策の第一
の犠牲者であることをこの作品は指摘している。.

実際にイラクに派遣される志願兵たちは、決して旗を振っている議員の息子や娘たち
ではない、地方で職にあぶれた青少年たちだ。そして、後者の政治に関心はあっても
主要メディアのみからしか情報が与えられていない人たちとは、古き良きアメリカを
信じ、愛国心に燃える地方の標準的な家庭を指す。彼らにとって、ムーアの故郷であ
る田舎町フリントに住む典型的な保守派の主婦が映画の中で見せる変化ほど衝撃的な
ものはないはずだ。同じように若者に絶大な人気を誇るアイドル、ブリットニー・ス
ペアーズがブッシュを支持する発言をしていることが引用される。ここには、政治に
関係ないと思っている若者たちが、アイドルの発言を鵜呑みにすることで知らぬ間に
そこに巻き込まれていくことへの警鐘が示されている。

こうして『華氏911』が向かい合おうとした観客は、実はアメリカの大多数の有権者
を指すことになる。それは、もしムーアが真面目につつましく撮っていれば、都会の
独立シアターで公開されるレベルでとどまり決して届くことのなかった観客たち、言
い換えれば、そっとしておけば政府が誤魔化していることができた国民たちだ。だか
らこそ、メディアはその動向に注目し、各政党はその予期していなかった力を恐れる
のだ。折りしも大統領選の年である。本作がその行方に影響を与えるのは間違いない。

この作品は、誰に届けたいか、何を変えたいかということが非常に明確な作品だ。.
そして幸いにもムーアのエンターテイメント的なアプローチが現行の権力を批判する
ことを可能にし、政治に無関心な人をユーモアでひきつけ、話題になることで全米
チェーンの劇場で公開され、情報の不足する地方の人にも届くことを可能にしたのだ。
その結果、多くのドキュメンタリーが望むもののなかなか成し得ないこと、つまり問
題の提示に終わらず、実際に行動を起こすこと、一人の力が世界を変えられるかもし
れないという期待を我々にもたらしている。ドキュメンタリーが貪欲になること、そ
れは決して悪いことではないと思うのだ。


■東谷 麗奈(ひがしたに・れいな)
映画批評家・ビデオ作家。ニューヨーク大学大学院映画学研究科卒業。マンハッタン
のDowntown Community TVCenterでドキュメンタリービデオやテレビ番組の制作スタ
ッフとして数多くのプロジェクトに参加する傍ら、NYを拠点としたアートコラムペー
パー「云々」の編集長として映画批評活動を展開する。また、これまでにJapan 
Society Film Center New Yorkでの映画プログラムの企画や、古典及び新作日本映画
の北米配給やDVD発売に関わる通訳、翻訳も手がけている。目下、一年以上をかけ撮
影したドキュメンタリービデオの編集中。



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┃04┃□列島通信 ≪名古屋発≫
┃ ┃■テーマ上映会「実験映画再発見〜マヤ・デレン作品を中心に〜」を終えて
┃ ┃■ 越後谷 卓司
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7月2日(金)から4日(日)の3日間、「実験映画再発見〜マヤ・デレン作品を中心に〜」
と題する上映会を行った。この特集プログラムでは、第二次世界大戦後のアメリカで、
1950〜60年代当時、アンダーグラウンド映画と呼ばれた実験映画が、隆盛に向かう端
緒を開いたことで、“アメリカ実験映画の母”と呼ばれているマヤ・デレン(1917〜
61年)の、完成作全6作品を紹介した。

それに併せて、当愛知県文化情報センターが所蔵する映像作品より、ベルナール・エ
ベールとエディン・ヴェレツの作品をセレクトして上映し、シュルレアリスムと映画
であるとか、ダンスと映像の関係といった、彼女の作品が内包するテーマにも光を当
て、その実験が現代の映像作品に示唆を与え、影響を及ぼしていることにも言及する
ものだった。

マヤ・デレンについては、実はちょうど10年前に「ボディ&イメージ」と題する上映
会で、当センターでも取り上げていた。ただ、その当時、国内では『暴力についての
瞑想』(1948年)のプリントがなく、5作品しか上映できなかった。その後東京で、実
験映画の上映スペースとして重要な役割を果たしてきたイメージフォーラムが、四谷
から渋谷へ移転にともなってオープンしたミニシアター、シアター・イメージフォー
ラムで、2000年に「マヤ・デレン映画回顧展」を開催している。ここでは全6作品が
上映されていたので、機会があればいつか名古屋でも、とは常に考えていたことだっ
た。

今回、マヤ・デレンを再度紹介するにあたり、「実験映画再発見」というプログラム
・タイトルを付けたのには理由がある。1992年の開館以来、上映活動を続けていて、
当初、ブラザーズ・クエイの様な人気作家の存在や、80年代にブームを呼んだビデオ
・アートの余波などもあって、取り立てて観客に説明する必要なく通用してきた実験
映画という言葉が、90年代後半に入って若い観客にはだんだんと身近なものではなく
なっているのではないか、という感触があったからだ。

これは企画担当者として、現場で観客と接している人間の感覚的なものであり、デー
タ等によって裏付けられた実証的なものではないのだが、2000年に当センター・オリ
ジナル映像作品の、和田淳子監督『ボディドロップアスファルト』を初公開した際、
和田監督が実験映画の文脈から登場した作家であると紹介したところ、逆に観客から
「実験映画って、何ですか?」という質問を返された時に、この感蝕ははっきりした
形となった。

冷静に考えてみると、名古屋でも80年代には、まだ名古屋シネマテークでも時折、実
験映画が上映されていたし、また名古屋市美術館における実験映画、ビデオ・アート
上映プログラムも、90年代半ばまでは活発だった。愛知芸術文化センターでは、実験
映画をメインとする継続的な上映活動を行っており、一般に馴染みの薄いこのジャン
ルに観客が触れることで、映像表現の多様性と広範な可能性を知る契機となることを
意図している。しかし、実質的に当地域で実験映画を観る機会が、ここだけに限られ
るなら、愛好家はともかく、潜在的に関心を持つ層や、あるいは劇映画は観るけれど
も実験映画は知らないといった観客が、こうした表現に接する機会は確実に減っしま
っているわけだ。

その点でマヤ・デレンは、歴史的重要性のみならず、物語性を残存させている点で親
しみやすさがあり、またダンスなど他ジャンルとの関連性が持ち、広がりを持たせる
ことができる。チラシに用いた、代表作『午後の網目』(1943年)で、窓辺から両手を
広げて視線を投げる彼女のスチール写真の魅力もあったのだろう。実験映画への入門
として組んだこのプログラムは、多くの観客が来場する結果を得、企画者としての役
割を果たせたと安堵している。


■越後谷 卓司(えちごや・たかし)
愛知芸術文化センター・文化情報センター主任学芸員。今後の予定として、8月26日
(木)〜29日(日)に「石田尚志アニメーション・ワークショップ」を、また本文でも触
れたオリジナル映像作品最新作、槌橋雅博監督『動・響・光』のプレミエ上映を11月
26日(金)〜28日(日)に控えている。



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┃05┃□neoneo坐通信(5)
┃ ┃■華氏8.15〜それは日本人の態度が変わる温度?
┃ ┃■清水 浩之(neoneo坐プログラマーズ)
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「8月15日」といえば、日本人にとって特別な意味を持つ日「でした」。わざと過去
形で書いたのは、今年が60回目、来年で満60年を迎える「終戦記念日」も、今後は
その意味合いが変わってくるかも…と思うからです。

終戦を体験された方は全員60代以上。戦争の記憶はますます風化し、戦争体験のない
“又聞き”世代同士で議論することになる将来。「キネマ旬報」8月上旬号の黒木和
雄監督・土本典昭監督の対談(構成:藤原敏史氏)は『まさか自分たちが生きている
あいだに日本が戦争前夜になるとは思わなかった』という言葉で始まっていますが、
清水は30歳の誕生日に“徴兵制が復活しても年齢的に逃げ切れそうだ!!”と喜んだ
愚か者ですので、できれば未来永劫「戦後」であってほしいなーと願っております。

さて今回の上映は、戦争および「戦後」について、日本人の歴史観がどう変わったか
について、“又聞き”世代からのアプローチを試みた2本。その生真面目な制作姿勢
が好感を持たれること必至の『戦争が終わって僕らは生まれた』と、韓国では怒られ
マニラでは検閲からストップがかかったと噂される問題作『85』、一見両極端な組み
合わせに見えますが、清水はどちらも大好きです。ぜひ見較べてみてください。

●neoneo坐上映会 vol.5「華氏8.15―60回目の昼下がり」

ふと気がつけば今年は60回目…ということで、neoneo坐がお送りする8.15特集。
終戦記念日?敗戦記念日?占領記念日?解放記念日?
何が変わった?変わらなかった?そしてこれからは?
でっかい節目を迎えたニッポンの夏に打ち上げる、東西若手作家の直球VS魔球!

2004年8月15日(日)
14:00-15:20/program-1
『戦争が終わって僕らは生まれた』2001/video/79分
監督:荒木 真登+マティス・ニューバーガー
■カナダの語学留学先でドイツ人の友人から、日本の南京大虐殺に関する問いかけを
されたところから、二人の共同製作が始まった。現代東西の若者が日本、中国、ドイ
ツなどへの重い探求の旅から見えてきたものは…。真正面から戦争、侵略、歴史教育
などを問う。国民文化祭・やまがた2003ドキュメンタリー映画フェスティバル「日本
パノラマ」参加作品。

15:40-18:02/program-2
『85』2002/Video/142分(途中休憩あり)
監督・脚本:中国 正一 配給:イメージフォーラム
■九州をベースに活動する映画作家・中国正一の初の長編作品。「古事記」の登場人
物を現代に置き換え、日本人の源流を問う。古代と現代、ドキュメンタリーとフィク
ション等々、様々な境界を超越する刺激的な作品。バンクーバー国際映画祭、ロンド
ン映画祭、東京フィルメックス、全州(チョンジュ)国際映画祭ほか招待作品。
作品紹介サイト  http://www3.to/tofu1997 

18:30-「neoBAR」開店
19:00-トルコの民俗楽器「SAZ」ライブ(演奏:藤井良之氏)あり!

会場:スペースneo(30席) 千代田区神田小川町2-10-13 御茶ノ水ビルF
都営新宿線「小川町」駅・B5出口より徒歩分。JR「御茶ノ水」駅・聖橋口より
徒歩5分(地図は下記の「neoneo坐」HPをご覧下さい。)

料金:
作品1,200円/会員:800円(入会金2,000円で当日加入できます。1年間有効)
2作品:2,000円/会員:1,400円
「neo BAR」&「SAZ」ライブ:1,500円

主催・お問合せ先:清水 TEL 080-5468-3251 E-mail shimizu@ad-ult.co.jp 

「neoneo坐」HP:
 http://www014.upp.so-net.ne.jp/kato_takanobu/neoneoza/index.html 


●neoneo坐プログラマーズ・企画会議開催!
neoneo坐の9月以降のプログラムについて話し合いたいと思います。

★neoneo坐会員の皆様からの企画提案、大歓迎!
(当日ご都合のつかない方からのリクエストも受け付けます)
★「科特隊(科学映画特捜隊)のメンバーの皆様も、顔合わせができればしましょ
う!

日時:2004年8月12日(木)19時〜20時30分
集合場所:新宿駅東口・喫茶「ランザン」
新宿区新宿3-19-8/シアターTOPS向かい・ロッテリアのビルの3階
お茶代は各自の負担で!(笑)
連絡先:清水浩之 TEL:080-5468-3251
E-mail: hi4310.ad-ult@ezweb.ne.jp 



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┃06┃□広場
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■投稿:『Cuba/Okinawa サルサとチャンプルー』(8)
■キューバの現在地
■波多野 哲朗

●カメージョ(=ラクダ)から窺える大らかさ

前回、ハバナで私たちが遭遇した引ったくり事件について書いた文章を送ったら、編
集の伏屋博雄さんが「災難」という小見出しをつけてくれた。たしかに災難だった。
でも、このような場所に滞在することを敢えて選んだのは私たち自身であり、またそ
れを埋め合わせて余りある映像を手に入れたのだから文句は言えない。ここで誤解を
招かないよう急いで付け加えておきたいのは、キューバがけっして治安の悪い国では
ないということである。いやそれどころか、キューバは数ある中南米諸国のなかで、
最も治安のいい国の一つだと断言してもいい。

ハバナの街をカメージョ(=ラクダ)と呼ばれる大型の連結トレーラー・バスが走る。
4年前には煙突から黒い煙を吐いて疾走するその姿は、まるで軌道のない列車のよう
に見えたが、いまはいくぶん小綺麗になってバスらしくなった。それでも連結部分の
屋根はくぼんでいて、それがラクダのこぶの谷間のように見える。長距離大量輸送の
主役で、運賃が只みたいに安いので乗客はいつも超満員、そして停留所には長蛇の列。
しかし経済封鎖下の窮余の策として考案されたこの乗り物にラクダというニックネー
ムを与え、やがてそれを正式の名称として車体に書き込んでしまうところが、いかに
もキューバ人らしい。さすがに若い娘たちは超満員を嫌って、もっぱらヒッチハイク
を利用して通勤する。信号待ちをしている車に歩み寄って交渉し、見知らぬ人に乗せ
てもらうのだが、これによって凶悪犯罪が起きたという話はほとんど聞かない。ここ
では互助精神が健在なのだ。コソ泥はやっても強盗はやらない、喧嘩・口論はやって
も傷害事件は起こさない、これがハバナの街である。

●キューバという試金石

むろん街の人びとは、苦しい暮しやモノ不足についてあれこれ不満をぶちまける。
1991年のソ連崩壊以来、輸出の道を閉ざされて窮地に陥ったキューバは、外貨獲得の
ためにドルの所持と使用を自由化して、観光事業に力を入れはじめた。そのため国内
にドルとペソという2つの貨幣体系が混在し、さまざまな問題をひき起こしている。
ドルを持てる層と持てない層とが分離し、貧富の差や生活意識の差が拡大しつつある。
アメリカや日本のマスコミが批判し、盛んに揶揄するのはこの点である。キューバを
取材した2年前のNHKの番組は、敵国アメリカの通貨であるドルの獲得に血道をあげる
キューバ人の姿を描いていた。またことしの4月には、朝日新聞が『変わるキューバ
――革命から45年』というシリーズを連載していたが、その個々のタイトルは、「ナ
イキをはいた『独裁者』」あるいは「タクシー運転手が一番人気」…といったもので、
記事の中味を読まなくても、結論はおおよそ見当がつくようなものであった。

キューバをめぐる日本のマスコミが拠って立つ視点はどれもこれもほとんど同じで、
キューバという国もまた、10年前につぎつぎと破綻していった社会主義国同様、遅か
れ早かれ資本主義経済のグローバリズムに組み込まれるだろうという筋書きなのだ。
しかしマスコミが流布するこうした筋書きの影響力は絶大で、たとえばこの春に、私
がキューバに1ヶ月ほど出かけるとまわりの人たちに伝えたとき、何人かの人は、私
の関心事がカリブ海のサンゴ礁でもヘミングウエイでもなく、キューバという国その
ものだと知っていささか戸惑いながら、こう付け加える。「キューバですか…、だっ
てあの国は、まだ共産圏でしょ?」と。こうした言葉の背景に、「社会主義経済vs自
由主義経済」といった図式的思考があることは明白だが、それはともかく、気になる
は「まだ」という言葉に示される筋書きの一方通行的な流れへの期待である。

日本のマスコミも含め、ここでは異質のもの、異質のシステムが試行錯誤の調整を繰
り返しつつ共存し得る可能性など、これっぽちも信じられてはいないのだ。それは強
国によって強いられてきた共存・混合にほかならないが、そうした「不純さ」をこそ
唯一の糧として生きている国が存在することをかれらは夢想だにしないのである。貨
物運搬用トレーラーから見事に変身したあのラクダ・バスを見よ!と言いたい。

たしかに、アメリカの経済封鎖下に呻吟するキューバの現状を眺めるとき、この筋書
きが現実となる可能性は十分にあると思えてくる。アメリカの経済力は圧倒的に強大
で、ましてや武力で攻められればひとたまりもないのだから。.

しかしながら、もしそのような「グローバルな」一方通行的筋書きを安易に容認して
しまうとき、私たちは「ありうべきもう一つの主体的歴史」(註※)への眼差しを永
遠に喪うことになるだろう。その眼差しは、カリブ海に浮かぶかずかずの混合文化を
もつ国々、なかでもその中心的存在であるキューバに芽生えた眼差し、それは「グ
ローバリズム」を主導するアングロ・アメリカ主義的な視点を異化し、その「純血」
主義を相対化する眼差しである。例えば、19世紀末にキューバの独立運動を推進した
思想家で詩人のホセ・マルティは、「われわれのアメリカ」という言葉を好んで使っ
たが、彼の言う「アメリカ」とはアメリカ合衆国のことではなく、それをも含むはる
かに広大な汎アメリカ大陸の全体像を指していたのだった。そのように言うことで、
彼はアメリカ合衆国の覇権主義との間に一線を画し、それに従属することを拒否した
のであった。

キューバは1898年の米西戦争によってアメリカの支配下に置かれるまで、カリブ海に
残された最後のスペイン植民地であった。それだけに、植民者たるスペイン人と労働
力として連行されてきたアフリカ人の血が、もっともよく混合された。アングロ・サ
クソンが混血を忌避したのに対し、スペインの植民者たちが混血に寛大であり、むし
ろ混血を奨励したことはよく知られている。さらにサトウキビ単一栽培の巨大産業化
によって、インド系、中国系、中東系の労働者が流入して、それらの血も入り混じっ
た。そしてこの混血性を仕上げたのが、1959年のキューバ革命である。カストロ政権
が人種差別の完全撤廃を目指す政策を徹底してきたからである。

アメリカ合衆国もまた移民によって形成された国であり、人種的な多元性においては
他を引き離して際立っている。ただ、すでに述べたように、ここでは多種多様な要素
が混在してはいてもキューバのように混合はせず、アングロ・アメリカンを頂点とす
る差別構造を残したまま、各要素間の均衡のうえに成り立っている。その合衆国が、
中南米諸国に対してはこれまで幾度となく内政に干渉し、政権の転覆さえも企ててき
た。とくに中米とカリブ海の諸国は、汎アメリカ大陸の盟主たらんとする合衆国の
「中庭」とさえ見なされてきた。.

しかしこうした合衆国の覇権主義的地勢図にあって、キューバという国は、そこに打
ち込まれた異質の楔として、その空間的連続性を断ち切っているのである。合衆国に
とっては、政治的にも経済的にもまた武力的にもなんらの脅威でもない小国キューバ。
しかしつぎつぎと繰り出すその執拗極まりないイジメの包囲網は、たんなる大国のメ
ンツから出たものではなく、まさにみずからの「グローバリズム」によって歴史を動
かそうとする企図にとって、キューバという小国がはらむ「ありうべきもう一つの歴
史」の予兆が、かすかな恐怖を感じてさせるからにほかならない。(つづく)

※今福龍太著『ある「誤読」の二十世紀』より


■波多野 哲朗(はたの・てつろう)
映画研究家。研究でも実生活でも「crossing borders」が目標ないしテーマ。研究で
はこのところ20世紀芸術と映画との関係性(または無関係性)がテーマとなっている。
実生活ではもっぱら世界の辺境域を旅し、6年前にはオートバイでユーラシア大陸を
横断。


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●投稿コーナー「クチコミ200字評!」(17)
提案者:清水浩之(ゆふいん文化・記録映画祭/夏の湯布院映画祭もよろしく!)

「オススメの作品を200字以内の短評で紹介してください!」というコーナーです。
映画・ビデオ・テレビなど皆さんがノンフィクションだと思う作品だったらなんでも
OK!「知られざる傑作」を発掘したり、おなじみの名作の今までにない見方を指摘し
たり…もちろん「オススメしない映画とその理由!」も歓迎です。

200字以内の本文とは別に「あなたのお名前(ペンネーム可)/掲載確認のご連絡先
(メールアドレスor電話)/題名/制作年/監督/見た場所」を付記して清水まで
お送りください。(あなたのプロフィールや近況もご紹介いただけると有難いです)
清水浩之 → E-mail: shimizu@ad-ult.co.jp /ファクス:03-3703-0839


B-054 『送還日記』
2003年・韓国/監督:キム・ドンウォン
見た場所:土本典昭フィルモグラフィ展

ジェンキンス氏一家来日当日に見た、韓国の「非転向政治囚」達が北朝鮮に送還され
るまでの約10年の記録。獄中生活30〜45年、凄惨な拷問にも屈しなかった闘士達の、
拍子抜けするほど穏やかな表情。個性派俳優・浜村純似の“チョ先生”を捉えるキム
監督の息子のような視線には、こっちも涙ウルウル。主義や立場を越えて、年長の彼
らに敬意を持って接してきた「南」の隣人たちが再会を約束して見送る姿が、とても
清々しかったですよ。
(清水浩之/東京/36歳/親不孝)


B-055 『GREAT SOCIETY』
1967年・スタジオM2/監督:おおえまさのり+マーヴィン・フィッシュマン
見た場所:「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー 山形in東京2004」プレイベント

デーンと6台の映写機が客席を睥睨し会場に“お祭り性”が立ちのぼる中「せーの
っ」の掛け声で映写されるのは、6面で織りなすアメリカ“黄金の60年代”とその翳
り。ビデオなら苦もなく出来る画面分割も、こうやって映写機で敢行されると「どこ
かでズレるかも…」とスリル満点。前の晩にNHKスペシャル『タカラヅカ』を見たせ
いか、細かな画面点滅がピシッと決まった時は、この「フィルムのラインダンス」に
拍手喝采したくなりました。
(清水浩之/東京/36歳/やじうま)


B-056 『にっぽん'69 セックス猟奇地帯』
1969年・東映京都/構成:中島貞夫+竹中労 ナレーター:西村晃
見た場所:新文芸坐「遊撃の美学 映画監督・中島貞夫」
8/7(土)新文芸坐オールナイトにてアンコール上映!

この題名で新宿騒乱まで収めた昭和元禄やじうま映画。フーテン、ユニセックス、ボ
ディペイント、関西ヌード…と火曜日の『11PM』みたいな話題の合間に、ハプニング
アート集団「ゼロ次元」や便器の水を呑むインテリ・マゾヒストなどの“猟奇”が不
意討ちしてくる構成は油断も隙もありゃしません。特に「二重瞼の整形手術」シーン
は『アンダルシアの犬』級のインパクト…エロ・グロ・バカと三拍子揃ったゴッタ煮
モンド映画でお腹一杯!
(清水浩之/東京/36歳/ニュープリント上映というのも贅沢でした)


B-057 『アート・アイドル 声ちゃんの挑戦 変躰ランド』
2004年・ロフトシネマ+JVD/監督:福居ショウジン
ビデオ・DVD発売元:JVD  http://www.loft-prj.co.jp/cinema/ 

会田誠・根本敬・町野変丸・笠間しろう、四人の絵師がキャンバスにするのはアニメ
声の不思議お姉さん“声”ちゃんの体。「アート」の名の下にバカをやるという意味
では若き日のオノヨーコさんや赤瀬川原平さんもそうかな?と思いますが、ボディ・
ペインティングという作業にメッセージ性は特になく、『刺青』と並んで今年有数の
ずっこけアート・ドキュメンタリーです。でも外国ではウケそうだし、商品としては
成功でしょう!
(清水浩之/東京/36歳/日本映画ファンの方は監督名にも注目)


B-058 『PLANET/陸☆海☆空〜LOVE&PEACE』
2004年・ビデオプランニング/監督・撮影:岡留臣兵
DVD発売元:DESERT AIR  http://www.desertair.jp 

「世界平和を目指す自衛隊応援アーミー系アイドルユニット」参上!!りくちゃん・う
みちゃん・そらちゃん=陸・海・空の三人娘「PLANET」のミュージックビデオ+イメ
ージ映像。多国籍軍入りも果たしたし、派手な祝福(…喜び組?)でもあるかと思い
きや、制服→水着へのお着替えにツイスターゲームがだらだら続く哀しきC級アイド
ルテイスト。もっと確信犯だと小泉さんや石破さんも後方支援してくれる筈ですので、
次回健闘を祈ります!
(清水浩之/東京/36歳/『匍匐前進』という曲の歌詞はケッサクでした)


えー、PLANETさんは自衛官ではなく、あくまでも「自衛隊応援アイドル」ですので、
くれぐれもお間違えなきようお願いします。8月8日(日)は陸上自衛隊習志野駐屯地
夏祭りでライブがあるそうです…という話題の後に言うのもどうかなと思いますが、
いよいよ次号はアンケート企画『8月15日に見たい映画』の発表です!8月5日(木)の
〆切にまだ間に合います!ぜひご参加ください!!!


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●投稿「私的ドキュメンタリー」私見(学) 中村のり子(大学生)

さる7月25日、neoneo坐にて上映会『我が家の事情〜私が家族を撮る理由』が行われ
た。あまり華やかとはいえない企画であるにもかかわらず、上映前からお客さんは切
れ目なく来場していた。足を運んだきっかけを訪ねてみると「メルマガをとっている
ので…」という方が多くいる。アンテナをはっている映画ファンへと、(neoneo)の
存在が映画業界人にとどまらぬ広がりを見せていることを実感する。

当日の内容は『車は走らなくても、よかった。』(大木千恵子/2002)、『Father 
Complex』(佐俣由美/2002)、『レター』(藤田直美+津本真理/2002)、『ふつう
の家』(長谷川多実/2000)、『幸せ蝙蝠』(金丸裕美子/2001)の5作品であった。
どれも映画学校のコンクールや各地の映画祭で入賞をはたした中で「私的ドキュメン
タリー」「セルフドキュメンタリー」と呼ばれるものである。

企画者である佐藤寛朗さんは、批判の目立つ「私的ドキュメンタリー」を改めて一つ
の表現としてとらえ直したいという主旨を持たれていた。実際に立てつづけにして鑑
賞してみると、外社会とのつながりが絶たれていることを弱点とされる「家族モノ」
ではあるが、少なからぬ作り手が被写体にわざわざ家族を選ぶほどに家族でさえも分
かり合えなくなっている、話し合えなくなっているといった現象それ自身に現代の社
会が映し出されているともいえ、奇妙な感慨をおぼえた。

私の印象に残ったのは『ふつうの家族』だ。愉快な人物紹介や落ち着いたカメラワー
クから、見世物を作ろうという意識がうかがえる。居間ではとある話題をしないこと
に決める、とのゲームめいた提案も面白味のあるやりとりを導くに至っている。やは
り「私的」であっても、人に見てもらおうとする心意気は必要ではないだろうか。

今回の特徴をもう一つ挙げるならば、すべての作品を女性監督で揃えたということだ
ろう。DVカメラを得て、形式の上では制作に男女の差がなくなっている現在、男性も
また異性から「見られる」存在となる。客席からの声に、全体に父親が責められてい
るようだとあった通り、各監督は生理的なものがさせる手厳しさでもって父親を「見
ている」のである。従来の男性の発想によるカメラアイをくつがえす動きが生まれる
ことは、私も同じ映画っ娘としておおいに応援したい。

午後いっぱいを費やした全上映を通して、お客さんの盛況ぶりは変わることがなかっ
た。はじめて訪れる方から映画業界の方まで、また家族でいえば子ども世代から親世
代までの豊かな顔ぶれが、終映後のneo Bar では入り交じって楽しむことになった。
さきほどまで他人のそぶりであったオジサンが、お話してみたら自分の好きな映画の
スタッフだったなどということがこの交流会では本当にある。一方では会社員の方が、
学ばれた社会学の視点から「家族モノ」に注目していると話されていたのが印象的だ
った。彼も(neoneo)を読んでいるという。オンラインから上映スペースへとつなが
ってゆく力を感じさせられる。未見学の方、人気のない週末の神田へ紺色ののぼりを
目印に来てみて欲しい。次は8月15日だ。


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■告知

●アンケート募集!「8月15日に見たい映画」
提案者:清水浩之(neoneo坐プログラマーズ/ゆふいん文化・記録映画祭)

ふと気が付けば“60回目”の8月15日…ということで「今年の8月15日に見たい映画」
または「誰かに見せたい映画」について、皆さんのご意見をお聞かせください。
劇映画、ドキュメンタリー、アニメーション、古今東西を問わず!

おすすめの作品名とその理由(200字程度)をお寄せください。お名前もお忘れなく。
8月5日(木)を〆切とさせていただきます。
アンケートの結果は「neoneo」8月15日配信号にて発表の予定です。

宛先: shimizu@ad-ult.co.jp  FAX:03-3703-0839(清水浩之宛)

詳細はneoneo坐HP「COMING SOON」欄をご参照ください。
 http://www014.upp.so-net.ne.jp/kato_takanobu/neoneoza/index.html 

★関連情報!
新文芸坐で7/31(土)〜8/20(金)「映画を通して戦争を語り継ぐ」と題して特集上映
開催中!『上海』『戦ふ兵隊』から『美しい夏キリシマ』まで全27本!
 http://www.shin-bungeiza.com/ 


●新刊案内:

阿部嘉昭「68年の女を探して――私説・日本映画の60年代」
(論創社、(2,625円=税込))

「『日本映画が存在する』につづく、著者久々の映画本。現在さまざまに論じられて
いる「68年革命論」を視野に入れつつ、日本映画史に「68年の女」がどのように予感
的に現れ、どのように消滅していったかが、計11本の作品を通じスリリングに語られ
る。著者自身の、立教大学での昨年の講義草稿に基づいた構成。扱われる作品は、順
に増村保造『妻は告白する』、同『赤い天使』、石井輝男『徳川女刑罰史』、加藤泰
『緋牡丹博徒・花札勝負』、渡辺護『おんな地獄唄・尺八弁天』、大和屋竺『荒野の
ダッチワイフ』、大島渚『白昼の通り魔』、吉田喜重『エロス+虐殺』、黒木和雄
『とべない沈黙』――そして「68年の女」の消滅を論証する作品としては、大島『東
京戦争戦後秘話』、田中登『秘色情めす市場』が登場する。精緻な画面解析を施した
『妻は告白する』の章、現在のサブカルの姿を念頭に置きつつ女性の天使性=娼婦性
=倒錯性=機械性を暴いてゆく『赤い天使』の章、サイケデリックの本質に迫った
『徳川女刑罰史』の章、芸能者の下降性を当時の任侠映画に対置した『花札勝負』の
章など、アプローチは多彩に変化する。そうした伏線を打ちつつ、『荒野のダッチワ
イフ』や『エロス+虐殺』の章などで「女性的定位不能性」の分析が白熱に至る。著
者によれば、「68年の女」は当時の学生運動の闘争性と切り結んだ、従前の女性性か
らの跳躍として出現したほか、意味に収斂できない表層、結局はそこに「ジャンク
性」まで呼び込まれる閃光的なもの、ということになる。著者はこの点で現在の女性
性との連続性をみている。むろん映画史的には「68年の女」はスタジオシステムやス
ターシステムを亀裂させる「非女優」たちという側面もあった。ともあれ「女は見え
ない」というラカン的な女性性把握は、著者の以前の著作『AV原論』などと絡めて考
察される必要があるだろう。本書では最後、「風景」「底辺」によって「68年の女」
の高揚が冷却されていった70年代にたいし悲哀が吐露される。ここから58年生まれの
著者のメランコリックな同時代感覚が具体的に浮上してくる。


     ◇────────────────────────◆◇◆    


■上映

●毎週日曜深夜は、日本映画専門チャンネル“ドキュメンタリー傑作選”

CSスカパー!&スカパー!2と全国のケーブルTVでお楽しみいただける日本映画専門
チャンネルでは、岩波映画の映像作家からCCDビデオカメラ世代の新映像作家まで、
時代と人間の真実を描いた秀作を特集し、ドキュメンタリーの魅力を検証します。

<8月放送作品>
8月1日(日) よる11時30分
『海壁』(1959年・カラー)、TV初、監督:黒木和雄
8月8日(日) よる11時30分
『盲導犬クイールの一生』(2002年・カラー)、朗読:鈴木京香
8月15日(日) よる11時30分
『老人と海』(1990年・カラー)、監督:ジャン・ユンカーマン
8月22日(日) 深夜0時
『沖縄列島』(1969年・モノクロ)、監督:東陽一
8月29日(日) よる11時
『ユンボギの日記』(1965年・モノクロ)監督:大島渚

詳細は公式サイトからどうぞ!
 http://www.nihon-eiga.com/documentary 


●平和のための映画上映会 mass projection #1(横浜)
 『SHOAH(ショア)』(1985年、監督:クロード・ランズマン、570分)

日時:8月8日(日)0〜2時
場所:横浜市開港記念会館(JR根岸線関内駅下車徒歩10分、
みなとみらい線日本大通り駅下車徒歩2分)
 入場料:学生2000円、一般2300円(当日)
 主催:横浜学生上映集団 POPULAS
 URL: http://www.populas.com/ 


●TAMA映画フォーラム『8mmフィルム』上映会(東京)

現在でも8mmフィルムを使って旺盛な活動をし続けている8mm作家の方々を招き、その
特集上映と座談会を行います。みなさまのご来場、心よりお待ちしております。

▽日時:2004年8月14日(土) 14:00〜 (13:30開場)
▽会場:ベルブホール(多摩市立永山公民館5階)
【京王線新宿駅より急行で25分ほどです。近い!!】
▽題:「8mmフィルムいまむかし −古くて新しい映像メディア−」
▽上映作品: 
14:00〜 特別無料上映 「懐かしの8mmアニメ短編傑作集」
15:00〜 村上賢司監督 「原色バイバイ」
16:45〜 末岡一郎監督 「ファウンドフッテージ&自家現像作品集」 
17:45〜 山崎幹夫監督 「グータリプトラ」
18:50〜 上映作品の監督たちによるのほほんとした座談会

▽入場料: 当日券のみ 800円(一日通し券)
【14:00〜14:40の間は入場無料です】

詳細はTAMA CINEMA FORUMのホームページをご覧下さい。
 http://www.tamaeiga.org/ 



●映会タイトル:「真夏のキノ・キュッへ」(東京・国立)

案内:暑い真夏に熱い映画の特集をします。1日目はドキュメンタリー、2日目は個人
・実験映画の特集です。

8/14(土) ドキュメンタリー特集
●13:00 『ニッポン・戦争・私 2003』VIDEO、77分、2003
(ビデオ・アクトが企画した、多彩な映像作家による戦争をテーマにした3分間のオ
ムニバス。)参加作家:荒井純子、spiriton(加藤久美子、高部優子、齋藤みき)、
数田 悠、上村真勝、猪谷美夏、PIX、Situation、中原想吉、DESIGN FOR PEACE 町田
宗弘、正木俊行、自主映画製作団体「原爆組」監督・土居一公、片岡 稔(グッドプ
ランニング)、小谷英治、木村愛二、「アリラン峠を越えて」制作上映実行委員会、
KHproduct、ゴトウサチコ、清水浩之、光学姉妹 szk、湯本雅典、scum2000 (加藤義
勝)、イワサワタカシ+PANIC SMILE、小林アツシ、佐々木健&太田DOKO、土屋トカチ

●15:00 『母たち』8mm 120分 1987
(東アジア反日武装戦線のメンバーの母たちを追ったドキュメンタリー。オリジナル
の8mmバージョン久々の上映。)獄中監督:黒川芳正、獄外製作:佐々木健

●18:00 『テロリストは誰?』VIDEO 120分
(【内容】米国政府が第三世界に対して仕掛けてきた「数々の戦争と政権転覆の真
相」を描いた10本の映像によるオムニバス作品。アカデミー賞をとったドキュメンタ
リー映画『嘘まみれのパナマ戦争 Panama Deception』も収録。編集:フランク・ド
リル

8/15(日) 個人映像特集
●13:30 「Fresh Video RETINA France Program」(レティナ映画祭2003 フラン
スの新作)57分、キュレイタ−:ガブリエル・ス−シェ−
『歩行による静寂』(ピエ−ル・イヴ クロ−)を始め、14作品を上映
15:00 日本個人映像ビデオプログラム(約70分)
佐々木健『悪魔の果実』を始め、8作品を上映
17:00 日本個人映像フィルムプログラム(約85分 パフォーマンス準備時間含む)
山崎幹夫『セル、眠っちゃだめだ』を始め、11作品を上映

インスタレーション
一瀬晴美「一日のほんのひととき」(人形/絵)14.15に展示

料金:1プロ¥800、2プロエ1500、3プロ¥2000、8/14.15共通
場所:キノ・キュッヘ:東京都国立市西2-11-32、TEL042-577-5971
 http://www1.pbc.ne.jp/users/kino9/ 
問い合わせ:042-387-7035(片山)e-mail: yousou@bd5.so-net.ne.jp 
      042-577-5971(佐々木)e-mail: para_kino9@m2.pbc.ne.jp 


●夏のメイシネマ上映会

『ショア』(SHOAH)(監督:クロード・ランズマン、1985年、541分、ビデオ上映)

『ショア』は第二次世界大戦下、約600万人ものユダヤ人がナチスにより計画的に虐
殺された“絶滅作戦”を奇跡的に生き延びたユダヤ人、加害者の元ナチスメンバー、
目撃者たる収容所周辺の村人たちによる証言だけで構成した9時間におよぶ衝撃作。
戦慄の真実、世紀の傑作ドキュメンタリー。

8月15日(日)9時30分開場
(1)第1部 開映10:00am(147分)
(2)第2部 開映 1:00pm(114分)
(3)第3部 開映 3:20pm(140分)
(4)第4部 開映 6:10pm(140分)終映8:30pm

料金:1回券 800円、1日通し券 2700円
会場:小岩コミュニティホール:東京都江戸川区東小岩6-15-2(JR小岩下車)
(途中入場できます。会場に売店はありません。昼食はご持参ください。)

主催:メイシネマ上映会(03-3659-0179)



●映画美学校 ドキュメンタリー・コース(2004年9月開講)ガイダンス+上映会
8月30日(月)入場無料
18:00- 参考上映
『トココウノコト』 2001/監督:巣内尚子/第1期初等科修了作品/62分
『人形の話』 2002/監督:大谷友花/第2期初等科修了作品/28分
『靖国で会った人たち』 2003/監督:藤森久嗣/第3期初等科修了作品/23分
20:00- ガイダンス
出席:佐藤真(映画作家)筒井武文(映画作家)宮武嘉昭(撮影)=予定
21:00- 特別参考上映
『SELF AND OTHERS』 2000/佐藤真監督/映画美学校製作協力/53分
会場:映画美学校(銀座線京橋駅3番出口前・片倉ビル階)
お問合せ先:事務局 TEL:03-5205-3565  http://www.eigabigakkou.com/ 



┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃07┃■編集後記 伏屋 博雄(ふせや・ひろお)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●昨年、アテネフランセ文化センターで行われた「映画美学校講座」で、大津幸四郎
さんの講演があった。小川紳介と土本典昭という、いわばドキュメンタリー映画の源
流に位置する二人についての講演だった。カメラマンとして、大津さんは小川紳介と
4作品、土本典昭と6作品に苦楽を共にした方。つまり、両監督の現場での映画術や
編集方法、キャラクターを熟知し、内側から語る事ができる最適の方である。.

講演は予想に違わず刺激に満ちたものだった。以来私は、これをキチンとした形で記
録として残しておきたいと思っていた。土本さんの言葉である「記録なくして、事実
なし」の実行である。それだけに、大津さん始め、講演後の質疑応答の司会をされた
筒井武文氏、映画美学校の快諾を得て、今回掲載する運びになったことは、大きな喜
びである。講演の文字おこし作業には、佐藤寛朗、津本真理、金丸裕美子の三氏の協
力を得た。先の方々と共に心より深謝する次第である。こうして出来上がった原稿を
もとに、大津さんに加筆・校正を頼み、最終原稿は完成した。

連載は6〜7回になると予想されるが、土本・小川両監督がこれほど対極に位置する監
督であったのか、驚かれる読者もあれば、頷かれたり、あるいは、これをテコに更な
る批評精神を羽ばたかせる読者もいることであろう。いずれにしても、この講演から
私たちが得るものは大きい。ご愛読のほど、よろしくお願いします。

●「ワールドワイドNOW」の新たな執筆者として、≪ニューヨーク発≫の東谷麗奈さ
んが加わり、早速、登場して頂いた。ここで東谷さんは『華氏911』について、マイ
ケル・ムーアの映画的手法が意図した狙いに見事に合致したことが、全米で記録的な
動員をもたらし、政治的無関心層の深部にまで入り込み、ひいては、大統領選にも影
響を与えることを予測している。『華氏911』は「事件」として存在している。

わが国でも近く封切られるが、日本のメディアも興味津々で、つい最近でも、ある映
画雑誌がこの作品の特集を企画し、日本のドキュメンタリーについても調査しようと
して、私にも取材がきた。『華氏911』の「事件」は身近にも迫ってきている。60年
代後半に小川紳介の『三里塚の夏』を巡って、「カメラは武器となりうるか」をテー
マに論議されたことがあったが、『華氏911』は映画と社会と私たちの主体の在り様
に、より鋭い問題提起を突きつけている。

●本誌では、「8月15日に見たい映画」と題して、読者からアンケートを募集してい
ます。締め切りは8月5日まで。皆様のご協力を期待しています。詳しくは、「広場」
欄をご覧下さい。



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■責任編集 伏屋博雄
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