実践:市場創造の経営学【商売のからくり2〜フランチャイズ本部】
発行日:2/9
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┃>◆■ 実践:市場創造の経営学〜No.272 ◆■(隔週金曜刊)
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【こんにちは三河恵です。】<ビジネスモデル考察2
―太平洋クラブ倒産その2(マネーゲーム)>
●太平洋クラブ倒産について、前回、過去のビジネスモデルが通用しなくな
っていることをお話しました。
その中で、預託金商売とは本質的にマネーゲームであり、本来のゴルフラ
イフを提供する技術とは異質のものであります。これは、いわば、自動車会
社がこの円高の中、現地生産を増やすため、「どのような資金調達を講じる
か」と、「どのような自動車を開発し、どのように作るのか」の技術開発を
する技術とは異質なものであるのと同じです。
●ゴルフ場経営者の多くは、どのようなゴルフライフをお客様に提供するの
か、その目指すものについての技術について関心の無い状態でありました。
現在までの太平洋クラブも経営陣は、どのようなゴルフライフを目指し、
どのような技術を開発するべきなのか、どのように集客して利益に結びつけ
るのかといった、商売上のノウハウについては、各コースの支配人任せで、
まったく関心がないと断言してよいと思っています。そのようなことは現場
の技術であり、経営の問題ではないと無意識に考えていたようです。
これはいわば、どのような自動車を作るのかについて、課長、部長任せで、
経営陣に関心がない状態といってよいのです。
●太平洋クラブの支配人と話していても、自分たちのいわば商品について認
識できておらず、売上を稼ぐためのメンテナンス、広告などを行っていると
の認識に過ぎません。自分たちの商品をどのようなものとするのか、まとま
った考えを理解できていません。
そのため、イベントなどは極めて散発的に行われており、支配人同士のノ
ウハウの共用なども、組織だってサービス業の商品に当たる技術の積み上げ
が会社の組織として行われていません。
今回スポンサーとなったアコーディアゴルフのノウハウの良し悪しについ
ては後に記しますが、少なくともアコーディアゴルフは、集客技術と連動し
た商品開発を行う概念を持っています。
太平洋クラブの経営者たちにとっては、商品開発と集客技術などは商売の
基本技術とは認識できていないのです。
●これは、前回お話ししたビジネスモデルの変化についていけていないので
す。即ち、これまでは預託金集めに奔走し、その回転で利益を出せばよかっ
たのですが、会員権相場が立たなくなった現在では、プレーフィーだけで利
益を出し、預託金の償還請求に答えていかなければならない状態となってい
ることを、認識できていないのです。
良い商品を開発し、有効な宣伝手法を開発して集客に成功し、利益を出し
て、預かり金を返済していくビジネスモデルを構築することを怠ってきたの
です。
●現在、法的手続きに入った経緯については、計画倒産といわれても仕方の
ないほど、この数年の動きは用意周到であり、タイミングを計ったものであ
ります。これほど計画された倒産が、刑事告発を受けないものであるのか、
心配になります。
もちろん計画倒産で刑法上の犯罪と認定されるには、金の流れなどが明確
にされなければなりませんが、少なくとも道義的には、経営陣の背任行為で
あります。
つまり、旧住友銀行の商売であった実態から、旧住友銀行の経営責任が問
われなければなりません。直接的には太平洋ホールディングスが、100%の太
平洋クラブの株式を保有する以上は、東急不動産の経営責任が問われるべき
であります。
●しかし、太平洋ホールディングスの株主名簿は公表されておらず、今回、
この100%株を保有する太平洋クラブの親会社が民事再生法の対象ともなっ
ていません。
これは、債権者といっても旧住友銀行は実質経営者であり、貸付金は既に
処理済みか、処理が決まっているものと思われます。この数年の概略の決算
書にはその形跡が伺われます。
分社化なども本来の経営目的からは説明が付かないものです。
現在の社長の経歴も、ゴルフ場経営のノウハウを持っているとは思われず、
その就任の経緯からも明らかに精算人です。
全ての準備は整っているようであります。
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■■ 2001.1.12配信
◆◆◆ 【商売のからくり<2>】
■■ 〜フランチャイズ本部〜
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フランチャイズ本部に限らず、今や大企業に至るまで、本業にまい進
することなく、マネーゲームだけで企業活動が行われているに等しい。
かつての、働き蜂とまで言われ、誰もかれもが寝る間も惜しんで、新
しい産業、技術を開発していた時代を思い起こし、本当の商売とは何
なのかを考え直さなければならない。
----当時の記事から------
資本主義の世の中、企業の目的は、利潤の追求である。
制度的に定められ、関係する法律が作られている。
そこで、企業活動における価値基準は、「利益」。つまり儲かるか否かで
ある。
フランチャイズ本部を作る場合も、本部の基準は、自社の利潤である。
本部が、儲かるか否かである。
加盟金を受け取り、加盟店がオープンした後、ロイヤリティーは、概して、
本部にとっては加盟金よりも利益の少ない仕事である。
そこで、いわゆる「オープン屋」とよばれる、加盟金を受け取るだけで、
その後の指導をしない本部が出現することとなる。
加盟店と本部の、商売の利害が一致しないところがある。
スーパーバイザーと呼ばれる指導員が、各店舗の指導をして回り、その対
価としてロイヤリティーを受け取ることは、加盟金を集め、出店することと
比較して、極端に利益率が悪く、本部の利益追求からすると、「やりたくな
い仕事」と思われている。
しかし、本来、加盟店が利益を上げることができなければ、本部としても
成り立たないことであり、「オープン屋」と呼ばれる本部が3年以内にほと
んど消滅するのはこのためである。
また、オープン屋自身も、面倒な運営指導を逃げるために、計画倒産など
で姿を消したりもする。
それでも、この「オープン屋」が後を絶たなくなったのは、1つの本部が
消滅しても、また、別の事業をフランチャイズ化することで、別の本部を作
ることができるためである。
利潤の追求が企業の目的であると定めたこの世の制度においては、このよ
うな矛盾が起こることになるのだが、本来、この資本主義制度の以前に社会
的モラルが存在するわけであり、それに照らし合わせれば、「オープン屋」
は詐欺行為である。
しかし、法律的には証明が難しく、実際は野放しになっている。
この辺が、資本主義制度のみに依存しすぎた、現代社会の限界といえる。
では、フランチャイズ事業の基本のからくりとは?
本部の利益構造を健全化しておくことが、加盟店、本部、両者にとって、
長期的にも本来の姿であり、利益が大きいことは明白である。
つまり、ポイントは、加盟店が出店後、加盟店、本部共々、利益を上げら
れる構造を作り出すことである。
自分がフランチャイズ展開する事業とは何かを知る。
できるなら、3年以上直営で事業経験を積み、ノウハウをマニュアル化し
た上で、その事業を展開するべきである。
中には、他人の行っていた事業を買い取ったり、共同で加盟店の募集のみ
を行う本部もあるが、これは、その事業の経験者である「他人」の援護がな
ければ、なかなか展開後の運営ノウハウを指導していくことは難しいもので
ある。
開店後の運営指導システム、すなわち、SVシステムを作らない、あるい
は力を入れない本部の経営者には、大きく分けて2タイプがある。
1つは、はじめから加盟金目当ての詐欺。
もう1つは、SVシステムを作らなければならないことを解っていない本
部経営者である。
どちらも、本部経営は、本来してはならない経営者たちである。
1番目の詐欺師については、社会的問題であるので、フランチャイジーと
しては、自衛して騙されないようにすることと同時に、法的に対処するべき
内容である。
問題は、2番目の経営者たちである。彼らに、いくら加盟店に対して詐欺
行為とならないようSVシステムの構築を強く勧めても、「なぜ、そんな
ことをしなければならないのか?」と逃げてしまう。
彼らから見ると、「自動車だって、運転していて事故で死ぬことはある。
だからといって、車を売ってはいけないということにはならない。」と思っ
ているのである。
しかし、PL法の精神にあるように、欠陥は許されないし、より安全な車
づくりを目指さない企業など、許されないのだ。
企業の利潤追求の一方で、企業の社会的責任を求める努力も続いている。
それは、環境問題に対する努力、労働環境改善努力などが、人間の歴史の中
で、営々と続けられてきていることに現れている。
フランチャイズ本部の中での、こうしたオープン屋対策としては、開業後
も本部に十分利益がでること、また、加盟金などとしても、開業前に集める
ことのできる金額を制度的に押さえることが必要であろう。
そして、何よりも出店技術、運営技術などの向上が、その基礎として必要
であり、フランチャイズ協会などが中心となり、本部経営者たちに普及させ
ることが、大切なことである。
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◆執筆者:三河恵のプロフィール
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