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夜は短し歩けよ乙女 こんな映画は見ちゃいけない! 

発行日:4/6

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2017/4/6  Vol.1839     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
              「夜は短し歩けよ乙女」  です。

立体感のないイラスト風の登場人物と背景に違和感を覚え、京都が舞
台なのに標準語アクセントのセリフにため息をつく。ところが宴会か
ら宴会へと渡り歩くヒロインの冒険に付き合ううちに、この作品の世
界観が酩酊感のように全身にしみわたり、いつしか心地よさに浸って
いる。物語は、酒を求めて古都を彷徨する女子大生と彼女に思いを寄
せる男の奇妙な一夜を追う。魔物が潜んでいそうなバーや宴席、理解
不能の伝統を受け継ぐグループ、子供の姿をした古本の神、学生の自
治を謳う学園祭とゲリラミュージカルを取り締まる秘密組織etc. 脈
絡のない奇想と突飛な発想は合理的な説明など一切拒否し、彼我の境
界線で綱渡りするがごとき足元の覚束ない感覚を味合わせてくれる。

“黒髪の乙女”の気を引こうと手を尽くす“先輩”は、酒豪の彼女に
付きまとうがタイミングがかみ合わない。だが、古書市で彼女がほし
がっている絵本を手に入れ、接触するチャンスをうかがう。

好奇心のおもむくままあらゆる場所に足を踏み入れ、何事が起きよう
とも受け止め消化する“乙女”。「人生は出会い」とばかりに、積極
的に他人にかかわる。手をこまねいて見ているだけの“先輩”は逆に
トラブルに巻き込まれては、彼女への募る恋心を空振りに終わらせる。

オタクばりに妄想を膨らませるが“乙女”の前に出ると無力になる。
そのあたり、彼らの心情が肩肘張った原作の文体で再現され、“先輩”
の幻覚にも似たイメージを直感的に映像化することに成功している。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                  「夜は短し歩けよ乙女」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170331
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
              「ムーンライト」  です。

内気な性格ゆえに子供のころから標的にされてきた。高校に進学する
と、細く華奢な体はさらに過酷な暴力にさらされる。でも、ひとりで
泣きそうになっているとき、いつも気にかけてくれる友達がいた。物
語は、淫売の母に育てられたせいで女に興味を持てなくなった男の純
粋な思いを追う。ゲイとは何かを知らなかったころは母が原因だと思
っていた。その意味が理解できる年ごろになると、考えるほどすっき
りとしない気持ちを自覚する。人と違うのは異常なのか、男を好きに
なるのは悪いことなのか。切ないけれど美しい、はかないけれど優し
い。主人公が抱えてきた哀しみを包み込むような映像は、深く静かに
見る者の胸に突き刺さる。

小学校でいじめられているシャロンは、麻薬売人のファンに助けられ
強く生きる大切さを教えてもらう。高校でも孤立していたシャロンは
幼馴染のケヴィンに声をかけられるが、友情以上の感情を抑えきれい。

自分でも違和感を覚えている。学校でも浮いているのは分かっている。
それでも、ケヴィンを思い出すだけでどんなつらさにも耐えられる。
だが、陰湿な矛先がケヴィンに向いたとき、シャロンは爆発する。憎
しみと絶望、なによりケヴィンとの関係を壊された恨み。一番だいじ
にしていたものを傷つけられたシャロンは初めて戦う決意をするのだ。

あくまで静謐なスタイルを崩さない演出は、押しつけがましくない分
奥行きのある余韻を残す。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                    「ムーンライト」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170403

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
             「ハードコア」  です。

殴り撃ち降下し着地し隠れ走り飛びよじ登りぶっ放し殺しまくる。己
はいったい何者なのか、その答えを求めてさまよう主人公の視点でと
らえた映像は、ダイナミックかつスピーディ、スリリングで血なまぐ
さい。圧倒的な臨場感はバーチャルリアリティの中でサバイバルゲー
ムをしている気分だ。物語はサイボーグの肉体を与えられた兵士が、
誘拐された妻を救うために奮闘する過程を描く。脳と意識は人間のま
まだが、感覚も器官も機械に置き換えられている。チャージすれば超
人的な動きが可能になり、不死身となって痛みも感じずに敵を攻撃で
きる。そしてたどり着いた真実。内容はともかく、全編途切れない疾
走感を維持した撮影テクニックは、映画の新たな可能性を示す。

瀕死の重傷を負ったヘンリーは実験室で目覚め、妻のエステルに神経
連動義手足を装着され復活するが、念動力を持つエイカンに襲撃され
る。なんとかエステルとともに脱出するが、彼女を人質に取られる。

ヘンリー自身は記憶を失っていて、エステルが本当の妻かどうかの確
信はないがとりあえず信じるしかない。危機一髪に陥った時はどこか
らともなくジミーという男のクローンが様々な変装で現れ、的確なア
ドバイスをくれる。とにかく危険を察知する能力をフル回転させつつ
も、アイデンティティを取り戻すためには立ち止まれない。

逃げる者はとことん追いつめ、邪魔する者は力ずくで排除する。四肢
がちぎれ脳漿が飛び散り血が流れる暴力描写は一切手加減がない。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                    「ハードコア」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170404

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
              「レゴバットマン ザ・ムービー」  です。

何度も町の危機を救い、人々に敬愛されているヒーローなのに、親し
い人を失う悲しみを恐れるあまり深い人間関係を築こうとしない。そ
の代償は、忠実な執事以外とはまともな会話すらない孤独。物語は、
そんな男が稀代の犯罪者と戦ううちに、仲間と力を合わせる大切さを
学んでいく過程を描く。敵が一人なら味方はなしで大丈夫。ところが、
複数の悪党から同時に襲撃されたとき、誰かの助けが必要になってく
る。常に頼りにされるだけでは不十分、時に同志を信じて命を預けな
ければ真の友情は生まれないとこの作品は教えてくれる。レゴブロッ
ク風に再現された毒や狂気のない世界観に最初は違和感を覚えたが、
主人公やキャラ立ったヴィランの心情はわかりやすく整理されていた。

ゴッサムシティに攻撃を仕掛けたジョーカーをバットマンは一蹴する。
バットマンに相手にされず落ち込むジョーカーはさらなる悪事を企み、
異空間に囚われていた重罪人たちを解放する。

キングコングからヴォルデモートまでワーナー映画の悪役たちが所狭
しと暴れまわる。バットマンは孤児院から引き取ったロビンや警察本
部長などと協力して対峙するが、チームワークが取れず苦戦する。

その時々に脳裏に浮かぶのは自分を愛してくれた両親の思い出。それ
はバットマンのトラウマにもなっている。確かにフィジカルでは圧倒
的な強さを誇る。だが戦闘スーツに隠した彼の心の弱さが奥行きをも
たらしていた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                    「レゴバットマン ザ・ムービー」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170405

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
     「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」  です。

自分の目の前で起こった出来事なのに、でたらめが事実のように報じ
られる。何を言っても深読みされ曲解される。ならば口をつぐんでい
たほうがマシ。物語は夫を射殺されたヒロインの、残された子供たち
と彼の名声を守るための奮闘を描く。悲しみに暮れている暇はない。
心を強く保たなければ周囲に流される。公民権運動を推進し、核戦争
の危機から祖国を救った英雄として夫の名を歴史に刻むには、偉大な
大統領と同じスタイルで見送らなければならない。力になってくれる
のは秘書と義弟だけ、それでも最後の公務と気丈に振る舞う。げっそ
りこけたナタリー・ポートマンが伝説のファーストレディを熱演する。

ジャッキーはひとりのジャーナリストのインタビューを受ける。取材
メモをチェックする条件で彼女が語ったケネディ暗殺から葬儀までの
4日間は、“ケネディ”の名を世間に忘れさせないための戦いだった。

ホワイトハウス内部にTVクルーを受け入れ、大衆に絶大な人気を得た
ジャッキー。ケネディの血を浴びたピンクのスーツをその日のうちは
ずっと着続け、凶事に耐える姿を側近や政府首脳に印象付けるなど、
非常時でもイメージ戦略が身についている。その後も、犯人や殺され
た理由よりも、リンカーンの国葬に倣った行進で米国内のみならず世
界に向けてケネディの名を発信するのに腐心する。

米国北東部にはJFKの名を冠した建造物や記念碑があまたあるのも、ジ
ャッキーの尽力のおかげだと初めて知った。

            「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170401

          を参考にしてください。
==============================================================

        余|談|
        ━┛━┛

京都で、タクシー乗務員が客に話しかけない「サイレンス車両」が試
験運用されているそうです。以前、京都自慢ばかりする運転手に辟易
した身にはうれしい限り。

運転手が「京都の歴史は1300年」と言った時には「80年もサバ読むな」
とツッコみそうになりましたが、ぐっと飲みこみました。

で、こちらの出身を聞いてくるので「聖徳太子が四天王寺を建てたこ
ろから先祖代々大阪に住んでます」とハッタリをかますと、黙り込み
ました。

京都が日本で一番の古都と勘違いしている人々が、京都人気に水を差
していることに気づいてくれればいいのですが。。。

==============================================================

      次回配信予定は4/8 作品は
         
            「T2 トレインスポッティング」
         
              です。

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最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは、よい一日を!

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