映画

こんな映画は見ちゃいけない! 

映画批評系メルマガで読者数No.1! プロの編集者が簡潔な文章と的確な表現で書き下ろす「1分で読める新作映画批評」です。映画紹介だけのメルマガにはない「本物の批評」を堪能したい方だけご登録ください。

全て表示する >

愚行録 こんな映画は見ちゃいけない! 

2017/02/18

■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □

☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2017/2/18  Vol.1827    ☆
   
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■

 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
             「愚行録」  です。

大企業勤務の夫と気立てのいい美人妻、そして一人娘。誰もがうらや
む仲のいい家族だった。彼らの同僚は人柄を褒め、恨みなど買うはず
はないと言う。だが、過去をさかのぼるうちに、思いも寄らぬ黒歴史
が明らかになる。物語は未解決の一家惨殺事件を再調査する雑誌記者
の苦悩を描く。浮き彫りにされるのは強烈なエゴと嫉妬、夫は這い上
がるためには平気で他人を踏み台にし、妻は自分よりスペックの高い
同性は決して許さなかった。そんな、理想的な夫婦の裏の顔がディテ
ール豊かに再現されたエピソードはのど元にナイフを突きつけられる
よう、底なしの井戸をのぞき込むがごとき不穏なざわめきを覚えた。

週刊誌の企画で1年前の殺人事件を洗い直すことになった田中は、被害
者・田向夫妻の評判を友人に聞いて回る。大学生のころ、ふたりとも
野望を胸に世渡りする鼻持ちならない人物だといった証言が集まる。

取材する側の田中は、育児放棄で逮捕・拘留中の妹・光子と面会した
ばかり。少し精神が弱っている光子とは話がかみ合わず、責任がわが
身にもあると自覚している。その重荷に耐えながら田中が耳にする死
者を鞭打つ容赦ない批判、学生時代の田向と彼の妻にプライドを踏み
にじられた人々は、一様に田向夫妻は罰を受けたと思っている。

一方、辛い現実を忘れようと仕事にのめりこんだのに余計に心の負担
を増やした田中は、絶望的な気分のさらに先を味わおうと自ら泥沼に
歩を進める。感情を殺した彼の表情に背筋が寒くなった。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

              「愚行録」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161224
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
     「ナイスガイズ!」  です。

事故死したポルノ女優、雲隠れした環境保護団体の娘、焼失したはず
のフィルム、そして政府高官。期せずしてコンビを組む羽目になった
トラブル解決屋と子連れ探偵は、巨大な利権をめぐる陰謀の渦に飛び
込んでいく。物語は、人探しの依頼を受けた彼らが互いに協力し、反
発しあいながらも複雑にこじれた事件の真相に迫っていく過程を描く。
発砲も暴力も厭わないハードボイルドな世界、2人はタフでクールな男
を気取ろうとするが、肝心なところで間抜け面を覗かせる。そんな頼
りないオッサンたちの危機を救うのが機転の利く探偵の娘。小柄な少
女なのに向こう見ずな勇気も咄嗟の行動力も抜群。彼女を演じたアン
ゴーリー・ライスが存在感をみせ、ライアン・ゴスリングやラッセル
・クロウといったスターよりも印象に残った。

アメリアの行方を追うヒーリーはギャングに脅されたのを機に、探偵
のマーチと手を組む。2人はアメリアが排ガス規制運動の他にポルノ映
画にも手を出していると知り、映画関係者のパーティに忍び込む。

マーチはそこでプロデューサーの死体を発見、ヒーリーもギャングと
出くわし格闘になる。一方、助手も務めるマーチの娘・ホリーは彼ら
より早くアメリアに近づくがギャングにさらわれかける。にもかかわ
らず独力で脱出した上に、瀕死の重傷のギャングを助けようとする。

邪魔者は排除する裏社会の流儀に反し、あくまで人間としての優しさ
を捨てないホリーの態度と振る舞いが、一服の清涼剤になっていた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

        「ナイスガイズ!」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161209

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
          「サクロモンテの丘 ロマの洞窟フラメンコ」  です。

でっぷりと太った胴周り、締まりのない二重アゴ、波打つ二の腕のぜ
い肉……。ダンサーとはとても思えないような体形の年かさの男女が
リズムに合わせて体をくねらせる。決して激しくはないが、指先まで
行き届いた研ぎ澄まされた感覚が、“情念”という思いもよらない効
果を彼らの動きに与えている。それは数百年の放浪生活で身についた、
世界に対する彼らなりのメッセージ。カメラは、スペイン・グラナダ
の洞窟で暮らすロマのダンサーたちの生き方に迫る。男も女も“飲ん
で歌ってセックスした”と、基本は日常を楽しんでいる。節制や禁欲
とは無縁、ダンスは人生の一部と割り切り、踊りと歌の輪に加わった
老若男女全員が情熱を発散させている。彼らにとってそのライフスタ
イルは、迫害を受けてきた歴史の裏返しでもあるのだ。

家具調度が設えられた窓のない小部屋で、歌と踊りに興じている人々。
中心で踊る者、嘆きを歌にする者、ギターを爪弾く者、手拍子を打つ
者。文字を持たない彼らはこうやって独自の文化を継承している。

ほとんどのダンサーが子供時代は観光客相手に日銭を稼ぐ貧しい暮ら
しを経験しているが、プロデューサーに見いだされ海外で活躍した者
もいる。ところが、文明の利器にあふれた外界を知ってもなお最後に
は洞窟に帰ってくる。

異民族との結婚も珍しくないが、自分たちに流れるロマの血と伝統を
守らなければならない思いが、彼らを故郷に呼び戻すのだろう。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

            「サクロモンテの丘 ロマの洞窟フラメンコ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170125
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
          「海は燃えている」  です。

Y字に切り取った木の枝にゴムを結わえ付けパチンコを作る少年。日々
命中率を高める練習をすると同時に、漁師になるべく船酔いを克服す
る訓練を自らに課している。小さな島のありふれた暮らし、一方でこ
こには数百人規模の難民が頻繁に押し寄せてくる。映画は、そんな島
民の日常と、今や日常になりつつある難民救助の現場にカメラを据え、
EUが抱える難問を浮き彫りにしていく。荒廃した祖国を捨て体一つで
海を渡ってきた難民たちにもはや帰る家はない。旅の途中で力尽きる
者も少なくない。飢えと渇きでやせ衰え、目の前で助けを求める人々
を人道的見地から見捨てるわけにはいかない。彼らの健康状態をチェ
ックする医師の葛藤が、現在と未来の板挟みになったイタリア人の苦
悩を物語る。

イタリア最南端のランペドゥーサ島の少年・サムエレは家族や友人・
先生といった人間関係に恵まれ、ごく平凡な人生を送っている。だが、
この島の海域では巡視船が難民船の救難に日夜駆り出されている。

左目の視力低下を除けばまずまず幸せな少年時代を過ごすサムエレ。
彼が難民たちと出会う機会は今のところなく、両親も話題にはしない。
しかし、いずれ難民と接触した時、サムエレはどういう反応を示すの
か。守るべきは自分たちの生活か難民の命か、欧州はどこまで寛容で
いられるかが問われている。

サムエレのパチンコが難民に向けられることがないよう願うばかりだ。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

            「海は燃えている」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170217
               
          を参考にしてください。

==============================================================

        余|談|
        ━┛━┛

ハンバーガーの日本における「元祖」ドムドムバーガーが次々と閉店
しいまや風前の灯だそうです。子供のころハンバーガーといえばマク
ドよりドムドムに馴染みがあった身としては寂しい限りです。

生まれて初めてハンバーガーを口にしたのは、大阪・京橋のダイエー
内にあったドムドム。その後も新大阪駅の新幹線と御堂筋線を結ぶコ
ンコースにあった店もよく利用しました。

高校時代は部活内部でマクド派とドムドム派に分かれて意見を交わし
たものでしたが、これは学校の最寄り駅前にマクドができたため勝負
がついてしまいました。

ネットで検索すると今の生活圏には1件もない。もう味は忘れたけれど
もう一度食べてみたくなりました。

==============================================================

      次回配信予定は2/23 作品は
         
            「ラ・ラ・ランド」
         
              です。

---------------------------------------------------------------

このメルマガは、週2回発行です。

皆様からのご意見、ご要望、感想をお待ちしています。

            otello.com.ua@gmail.com

                         までお願いします。

いただいたメールはこのメルマガで紹介させていただくことがあり
ます。

なお、相互紹介の依頼は受け付けておりません。

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは、よい一日を!

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
発行周期:週3回  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。