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[GEN 769] 宮崎口蹄疫騒動を検証する【第16回】

発行日:8/13

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     世界の環境ホットニュース[GEN] 769号 10年8月13日
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         宮崎口蹄疫騒動を検証する(第16回)

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 宮崎口蹄疫騒動を検証する                原田 和明

第16回 農水省疫学調査チームに不信感

農林水産省の疫学調査チームの「中間概要」に対して、現場の農家からも疑問
の声があがっていました。毎日新聞(2010年8月8日)より以下引用。

 現場発:口蹄疫調査に農家不信 感染経路不明 なぜ「初発」特定
 
 宮崎県で牛や豚などの家畜約29万頭を殺処分に追い込んだ家畜伝染病・口蹄
 疫(こうていえき)は、県が27日に終息宣言する見通しだが、感染ルートの
 解明には至っていない。感染の経緯を調べる農林水産省の疫学調査チームは
 7月23日、第4回の検討会で初発事例を具体的に示しながらも「ウイルス侵入
 経路の特定は困難」とした。初発とされた農家らは「まともに当事者の話を
 聞かずに結論を出してほしくない」と戸惑い、不信感を募らせている。【石
 田宗久】

 初発とされた都農町の竹島英俊さん(37)はイタリアでチーズ作りを学び、
 3年前、移住した。水牛約40頭を飼い、未明に 搾った乳を東京のレストラン
 に届ける日々は、口蹄疫で絶たれた。

 3月末、元気のない水牛を かかりつけ獣医師は風邪と疑った。獣医師が保管
 していた検体で4月23日、6例目と確認。疫学チームは「ウイルス侵入は最も
 早い3月中旬と推察される」とした。

 口蹄疫は今年に入り韓国や台湾で流行していた。竹島さんは調査で、渡航歴
 などを質問されたが、「パスポート提示さえ求められなかった。こんな調査
 じゃ納得できない」と怒る。一日のほとんどを農場内で過ごし、観光客も原
 則として受け入れていない。「なぜ感染したのか。殺された動物のためにも
 徹底的に調べてほしい」と強く求める。

 「水牛から人を介して広がったのなら、まず発症するのはうちのはず。なぜ
 何も話を聞きに来ない?」4月23日に5例目と確認された川南町の森木清美さ
 ん(61)は首をかしげる。竹島さんの農場を手伝う親族が連日、お茶を飲む
 ため家に立ち寄っていたからだ。牛75頭の中に発熱を確認したのは22日朝。
 「ウイルスがどこから来たのか。はっきりしなければ怖くて経営再開できな
 い」

 疫学チームは、3月下旬にウイルスが侵入したと みられる農場に1、7例目を
 挙げた。4月20日に確認された1例目の黒木保行さん(59)方は竹島さんの農
 場から約500メートル。黒木さんは月2回、竹島さん方に都農町の広報誌を届
 けていた。

 黒木さん方から約3キロ離れた2〜5例目と7例目の農場は百〜数百メートル内
 にある。7例目は全国に和牛牧場を展開する畜産会社の農場で、約700頭を飼
 育。4月24日に症状を確認し 通報したが、地元旬刊紙が「感染を隠ぺい」と
 報じ、会社側は 名誉棄損で提訴した。代理人は「4月18日に風邪を疑い投薬
 し、19日に治った。専属獣医師の判断で経過観察していた」と疑惑を全面否
 定する。

 疫学調査チーム長の津田知幸・動物衛生研究所企画管理部長は、ウイルス侵
 入時期の根拠を「症状の写真や抗体検査の結果から推定した」と説明する。
 ウイルスの潜伏期間を約1週間、感染の痕跡を示す抗体ができるまでを約2週
 間などとして逆算したという。

 チームは来月にも中間報告を取りまとめる方針。津田チーム長は「感染時期
 の推定は今までのデータが基であり、データが足りなければさらに聞き取り
 が必要」と、追加調査の可能性を認める。

 動衛研勤務経験のある白井淳資・東京農工大教授(獣医伝染病学)の話 
 疫学調査チームは、なぜ初発を水牛農家と発表できたのか不思議だ。あくま
 でも得られた検体のみを分析し、判断した結果にすぎない。ウイルスの侵入
 が3中旬なら、1例目以前に感染が見過ごされた家畜がいたかもしれない。も
 し水牛農家が初発とすれば、どのようにウイルスが侵入したのか、徹底的な
 聞き取りなどの調査で侵入ルートを解明しなければ意味がない。(引用終わ
 り)

白井淳資教授ならずとも、「なぜ初発が水牛農家と特定できるのか?」大いに
疑問に思うはずです。その根拠は、今回検査した最も古い検体が水牛農家で採
取した 3月31日のものだったというだけで、それ以前に感染がなかったという
証拠はないのです。当の農家も同じ疑問を疫学調査チームにぶつけていました。

当の水牛農家は 自身のホームページを もっていて、疫学調査チームと意見交
換した内容を 公表して います。チーロ エスポージト「疫学調査の 仕組み」
(2010.8.4)より以下引用。

 8月3日に疫学調査チームの一部が川南町に来て、数戸の初期被害農家や関係
 者(獣医師他)を混ぜ意見交換会のようなものを開催しました。そのなかで、
 調査の仕組みも分かりました。

 (1)県が主体になり(その地で仕事をしているので当然)被害の農家への聞き
  取り調査。
 (2)疫学調査チーム内の現地調査チームが調査するべき【キー】と考える農
  場の聞き取り調査。
 (3)その内容を疫学調査チームに上げて、その情報を元に検討会を開催して
  発表する。
  
 という流れです

 農家「私達のとこには調査が来てないよ。なぜ農家の生の意見を聞かないの
 か? たとえば 大規模農場は 現場で作業をしていた人間から話を聞いたの
 か?」
 疫学調査チーム「いや、聞いてません。関係者です。」
 農家「、、、って関係者って誰よ?」
 疫学調査チーム「関係者です。」

 仕組みでは、東京での検討会は現地からの【聞き取り情報】を元に【発表】
 があります。動物達から遠いはずの【マスコミ】が報道すれば【認めるそし
 て発表する】という流れ、、、県にも国にも、すごく【壁】が感じられ、疲
 れました。(引用終わり)

疫学調査チームと言っても、メンバーのほとんどは東京にいて報告を受けるだ
けで、現地調査チームもどこへ聞き取り調査に行ったのか言えないようでは、
農家から不信感をもたれるのも当然ではないかと思われます。

「専門家でつくる農水省の疫学調査チームは、4月29日に 最初の発生例とされ
た都農(つの)町の農家で飼育状況や敷きわら、飼料などについて調査したが、
その後は、具体的な調査は行っていない。感染拡大防止の作業に農家が追われ
ているために聞き取り調査ができないためだ。チームの明石博臣東京大学大学
院教授は「(感染源の)可能性に序列を付けるデータもそろっていない。事実を
積み上げ原因を究明したい」と話している」(産経ニュース2010.5.20 22:16)

既にこの時点で、1例目の農家は調査対象外になっていたと考えていましたが、
【キー】であるはずの「数戸の初期被害農家」がいずれも調査を受けていない
というのは驚きです。なお、疫学調査チームの聞き取り調査はまったく行われ
ていないわけではありません。ただし、とってもテキトーみたいです。(川南
町のムッチー牧場だよ〜ん。8月5日「明日の朝刊」より以下引用。)

 疫学調査隊の聞き取り調査ですが、もっと、資料、購入伝票の提示もして頂
 く調査方法じゃないと本当の事は見えないんじゃないかと思います。とある
 一件の、疫学調査の聞き取り現場に同席させて頂きましたが、えっ、こんな
 んで!! いいのって思いましたよ!!!(引用終わり)

なお、引用させて いただいたムッチー牧場は、39頭の肥育牛農家で、5月25日
にワクチン接種、5月29日に 発症確認(6月1日「陽性」発表)ですから、ワク
チンで 発症させられた可能性が 極めて高いと推定した 農家に 該当します。
(第7回、GEN760)ワクチンを受け入れた経緯や発症を確認されたときの様子な
どもブログで紹介されており、検体に血液と唾液が採取されていることがわか
ります。このことからも、動物衛生研究所では PCR検査だけでなく、抗体検査
も行なわれていたことが予想されます。

疫学調査チーム長は、ウイルス侵入時期の根拠を「症状の写真や抗体検査の結
果から推定した」と説明していますが、抗体検査の結果は、当該農場にも見せ
られないとのことです。それでは、説明になっておらず、初発とされた農家は
到底納得できるはずがありません。チーロエスポージト「どのような前例をつ
くるか?」(2010.8.5)より以下引用。

 疫学調査チームと農家の話し合いの中で獣医師からの質問は【抗体値】やど
 のように【ウイルスの侵入時期】を特定したのか? など参考になりました。
 ウイルスの侵入時期を判断しているのは、【サンプルからの抗体値】と【臨
 床症状】からだそうです。臨床症状とは【その時の牛の見た目】です。そし
 て【抗体値】の情報開示は本人にも出来ないとのこと。水牛は【3月中旬】
 そして1例目(16頭)と7例目(725頭)は【3月下旬】のウイルスの侵入が【公式
 見解です】と言っていました

 【症状が出たと報告があった日を発症日】と疫学調査の基準にしたり、【検
 体は症状のある牛(発症直後)から採取】とありがたいことに農家を信用して
 くれて、【他の農場が出るまで黙っていた】とか【もう治っている牛がいる
 のではないか】という考えはしないようです

 1例目と7例目はウイルスの侵入は同時期と発表 家畜保健所への通報も同時
 期か、、、、規模に応じて検体の数も変えるべきだったな、、、、
 「仮に 既に治っている 牛から検体を取っていたら、侵入時期は早まります
 か?」
 「そうなります。」(引用終わり)

疫学調査チームの担当者は「水牛農家に『初発』という濡れ衣を着せることが
最初からのシナリオでした」と白状しているようなものです。しかし、本人を
目の前にして、さすがに「これが結論です」とは言えなかったようです。チー
ロエスポージト「8月末には確定する?」(2010.8.5)より以下引用。

 調査チームは「私達は一度も【断定】はしていませんよ」と強調していまし
 た。
 「では、いつ確定させるのですか?」
 「8月の末には中間報告として発表します。」
 (中略)
 時間がたてば分かるのだろうか? 全容が…
 水牛達の補償の話も始まらず、、、不気味だ。(引用終わり)

薦田さんの種牛の殺処分は執拗に迫ったくせに、抗体検査要求は拒否するとい
う矛盾に満ちた対応をした農水省は、疫学調査の面で重要な意味をもつ抗体検
査の結果を公表しないというのですから、公表できない理由があるということ
でしょう。

私は、口蹄疫が口内炎程度の軽い病気で、これまでも飼い主も気付かないうち
に、家畜は感染と治癒を繰り返していたことが抗体検査の結果裏付けられてい
たのではないかと考えています。(第10回 GEN760)それだと、初発なんて特
定できっこないのです。ところが、日本は口蹄疫がない「清浄国」という建前
ですから、どこから感染が始まったのか一応突き止めなければならない。それ
で、疫学調査チームは水牛農家に貧乏くじを押し付けたのではないかと考えら
れます。

さて、農水省の「口蹄疫 Q&A」によると「口蹄疫にかかると、子牛や子豚では
死亡することもありますが、成長した家畜では死亡率が数%程度といわれてい
ます」ということですが、口蹄疫はもっと軽い病気ではないかと思われる証言
を紹介します。143例目 長谷部康夫さん(60歳、高鍋町 5月18日に発症)は
1538頭の牛を飼う大規模な農場主で、「宮崎ハーブ牛」という自社ブランドを
成功させ、宮崎県乳用牛肥育事業農協協同組合の理事を務めています。

「うちは 口蹄疫に罹ったものの、それで死んだ牛は1頭もいないんだ。かわい
そうだったのは、生後5日目に母牛と引き離された 仔牛。親が感染していたの
で、離せと言われ、仕方なくそうしたんだが、どうせどちらも殺される運命な
のにね。仔牛は親の抗体をもらっているからか元気だった。母親から引き離さ
れて啼いていましたよ。陽性が判明してから1日半は私も泣きっぱなしだった。
牛を見ると悲しくて悲しくて・・・」(高山文彦「宮崎口蹄疫禍現地ルポ」文
藝春秋2010年8月号)

長谷部さんの農場では発症確認から殺処分完了まで一か月を要しています。そ
れだけの期間があると、死亡率が3%としたら1538×0.03=46頭(1%でも15頭)
程度が死んでもおかしくないのですが。感染した母親と数日を過ごした仔牛も
元気だったとのことですから、口蹄疫の症状についても見直しが必要ではない
かと思われます。宮崎県家畜改良事業団の49頭の種牛も5月14日発症(101例目)
で31日殺処分開始で、その間に死んだ牛はいません。さらに、長谷部さんの証
言は、ワクチンの効果に疑問を抱かせる部分もあります。

 「6月8日から殺処分が始まったんですが、うちは頭数が多いので 6月11日ま
 ででまだ630頭ぐらい しか終わっていない。発生から数えるとあまりになが
 い。ワクチンを打ってはいるが、のろのろしている間に 300頭くらい患畜に
 なっているんです。」(同 文藝春秋2010年8月号)

この農場での発生は 5月18日(宮崎県プレスリリース)でワクチン接種前です
から、感染原因がワクチンとは言えませんが、ワクチンを打っても 300頭も発
症してしまったのか、ワクチンを打ったから 300頭も発症のかわかりません。
ワクチンがマーカーワクチンとのことですから、抗体検査の結果が公表されれ
ば、少なくとも感染が拡大した原因がワクチンであったかどうかは確認できる
かもしれません。

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