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こんな映画は見ちゃいけない! 

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グレートウォール こんな映画は見ちゃいけない! 

2017/04/13

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2017/4/13  Vol.1841     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
            「グレートウォール」  です。

見上げんばかりの高い城壁が地平線の果てまで続いている。大地を埋
める獣の大群が津波のごとく押し寄せる。圧倒的なスケール感は21世
紀中国の勢いそのもの。物語は60年に一度襲来する伝説の魔獣と人間
の攻防を描く。獣たちは死ぬまで攻撃をやめない。迎え撃つ兵士たち
は命知らずの精鋭。投石機、石弓、空中戦、白兵戦……。獰猛な牙を
むく獣たちに対し、カラフルに色分けされた守備隊がそれぞれの特技
を生かして城壁を防衛する前半のクライマックスは、斬新な武器兵器
戦術のオンパレードだ。槍で突き、矢を射、剣を刺す洗練されたアク
ションはまさに血と死の美学。ヌンチャクで陣太鼓を打ち鳴らす青甲
冑の女兵士たちの一糸乱れぬ動きは、至高の様式美に昇華されていた。

火薬を探して砂漠を流れてきたウィリアムとトバールは長城の守備隊・
禁軍に捕らわれる。そこに数万頭もの魔獣が突撃してくるが、ウィリ
アムらは見張り兵の窮地を救い、指揮官・リンから客人扱いを受ける。

ウィリアムが持っていた磁石が魔獣を無力化したことから作戦を立て
直す禁軍。1匹を生け捕りにし、おとなしくさせると首都の皇帝のもと
に送る。一方で進化した魔獣たちは長城の正面突破をあきらめ穴を穿
って侵入、周辺の村を蹂躙しながら首都を目指す。

その間、国に忠義を尽くすリンの人生を知ったウィリアムは、傭兵と
して生きてきた己の過去を省みる。そのあたり、個人主義の西洋人と
国家第一の中国人の考え方の相違が色濃く反映されていた。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                  「グレートウォール」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170223
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
              「午後8時の訪問者」  です。

勤勉で優秀、将来を嘱望されエリートの自覚もあるが、忖度するやさ
しさには欠けている。物語は町の小さな診療所に勤務する女医が、ひ
とりの少女の死をきっかけに己の内面を見つめなおす姿を描く。あの
時少女は診察ではなく助けを求めていた。その後悔が彼女の背中を強
く押し、医師の立場では経験できない境遇に自らを追い立てて不法移
民や低所得者層が暮らす世界の成り立ちを目にする。今まで傷口や症
状しか見てこなかった彼女が、弱さや狡さ・秘密と苦悩を抱えた“人
間”そのものに興味を向けるようになる過程は、ミステリーの味わい
を残しながらもほろ苦く切ない。そして、感情に流されない訓練を積
んできたはずのヒロインが、たどり着いた真実。ほんのわずかな思い
やりが人も自分も救うとこの作品は教えてくれる。

診療時間外にベルを鳴らす黒人少女に応対しなかったジェニーは、翌
日少女が身元不明の死体で発見されたと聞かされる。後ろめたさに苛
まれたジェニーは少女の名前を知りたいと聞き込みを始める。

担当する少年の心拍数から情報を引き出すジェニー。その後も、トレ
ーラーハウス、ネットカフェなど、街の裏社会で息をひそめている住
人に接触していく。そこはよそ者に冷たく、生きるために必死のはみ
出し者が屯する地域。ジェニーはひるまず贖罪を果たそうとする。

やがて、せめて少女を家族のもとに返してやりたいと願うジェニーの
思いは、警察と関わりになりたくない人々に伝わっていく。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                    「午後8時の訪問者」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170412

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
             「ぼくと魔法の言葉たち」  です。

言葉だけではない。愛や友情といった人が人を思いやる気持ち、困難
に立ち向かう勇気、なにより、なぜ生まれなんのために生きるのかを
教えてもらった。映画は、人生に必要なことをほとんどディズニーア
ニメから学んだ自閉症者の自立を描く。心を閉ざした男児が関心を抱
くのは、ビデオの中で繰り広げられる若者の冒険やプリンセスの恋愛。
セリフを覚えるまで何度も繰り返し再生されたファンタジーは彼にと
って世界のすべてなのだ。だが、その内容が日常と切り離されている
おかげで、想像力は普通の子供より豊かになる。アニメのキャラに扮
した父が彼とコミュニケーションを取るエピソードは、人間の脳は解
明されていない点も多く、大いなる可能性を秘めていると訴える。

自閉症児施設の卒業を間近に控えたオーウェンは、対人関係も無難に
こなし、ディズニーアニメを見る会を主宰するまでに社会性を回復さ
せていた。ガールフレンドもできひとり立ちの日を楽しみにしている。

6歳の時に初めて発した言葉が「リトル・マーメイド」の一節だと気づ
いたオーウェンの父は、アニメを利用すればオーウェン会話できると
知り、自身もセリフを研究する。オーウェンが共感しているのはヒー
ローやヒロインではなく、時に彼らを諫め慰め力づけるサブキャラた
ち。こんな自分でも誰かの役には立てると自覚しているのだろう。

教室で積極的に発言し先生の質問にも答えようとするオーウェンの姿
は、「物語」がいかに大きな力を持つかを示していた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                    「ぼくと魔法の言葉たち」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170411

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
             「ゴースト・イン・ザ・シェル」  です。

脳だけは人間だが他の器官はすべて人工物。「自我」を認識している
が記憶には濃い霧がかかっている。それでも、目の前の犯罪に対処す
る腕に長け、公安捜査の能力は超一流。物語は機械の体で復活した女
がサイバーテロ組織と対峙するうちにアイデンティティに疑問を抱く
姿を描く。教えられた過去は事実なのか。信じている正義は本物なの
か。捜査を進めるうちに少しずつ食い違っていく理想と現実に、彼女
は感情を乱されていく。ヒロインが肉襦袢風の外装で暴れるシーンは
ぎこちなく、古いCGを見ている気分になる。

オウレイ博士によって“義体”を得た少佐は、ハンカ社のエンジニア
たちが脳をハッキングされる事件を追う。少佐はクゼという男がテロ
の黒幕であると突き止めるが、同時に自身の価値観も揺らいでいく。

クゼに近づくうちに少佐の胸の奥につかえていた違和感は大きくなり、
ほどなく確信となる。騙されていた。利用されていた。実験台にされ
ていた。そして、同じ運命を背負わされた挙句失敗作となって消えて
いった人々が、彼女の移植手術以前にも何人もいたと知る少佐。オウ
レイ博士とハンカ社への疑惑は怒りに変わり、信頼は憎しみと化す。

その過程は硬質な質感の映像で再現され、人とロボットの境界があい
まいになった世界で、人間として振る舞う難しさにリアリティを与え
ていた。「心」とはなにか。それは誰かを愛し、誰かに愛された、デ
ータ化できない実感から芽生えるとこの作品は訴える。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

                    「ゴースト・イン・ザ・シェル」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170410

          を参考にしてください。


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        余|談|
        ━┛━┛

Netflixを1ヶ月無料体験したのですが、結局ドラマを1本だけ見て退会
しました。タブレット端末で見るという行為がどうも性に合いません。

映画もそれこそ何千本と見放題なのですが、ベッドに寝転がって干渉
するのはなんか安っぽい気がして集中できそうにもありません。

でも、よく考えると、ひとりで映画を楽しむというのはエジソンが発
明したキネトスコープと同じ発想です。

映画の誕生から120年以上の時を経て、先祖返りしたということでしょ
うか。。。

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      次回配信予定は4/15 作品は
         
            「ReLIFE」
         
              です。

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