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[GEN 765] 宮崎口蹄疫騒動を検証する【第12回】

2010/07/25

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     世界の環境ホットニュース[GEN] 765号 10年7月25日
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         宮崎口蹄疫騒動を検証する(第12回)

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 宮崎口蹄疫騒動を検証する                原田 和明

第12回 山田農相は暴君?それとも…?

薦田長久さん(72)所有の種牛もついに7月17日に殺処分されてしまいました。
この種牛6頭の扱いをめぐるトップ会談で、山田農相が 東国原知事の要請を門
前払いにした上での結論でした。この交渉を見る限り、山田農相は分からず屋
の頑固ジジイかと思いきや、農水省の官僚の言い分にはよく耳を傾ける御仁の
ようです。

7月13日午後、山田農相は東国原知事が持参した 種牛の助命嘆願書を受け取り
ませんでした。東国原知事は自身のブログ「そのまんま日記(7月17日)」で、
このときの心情を吐露しています。(以下引用)

 県内から集められた嘆願書を手渡そうとしたが、椅子にふんぞり返ったまま
 「そこに置いて」と言われた。よっぽど投げ付けてやろうかと思ったが、県
 民の皆様の民意を投げ付けたら失礼だと思い、ぐっと堪えた。(中略)僕は、
 これまで様々な大臣や副大臣等に要望書や嘆願書を持参したが、受取ろうと
 もせず、「そこに置け」と言われたのは初めてであった。こういう方を信用
 ・信頼しろという方が無理である。(引用終わり)

また、7月15日の日記から以下引用。

 民主党の中には、優秀で骨があり、知識・良識・見識豊かな人材が沢山いら
 っしゃるのに、寄りによって何であの方が大臣なのだろう? まぁ、農水相
 は誰もなり手がいなかったけど(笑)。
 
 今日、薦田氏も「ワクチン接種は国の方針である。知事さんは何度も足を運
 んで頂いているが、あの大臣は、テレビで「殺せ・殺せ」と言うだけで、こ
 ちらの話を一度も聞こうともせず、会っても頂いてない・・・・」と呆れて
 おられた。
 
 国と地方の上下主従関係は相変わらずである。橋下知事は、以前「奴隷制度」
 と発言されたが、「家来、手下、弟子、使いっ走り・・・・・」つくづく、
 そんな関係である。(引用終わり)

山田農相は、自分のとった態度から東国原知事はもとより、ニュースを見た一
般視聴者もこのように受け止めるかもしれないということには気付かなかった
のでしょうか? 山田農相は、意外にも?誰に対してもこのような態度をとる
御仁ではなく、農水省の官僚に対しては非常に物分りのよい人物のようです。

高市早苗代議士(自民党)が入手した「口蹄疫・現地対策本部(日報)」には
次のような会話が記録されています。(5月26日早苗コラムより以下引用)

 5月18日
 ☆新富町議長「豚・肥育牛中心の畜産団地なので、埋却地は容易には見当た
 らない」
 ☆山田副大臣「土地は国で買い上げるとしても見当たらないか。県有地、国
 有地はないのか」
 ☆町長「ない」
 ☆副大臣「1年間の補償をすれば売ってくれるのか」
 ☆町議長「来年以降の生計を失うので、売却側は迷うだろう」
 ☆補佐官「しかし埋めなければ先に進まない。国が買い上げる場所は1つも
 ないのか」
 ☆副町長「1年間の補償をして、来年度以降の代替農地があれば、可能かも
 しれない。しかし、補償をしっかり国が支えて欲しい」

ところが、翌日の「口蹄疫・現地対策本部(日報)」を読むと、山田副大臣の
態度は大きく変化しています。

新富町を訪問した翌日、5月19日の16:15から、山田副大臣は宮崎県知事や県担
当職員との会談を行っています。その折の会話記録は次の通りです。
 
 ☆県次長「埋却地の買い上げを財政支援してもらえれば、どんどん設定でき
 るが」
 ☆山田副大臣「ここ2日間調整したが、買い上げは難しい」(引用終わり)

山田副大臣(※当時)は、農水省の担当者(こちらは「家来」)を呼び付けて、
「埋却地を確保しろ」と指示したわけではなく、農水省の職員のいいなりにな
って、前言撤回という醜態を晒しています。農水省が 6月に入って突然始めた
臨床所見(写真)判定法をすっかり信用していましたので(第9回、GEN762)、
単純な人だとは思っていましたが・・・。農水省の職員のいうことはなんでも
言うとおりにするが、宮崎県の言い分には一切耳を貸さないという偏った態度
はどこから来たのでしょうか?

もともと、山田副大臣は農水省の職員にとってこんなに扱いやすい御仁ではな
かったようです。ウィキペディア「山田正彦」でリンクされている「松永和紀
blog(2009年11月14日)」には、つぎのようなエピソードが紹介されています。
(以下引用)

 このところ、「飼料米を作れば、アメリカのトウモロコシは必要ない、と本
 気で信じているらしい」とか、「食品のリスク管理について説明しようとす
 ると、『国産は安全・安心なのに、なぜこんなことが必要か?』と言う」と
 か、いろいろと気になる情報が漏れてきていた。農水省の官僚が困り果てて
 いる、という話も聞いた。官僚だって、農水省の恥にはしたくないから説明
 をしたいのだけれど、聞こうとしないというのだ。(引用終わり)

就任当初の山田副大臣は農水省の職員に対しても「分からず屋の頑固ジジイ」
だったと推測されます。その山田副大臣がいつから農水省に手なずけられてし
まったのかは特定できていませんが、今回の場合、山田副大臣が農水省職員か
ら「人参」をぶら下げられて丸め込まれた疑いがあります。

5月18日は牛豚等疾病小委員会が開かれており、そこで、「口蹄疫 発生農場か
ら10km以内の牛と豚すべてをワクチン接種後に殺処分」との提言が突然出され
ています。そして、翌19日には、農水省が提言を丸呑みして政策決定、20日夜
には ワクチンが宮崎に届く(連載第7回、GEN760)といった具合に、山田副大
臣が丸め込まれたタイミングは、ワクチン接種政策が突然浮上した時期と一致
しているというのは何を意味するのでしょうか?

そういえば、そのまんま日記(7月17日)には、山田副大臣のはしゃぐ姿が描
かれています。(以下引用)

 国の現地対策本部が本県に設置されたのは、発生後約一ヶ月も経ってからだ
 ったこと? そこに来られた現地対策本部長の山田氏が「僕がここに来たの
 は、ワクチンを打ちに来たんだよ」と嬉しそうに、まるで宮崎が実験場であ
 るかのように仰られた(引用終わり)

山田副大臣は、補償問題など面倒なことは一切事務方に任せて、自身は号令を
かけるだけのお気楽な立場だったことが、そのまんま日記からは伺えます。農
水省は新提案を山田副大臣の業績とする見返りに、宮崎県から出されていた埋
却地確保のための支援を断らせたのではないかと推測されます。

なぜ農水省はそんな手段に出たのでしょうか? そんなことをすれば宮崎県が
早晩行き詰まるのは火を見るより明らかです。山田副大臣も、農水省の思惑を
見抜けず、ワクチン接種という新提案に飛びついて、農水省に抱き込まれたと
考えられます。山田副大臣は口蹄疫ワクチンが70万頭分も備蓄されていたこと
など知るはずもなく、山田副大臣ないし民主党からワクチン接種という新提案
ができるはずがありません。法整備も含め、実行までのお膳立てはすべて農水
省の職員が行ったと考えられます。

ワクチン接種後全頭殺処分を合法化した「口蹄疫対策特別措置法案」は議員立
法という形式になっていて、民主、自民、公明の3党による合意をもとに農林
水産委員長提案として提出されました。(5月28日 朝日新聞)、しかし、次の
エピソードからは民主党が法案を作れたとはとても思えません。

5月18日の「口蹄疫・現地対策本部(日報)」には、「検体採取の獣医師が足り
ない。」(都農町長)、「検体採取は獣医師でないとできません。家伝法上で
きない」(県対策本部)と窮状を訴える地元に対し、山田副大臣が「綿棒で取
るだけなら自分(※農家)でできるだろう。細かいこと言うな!」と一喝する
場面があります。これに対し、佐々木大臣政務官も「口蹄疫のウイルス確認試
験のサンプルを農家にやらせても法律上問題ない」と国会で答弁しています。
(5月21日衆議院経済産業委員会)

法案に賛成した公明党も議員立法と形式には必ずしも賛成ではなかったようで
す。山口那津男代表は「本来、緊急措置が必要であれば(特措法案は)政府か
ら出すべきものだ」と批判しています。(5月28日 公明新聞)農水省には政府
提案にしたくない理由があったようです。

法案の中身には農水省のワナが仕込まれていました。「口蹄疫対策特別措置法
案は、感染拡大を防ぐための予防的な殺処分を国が強制的に行えることや、国
が被害農家への補償を強化することを柱にした」、「地元で問題になっている
殺処分した家畜を埋める土地の確保も、国や自治体が責任を持つようにする。」
(5月28日 朝日新聞)などと紹介されていて、国会が宮崎のために迅速に行動
したかの印象をもってしまいますが、実情はまったく異なるものでした。(そ
のまんま日記 7月17日より以下引用)

 そもそもリングワクチン政策は国の方針である。国から提案があったとき、
 地元自治体が提示した条件は (1)国の主導(責任)でやること。(2)補償は  
 しっかりやることの二つだった。あの時、山田副大臣(当時の現地対策本
 部長)は、「分かった。しっかりやる」と仰った。よっぽどリングワクチン
 をやりたかった印象だった。(中略)

 「補償はしっかりやる。地方には迷惑を掛けない」とハッキリ仰ったのに、
 蓋を開けてみると、特措法には地方負担(一部又は全部)と表記されている。
 これは一体どういうことなのか? こういうことで、信頼関係が構築出来る
 であろうか?(引用終わり)

国会議員たちも農水省の説明にだまされたのだと思われます。東国原知事の怒
りから、農水省の新提案(ワクチン接種)の目的が浮かび上がってくるようで
す。宮崎県は埋却地の確保がままならず、殺処分が遅れていると訴えていた。
そこへ、国が埋却地の確保支援を拒否した上で、新たに感染もしていない家畜
をわざわざワクチン接種して全頭殺処分させるというのですから、地元・宮崎
県はますます埋却地の確保に苦しむことになります。

山田農相にはお気楽にワクチン接種の旗振り役をやらせる一方で、宮崎県には
一切支援しないという仕組みを口蹄疫特措法に盛り込んで、いずれ宮崎県と山
田副大臣(民主党)とが対立するように仕向けていたと考えられます。ワクチ
ン政策の責任をすべて民主党にとらせる魂胆があったと考えられます。民主党
のにわか政権は農水省から 手玉にとられています。第7回では、ワクチン接種
の目的は「効果を確かめたかった?」と推測しましたが、違っていたようです。

農水省職員が日報に「川南町長がしつこくゴネる」と記録していたことが判明
していますので、この陰謀は、政府現地対策本部付の農水省職員にも伝えられ
ていたと思われます。(2010年6月2日18時01分  読売新聞より以下引用)

 宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題で、政府現地対策本部の農林水産省職員
 が関係省庁に送る日報に、川南町の内野宮正英(まさよし)町長について「し
 つこくゴネる」と書いていたことがわかった。

 農水省は「書いた職員に悪意はなかったが、今後は気をつけたい」と陳謝し
 ている。

 日報は、内野宮町長と対策本部長の山田正彦・農林水産副大臣が 5月18日に
 会談した際、埋却地確保への補償を求める町長について「補償を検討する、
 では現場は動けない。決断して欲しい。(…としつこくゴネる。)」と記し
 ていた。

 高市早苗衆院議員(自民)が「悪意に満ちた表現ぶり」などと して、5月21
 日の衆院経済産業委員会で追及し、記録者の特定や責任者の処分を求めた。
 農水省は、日報は内部的なメモであり、関係者が読めば破棄するものなので
 処分や修正は行わないと回答している。

 内野宮町長は「農水省は被害を深刻に受け止めていないのではないか」と憤
 っている。(引用終わり)

読売新聞は「農水省が陳謝」と書いていますが、コメントはまったく謝罪して
いませんし、文書の削除や修正さえしないとさえ言っています。農水省が記録
した担当者を擁護しているのは、担当者が農水省の指示に従っていたからでは
ないかと考えられます。山田副大臣のお目付け役だったかもしれません。

マスコミがいずれ必ず起こるであろう東国原知事と山田農相のバトルを面白お
かしく取り上げてくれれば、農水省本体は安泰というシナリオに対し、川南町
長の主張はとんだ迷惑だったことでしょう。山田副大臣が聞き入れた場合には、
そのシナリオは練り直しを迫られたかもしれません。さらに農水省からの仕掛
けとは特定できませんが、宮崎県側の対策本部にスパイが送られていた可能性
があります。そのまんま日記(7月15日)には次の記載があります。(以下引用)

 県の戦略会議の情報が方々にダダ漏れである。一体どういうことか? 先頭
 に立って闘っていると、後ろから石を投げられたりもする。一体誰を信じて
 良いのか? こんな状況ではまともに闘えない。(引用終わり)

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