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こんな映画は見ちゃいけない! 

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哭声/コクソン こんな映画は見ちゃいけない! 

2017/03/11

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2017/3/11   Vol.1833   ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
               「哭声/コクソン」  です。

誰に呪われたのか、なぜ憑りつかれたのか。凄惨な殺人現場で呆然と
佇む犯人はすでに正気を失っている。その後も同じような事件が続発、
共通するのは容疑者の体を覆う湿疹のみ。物語は山間部の小さな村で
起きた惨殺事件を追う警官が、自らもまた邪悪な怨念の底なし沼に足
を取られていく姿を描く。生肉を食らう裸の男、通りの首吊り死体、
白い服の若い女、牙をむく番犬、血塗られた写真、降りしきる雨、生
き返った死者etc. それら不吉な予感をはらませたイメージが村に伝
染すると、主人公の一人娘にも異変が起きる。彼は娘を守れるのか、
そのためには何をすべきか。村全員が顔見知り、濃厚な人間関係と因
習の中で異質なものを疑う空気と権威に弱い気質、得体のしれない恐
怖に直面した時に表出する人間のエゴが、見る者の心に突き刺さる。

連続一家殺害事件の担当となったジョングは、最近山奥の一軒家にや
ってきた謎めいた日本人の存在を知る。その男のよからぬ噂の真偽を
確かめるため家に踏み込むと、同僚が事件当日の写真を発見する。

当然決定的な証拠はなく、ただ怪しいという理由で横暴の限りを尽く
すジョング。それ以降、娘のヒョジンが心身に異常をきたしていく。
深夜、湿疹の出た体をまさぐってヒョジンに罵られるジョングの、無
力感に打ちひしがれた“父親の顔”が印象的だった。

ジョングはヒョジンに憑依した悪霊を祓うため祈祷師を呼び、祈祷師
は日本人を対象に除霊を行う。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                   「哭声/コクソン」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170126
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
                 「逆行」  です。

気が付くと手が血塗れていた。助けようとした女に暴行犯と間違われ
た。我を忘れて現場を立ち去った以上、話を信じてもらえないのは確
か。物語は、ほとんど言葉がわからない異国で人を殺めてしまった男
の逃走を描く。所持品はパスポートとわずかな現金、身振りと単語で
意思疎通を図ろうとするが、なかなか現地人には通じない。なんとか
ボートやバスを乗り継ぎ盗難車やヒッチハイクで大都会に紛れ込もう
とするが、待っていたのは指名手配。孤立無援、四面楚歌の状態で生
き延びるためには走り続けるしかない。カメラはそんな主人公に密着
し、彼の不安・緊張・焦燥に寄り添う。逮捕されたらまともな裁判は
受けさせてもらえない、いまだ近代化途上の社会主義国で重犯罪に関
わった外国人が味わう恐怖がリアルに再現されていた。

ラオス奥地で医療活動に従事する米国人医師・ジョンは、バカンスで
訪れたリゾート地でレイプ犯を殴り殺して逃亡する。死んだのは豪州
議員の息子、懸賞を賭けられたジョンは米国大使館に援助を求める。

だが、大使館員は匿ってくれず、となったジョンは隣国・タイに逃げ
ようとする。医療センターの顔見知りを頼り、国境の川を泳いで渡る
が、見返りにドラッグを託される。ラオス労働者の賃金では高度な医
療は享受できず、非合法にカネを稼ぐラオス人の貧しさが印象的だ。

一方で、ジョンが、犯罪者とはいえ相手の命を奪ったのも事実。映画
は、その呵責に対峙せず逃げ回る彼に安易な共感を抱かせない。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                   「逆行」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170117

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
           「汚れたミルク/あるセールスマンの告発」  です。

学歴偏重、はびこる賄賂、多国籍企業と役人の癒着。うだつの上がら
ないセールスマンは、その環境でも類まれなる勤勉さを発揮してのし
上がっていく。だが、自分の扱った商品が誤った使用法で多数の死亡
事故を起こしていると知った時、彼は“良心”に目覚める。物語は、
粉ミルクを販売する大企業を告発した男の孤独な戦いを描く。ところ
がそれは彼の主観で語られる話、綿密な検証に耐えられる根拠は曖昧
で、映画化を持ちかけられたプロデューサーは二の足を踏む。嘘は言
っていないだろう。己を美化した誇張もあるだろう。しかしどこかに
まだ真実が隠されている。主人公にそんなうさん臭さを覚えさせる構
成は、調査報道とは事実の確認作業に他ならないと教えてくれる。英
雄的行為を自らの口で話す者は疑ってかかるべきだという。。。

パキスタン人のアヤンは欧州企業の営業担当に採用され、カネをばら
まいて医師と人脈を築く。ある日、旧知の医師からアヤンの会社が製
造する粉ミルクを飲んだ乳児が多数衰弱死していると耳打ちされる。

原因は不衛生な水。満足な水道もない貧困層は生水で粉ミルクを溶き、
与えられた乳児は体調を崩して死に至る。責任を感じたアヤンは粉ミ
ルクの販売をやめさせようとするが、軍部にまで食い込んでいる会社
側の妨害にあい、人権組織に助けを求める。

このあたり、安全を脅かされるアヤンの不安がリアルに再現され、権
力の恐ろしさを実感させてくれる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

        「汚れたミルク/あるセールスマンの告発」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170309

          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

WBCもいよいよ二次ラウンド。壮行試合では小久保監督の采配が批判さ
れていましたが、本番は今のところ順調です。

一方、韓国で行われているA組ではイスラエルが快進撃を続け、日本の
強敵となりそうです。

メンバーを見てみるとほとんどが米国で活躍するプロ、メジャーリー
グ経験者も多数いて侮れない戦力です。両親どちらかのルーツがイス
ラエルなら「イスラエル選手」として出場できるそうです。

イスラエル本国のファンはこの「米国人部隊」を心から応援できるの
でしょううか。それともユダヤ人の絆は想像以上に強いのか。。。

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      次回配信予定は3/16 作品は
         
            「コスメティックウォーズ」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
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