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こんな映画は見ちゃいけない! 

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メッセージ こんな映画は見ちゃいけない! 

2017/05/18

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2017/5/18  Vol.1847    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
               「メッセージ」  です。

ふとした瞬間に脳裏に浮かぶのは、死んでしまった娘と過ごす幸せな
時間。時に沈んだ気持ちにさせられるけれど、耐えるしかない。物語
は言語学者のヒロインが、突然地球上の各地に現れた巨大物体の乗組
員とコミュニケーションを取ろうとする姿を描く。どうやって地球に
来たのか? 目的な何なのか? 答えを聞き出すために彼女は様々な交
信を試みる。話し言葉ではなく書き言葉。1文字に凝縮された主語述語
目的語。まったく違う価値観の中で共通する概念を摺り寄せ、なんと
か真意をくみ取ろうとするが、英訳は難しい。決して攻撃はしてこな
いが友好的でもない彼らに対し、人類は如何に対応すべきか。こんな
時に試されるのは我々自身の理性であるとこの作品は訴える。

交渉役に抜擢されたルイーズは物理学者のイアンとともに宇宙船に入
り、7本足の異星人の文字を解読しようと努める。やがて翻訳した異星
人語から“武器を使え”という意味と思われるメッセージを受け取る。

中国やロシアにも出現した宇宙船は当事国政府が独自に対処し、他国
と連携しようとはしない。それぞれが異星人の反応をうかがいつつも、
他国の出方も気にするのは米国も同じ。地球規模の一大事、しかも重
力を制御するほどの圧倒的科学力を持つ彼らに敵うわけはないのに戦
闘準備を始める各国政府の軍部はは人間の愚かさを象徴していた。

一方で異星人から敵意を感じないルイーズは、彼らは時間を超越した
存在であると知り、頭に湧くイメージこそが“武器”だと気づく。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                  「メッセージ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170406
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
     「夜明け告げるルーのうた」  です。

音楽は好きだけれど人づきあいは苦手。せっかく曲を作ってもネット
への投稿で満足している。物語は、孤独を癒してくれた幼い人魚が窮
地に陥ったことから、主人公の少年が閉じこもっていた殻を破る決意
をする過程を描く。小さな町は都会から来た中学生にとってなじみ薄
く、離れて暮らす母への複雑な思いは増すばかり。バンドにスカウト
されてもイマイチ熱くなれない。それでも人魚と一緒にいるときは明
るい気分になれる。だが、大人たちが人魚を利用しようとしたとき、
町に渦まく欲望が怒りや憎しみに爛れていく。そして、誤解を解くた
めに他人と関わらざるを得なくなった彼はもはや傍観者ではいられな
い。ウクレレを手にする姿は、音楽は世界を変える力を持つと訴える。

遊歩と国男に誘われたカイは音合わせのために人魚島に渡る。カイが
サウンドを調整中に少女の人魚が現れ美声を披露する。夜、カイの部
屋を訪れた少女の人魚はルーと名乗り、カイは彼女を町に案内する。

その後、灯篭祭りのミニライブで歌ったルーの動画が拡散、町にルー
目当ての観光客やマスコミが押しかける。町おこしの目玉にしたい遊
歩の祖父は人魚ランドを復活させ、オープンイベントでルーをデビュ
ーさせるが、光を怖がるルーにフラシュが当たりルーは暴れ出す。

その間、人前に出たい遊歩や国男とは裏腹にカイは浮かぬ顔。海水を
自在に操るルーの能力を見たカイは、彼女が遠い存在になっていく寂
しさをうまく受け止められない。そんな彼の気持ちが切ない。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

              「夜明け告げるルーのうた」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170418

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
       「あの日、兄貴が灯した光」  です。

失明した柔道選手の前に十数年ぶりに現れた異母兄。弟を利用しよう
と近づくが、あまりの変わりように放っておけなくなる。物語はそん
な兄弟が、2人で協力して人生の希望を取り戻す姿を描く。ケチな詐欺
師でしかない兄が得意の口八丁手八丁で世間に背を向けた弟の胸を開
いていく過程は、幼いころの共通の記憶を掘り起こす作業でもある。
愛してくれた両親はもういない、頼れるのは兄だけ。兄のほうも残り
わずかな時間を弟のため使おうと決心する。そばで兄が見守っていて
くれると頑張れる弟。自らの過去を省み、よき人間としての足跡を残
したい兄。彼らの奮闘は、信頼こそが生きる糧であると教えてくれる。

仮釈放されたドゥシクは実家に帰るが、目の不自由なドゥヨンの世話
もせず遊び呆けてばかり。だが、母の思い出を語るうちにドゥシクが
家出した理由を理解したドゥヨンは、ドゥシクを許そうとする。

かつて韓国代表だったドゥヨンは、元コーチのスヒョンからリオ・パ
ラリンピック出場を勧められている。ドゥシクは己の余命が3ヶ月と診
断されると、ドゥヨンを独り立ちさせるにはもう一度柔道で自信を回
復させるしかないと、スヒョンに復帰の後押しを頼む。

人をだますプロだったドゥシクがドゥヨンと暮らすうちに初めて覚え
た、自分も役に立っているという感覚。それはドゥヨンへの兄弟愛以
上に、弟が誇れるような兄になりたい意思の表れなのだ。このあたり、
いかにも韓国人らしい熱く濃い感情が交差する。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

        「あの日、兄貴が灯した光」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170317

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
       「マンチェスター・バイ・ザ・シー」  です。

あの日を境に時が止まってしまった。感情もなくした。何も考えなく
てもいいように体を動かして、思い出さずに済むように酒を飲む。物
語は、己を罰するかのように孤独で味気ない毎日を送る男が、兄の死
をきっかけに故郷に戻り、新たな人間関係を築いていく姿を描く。都
会から離れた小さな町は自然に恵まれ、歴史ある街並みは絵葉書のよ
うに美しい。そこには日々の生活があり、人々の喜怒哀楽がある。と
ころが彼は決して日常の営みに参加しようとはせず、自ら引いた一線
を越えようとはしない。それでも幼いころから面倒を見てくれた兄の
言葉には逆らえない。そして凍っていた心が徐々に溶け始める。ケイ
シー・アフレックの抑制のきいた演技が、主人公に深く刻まれた罪の
意識をリアルに再現する。

アパートの便利屋・リーは兄・ジョーの訃報を受け帰省、甥のパトリ
ックと共にジョーの弁護士を訪ねる。遺言でリーはパトリックの後見
人に指名され一緒に暮らすことを期待されるが。リーは拒否する。

愛する者と共に過ごす時間は何物にも代えがたい。だがそれを失った
ときの絶望は筆舌に尽くしがたい。遺志を聞かされている間、リーの
脳裏にはつらい記憶がよみがえる。いっそ消えてしまいたいほどの後
悔。苦悩を抱えたまま生きるのが贖罪であると思い込んでいる。

パトリックをあえて愛そうとせず愛されようともしないのは、喪った
ときの悲しみを恐れているからだろう。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

              「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170516


          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
      「パーソナル・ショッパー」  です。

心を澄まして感覚をオープンにすれば、確かに感じる死者からのメッ
セージ。彼らが伝えたくても叶わない思いを敏感に掬い取るヒロイン
は、自らもまた内なる声に導かれ説明のつかない体験をする。物語は
有名モデルのために服や靴・アクセサリーを調達する女が巻き込まれ
る不思議な事件を追う。見知らぬ誰かに行動が筒抜けになり、未来ま
で予想されている。音なきストーカーは彼女の本心を見抜き、言葉巧
みに彼女を操る。偶然なのか運命なのか、彼女は更なる悲劇に直面す
る。無視したい、ブロックしたいと考えつつも着信が気になってスマ
ホが手放せないメール交換アプリの中毒性がリアルに再現されていた。

人気モデル・キーラの買い付け代理人・モウリーンは、非通知の発信
者から奇妙なテキストを受け取る。モウリーンは指示されるままキー
ラの服や靴を試着するが、それは厳しく禁止されている行為だった。

死者の姿が見えるモウリーンは降霊にも興味を持ち、死んだ双子の兄
からの“サイン”を待っている。その後も非通知の発信者とのやり取
りは続き、いつしか住所まで知られてしまったモウリーンはキーラの
服を着たままホテルに呼び出されたりする。

このあたり先の展開が全く読めず、霊感と抑圧された願望が複雑に絡
まりあったモウリーンの心理が赤裸々になるほど、謎が深まっていく。
果たして彼女が目にしているものは現実なのか超常現象なのかという。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

        「パーソナル・ショッパー」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170517

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
           「スプリット」  です。

粗暴犯、優しい女、デザイナー、子供etc. 次々表出する人格は感情
や思考・記憶のみならず、フィジカルな特徴まで入れ替わる。物語は
そんな23重人格者が3人の女子高生を誘拐し、逃げようとする彼女たち
を一人ずつ餌食にしていく過程を描く。どの人格も彼にとっては本物、
だが自分では制御できずその時々でいちばん力のある人格が肉体を支
配する。そして彼らが待ち望むのは24番目の人格。頑強で不死身、驚
異的な運動能力の超人となった時、さらなる悲劇が彼女たちを襲う。
1人の男に宿る人格間同士でも、人間関係で悩むあたりが興味深い。

ケイシーのほか2名が坊主頭の男に拉致され、気が付くと地下室に監禁
されていた。ケイシーは男にヘドウィックと名乗る9歳の男の子の人格
が現れた時、言葉巧みに信用させてトランシーバーで助けを求める。

一方で理性的なバリー人格の時、男は精神科医・フレッチャーのカウ
ンセリングを受けている。フレッチャーは多重人格者こそ人間が潜在
能力を解放した存在という持論を唱え、坊主頭の男の人格たちと共に
究極の人格・ビーストの登場を待っている。ついにビーストが現れる
と体中の筋肉が強張り圧倒的な身体能力を持つに至る。

その間、男の幼少期のトラウマが人格分裂の原因と示唆されたり、女
子高生たちが何度も脱出を図ったり、バリーとフレッチャーの会話が
取りざたされるが、展開は緩く、多重人格者であることがネタバレし
ているので何でもアリの様相を呈する。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

              「スプリット」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170515

          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

東京五輪から追加種目となったスポーツクライミングで、選手がウェ
アに着ける個人スポンサーのロゴが禁止になったという報道がありま
した。

協会に公式スポンサーがついたための措置ですが、選手にしてみれば
マイナースポーツ時代から援助してくれた恩は忘れられない。

ミックスゾーンで着るベストに小さなロゴならOKという妥協案が示さ
れましたが、選手側は全く納得がいかない様子です。

そのうちスポンサー企業のロゴを、ヘアスタイルにするとか、シール
タトゥーにして直接肌に貼る選手が出るかもしれませんね。。。

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      次回配信予定は5/19 作品は
         
            「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
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