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[GEN 782] 宮崎口蹄疫騒動を検証する【第29回】

2011/01/20

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     世界の環境ホットニュース[GEN] 782号 11年1月20日
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         宮崎口蹄疫騒動を検証する(第29回)

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 宮崎口蹄疫騒動を検証する                原田 和明

第29回 宮崎県畜産課と家畜保健衛生所に疑惑あり

昨年10月19日、農林水産省の口蹄疫対策検証委員会と宮崎県の検証委員会との
初めての合同会議が開催されました。その席上、県側は6例目の水牛農家を初
発とするこれまでの国の見解に対し、「疫学調査が不十分で、初発は特定でき
ないのではないか?」と指摘しましたが、国(農水省)は県の検証委の見解を
一蹴しました。この対立の背景に何があったのでしょうか?

合同会議の内容を伝えた記事を紹介します。(以下引用)

(2010年10月20日 読売新聞)
 国と県の検証委意見交換  口蹄疫 7例目が最初の感染例情報も

 口蹄疫(こうていえき)問題で、国と県の口蹄疫対策検証委員会は19日、東京
 の農林水産省で初めて意見交換を行った。県側は、これまでの発表で7例目
 とされていた川南町の大規模牛農場が最初の感染例の可能性があるとの情報
 を示した。

 意見交換後に会見した国の検証委の山根義久座長などによると、県側は、家
 畜防疫員が4月24日にこの農場に検査に入った際、すでにかなりの牛に感染
 が広がり、治癒した痕跡があったと説明。県が畜産農家などを対象に9月に
 実施したアンケート調査では、この農場が1例目とみる意見が多かったとい
 う。

 農水省と県は当初、4月20日に感染を確認した都農町の牛農家を1例目と発
 表。しかし、国の疫学調査チームは、6例目とされた都農町の水牛農家が最
 初の感染で、時期は3月中旬としている。

(毎日新聞 2010年10月20日)
(前略)初の合同会議では初発事例を巡り国と県の認識のずれを示す場面もあ
 った。会議は非公開。終了後に会見した国の検証委座長の山根義久・日本獣
 医師会会長は、県との意見交換で新たに分かったことを問われ「どこが初発
 かについては県から厳しい意見が出た」と切り出した。

 国の疫学調査は初発を3月下旬、6例目の都農町の水牛農家と推定している。
 山根座長は「我々には水牛が初発という意見しかないが、それよりも前にか
 なり静かに進行していたのでは」と続け、委託オーナー制で全国展開する7
 例目の牧場を示唆。その根拠について「査察に入ると既に治癒したものが多
 かったと言っていた」などと会議でのやりとりの一部を紹介した。

 一方、会議に出席した庁内調査チームの永山英也・総合政策課長は取材に
 「県側は初発が7例目とは断定していない」としたうえで、「アンケートの
 結果、地域には6例目と断定することに疑問の声もある。早く通報しただけ
 で初発になる可能性があり、きちんとルートを調べるべきだと求めた」と話
 した。【石田宗久】  (引用終わり)

マスコミ報道では、国の検証委が「6例目の水牛農家が初発」と断定している
のに対し、県の検証委は「7例目の方が早いのではないか」と主張して意見が
対立したような印象を受けます。しかし、永山課長が言っているように、県の
検証委は「水牛農家が初発と断定できる根拠は乏しいのではないか?」と主張
しただけのようです。読売と毎日では、意見が対立したことはわかりますが、
これからどうするのかがわかりません。これからは双方からの広い視点で感染
ルートの解明が進むのかなあと思ったら大間違いでした。西日本新聞朝刊
(2010/10/20付)は、農水省に宮崎県の意見を聞く気がまったくないことを伝
えています。(以下引用)

 県側は周辺農家への聞き取り調査などを基に、別の大規模経営農場(※筆者
 注 7例目)で初感染が起きたと推測。4月下旬に県の家畜防疫員がこの農
 場を検査した際、牛舎2カ所の大半の牛に口蹄疫治癒後に見られる痕跡があ
 ったとして、調査を続ける意向を国側に伝えたという。

 会議後、同省幹部は「ウイルスに対する抗体から感染時期をさかのぼると、
 水牛が初例であることは間違いない」と断言し、県側の主張を退けた。国の
 検証委員会は11月中旬に最終報告を取りまとめる予定。(引用終わり)

農水省は「もう結論は出ている。議論の余地なし」という態度です。県の検証
委はそれに反発してか独自に調査を続けるということですから、物別れに終わ
ったということのようです。全国紙はそんな結論であることには一切触れてい
ません。しかし、農水省幹部は「水牛が初例であることは間違いない」と断言
していますが、元同僚からも今回のデータからでは初発の特定は無理だと指摘
されていました。(毎日新聞2010年8月8日より以下引用)

 動衛研勤務経験のある白井淳資・東京農工大教授(獣医伝染病学)の話 
 「疫学調査チームは、なぜ初発を水牛農家と発表できたのか不思議だ。あく
 までも得られた検体のみを分析し、判断した結果にすぎない。」(引用終わ
 り)

今回、疫学調査がデタラメで、疫学調査目的での立入調査は6例目の水牛農家
だけでした。(このこと自体とても不自然)それ以外はすべて自発的に通報が
あった農家から検体を採取しただけですから、1例目よりも先に発症していた
かどうかを確認できる検体は6例目の水牛農家以外にはないのです。ですから、
「6例目の水牛農家より先に発症した農場はない」ではなく、「水牛農家以前
の感染を確認できるようなデータがまったくない」だけなのです。

「我々には水牛が初発という意見しかない」だの「水牛が初例であることは間
違いない」だの言える根拠は乏しいように見受けられます。その証拠に「我々
には水牛が初発という意見しかない」と言った山根義久日本獣医師会会長(国
の検証委の座長)自身が「初発農家への指摘など、慎重に議論すべき課題も浮
き彫りになった。」(2010.10.20宮崎日日新聞)と告白しています。

確かに、測定した範囲では水牛農家が一番古い『陽性判定』ではありますから、
OIE に対する速報では「初発は水牛農家」となっても仕方なかった面はありま
す。しかし、それ以前に感染した家畜がいたかどうかの疫学調査がまったくさ
れていないのですから、最終報告書の結論は「6例目の水牛農家が感染確認さ
れた中ではもっとも古いが、(疫学調査に不備があって)初発とは断定できな
い」であるべきでしょう。水牛農家へのウイルスの侵入経路も特定できていな
いのですから、最終報告書が(無理やりにでも)すべてを明らかにしなければ
ならないわけでもないのでしょう。それでも農水省幹部が「初発は水牛農家」
に拘るのはなぜでしょうか?

農水省が「初発は6例目の水牛農家」に拘るのは、他ならぬ宮崎県が農水省に
そう報告しているからだという驚くべき意見があります。初発と名指しされた
当の「6例目の水牛農家」のブログ「Caseificio・Ciro esposito」には 次の
記載があります。(以下引用)

(2010年9月7日のブログ)家畜保健衛生所の若い職員はどう思っているのだろ
 う? 課長クラスは分かりましたが、一度若い職員さんに会ってみたいです。
 とにかく、県から国への当牧場の報告内容を【公表用】という内容で見まし
 たが、【ここ(※水牛農家)から感染が始まり川南に広がっていきました】
 と思いたくなる内容です。

(2010年10月20日のブログ)県と国の検証委員会が合同の会議
 宮崎日々新聞や各紙がその内容を記事にしています。
 朝日新聞は【初感染は別農場】 <宮崎県側が国に異論>
 国の疫学チームや農水省は面食らったはずです。

 『えっ、、だって宮崎県からの報告を元にしてるんだけど、、、』と、、、
 実は 水牛が初発だ と言っているのは【宮崎県の 家畜保健所と 畜産課なの
 です。】実際に報告内容も【初発で感染拡大させた農場である】と思わせる
 内容です。なにかあるでしょう?あなた達、、、(引用終わり)

「あなた達」とは、宮崎県の家畜保健所と畜産課のことです。宮崎県の検証委
や地元農家が「根拠が不明確で水牛が初発とは断定できないのではないか?」
と言っているのに、身内?のはずの宮崎県の家畜保健所と畜産課が「水牛が初
発」だと主張して、農水省がそれを鵜呑みしているというヘンな構図だという
のです。疫学調査のデータ不足を、宮崎県の家畜保健所と畜産課が「水牛が初
発」と想像してしまいそうな報告で埋め合わせをしているということのようで
す。

農水省に都合のよいことを追認してきただけの国の検証委は、宮崎県の検証委
の指摘に抗し切れず、山根座長も「慎重に議論すべき課題も浮き彫りになった」
と認めざるをえなかったと考えられます。では、宮崎県の家畜保健所と畜産課
が提出した報告書の内容をみてみましょう。(「Caseificio・Ciro esposito」
9月7日と翌8日付の記事より以下引用。)

(9月7日のブログ)
 【3月20日に死亡した2頭を処理業者にトラックで運んだ】と(※家畜保健
 所と畜産課は)報告していますが、【死亡した、、、、って】 怪しさ極ま
 りない、、、、そんな書き方したら、、、

 【水牛】は牛ではないので【と殺場】は受け入れてくれませんでした。国と
 県と長く交渉をしましたがどうしてもダメだと、、、「薬殺して産廃処理し
 かありません」言われました。生まれたオスは種牛として残す以外はなんと
 か飼い続けていましたがいよいよ【えさ代】の負担も大きくなり、2009年の
 12月に9頭のオスを【薬殺】。産廃業者を自ら選び運びました。

 2010年の3月20日にも2頭のメスを【薬殺】をして運びました。この2頭は
 妊娠障害で2009年の8月に【とんぼ】といわれるホルモン治療をして【これ
 でダメなら薬殺しましょう】と言われていました。

 なぜ3月20日というと、その産廃業者の場所を知っている従業員が3月20日
 で退職するので【最後の仕事として申し訳ないがお願いしました。】県もそ
 の流れを知らないはずはありません。(引用終わり)

「3月20日に死亡した2頭」の記事がなぜ重要かというと、従来、この水牛農
家が家畜の異常(2頭に発熱・乳量低下)を獣医師に伝えた最初が3月26日だっ
たことになっているからです。それより前の「3月20日」に既に死亡した家畜
がいて、しかもこの水牛農家はそのことを公表していなかったとなると、水牛
農家には「何か都合の悪いことを隠していたのではないか?」という疑惑が生
まれ、俄然「怪しさ」を増してくるという効果があります。当の水牛農家の方
も「家畜保健所に嵌められた」という実感をもっているようです。
(「Caseificio・Ciro esposito」より以下引用)

(9月8日のブログ)「なぜ陥れるような報告をするのか?」
 4月の22日に検体を東京に送った理由として、【疫学関連農場として立入し
 たら3月31日の報告と異なる内容を牧場主が言いだした】として東京の検査
 機関に送ったら口蹄疫の陽性でしたとなっています。

 『すごいな、、、、』 親のような立場である県が、、、泣けてきます。
 要は牧場主が【うそをついていた】と言っているようなものです。(引用終
 わり)

宮崎県家畜保健所は、この水牛農家の検体を4月22日(4月20日に1例目の発表)
に初めて 東京の動物衛生 研究所へ送ったわけですが、その前にも2度(3月
31日、4月14日)水牛農家の 求めに応じて検体を採取しています。水牛農家は
隠し立てどころか、むしろ積極的に検査を要求していました。従ってもし、水
牛農家が初発だったとしたら、宮崎県家畜保健所はなぜ2度の診察でも見落と
してしまったのか? なぜ2度とも東京に検体を送らなかったのか? 宮崎県
家畜保健所の見落としが感染爆発の一因ではないか? という嫌疑がかかって
いました。「牧場主がうそをついていた」という報告内容は、家畜保健所の嫌
疑を水牛農家のせいにしてしまう起死回生の爆弾発言になるわけです。

ところが、水牛農家の方は「3月31日と4月14日に私は家畜保健所から【東京
へ送る】と言われています。これは従業員がつけていた日記に記されています」
(「Caseificio・Ciro esposito」9月8日)と反論しています。家畜 保健所は
検体を東京に送るといって送らなかった、うそを言っているのは家畜保健所の
方だというわけです。

東京で分析していないのに、家畜保健所は水牛農家の担当獣医師(池亀氏)に
結果を聞かれ、「異常はなかった」と答えています。(高山文彦「宮崎口蹄疫
禍現地ルポ」文藝春秋2010 年8月号)東京で分析されたと思い込んでいる水牛
農家はこれを「ウイルスは検出されなかった」と理解したようです。さらに、
4月14日に水牛農家が「近くで家畜保健所へ通報している牧場などあるのです
か?」と家畜保健所に質問した際も、家畜保健所は「ありません」と答えたそ
うです。(「Caseificio・Ciro esposito」9月8日)

水牛農家の証言を信用すれば、家畜保健所が1例目の農家の異常や、東京に検
体を送らなかったことを秘密にしていた理由がわかりません。しかし、この会
話は水牛農家と家畜保健所の間のことですから、事実がどうであったかは確認
できません。

ここまでは、水牛農家と家畜保健所との見解が真っ向から対立していることが
わかりますが、どちらの言い分が正しいのかは判定できません。ところが、1
例目の農家での異常発見の経緯と照らし合わせると、家畜保健所に疑惑がある
と考えざるをえません。というのは、1例目の農場が家畜の異常を家畜保健所
へ通報したのが4月9日でした。1例目の農家と6例目の水牛農家との距離は
わずかに600メートルですから、類似の症状が 近くの農場で立て続けに起きた
ことを家畜保健所が把握したのは間違いありません。その場合、4月14日の検
体を東京(動物 衛生研究所)へ送るのは家畜 保健所の責務です。水牛農家が
うそをつこうがつくまいが関係ありません。

ところで、この家畜保健所の意図的?サボタージュを容認したのは、なぜか動
物衛生研究所の幹部で、口蹄疫疫学調査チーム長の津田知幸です。(「2010.
12.8 衆院 農林水産委員会」議事録より以下引用)

 津田知幸参考人「今回も、一例目を診察された獣医師の方は、いつもと違う
 ということで届けられているわけでございます。やはり、そういった獣医師
 の炯眼といいますか、これが一番早期発見につながるわけでございまして、
 その次がやはり家畜保健所の方々でございます。
 家畜保健所は、材料を送るのをためらったというような報道もされておりま
 すけれども、現実には、口蹄疫ということで動き始めますと、当然出荷もと
 めなければいけない、市場も閉鎖しなければいけないという、やはり周りに
 対する影響が非常に大きくなってくるんです。」(引用終わり)

なぜ津田は感染爆発の原因だったかもしれない「検査へのためらい(発見の遅
れ)」を弁護するような証言をしたのでしょうか? 本来なら、津田は厳しく
宮崎県家畜保健所の怠慢を糾弾しなければならないはずです。獣医師の洞察力、
危機意識を台無しにして、結果として30万頭近い家畜を失うことになったので
すから。

ところで、津田は気付いていないのかもしれませんが、「ためらい」があった
ことを認めるということは、家畜保健所は最初から口蹄疫を疑っていたことを
認めることでもあります。それは、「水牛農家のうそを見抜けずに検体を送る
タイミングを逸してしまった」という家畜保健所の報告は悪意のある言い逃れ
にすぎないことを、農水省の疫学調査チームのチーム長である津田が認めたこ
とを意味します。

家畜保健所の報告書には言い逃れなどの虚偽報告が含まれていて、そのことを
農水省疫学調査チームも把握している。しかし、なぜか動物衛生研究所の幹部
がそれを弁護し、農水省の幹部は、初発を特定できるデータはないことを知り
つつ、「水牛(6例目)が初発」と断定している。ということは、彼らは「一
蓮托生」だと考えられます。

つまり、家畜保健所の報告を信用して、農水省幹部が「水牛が初例であること
は間違いない」と言っているのではなく、「水牛が初例」とのシナリオに沿っ
て、農水省、動物衛生研究所と宮崎県畜産課、家畜保健所が口裏を合わせてい
る(疫学データの不足分を宮崎県畜産課、家畜保健所の虚偽報告で補っている)
と考えられます。

すると、俄然、気になってくるのが、第12回で 紹介した 東国原知事のブログ
「そのまんま日記」(2010.7.15)の一節です。(以下引用)

 「県の戦略会議の情報が方々にダダ漏れである。一体どういうことか? 先
 頭に立って闘っていると、後ろから石を投げられたりもする。一体誰を信じ
 て良いのか? こんな状況ではまともに闘えない。」(引用終わり)

もともと、宮崎県家畜保健所には、既に完治していた6例目の水牛農家を訪問
する際、「疫学調査」を 口実にして おきながら、その他の農家にはまったく
「疫学調査」には行っていないという不審な行動が見られました。このように、
宮崎県家畜保健所と畜産課は農水省の手先(スパイ)であり、共同で宮崎口蹄
疫騒動を演出した疑いが出てきました。

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