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マーケティング・インサイト

マーケティング・広告活動効率化の原理とノウハウを、実務 37年・研究30年の専門家が提供。 まず「効果的な広告計画の立て方」について、広告戦略、調査、表現、媒体選択、効果測定等の説明・提案を行います。

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効く広告活動のヒント-29  ポジショニング-1

2005/11/29

 
  効く広告活動のヒント-29  ポジショニング-1
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   と効果をあげるヒントを毎週お届けします。
   マーケティング・広告活動効率化の原理とノウハウを、実務37年・
   研究30年の専門家が提供します。

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  こんにちは、正田@正田MARCOMコンサルティングです。

   広告表現計画に当たって重要なことは、広告目的の確認と同時にその
 ブランドのポジショニング確認です。今回は「ポジショニング」につい
  て考えてみましょう。

  ポジショニングとは競争商品との”棲み分け“と思っています。強い
 競争相手と同じ土俵で戦うのではなく、すこしずらした、ときには反対
 の場所で存在感を主張することです。

  ポジショニングは、顧客の頭の中の商品地図におけるそのブランドの
 位置付けですから、強い競争相手とは、別の場所に空いたスペースを発
 見して、その位置での存在価値を確認することです。

  ご感想、ご意見をお待ちしております。tshoda@coral.ocn.ne.jp

 ****************************No.29*
 /////                        2005年11月29日
 /////  〜 マーケティング・インサイト 〜 
 /////   第2部 「 効く広告活動のヒント
 /////       −−目標による広告マネジメント入門 − 
 /////               発行:正田MARCOMコンサルティング
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 もくじ

 はじめに
 1 今回の事例: アサヒスーパードライ 
 2 ポジショニングとは
 3 ポジショニングの基準 
 4 まとめ 
             
 
 はじめに

 ☆ 広告コミュニケーションの目的は、ターゲットの心にその商品のイ
  メージを強く植えつけることです。

 ☆ ポジショニングとは、顧客の心の中にその商品を意味のある形で
  位置づけることです。

 ☆ ポジショニングとは、セグメンテーションと差別化の組み合わせ
  です。言い換えれば、ある商品のふさわしいセグメントと競争品
  よりも優れた・差別化されたベネフィットの明確化です。

 ☆ 広告主は、広告会社・広告制作者に対して、広告目的とポジショ
  ニングを明確に示すべきです。


 1 今回の事例: アサヒスーパードライ 
 
  マーケティング成功事例として、ハーバート・ビジネススクール
 のケースにもなったのがアサヒスーパードライです。

  アサヒビールは、1984年には年間出荷量で市場シェア9.9%と史上
 最低となりました。その翌年1985年、村井勉社長は、業績の悪化に
 直面して、根本的な経営革新を図るために、新しい企業理念(CI=
 Corporate Identity)を設定、その第一項が消費者志向であり、
 「消費者の求める商品を提供する」ことでした。

  「アサヒビールでは、それまでは製造部門のつくったものを営業部
 門は黙って売るだけであった」そうです。しかし、この消費者志向CI
 に則り、1985年に5000人の消費者嗜好調査を行い、消費者の好みが
 「口に含んだ時の味わいと喉越しの快さ」であることを発見しました。

  これが、後に「コクとキレ」となりました。それまでは、「重くて、
 苦い」のが本格派のビールとされ、トップブランドのビールはこの傾
 向でした。酒飲みの中年向きのビールが本格派と思われていたのです。

  アサヒがスーパードライを発売したときに、競争メーカーのある方は
 「あんな軽いビールは、売れないだろう」と酷評していました。

  しかし、当時(1984-85年)は酎ハイブームの直後であり、飲み口
 の軽い酎ハイになれた若年層は、軽くて苦くないスーパードライの方
 が飲みやすく、急速に普及しました。

  広告表現は「飲むほどにDRY、辛口、生」。スーパードライでは、
 いわゆる大物タレントではなく、現役で活躍するビジネスマンやスポ
 ーツマンを継続使用し、タレントで売るのではなく、商品を主役にし
 た広告表現を一貫して続けています。

  テレビ広告も大量に出稿しました。スーパードライ向けだけの金額
 ではありませんが、アサヒビール社の広告宣伝費は、1985年には79
 億円でしたが、スーパードライを発売した1987年度には189億円へと
 倍増しています。

  アサヒビール社は、その後も一貫した表現コンセプトを守り、大
 量の広告出稿続け、適切な流通施策、店頭販促とあいまって、1998
 年にはついにビールのトップメーカーになりました。

 ☆ スーパードライの成功要因は、広告だけではなく他のマーケティ
  ング・ミックスとの相乗効果です。

 1)トップの交代→企業体質の革新: CIの導入、消費者志向の実践
 2)大規模5000人の消費者嗜好調査: 消費者の好む味の発見
 3)画期的新製品:飲みやすい、新しいポジショニングの新製品導入
 4)卓越した広告活動: a 継続的広告展開と一貫したトーン&マナー
             b 競争他社を上廻る広告量の投入
 5)積極的チャネル拡大:当時台頭してきた新しいチャネルへの参入

 ☆ キリンビールの「お酒の好きな中年向けの、重くて、苦いビール」
  というポジショニングに対して、アサヒスーパードライは「軽くて 
  あまり苦くない」というポジショニングを採用して成功したのです。

 ☆ この事例を紹介したのは、強い競争相手と戦うときは、別のポジ
  ショニングで統合的マーケティング活動を展開することの必要性を
  理解して頂きたいからです。


 1 ポジショニングとは

  広告目的について前回まで5回にわたって説明してきました。広告
 計画としてターゲットにどのような知覚変化を起こすかという広告目的
 と同時に、商品・サービスの「ポジショニング」を明確にする必要があ
 ります。

  広告主は、広告制作者に対して、ターゲット、広告目的そして商品・
 ブランドのポジショニングを指示しなければなりません。
 
  ポジショニングとは、「見込客の心の中に、その商品を位置づけ
 る」(ライズ等)と定義されています。

  ポジショニングの例として、コトラーは「ボルボは最も安全な車、
 BMWは究極のドライビングマシン」をあげています。さらに「最も効
 果的なポジショニングは、独特で容易に真似のできないポジショニン
 グを築くこと」だと述べています。

  ライズ等は、「マーケティングとは、商品の戦いでなく、知覚の戦
 いである」といい、「商品について、どのように消費者が知覚してい
 るかが重要だ」と主張します。
  
  たとえば、コーラについて、クラシックコーラは、味のブラインド・
 テストでは、第3位であったが、イメージ調査ではトップであった」
 とのことです。

  冒頭の事例でいえば、アサヒは「スーパードライ」を飲みやすくて、
 「軽くて あまり苦くない」ビールというポジショニングに成功した
 のです。

 ☆ ポジショニングとは、顧客の心の中にその商品を意味のある形で
  位置づけることです。

 ☆ ポジショニングとは、セグメンテーションと差別化の組み合わせ
  です。言い換えれば、ある商品のふさわしいセグメントで競争品よ
  りも優れた(差別化された)ベネフィットの明確化です。

 ☆ 商品・サービスの広告計画に当たっては、その商品を「顧客の心
  にどのように位置づけたいのか」を明確にして、広告作品制作を依
  頼するのです。

 
 2 ポジショニングの基準

  それでは、ポジショニングの基準(軸)は、具体的にはどのような
 ものでしょうか。

  ポジショニングは、多くの競争ブランドの中で、自社のブランドを
 強く知覚させることです。ブランドのイメージを顧客の心の中に明確
 に植えつけることです。

  ポジショニングの基準についてロシター等は次のように説明してい
 ます。

 1) その商品にふさわしいターゲットは誰か
 2) どのようなカテゴリーに属し、トップか挑戦者か
 3) ターゲットにとってのベネフィットは何か

  上記のほかに、使用場面、状況なども必要に応じて明確にすることが
 商品によっては必要です。
 
  次のようなボルボのポジショニング・ステートメントの例があります。
  
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  表29-1 ボルボのポジショニング・ステートメント

 1. ポジショニング
  1)高収入で他のブランドに好意的なスイッチャーにとって、
  2)ボルボは、高プレステージ車の中でも差別化されたブランドで、
  3)安全性、パーフォーマンス、プレステージ(社会的承認)という
   ベネフィットを提供する。

 2 ボルボの広告は:
  a) ベネフィットへ焦点をあて、安全性、パーフォーマンスを強調す
   べきである。
  b) プレステージ・カテゴリーに参入するため、プレステージの高さ
   に言及しなければならない。
  c) いままでのファミリーカー訴求は控えめにする。

 出所:Rossiter & Percy『ブランド・コミュニケーションの理論と実際』
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  日本でも、ハイチオールCの事例があります。1997年まで、ハイチオ
 ールCは、「中年男性の二日酔い」の改善薬とポジショニングされてい
 ました。しかし、この薬は肝臓薬で、女性のしみ・そばかす対策にも良
 い事から、1998年にポジショニングを変更し、包装、価格、広告を変え、
 売り上げを約2倍に伸ばしました。参照:『1からのマーケティング』

 ☆ 皆さんの担当商品のポジショニングは明確になっていますか。広告
  関係者に徹底していますか。 

 ☆ 現在のポジショニングを確認し、成長性がなければ、他のポジショ
  ニングへの移行を検討することを勧めます。


 4 まとめ

 ☆ 広告コミュニケーションの目的は、ターゲットの心にその商品のイ
  メージを強く植えつけることです。

 ☆ ポジショニングとは、顧客の心の中にその商品を意味のある形で位
  置づけることです。

 ☆ ポジショニングとは、セグメンテーションと差別化の組み合わせで
  す。すなわち、その商品にふさわしいセグメントと競争品よりも優れ
  た・差別化されたベネフィットの明確化です。

 ☆ 広告主は、広告会社・広告制作者に対して、広告目的とポジショニ
  ングを明確に示すべきです。

 ☆ なお、マーケティングの成功は広告活動だけではできないので、強
  い競争相手と戦うときは、別のポジショニングでそのポジショニング
  に適合した統合的マーケティング活動を展開することです。

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 参考文献
 1 藤沢麻弥子(2002)『アサヒビール大逆転』文春文庫
 2 八巻敏雄(1993)『実践的広告戦略のすべて』PHP研究所             
  3 アサヒビールホームページ、「開発ストーリー」
  http://www.asahibeer.co.jp/superdry/html/develop/01/index.html
 4 安田輝男『あの広告はすごかった』中経出版
 5 アサヒビール社史資料室編(1990)『Asahi 1000』 
 6 アサヒビール株式会社『有価証券報告書』
 7 Ries, Al and J. Trout(1982), “Positioning: The Battle for Your
         Mind", Warner Books.
 8 Kotler, Philip(2003), “Marketing Insight: From A to Z”、恩
       蔵直人監訳、大川修二訳『コトラーのマーケティング・コンセ
       プト』東洋経済
 9 アル・ライズ&ジャック・トラウト、新井喜美夫訳(1994)『マーケ
    ティング22の法則』 東急エージェンシー
 10 Rossiter, John R. & Larry Percy(1997) , Advertising Communi-
        cation & Promotion Management, 2nd ed. 邦訳 青木幸弘、
     岸志津江、亀井昭宏 監訳 (2000)『ブランド・コミュニケー
     ションの理論と実際』東急エージェンシー  
 11 石井順蔵他(2003)『1からのマーケティング』碩学舎

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 _/  あとがき
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 _/ ☆ 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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 _/  ☆ 皆さんのご意見、ご感想など、お待ちしております。
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 _/  ☆ お陰さまで第28号は、合計で2365通発送いたしました。
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 _/    次号は 11月29日発行の予定です
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