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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ローガン こんな映画は見ちゃいけない! 

2017/06/01

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2017/6/1  Vol.1851     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
           「ローガン」  です。

治癒力は失われつつあり、老化も止まらない。超人的な破壊力にも陰
りがみえる。内なる怒りも消え、今やその日暮らしの身でメンターを
介護している。物語は、かつて能力を恐れられたミュータントのうら
ぶれた“その後”を描く。いや、不老不死の肉体で数百年を生きた主
人公は、“呪い”から解放されると喜ぶべきか。そんな時現れた彼の
ポテンシャルを受け継いだ娘。運命を憎み他人を遠ざけてきた男の胸
に愛情が芽生えた瞬間、初めて自分を大切にしようとする。数えきれ
ないほどの敵を手にかけ多くの仲間の死を見送ってきた彼が哀しみの
中で見つけた希望は、最後のX-MENにふさわしい。

90歳になったチャールズの面倒を見るローガンは、見知らぬ女からロ
ーラという少女を預けられる。ローラは屈強な追っ手を一瞬で切り刻
むが、危険を察したローガンはチャールズとローラを連れて逃亡する。

ローラは実験室で生まれ、兵器として育てられたミュータントの一人。
用済みになって殺される前に脱走したが、研究所の傭兵たちがどこま
でも追いかけてくる。一方でローガンは老眼鏡でスマホを見るほど衰
え、チャールズに至ってはテレパシーを制御できず軟禁されている。

派手に破壊していた旧世代のミュータントは絶滅寸前、それでも圧倒
的な身のこなしで敵をなます斬りにするローラに人間らしさを取り戻
させるのが使命と、ローガンは傷の癒えない身体に鞭を打つ。ローラ
の瞳に浮かぶ虚無が人殺しの宿命を象徴していた。

       お勧め度=★★★★(★★★★★が最高)

                  「ローガン」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170327
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
          「ゴールド 金塊の行方」  です。

投資家、労働者、役人、銀行、政治家……。夢を叶えるためにずっと
彼ら戦ってきた。貴金属を質に入れて旅費を作り、門前払いされても
出資者を訪ね歩き、相棒と共にひたすら有望な土地を掘り続けた。物
語は、資源開発会社経営者の、金に魂を奪われた狂気にも似た情熱を
描く。信頼できるのは異端の地質学者のみ、何度も破産の危機を迎え
ながらも決してあきらめない。成功の目途がつくと、横取りを目論む
財界人や独裁者をも相手にする。それでも主人公はあくまで主導権を
手放そうとせず己の道を貫く。リアルに再現された資本家の貪欲な生
態は、マネタリズムこそが米国経済を支えていると訴える。

父の鉱物会社を受け継いだケニーは倒産寸前の経営を立て直すために
インドネシアに進出、マイクをパートナーにしてジャングルの奥地で
試掘を始める。資金が尽きかけたころマイクが大きな金脈を発見する。

でっぷりと突き出た腹、禿げあがった頭、ヨレヨレのスーツ。自身満
々の押し出しで事業計画を語るが、超高級ホテルのスイートでもダサ
いブリーフを穿いているケニー。そのうさん臭い物腰は逆にこの男を
信じてみようという気にさせる。洗練された金融界のエリートよりも、
田舎者の成り金丸出しの態度はむしろ正直にさえ見えるのだ。

投資銀行の幹部を前に掘削の最前線を渡り歩いてきた苦労を説くシー
ンは、仕事とは机上で知恵を絞るのではなく現場に出て手を動かし額
に汗するものだと教えてくれる。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

              「ゴールド 金塊の行方」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170513

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
          「光」  です。

丁寧すぎると押しつけがましいと言われ、理解力に期待すると気配り
が足りないとクレームがつく。さらに“映画の大きな世界を言葉が小
さくしている”と存在自体を否定されたりもする。努力しているのに
認めてもらえない無力感と戦いながら頑張るヒロイン。物語は、視覚
障碍者のための音声ガイドを製作する彼女が、視力を失いつつあるカ
メラマンの苦悩に触れて新たな自分を発見していく姿を描く。スクリ
ーンに投影された情景や動作を説明するだけでは未熟、登場人物の感
情を掬い取り的確な語彙で伝えなければならない。試行錯誤の繰り返
しの中で、見えないからこそ感じる“光”があるとこの作品は訴える。

老夫婦の愛を扱った映画の解説ナレーションに取り組む美佐子は、有
名なカメラマンだった中森から厳しい指摘を受ける。ある日、中森の
部屋に届け物を持っていくと、彼の撮った夕日の写真に心を奪われる。

「映画作り」とは、そもそも文字で書かれた脚本に、映像にしていく
作業。一方美佐子の仕事は、出来上がった映画を言葉で再構築すると
いう逆の手順を踏む。視覚障碍者の想像力を刺激するフレーズで表現
しつつ、自身の解釈を加えてはいけない。視聴会での批判と中森の攻
撃的な態度。ところが美佐子は、中森がかつてフィルムに焼き付けた
世界が美しさに満ちていたと知り、彼の人生に興味を持つ。

それは目が見えることに甘えて小さな現実しか見てこなかった己に対
する省察。そして一番大切なものを捨てるつらさを美佐子は感じ取る。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

              「光」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170529

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
          「光をくれた人」  です。

沈黙を守っているべきだった。無関係を装うべきだった。だが、夫と
子の墓前にたたずむ女を見て、少しでも痛みを和らげてあげなければ
と思った。物語は、拾った赤ちゃんの親と偽っていた夫婦が、愛と真
実の葛藤に苦しむ姿を描く。このまま家族としてすごしたかった。そ
のために他人の人生を踏み台にするのは許されるのか。正直者の夫は
罪の意識を軽減しようと運命を相手に託すが、かえって人々の平安を
かき乱す。自らを罰せねば気がすまない、一方で妻を傷つけたくない。
そんな彼が下した決断は、良心とはいかなるものかを問う。強風吹き
すさぶ丘、荒波打ち寄せる海岸、分厚い雲に覆われた空。四季をとら
えた映像は、厳しい自然の中で生きる人間の営みを美しく際立たせる。

戦争のトラウマが癒えないトムは孤島の燈台守を志願、町で出会った
イザベルと結婚する。ところがイザベルは2度流産、ふたりは漂着した
小舟に乗っていた赤ちゃんをルーシーと名づけ育てる決心をする。

その後、町に住む寡婦のハナがルーシーの実の母と聞いたトムは彼女
に匿名の手紙を書き、娘の無事を知らせる。死んだはずの赤ちゃんの
消息にハナの胸中は千々に乱れ、希望と怒りが入り交じる。トムは深
く悔いているのだが、ルーシーにつらい思いをさせたくもない。自首
はイザベルに対する裏切りになるがゆえに遠まわしな手段をとる。

何かを、誰かを犠牲にしなければならない。そのあたりのトムの苦悩
をマイケル・ファスベンダーが抑制の効いた演技で表現する。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

              「光をくれた人」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170530

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
          「美しい星」  です。

UFOによるアブダクション、人間に紛れた異星人、地球内部から湧き上
がるパワー。4人家族がほぼ同時期に日常から乖離した体験をしたこと
から、己の使命に覚醒する。温暖化から地球を守るべきか、環境破壊
の元凶となる人類を排除すべきか、次世代に希望を託すか、自らの肉
体を浄化するか。物語は、父母息子娘の一家がそれぞれにわが身がは
宇宙人であると信じ込み、現代社会に深刻な疑問を投げかける姿を描
く。現実なのか幻覚なのか、彼らが目の当たりにした超常現象は胸に
くすぶっていた問題意識を刺激し、より先鋭化していく。その過程は
コミカルかつシニカル。長女の頭の中で様々な記憶がフラッシュバッ
クするシーンは映画的な魅力に満ち、編集のテクニックが映像の力を
増幅させると教えてくれる。父がキメる“火星人ポーズ”が笑わせる。

当たらないので有名な気象予報士・大杉は愛人とドライブ中に光の玉
と遭遇、ひとり田んぼの中で目覚める。それを機に番組で火星人とし
てメッセージを送り始めると、視聴者に受け続投が決まる。

長男の一雄は政治家秘書に抜擢され“決断する水星人”、路上歌手に
感化された長女の暁子は“金星人の子”を身ごもり、妻の伊余子はイ
ンチキ水販売で“地球人”の自覚を新たにする。各々がお互いの変化
に気づきながらも、自身も変わっているので相手を否定したりしない。

4人生まれてきた意味を悟り、運命を受け入れる心の変遷がディテール
豊かに再現され、この作品の世界観に心地よく見る者をいざなう。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

              「美しい星」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170531

          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

お掃除ロボットを買おうと思って近所の家電量販店に出かけたのです
が、だいたいどこのメーカーも最新機種は5万円以上と結句値が張りま
す。

とりあえず今回は実物を何種類かチェックするだけで帰ったのですが、
改めてネットで調べると目星をつけていた商品がお店よりも2万円近く
安く売っていました。

これはチャンスとすぐ注文しました。お届も2日以内と迅速です。やっ
ぱり安さは購買意欲を掻き立てます。

米国ではネット販売のおかげで小売店がどんどんつぶれているそうで
すが、日本にもその波は近々やってきそうですね。。。

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      次回配信予定は6/3、作品は
         
            「花戦さ」
         
              です。

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