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[GEN 754] 宮崎口蹄疫騒動を検証する(第2回)

2010/06/06

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     世界の環境ホットニュース[GEN] 754号 10年06月6日
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         宮崎口蹄疫騒動を検証する(第2回)

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 宮崎口蹄疫騒動を検証する                原田 和明

第2回 10年前の口蹄疫騒動

宮崎県では 10年前の2000年3月にも口蹄疫騒動が起きています。このときの対
応と今回の対応を比較すれば、今回の騒動の作為性が見えてくるのではないか
と考えたのですが、10年前の口蹄疫騒動も捏造の疑いがありました。

2000年3月に起きた宮崎県の口蹄疫騒動の経緯は、2000年(平成12年)3月25日
農水省畜産局のプレスリリースに掲載されています。以下抜粋して引用します。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/pdf/h12_press1.pdf

 2000年
 3月12日 獣医が1頭の肥育牛に発熱、食欲不振、発咳などの症状を確認。

 3月21日 他の同居牛にも鼻腔内のびらんなどの症状伝播を確認、宮崎 家畜
 保健衛生所に通報。農水省畜産局衛生課は宮崎県畜産課に「動物の隔離、施
 設の消毒等の措置と検体送付を指示。

 3月22日 農林水産省 家畜衛生試験場で口蹄疫ウイルスの存在の有無を確認
 するため、通常行なわれる ELIZA 検査及び CF 検査を実施、陰性。
 念のため、並行して実施していた PCR検査結果が23日に判明、ウイルスの存
 在を完全に否定できず。(陽性だったということ?)

 3月23日 別途実施していた血清検査において口蹄疫ウイルスの抗体を検出。

 3月24日朝 国の専門家を現地へ派遣。再度検査材料を採取。

 3月24-25日 再度実施した PCR 検査では ウイルスの存在そのものは確認さ
 れなかった。
 「以上の結果から「口蹄疫」の疑似患畜と診断するに至った。

 3月25日 畜産局衛生課及び家畜衛生試験場から専門家各1名を現地に派遣。

以上のことより、口蹄疫の検査には、(1)ELIZA 検査、(2)CF 検査、(3)PCR
検査、(4)血清検査の4種類があり、このときは PCR 検査が再検査の結果「陰
性」ですから、最終的に血清検査だけが「陽性」だったことがわかります。そ
れで、「疑似 患畜」と診断されたということですから、4つの検査のうち、ど
れがひとつでも「陽性」あるいは「陽性の疑い」であれば、「疑似患畜」とみ
なされることがわかります。

ところで、農水省のプレスリリースには、検査法の説明も添付されています。
(以下引用)

 (1)ELISA法とは

 抗原(病原体:ウイルスなど)と動物の体内で造られる免疫抗体が結合しあ
 う性質を利用して、抗体に結合した抗原に特殊な酵素を結合させ、判定溶液
 を酵素により発色させるという検査法。簡便で、微量な抗原を検出可能であ
 り、短時間で判定できるという特徴がある。

 (2)CF法

 抗原(病原体)と動物の体内で作られる抗体が結合する際に、血清中に存在
 する補体(抗原と抗体の反応を補完する血中タンパク質)が使われることを
 利用した検査法で、補体の消費量を指標とする(補体の消費量は抗原の量に
 比例する)。

 (3)PCR法

 遺伝子レベルで病原体を特定する手法で、ごく微量の DNA を 数時間のうち
 に数百万倍にも増幅させることによって、検査材料中の 病原体 DNA の存在
 を検知する方法。ごく微量の病原体から検知することができ、短時間で診断
 できるという特徴がある。

血清検査については「なぜか」添付資料がなかったので、新潟中央病院のホー
ムページから引用します。(以下引用)

 免疫血清検査

 ウイルスなどの病原体に侵入されると、体はそのウイルスに対抗するため抗
 体を作ります。抗体とはその病原体にのみ反応するタンパク質で、病原体に
 付着して排除する役割を持ちます。つまり検査によって血液から抗体を検出
 することは、その病原体に感染している(もしくはしていた)ことを表しま
 す。(引用終わり)

あれれ? 血清検査は現在感染していることを証明するものではなく、過去に
感染していたことがあれば、今は感染していなくても「陽性」となるというこ
とのようです。すると、「血清検査」だけが陽性という検査結果は、口蹄疫が
本来「口内炎のようなもの」程度の症状ということを考え合わせると、2000年
の「疑似 患畜」は、飼い主も気付かないうちに 感染し、いつのまにか回復し
て、当時は感染していなかったという可能性が大です。

「血清検査」の説明が当時のプレスリリースから欠落しているのは、偶然でし
ょうか? まさか、「疑似患畜」は今現在感染していないのではないか?との
指摘を受けることを恐れて「血清検査」の説明を省略したとは思いたくはない
のですが…。

ところが、ウィキペディア「2000年の口蹄疫」に掲載されている「家畜衛試ニ
ュース(2000年)No.103 P2〜7」をみてびっくりです。当時の農水省のプレス
リリースから生じた疑問がきれいに払拭されています。(以下引用)

 3月22日 診断材料は 翌22日に採取され、同日午後2時に海外病研究部へ到着
 した。海外病研究部では、ただちに口蹄疫診断の標準法に基づいた抗原検出
 用の補体結合反応(※CF検査)とエライザ(※ELIZA検査)を開始し、午後8
 時に両検査とも終了した。結果はいずれも陰性であったが、同時に行ってい
 た RT-PCR によるウイルス遺伝子断片の検出が同日の深夜、またエライザに
 よる抗体検査では翌日に陽性の成績が得られた。

 3月23日 日本では長期間口蹄疫が発生していないことから、診断には慎重を
 期する必要があるため、23日には RT-PCR による遺伝子断片の検出をさらに
 二度繰り返し実施した。結果はいずれも陽性であった。

 3月25日これらの成績は25日に開催された口蹄疫中央防疫対策本部 防疫技術
 委員会で詳細に検討され、同農場の牛10頭を疑似患畜と診断した。(引用終
 わり)

当時のプレスリリースでは、

 3月23日 一回目の PCR 検査結果(宮崎県が検体採取、家畜衛試で検査)が
 判明、ウイルスの存在を完全に否定できず。

 3月24日朝 国の専門家を現地へ派遣。再度検査材料を採取。

 3月24-25日 再度実施した PCR 検査では ウイルスの存在そのものは確認さ
 れなかった。

というものでした。ところが、「家畜衛試ニュース」では、

 3月22日深夜  PCR 検査で陽性

 3月23日    PCR 検査をさらに2度実施。いずれも陽性。

と変わっています。つまり、農水省の当時のプレスリリースと「家畜衛試ニュ
ース」での検査結果を比較すると、(陽性を○、陰性を×とする)

            ELIZA検査  PCR検査  CF検査  血清検査

プレスリリース     ×     ×     ×     ○

家畜衛試ニュース    ○     ○     ×   (記載なし)

このように、PCR とエライザの検査結果が逆転しているのです。なぜ正反対の
結果となっているのでしょうか?「家畜衛試ニュース」では、口蹄疫発生は疑
いのないことになります。しかしながら、国の専門家が現地入りしたのは 3月
24日と25日です。「家畜衛試ニュース」では、彼らは再検査には間に合ってい
ないことになります。そのためか、「家畜衛試ニュース」では、国の専門家は
登場しません。

「家畜衛試ニュース」の診断結果もヘンです。「これらの成績は25日に開催さ
れた口蹄疫中央防疫対策本部防疫技術委員会で詳細に検討され、同農場の牛10
頭を疑似患畜と診断した。」というのですが、PCR とエライザの検査が陽性な
らば、少なくとも当該牛は「疑似患畜」ではなく、「患畜」ではないのでしょ
うか?

「家畜伝染病予防法2条2項」には、「家畜伝染病にかかっている家畜を患畜、
患畜である疑いがある家畜や患畜となるおそれがある家畜を疑似患畜という」
とあります。一方、当時のプレスリリースでは、血清検査だけが「陽性」です
から、「疑似患畜」といえなくもありません。

このように、「家畜衛試ニュース」には後から書き換えたことによると見られ
る矛盾がいくつも露呈しています。つまり、「プレスリリース」の段階では、
百歩譲って「口蹄疫 発生」と宣言したのも 仕方ない点はあったかもしれませ
ん。しかし、「家畜衛試ニュース」になると、改ざんの意図は明らかです。こ
のときの動機を推測するに、「口蹄疫ではなかった」と訂正することを潔しと
せず、「口蹄疫だったことにする」道を選択して、「家畜衛試ニュース」での
事実経過の改ざんとなったのでしょう。パニックを演出する意図はなかったと
思われます。

改ざんの形跡があっても、2000年の騒動で参考になるのは、口蹄疫の診断には
4 つの検査方法がとられていたことであり、さらに、「長期間口蹄疫が発生し
ていない」場合で「陽性」の結果が得られたときは、同じ検査でも複数回行な
って、間違った判断を下さないようにしているという点も見逃せません。

翻って、2010年の騒動ではどうだったでしょうか? 現地でのエライザ試験は
「陰性」だったものの、動物衛生 研究所での PCR 試験で「陽性」との結果が
得られるやいなや、ただちに、「この陽性が確認された牛については、専門家
の意見を聞き、家畜伝染病予防法に基づく殺処分等の防疫措置の対象となる口
蹄疫の疑似患畜と判断しました。」(農水省のプレスリリース4月20日付)

エライザ検査は4月23日に行なわれ、o型ウイルスと判定されています。(農水
省4月23日プレスリリース)なぜ、エライザ試験が 2000年の騒動に比べ、こん
なにも遅れたのでしょうか? なぜ、PCR 検査の 再検査もせず、エライザ検査
との整合性も確認せず、拙速に「口蹄疫」と診断、発表したのでしょうか?

おかしなことはまだまだあります。農水省のプレスリリースをみると、ウイル
スの型が特定されているのは、o型ウイルスと判定された最初の牛だけで、そ
の後200頭以上にのぼる「疑似患畜」は1頭もウイルスの型が特定されていませ
ん。

それに、PCR検査で「陽性」、エライザ検査で「o型ウイルスと判明」とい
う組み合わせもヘンです。新型インフルエンザでは簡易検査(エライザ検査)
で、A型か B型(以上「陽性」または「陰性」を判別、「陽性」の場合、PCR
検査でA/H1N1型(いわゆる「新型」)かA/H3N2 型、あるいはB型かを
決定していました。

つまり、エライザ検査は簡易検査でおおまかに「陽性か陰性」かを確認(見逃
すことも多い)、陽性の場合、ウイルスの型を確定するのがPCR検査である
はずです。ところが、動物衛生研究所ではPCR検査しかしておらず、その割
にはウイルスの型を最初の牛以外その後一切発表していないのはなぜでしょう
か? ウイルスの型の特定は 感染源や感染ルート解明に欠かせないものである
はずです。

しかしながら、最初の牛さえ、ウイルスの型はなぜかエライザ検査で済ませて
います。ただの一件もPCR検査でウイルスの型を特定していないのです。ウ
イルスの型がわからないのであれば、PCR検査そのものが行なわれていない
可能性だってあります。

ウイルスの型はわかっているのだけれども発表できないという可能性はありそ
うです。口蹄疫ウイルスには大きく分けて 7種類あり、それらがさらに細分化
して65種類以上にもなります。ワクチンはそれらの型が合致しなければ効果が
ないのはインフルエンザと同じです。ところが、農水省はいつの間にか口蹄疫
のo型ワクチンばかり70万回分(1頭に2度接種するなら、35万頭分)の備蓄を
していたのです。(農水省「国が備蓄している口蹄疫(o 型)に対するワクチ
ンについて」)

ホントは 口蹄疫の感染はないのでは ないかと疑っていますので、その場合は
PCR検査をしても口蹄疫ウイルスはないのですから、ウイルスの型を公表で
きないのは当然です。しかし、ホントに感染が拡大していたとしても、農水省
はウイルスの型を公表していないのですから、公表できない理由がそれなりに
あるはずで、たとえば、「ウイルスの型が実はo型ではない」ということにな
ります。この件は次回改めて検証します。

いくら何でもそんないい加減なことで、20万頭もの家畜を殺す命令を下せるの
か? とは思います。しかしながら、昨年、厚労省では「関西 大倉高校の生徒
なら検査せずに『新型に 感染』と発表してもよい」と指示したことが ありま
す。季節性のA型と新型とは一度も区別された実績もありません。そしてあの
騒動が起きたのでした。

一方、農水省では10年前に役人根性からかすでに「データの改ざん」に走った
形跡が認められました。それから考えると、今回の口蹄疫騒動は陰謀とは限ら
ず、農水省の科学的検証能力がこの10年間で急速に劣化したことが原因という
見方もありえます。いずれにしても、官製パニック第2弾であるとの疑惑は 一
向に晴れません。

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