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こんな映画は見ちゃいけない! 

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アムール、愛の法廷 こんな映画は見ちゃいけない! 

2017/05/13

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2017/5/13  Vol.1846    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
               「アムール、愛の法廷」  です。

情よりも法の精神を重んじてきた。罪を犯した者には相応の罰を課し
てきた。その代償は、体調を崩しても誰にも心配されない孤独。物語
は、堅物の判事がかつて熱烈に焦がれた女との再会を機に、徐々に他
人の胸中を慮れるようになる姿を描く。司法に捧げてきた人生で、感
情よりも事実しか目に入らなかった。でも長期入院した時に触れた彼
女の手の温もり。その時覚えた安らぎが彼女を見るたびによみがえっ
てくる。絡み合う視線、短いメッセージ、そして言葉にした熱い思い。
抑制のきいた映像はふたりの繊細な心理を再現し、立場を忘れた男が
ただの恋するオッサンになっていく過程は、雪解けのようにやさしい。

小さな町で裁判長を務めるミシェルは、乳児殺害事件の公判に陪審員
として選ばれたのがディットと知って驚きを隠せない。ミシェルは休
憩中に彼女にテキストを送り、閉廷後ふたりはカフェで落ち合う。

麻酔医のディットは患者の不安を除くために手を握る。それを愛と思
い込んだミシェルは独占したいと願う。だが、退院したミシェルはデ
ィットの関心外、あっさりとフラれた過去がある。現状は裁判長と陪
審員、禁じられていないとはいえ個人的に会うのはまずいはず。それ
でも胸の高鳴りを抑えきれないミシェルは、そんな自分の内面を見つ
めなおすことで、人の心は本来理性では割り切れないものと悟る。

やがて、調書等味気ない文書しか読んでこなかったミシェルが若い父
親でもある被告を忖度するまでに変わっていく。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                  「アムール、愛の法廷」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170407
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
     「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」  です。

友人はいる。付き合っている異性もいる。でも孤独は埋まらない。ひ
とりでいるのは寂しいのに、誰かといても楽しめない。いったい何の
ために生まれ、なぜ生きているのか。その問いの答えを探すうちに日
々は無為に過ぎていく。カメラはそんな若者たちの無機質な日常に寄
り添う。夜はガールズバーで働く看護師も、建築現場の非正規労働者
も、今いる場所は己の居場所ではないと感じている。ところが、なか
なか次の一歩に踏み出すきっかけがなく勇気もわかず、ただ時間と若
さだけが消費されていく。時に端正な映像にかぶせられたモノローグ
はテレンス・マリックの映像詩を連想させ、大都会の華やかな幻想に
なじめず、夢すら持てなくなった彼らの内省的な生活が綴られる。

バイト先で慎二と知りあった美香。その後も偶然顔を合わせる機会を
重ねるうちに恋人同士のようになる。現代の価値観にどこか違和感を
抱き街の喧騒に埋もれていたにいたふたりは、静かに愛を育んでいく。

決して余裕はないが、暮らしていけないほどではない。だが彼らの心
に巣食っているのは漠然とした生きづらさ。展望はなく、先細りしか
ない将来に対する不安も胸によぎる。さらに、美香は人の死に接する
仕事をしている上には母自殺、慎二は同僚や隣人の死に直面するなど、
濃厚な死の予感がふたりにまとわりつく。

それでも朝が来ればまたリセットする。東京に疎外感を覚えながらも
東京を離れられないふたりの不器用さがリアルに再現されていた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

              「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170315

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」  です。

自分のみならず母も捨てた実の父が突然戻ってきた。しかも超越的な
パワーを持った“神”として。主人公は戸惑い拒絶するが、やがて壮
大な目的を知って心を開く。物語は万能のバッテリーを盗んだ5人組が
逃走中に謎の男に命を助けられ、保護された惑星で全宇宙を支配しよ
うとする企みを阻止せんとする戦いを描く。父と子の過去、姉と妹の
相克、外見よりも内面の美しさ、復讐と怒りの激しさ、友情と信頼が
生み出す力……。個性豊かな多数の登場人物の複雑に絡み合った思い
が凝縮された展開ながら、それぞれにどこか共感できる部分があり感
情移入しやすかった。復活した樹木人の幼木が愛らしい。

人間の肉体を得た知的生命体・エゴに救われたピーターたちはエゴの
惑星に避難する。一方、ピーターの養父でもある宇宙海賊・ヨンドゥ
はロケットとグルートを捕えるが、子分の裏切りにあって監禁される。

エゴが本当の父と納得したピーターは、己の体にも“神”の血が半分
流れていることに優越感を覚える。同時に、2人で協力すれば宇宙のす
べてを支配下に置くのも可能だというエゴの言葉に惑わされる。それ
でもエゴが母に対して行った仕打ちを知って不信感が芽生える。

不幸な生い立ちゆえ自己チューな考え方しかできなかったピーターだ
が、母からの愛だけは明確な記憶がある。そして、ガモーラへの気持
ちをエゴの秘書に読み取られても素直になれない姿が、愛に正面から
向き合えない彼の不器用さを象徴していた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

        「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170511

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
           「赤毛のアン」  です。

キラキラ光る瞳、ピンと伸びた背筋、目にしたものに意味を見つけ修
辞を施すおしゃべりな口。でも髪の色をからかわれるとへそを曲げる。
物語は自然豊かな島に住む老兄妹のもとにやってきた孤児の娘が、新
しい人間関係のなかで家族以上の絆を築いていく姿を描く。農村で暮
らしの兄妹にとって、過酷な半生を送ってきた少女は自分たちよりも
経験値が高く、いつしか彼女のペースにハマってしまう。愛する者の
ために生きる、それが人生を豊かにするとこの作品は教えてくれる。
物おじせず、次々と言葉が飛び出すヒロインの、11歳の少女とは思え
ないボキャブラリーと文学的表現が四季の風景に彩を添える。

小さな農場で家畜を飼うマシュウとマリラ兄妹は男の子の養子を望む
が、送られてきたのはやせっぽちの女の子・アン。マリラは失望する
が、マシュウはアンの利発さを気に入り、家に引き取る決心をする。

隣人のレイチェルに外見のコンプレックスについてずけずけと指摘さ
れ、いきなりキレるアン。たとえ相手が大人でも無礼者には筋を通す。
それでも、年長者に対する礼を失していたことはきちんと反省し、先
に頭を下げてレイチェルの顔を立てる気遣いも見せる。

幼い時に両親を亡くしたあと様々な家庭を転々とし、生き残るために
は何をすべきかを小さな体で学んだのだろう。一方で空想の翼を広げ
てつらい現実から逃避する術も身に着けている。笑顔の下に隠された
彼女の心は、本当は屈託を抱えているのかもしれない。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

              「赤毛のアン」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170512

          を参考にしてください。


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        余|談|
        ━┛━┛

日曜日から始まる大相撲夏場所、3連覇のかかる稀勢の里のケガの回復
具合が毎日のようにNHKのスポーツニュースでレポートされます。でも、
それよりも気になるのは土俵入りの化粧まわし。

「北斗の拳」のラオウが描かれたものを稀勢の里がつけるそうですが、
コミックではあんな兜をかぶっていたことはありません。

連載終了後、いろいろな派生娯楽の中から生まれてきたものかもしれ
ませんが、原典を知る者にとっては、貶められたような気がします。

まあ、いずれにせよ土俵入りの時は化粧まわしの上から横綱を締める
から見えないのですが。。。

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      次回配信予定は5/18 作品は
         
            「メッセージ」
         
              です。

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