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椙本孝思のイサカ・トト・ミグス

作家、椙本孝思のメールマガジン。連載小説、書評、サラリーマンと二足ワラジな日常をマイペースに配信します。小説が好きな人も、そうでない人も、知的好奇心に忙殺される青年におつき合いください。

メルマガ情報

創刊日:2003-03-12  
最終発行日:2018-10-15  
発行周期:毎週月曜日  
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◆椙本孝思のイサカ・トト・ミグス◆ Vol.868

2018/10/15

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メールマガジン
        ◆椙本孝思のイサカ・トト・ミグス◆


             -椙本 孝思-
            (Sugimoto Takashi)
                        2018年10月15日 Vol.868
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[お知らせ]

『読んではいけない殺人事件』

著者 椙本孝思
出版 実業之日本社
価格 741円+税
発売日 2018年10月4日

紹介ページ:http://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-55441-9

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[本日の他人言(ひとごと)]

私たちは自分が撒いた感情の分しか収穫できない。

−シャルル・アズナヴール(シンガーソングライター、2018年10月1日死去)−

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[ネットワーク・ポエムワーク] その612

サイト:輝け!お寺の掲示板大賞2018 | 公益財団法人仏教伝道協会
http://www.bdk.or.jp/kagayake2018/


− 仏道 −

珍念は苦悩していた

近頃の寺内の乱れに 怒りと悲しみを抱いていた

清廉で厳粛な寺が観光地のように扱われている

教徒でもない者たちが大勢詰めかけて

大声で笑い ゴミを捨て 本尊を記念撮影する

中にはサービスが悪いと怒り出す者もいる始末だった

厳しい修行を続ける珍念にとっては侮辱とも言える行為であり

仏を穢すような振る舞いも許し難いものであった

しかし観光客の浄財により寺が維持されているのも確かだ

壊れた本堂の修復や環境の整備

珍念自身のささやかな生活もそれに頼っている

珍念が僧侶として精進できるのも 彼らたちのお陰である

それがさらに苦悩させた

しかし寺内の乱れは日増しに大きくなってゆく

最近では僧侶までが仏を軽んじる行為に及ぶことも目立ってきた

そのひとつが 寺の門に備えつけた掲示板の運用だ

普段は寺内の行事を世間に伝えているが

何もない日などは仏に関わる言葉をしたためて公開している

その言葉が いわゆるウケ狙いの気軽でふざけたものが増えてきた

『物欲を捨てて仏欲を抱こう』

『生きてるだけで丸儲け(明石家さんま)』

『常識は破っても構わないが、非常識であってはならない(デーモン閣下)』

『辛+一=幸』

『終焉とともに再生があるのです(セーラーサターン)』

『ありのままの自分になるの(レット・イット・ゴー)』

『未練とご飯を残さない人生』

『おまえも死ぬぞ』

『NO ご先祖、NO LIFE』

『人生一生 酒一升 あるかと思えば もう空か』

こんな 落語のような言葉ばかりを書き連ねている

寺が 僧侶が 俗物にまみれて堕落している

ついに珍念は我慢できずに 和尚の元に直談判した

自分の思い 世間の状況 寺の現状 これからのこと

延々と 心静かに しかし怒りを滲ませて訴え続けた

そうして 二時間にも渡って喋り続けたあと 和尚は口を開いた

お前の話は耳に届かんかった すまんが もういっぺん言っておくれ

珍念は 沈黙したあと 一言だけ尋ねた

世間に媚びを売ってまで生き続けることが 果たして仏道なのですか?

和尚はにこりと笑って答えた

修行不足め お前の悩みは 1000年も前に解決しておるわ

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[本日の独言(ひとこと)]

毎年、秋を迎えるようになると言葉の誤用や死語の話がニュースになる。文
化庁による『国語に関する世論調査』が大体この時期に発表されるからだ。
夏が過ぎて人も籠もり始める季節、『読書の秋』にも関係しているのかもし
れない。ともあれ、思いがけない言葉について、間違って使っていると指摘
されて気持ちをざわつかせる恒例のニュースが報じられる頃だ。

今回話題になったのは『檄を飛ばす』『なし崩し』『采配を振る』『溜飲を
下げる』『ほぼほぼ』『上から目線』『タメ口』『ガチで』『立ち位置』な
どが上げられる。

『檄を飛ばす』は本来の意味では『自分の主張や考えを広く人々に知らせて
同意を求めること』だが、『元気のない者に刺激を与えて活気づけること』
と誤用されている。『なし崩し』は『少しずつ返していくこと』だが、『な
かったことにすること』と答えた人が多かった。近頃では『なし崩し的に』
など謎の『的に』が入った言葉を使う人も多い気がする。『采配を振る』
『溜飲を下げる』はそれぞれ『采配を振るう』『溜飲を晴らす』と言う人が
多いらしい。今『溜飲を晴らす』と入力すると、言語ソフトのATOKが<溜飲
を下げるの誤用>と指摘してきた。やるな。

『ほぼほぼ』『上から目線』『タメ口』『ガチで』『立ち位置』などは主に
若者言葉から広まったものだ。『タメ口』は元々賭博用語で、『ガチで』は
出川哲朗がよく言っている気がするが元は相撲用語だ。『立ち位置』は舞台
用語だろうか。『ほぼほぼ』といえば以前仕事先の人が『ほぼほぼニアリー』
と繋げて言ったりもしていた。よほど近いのだろう。障子にメアリー。

私自身の思いとしては、言葉なんて日進月歩で変化するコミュニケーション
ツールなので、誤用でも使う人が多いとそれを真として扱ってもいいと思っ
ている。それでお互いに意味が通じればもう正解だろう。ただ小説など不特
定多数に向けた文書としては、誤用のまま使うわけにはいかず、しかし世間
では誤用がまかり通っている状況となると、なかなか判断に迷うこともあり、
結局使わないで収めることもあるのだ。

たとえば『やおら立ち上がって檄を飛ばした』は『ゆっくりと立ち上がって
主張した』が本来の意味だが『急に立ち上がって励ました』という印象のほ
うが強い気がする。そういう場合はもう単純に『ゆっくりと立ち上がって主
張した』とそのまま書くようにしている。ややこしい言葉で格好付けるより
も、簡単な言葉で分かりやすく伝えたほうがいいと思っている。

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次号(Vol.869)は2018年10月22日(月)に配信予定です。

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◆椙本孝思のイサカ・トト・ミグス◆      2018年10月15日 Vol.868
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[椙本孝思の作品]

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 ○「ハイエナの微睡 刑事部特別捜査係」
 ○「君が何度死んでも」
 ○「へたれ探偵 観察日記 たちあがれ、大仏」
 ○「スパイダー・ウェブ」
 ○「幻双城事件 仮面の王子と移動密室」
 ○「へたれ探偵 観察日記」
 ○「庵谷高校の死神―閉ざされた校舎と見知らぬクラスメイト」
 ○「露壜村事件 −生き神少女とザンサツの夜− 」
 ○「バジリスク 寄生生物」
 ○「タイムカプセル」
 ○「昆虫部」
 ○「時間島」
 ○「天空高事件 −放課後探偵とサツジン連鎖−」
 ○「雨の降る夜、死霊メールが」
 ○「THE QUIZ」
 ○「SPOOKY」
 ○「魔神館事件 −夏と少女とサツリク風景−」
 ○「明日、キャロラインカフェで」
 ○「THE CHAT Ver.2.1」
 ○「THE CHAT」
 ○「やがて世界は詩に至る」

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