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お嬢さん こんな映画は見ちゃいけない! 

発行日:3/9

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2017/3/9   Vol.1832    ☆
   
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■

 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
               「お嬢さん」  です。

広大な敷地、豪壮な邸宅、春画を集めた書庫、秘密の覗き穴、大勢の
使用人、狭い女中部屋。大金持ちの叔父に育てられた彼女にとってそ
こは世界のすべて、生活に不自由はないけれど自由はない。物語は、
そんな深窓の令嬢と、彼女の財産を奪おうとする詐欺師、詐欺師の手
先のメイドが、騙したつもりが騙されて、騙されたふりをして騙しつ
つ、自らの欲望を満たそうとする姿を描く。日本語の読み書きを学ぶ
のに春画を読まされる少女と、膨大なコレクションとギャラリーの前
でプレイさせられる令嬢の羞恥、さらに女同士がお互いの肉体を貪り
ながら見せる激情etc. 日本統治下の朝鮮半島、上流階級で繰り広げ
られる禁断のエロスは、夜桜のようなはかなく切ない甘美が漂う。

藤原を名乗る朝鮮人詐欺師は、孤児の娘・スッキを上月家の相続人・
秀子の下に送り込む。スッキが秀子に仕えるうちに、秀子もスッキに
優しく接するようになる。藤原は予定通り秀子との結婚話を進める。

秀子に近づいたのは藤原の命令。だがスッキは秀子の純粋さに打たれ、
彼女を藤原から守る。そして驚きのどんでん返し。ところが、そこか
らもう半回転させ、裏の裏のそのまた奥に分け入る構成は驚きの連続。

それ以上に魅了されるのが広い畳の書庫での秘め事。男女の性交、タ
コとの絡み、性器そのものを写生した春画の数々をオークションにか
けながら秀子に再現させる、肉体的な快楽の追求ではない、むしろ圧
倒的に隠微な映像は、愛とは性、美とは官能であると主張する。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                   「お嬢さん」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170306
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
           「アシュラ」  です。

巨大な再開発利権を背景に市政に君臨する市長。その汚れ仕事を一手
に引き受ける刑事。そして市長逮捕に執念を燃やす検事。皆がおこぼ
れに与ろうとする。蚊帳の外に置かれると憎むようになる。そこには
モラルも正義もない。ただ甘い汁を吸いたいだけ。物語は同僚の死を
ネタに検察官に脅された汚職刑事が、仕える市長をスパイする姿を描
く。もともとカネで飼いならされている。生き残るには言いなりにな
るしかない。だが、自分が都合のいい捨て駒にすぎないと悟った時、
男は乾坤一擲の賭けに出る。誰も助けてくれない。双方に尻尾を振ら
なければならない。主導権を握らなければ命がない。ギリギリの状況
で彼がもたらした銃弾飛び交い凶刃舞う死のコンチェルトは、暴力と
血の美学に彩られていた。

検察側証人の口止めに利用した男とトラブルになった刑事のドギョン
は、キム検事から市長の不正の証拠を集めろと命じられる。ドギョン
は自らが就くはずだった市長の護衛の職に後輩のソンモを推薦する。

スキを見せない市長、日々強くなるキムの圧力、余命わずかな妻の看
護も欠かせないドギョン。市長は再開発反対派に猿芝居を打たせ、鎮
圧するふりをして市民の支持を得ようとする。先見性があり計算高い
市長としつこく狡猾なキムの板挟みにドギョンは身動きが取れない。

追い込まれても虚勢を張り続けなければ足元をすくわれる。そんな男
たちの哀しい性が躍動感あふれる映像で浮き彫りにされていく。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

        「アシュラ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170307

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
           「ラビング 愛という名前のふたり」  です。

ただ妻と一緒に暮らしたいだけ。肌の色などまったく気にしていない。
だが、州の法律は結婚を許してくれない。物語は異人種カップルが違
法だった時代の米国で、差別に満ちた悪法を廃止に追い込んだ白人夫
と黒人妻の愛を描く。夫は人種的偏見を持たないが同時に司直の論理
に不満を抱いても、黙って従う善良で気弱な市民でもある。鋼鉄の意
思を持つヒーローではない彼は、不当な扱いをされても我慢すること
で事態を丸く収めようとする。権力を敵に回して立ち上がるよりも、
家族と日々平穏に過ごしたいと願うその生き方は、時にもどかしい。

恋人のミルドレッドから妊娠を告げられた建設労働者のリチャードは
州外で結婚するが、バージニア州に戻ると保安官に逮捕される。裁判
では有罪、州外退去命令を受け、ワシントンDCの黒人街に引っ越す。

新たな環境で子宝にも恵まれるが、ミルドレッドはのどかな故郷で子
育てをしたいと言い出す。それには州法を変えなければならない。折
しも黒人公民権運動の高まりの中、人権団体の弁護士に背中を押され
たふたりは州裁判所から連邦裁判所まで争う。

このあたり、権利拡大を期待して目を輝かせるミルドレッドやこの訴
訟で名を上げようとする弁護士たちとは対照的に、リチャードはいつ
も苦虫をかみつぶしたような表情。どこか当事者意識が薄いのはやは
り彼が白人だからか。飲み会で黒人仲間に正鵠を射られても反論しな
い姿が、リチャードのナイーブさを象徴する。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

        「ラビング 愛という名前のふたり」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170308

          を参考にしてください。

==============================================================

        余|談|
        ━┛━┛

屋根裏で見つけた、厳重に梱包された1枚の日本画。70年近く眠ってい
たその絵の封印を解いたとたん、奇妙な出来事が起き始める。そんな
村上春樹の新作「騎士団長殺し」を読みました。

小田原の別荘地でひとり創作活動に勤しむ肖像画家が、絵から抜け出
してきた騎士団長や隣人の大金持ち、モデルの少女などを巻き込んで
不思議な体験をします。

いま目にしている世界は真実なのか、自分の感覚は本物なのか。現実
と奇想が入り混じった構成は、ぐいぐいと読者を引っ張っていきます。

やっぱり“穴”には入ってみるべきですね。ああ、「ドン・ジョバン
ニ」序曲の旋律が頭から離れなくなった。。。

==============================================================

      次回配信予定は3/11 作品は
         
            「哭声/コクソン」
         
              です。

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最後までお読みいただきありがとうございます。
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