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[GEN 761] 宮崎口蹄疫騒動を検証する【第8回】

2010/07/04

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     世界の環境ホットニュース[GEN] 761号 10年7月4日
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         宮崎口蹄疫騒動を検証する(第8回)

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 宮崎口蹄疫騒動を検証する                原田 和明

第8回 臨床所見で判定?

ワクチン接種を受けた家畜に、次々と口蹄疫のような症状が表れていた6月2日、
農水省はいつの間にか、PCR 検査を省略して、「臨床所見だけで、口蹄疫の疑
似患畜と判定」という新たな判定基準をもちこんでいました。そして、現地で
さっさと殺処分を始めてしまいました。その日は鳩山首相が普天間問題で総辞
職を表明した日でもあります。なんだかどさくさに紛れて、ワクチンが感染源
となっている可能性をもみ消そうとしていたようにも見えます。

口蹄疫と類似の症状は色々あって、臨床所見だけでは判定できないというのが
これまでの常識だったはずです(ウィキペディア「口蹄疫」)。それにも関わ
らず、「臨床所見だけで、口蹄疫の疑似患畜と判定」という新たな判定基準が
登場するのは、6月2日の農水省プレスリリースです。(以下引用)

 (6.2農水省プレスリリース)
 1日、宮崎県児湯(こゆ)郡において、都農町の農場2件(合計899頭)、川南
 町の農場4件(合計5,687頭)、及び、高鍋町の農場1件(2,014頭)の飼養牛・
 豚が、口蹄疫特有の臨床症状を示していると届出があったため、本日未明、
 宮崎県の家畜防疫員が、臨床所見から、口蹄疫の疑似患畜と判定しました。 

 2日、宮崎県児湯(こゆ)郡において、都農町の農場2件(合計88頭)、及び、
 川南町の農場2件(合計638頭)の飼養牛・豚が、口蹄疫特有の臨床症状を示
 していると届出があったため、本日、宮崎県の家畜防疫員が、臨床所見から、
 口蹄疫の疑似患畜と判定しました。(引用終わり)

この日発表された11件すべてが、この「臨床所見」による検査で「疑似患畜」
と判定され、即日殺処分が行なわれています。なぜこんなことが起きたのでし
ょうか? いったい、この「臨床所見」という判定方法はどうしてもちこまれ
たのでしょうか? 農水省の説明をまだ見つけられずにいますが、その理由を
私なりに推理してみます。

ここで、ワクチン接種が始まってから、都城市で口蹄疫が発見される6月8日ま
での、発症報告件数(A)、そのうち、ワクチン接種済みの件数(B)、臨床
所見のみで「疑似患畜」と判定された件数(C)を農水省の発表日別に整理し
てみました。

 農水省の発表日  A−B−C  備考
   5月22日  22−0−0  豚でワクチン接種開始
   5月23日  12−0−0  牛でワクチン接種開始
   5月24日  7−0−0  
   5月25日  9−0−0 
   5月26日  9−4−0
   5月27日  3−1−0
   5月28日  3−3−0
   5月29日  8−8−0
   5月30日  6−6−0
   5月31日  9−9−0
   6月 1日  6−6−0
   6月 2日  11−11−11  「臨床所見」で判定始まる
   6月 3日  5−5−4
   6月 4日  2−2−1
   6月 5日  3−3−2
   6月 6日  1−1−1
   6月 7日  1−1−0
   6月 8日  3−3−1  都城市に飛び火?

 A:発症件数
 B:Aのうち、ワクチン接種済みの件数
 C:臨床所見のみで「疑似患畜」と判定された件数

ワクチン接種後からまもなく、ワクチン接種を受けた家畜に口蹄疫の症状が出
始めていることは前回紹介しましたが、この表からわかることは、報告例がす
べてワクチン接種を受けた家畜になってから 5日目に「臨床所見」という新し
い(根拠の乏しい)判定基準が導入されているということです。「ワクチンが
感染源になっていないか?」ということに気付かれないように、農水省は一刻
も早く状況証拠を消し去りたかったということはなかったのでしょうか?

「臨床所見」判定が始まったのが6月2日というのも胡散臭さを感じさせます。
(以下引用)

 「鳩山由紀夫首相は28日夜、臨時閣議を開き、この日午前に発表した日米共
 同声明を確認し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を名護市辺野古周辺
 に移設するとした政府方針を閣議決定した。これに先立ち、社民党党首の福
 島瑞穂・消費者担当相が閣議決定への署名を拒んだため、首相は福島氏を罷
 免、同党は連立政権離脱の検討に入った。首相は記者会見で「5月末決着」
 の前提としていた地元と連立与党の合意が得られなかったことを認め、陳謝
 した。政権内では首相への失望が広がっており、政権運営は厳しさを増して
 いる」(朝日新聞 2010年5月28日22時13分)

参院選への影響を懸念した小沢一郎、輿石東は、5月31日と1日の 2回にわたっ
て、鳩山首相と会談。最終的には2度目の会談後の「親指」が仇となって、6月
2日は朝から、鳩山首相の辞任会見が 開かれていました。政権与党が大揺れの
ドサクサに紛れて、農水省がワクチン失敗の証拠隠滅のために、「臨床検査」
というとんでもない基準をもちだしたのではないかと推測されます。

農水省が 状況証拠を 隠そうとしたと見られる形跡をもうひとつ紹介します。
201例目(農水省 5月25日発表)から280例目(同6月9日発表)までの「疑似患
畜」を個別に整理してみました。

以下の表の見方を説明します。「201・2頭」は201例目の「疑似患畜」で、宮
崎県の立ち入り調査で発症が確認された家畜が2頭だったことを表し、農水省
の発表で、発症を確認された家畜数の表示がないものを「?」としました。さ
らにワクチン接種を受けずに発症したケースを×、「臨床所見」で「疑似患畜」
と判定されたケースを●で表示しました。

 201例目から250例目まで(×:ワクチン接種なし )
×201・2頭 ×211・3頭  221・・?  231・3頭  241・・?
×202・2頭 ×212・2頭  222・3頭  232・3頭  242・3頭
×203・2頭  213・1頭  223・3頭  233・3頭  243・1頭
×204・2頭  214・・?  224 3頭  234・1頭  244・1頭
×205・2頭 ×215・・?  225・3頭  235・・?  245・1頭
×206・2頭  216・・?  226・2頭  236・1頭  246・3頭
×207・2頭 ×217・・?  227・5頭  237・1頭  247・3頭
×208・2頭  218・・?  228・・?  238・・?  248・・?
×209・2頭 ×219・1頭  229・3頭  239・2頭  249・3頭
×210・2頭 ×220・3頭  230・1頭  240・1頭  250・1頭


 251例目から280例目まで(●:「臨床所見」で「疑似患畜」と判定)
 251・1頭 ●261・・?      ●271・・?
 252・3頭 ●262・・?       272・?(舌の炎症)
 253・複数 ●263・・?      ●273・・?
●254・・? ●264・・?      ●274・・?
●255・・?  265・?(舌の炎症) ●275・・?
●256・・? ●266・・?       276・?(歯茎・上唇の腫れ)
●257・・? ●267・・?       277・?(蹄のびらん)
●258・・? ●268・・?       278・?(鼻の水疱)
●259・・? ●269・・?      ●279・・?
●260・・?  270・?(肢に炎症) ●280・・?
※( )は「臨床所見」で判定できなかったという家畜の症状を示しました。
    
この表からわかることは、「疑似患畜」例に、ワクチン接種を受けた家畜が含
まれるようになると、その頭数を明記しないケースが目立ち始めているという
ことです。253 例目では「複数」とわざわざ頭数をあいまいにしています。発
症は数頭どころの話ではなかったのではないかとの疑いも生じますが、実態は
不明です。

さらに、「疑似患畜」例がワクチン接種を受けた家畜ばかりになると、「?」
が急増、254例目からは発症数がまったく明記されなくなります。「臨床所見」
判定がもちこまれたのは、このタイミングなのです。これは何を意味している
のでしょうか? 発症頭数を隠したいというような農水省の意図が見てとれま
す。隠さないといけないほど、感染が広がっていたということでしょうか?

ワクチン接種を受けた家畜に、口蹄疫のような症状を示すケースが非常に多く
なってきたことが、「臨床検査」という、本来なら禁じ手をもちださなければ
ならなかった原因ではないかと考えられます。農水省は、PCR 検査の結果を待
たず、一刻も早く、ワクチン接種を受けた家畜の殺処分を始めなければならな
くなったのでしょう。ワクチン接種強要という、自らの思いつき政策の失敗を
隠蔽するために・・。

「臨床検査」が導入されて以降、例外的に PCR 検査が行なわれたのは、265、
270、272、276、277、278の6例ですが、その理由は農水省のプレスリリースに
よれば、いずれも「臨床検査のみで口蹄疫と判断することが困難であったため」
とされ、「同日、検体を動物衛生研究所に送付」と書かれています。そこで、
判定が困難だったという症状はどんなものだったのか、確認してみます。以下、
農水省のプレスリリースから引用。

 (265例目=新富町、牛22頭)
 「6月2日、農場主が、飼養牛の舌にびらん等を確認したと届出。同日、立ち
 入り、飼養牛の舌等に炎症を確認。」

 (270例目=川南町、養豚276頭)
 6月2日夕方、農場主から飼養豚の足に出血等を確認したと届出。同日夜、立
 ち入り、飼養豚の肢に炎症等を確認。

 (272例目=川南町、牛63頭)
 6月4日、農場主から飼養牛の舌に炎症等を確認したと届出。同日、立ち入り、
 飼養牛の舌の炎症等を確認。

 (276例目=川南町、牛50頭)
 6月6日、農場主から飼養牛の流涎等を確認したと届出。同日、立ち入り、歯
 茎・上唇に晴れ等を確認。

 (277例目=川南町、肥育豚1605頭)
 6月7日、蹄に炎症等を確認したと届出。同日、立ち入り、蹄にびらん等を確
 認。

 (278例目=川南町、養豚1309頭)
 6月7日、飼養豚の鼻に水疱等を確認したと届出。同日、立ち入り、鼻に水疱
 等の腫れ・炎症等を確認。

いずれも、これまで「口蹄疫」と判定された症状に該当しています。これらが、
「臨床検査のみで口蹄疫と判断することが困難であった」とする特段の事情は
農水省のプレスリリースでは説明されていません。すべてを「臨床検査」のみ
としなかったのは、わかりにくい症状が理由とは考えられません。PCR 検査も
やってますというアリバイ工作に過ぎないのではないかと勘ぐってしまいます。

一方、「臨床検査」で「疑似患畜」と判定されたものは、本来 PCR検査その他
で、その正当性を立証しなければならないはずです。ところが、PCR 検査が省
略されていますので、「臨床検査」の正しさは何も証明されていません。

農水省 畜産局 畜産経営課 総括・総務班 課長補佐の原田英男氏はツイッター
(5月17日)で1例目と6例目についてのことですが、「初期の臨床症状では 口
蹄疫と判断するのは無理で獣医師には全く問題ないと専門家も言及。言われの
無い非難です。一部マスコミで口蹄疫を疑わなかった獣医が悪いとの論調があ
るので心配しています。」とのコメントを寄せています。

ところが、山田正彦 農林水産大臣は、宮崎日日新聞社の 単独インタビューに
次のように答えています。(宮崎日日新聞6月24日より以下引用)

 ―今回の教訓は何か。

 山田「PCR検査(遺伝子検査)をしなくても、写真でほぼ100%判定可能にな
 った。発生すれば2時間以内に通報し、現場に駆け付けるマニュアルを用意
 する。24時間以内に殺処分できれば、この前の飛び火と同じように対応でき
 る。出たらすぐたたく。これができれば口蹄疫は防止できる。」(引用終わ
 り)

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