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こんな映画は見ちゃいけない! 

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百日告別 こんな映画は見ちゃいけない! 

2017/02/25

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2017/2/25  Vol.1829    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
             「百日告別」  です。

元気だったあの人が突然逝ってしまった。視線を絡ませほほえみを交
わし、お互いのぬくもりを確かめ合った幸せは二度と戻らない。なの
に、時間だけは過ぎていく。出産直前の妻を持つ男と結婚式を間近に
控えた女、物語は最愛の人を亡くした男女が胸の空白を埋めていく過
程を描く。絶望と悲しみに打ちひしがれた彼らは、それでもこれから
の人生を生きていかなければならない。ほどなく抜け殻のようなうつ
ろな目が現実を受け入れ、徐々に光を取り戻していく。その再生の日
々は、これほどまでに自分を想ってくれる人がいるからこそ、人間は
この世に未練なく旅立てると教えてくれる。しめやかに死者を悼む姿
は、彼らの愛の深さを象徴していた。

高速道路で多重死傷事故が起きる。病院で目覚めたユーウェイは妻と
おなかの赤ちゃんが助からず自暴自棄になる。婚約者に先立たれたシ
ンミンは遺族から冷たくされるが、妹に力づけられ何とか落ち着く。

事故原因のトラック運転手も落命した。ユーウェイは憤りにまかせて
運転手に電話するが、応答した運転手の母は息子を喪って正気ではな
い。恨んでも仕方がないのはわかっている、でもどこかに鬱憤をぶつ
けなければ壊れてしまう。そんな彼らの感情がリアルに再現される。

そして、初七日、三十五日、四十九日と法要が開かる間、ユーウェイ
は妻の教え子を訪ね、シンミンは沖縄グルメ巡りをする。踏ん切りを
つけるための目標を見つけたから、彼らは何とか前向きになっていく。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

              「百日告別」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161126
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
           「アイヒマンの後継者」  です。

スイッチを入れて苦痛を与えるのはためらいがある。悲鳴が聞こえて
も止めないのは倫理に反している。だが、責任を負わなくてもよいと
保障されると予想以上の人数が手を動かした。物語は、環境が良心や
思考を変えるか否かを調査した研究者の波瀾の人生を描く。それはア
ウシュビッツで指導的立場にあった戦犯が、いかにも凡庸な男であっ
た事実の検証でもある。主人公はその後も様々な実験を通じて、心の
闇はいつ、どこで、どんなシチュエーションで表出するかの考察を重
ねていく。そして、人は現実を自分に都合よく理解して取り繕うが、
明確に加害者と自覚した時の反応が深層心理だと結論を導く。ところ
が、自らの仮説を実証していくうちに彼自身が周囲から信用されなく
なっていく。その過程が皮肉に満ちていた。

1961年イェール大学、誤答をした相手に電撃を課すゲームで、罰した
側のリアクションの観察データを収集するスタンリーは、数百人の被
験者ほとんどが指示通りに行動したと公表、世間に衝撃が走る。

折しもアイヒマン裁判が進行中で、スタンリーの論文は、「虐殺は命
令に従っただけ」というアイヒマンの証言を裏付ける。その理論は、
善良な市民であっても一定の条件下では残虐になりうるショッキング
なもの。しかし世論は実験結果よりも、被験者を欺く手法を批判する。

それでも、同調圧力や6次の隔たりといった、常識を覆す実験を繰り返
し、心理学とはダークサイドに光を当てる学問だと彼は訴え続ける。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

        「アイヒマンの後継者」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161216

          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

3年に1度開かれるピアノコンクールに世界中から集まった俊英が鎬を
削る様子を描いた、直木賞受賞作「蜜蜂と遠雷」を読みました。2段組
み500ページの大作です。

英才教育を受けたエリート、現役を離れていた元天才少女、天衣無縫
の孤高の少年。彼らが指先で紡ぎ出す音楽をひたすら言語化した文章
は、メロディよりもまず情景が浮かんできます。

ライバル関係にある彼らが足を引っ張り合うのではなく、お互いに敬
意を持って接し友情を育むあたりがとても心地よい。

欲望や嫉妬といったドロドロとした感情を一切排した展開は爽快。で
もピアニストってホントにこんな立派な人達ばかりなのだろうか。。。

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      次回配信予定は3/2 作品は
         
            「アサシン クリード」
         
              です。

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