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こんな映画は見ちゃいけない! 

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セル こんな映画は見ちゃいけない! 

2017/02/16

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2017/2/16  Vol.1826     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
             「セル」  です。

携帯電話使用中の人々が突然発狂し、襲い掛かってくる。難を逃れた
主人公はわずかなの正常者と共に脱出しようとするが、あちこちで狂
人たちの群れが徘徊している。もはや安全な場所はない。ならばせめ
て離れたところにいる我が子を助けたい。物語は、秩序を失ってしま
った世界に取り残された人々がかすかな希望を求めてさまよう姿を描
く。一方で、最初は殺しあっていた狂人たちが組織的に行動するよう
になり、意識を集団で共有し始める。個人の思考は意味をなさなくな
り、電波塔から発せられるパルスの指示に従うのみ。人類の次なるス
テージなのか、これからもっと洗練された生き物になっていくのか。
夜を過ごすごとに、ゾンビのような存在だった彼らが統率のとれた携
帯人に“再起動”していく過程が恐怖を駆り立てる。

空港から息子のジョニーに電話したクレイは、電池切れで公衆電話か
らかけなおす。その直後、強烈な電波が発信され空港はパニック、圏
外の地下鉄構内に退避したクレイは車掌のトムと一緒に地上に出る。

スマホが使えず、情報は人づてにしか手に入らず、どこに逃げればよ
いかもわからない。その後クレイとトムは数人の男女と合流するが、
今や正常者は少数派。同時にクレイたちの脳内の中にも共通のイメー
ジが送り込まれ、精神的に追い込まれていく。

圧倒的な力を持つ得体のしれないものに追い詰められていくクレイた
ちの焦燥と不安がリアルに再現されていた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

              「セル」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170118
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
     「マリアンヌ」  です。

任務が終われば二度と会わないはずだった。ところが語学・射撃・機
転・社交性……、工作員としてのあらゆる能力に長けた彼女に敬意を
抱き、敵地から命がけの脱出をするうちにその思いは愛に昇華されて
いく。そしてふたりは夫婦となり、赤ちゃんも生まれ幸せな家庭を築
く。物語は、最愛の妻にスパイ容疑をかけられた情報将校の苦悩と葛
藤を描く。懸命に否定するが、言われてみると思い当たる節もある。
誤報である証拠を必死で探す一方で、忠誠心を試されているのかと疑
う。嘘であって欲しいと願いながらも積み重ねられた事実は妻に不利
なものばかり。もう誰も信じられなくなったとき、男は決死の行動に
出る。欺瞞と裏切りに満ちた諜報の世界、クルマから衣装まで、情報
はマンパワーで収集した時代のクラシカルな味わいに美学を感じる。

カナダ軍の工作員・マックスはフランス人工作員・マリアンヌとカッ
プルを偽装し、ドイツ大使をパーティで暗殺する。ともに死線を超え
たふたりは英国で結婚、大空襲の夜マリアンヌは女児を出産する。

美しく聡明なマリアンヌは理想の妻、だからこそ背信を告げられた時、
マックスは自分のふがいなさに怒りを覚える。その日から彼女を見る
目が変わり、彼の異変にマリアンヌも気づく。娘がいる以上逃げ場の
ないマリアンヌは感情をコントロールしているが不安は隠せない。

愛し合っているはずなのに不信感に捕らわれたふたり、張りつめた映
像が信頼を食い物にしてきた人間の後戻りできない運命を象徴する。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

        「マリアンヌ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170213

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
          「相棒 劇場版IV 首都クライシス」  です。

集団毒殺現場から消えた唯一の生存者である女児と身代金、国際犯罪
組織と追う捜査機関、食中毒を模した無差別テロ。物語は行方不明に
なっていた少女が7年ぶりに“人質”として姿を現したのを機に起きる、
犯人グループと警視庁特命係の虚々実々の駆け引きを描く。わずかな
手掛かりから犯人のアジトを暴き、別々に起った事件の背景にある犯
人側の意図を読む。それら主人公の明察は今回も健在、独特の語り口
が謎解きの楽しさとアクションの緊張感を盛り上げる。信じていた価
値観に見捨てられた怒りと憎しみ、その怨嗟を抱いて偽りの人生を送
ってきた人々の国家に対する挑戦状は哀しみに満ちていた。

国際テロリストを追う国連刑事組織のリューが来日、杉下は行動を共
にするが捜査員が殺される。直後少女の身代金要求の動画が公開、支
払わなければ大規模テロを起こすとの予告に杉下は不自然さを覚える。

他にも、遺体が盗まれたり、雑居ビルが狙われたりと、様々な異変が
続発。首にタトゥーの殺し屋が暗躍していると判明すると、杉下は声
明からスポーツ選手団の凱旋パレードがテロの標的であると気づく。
そのあたり、一見無関係な出来事に伏線を忍ばせ杉下に解明させよう
とするが、そこには彼をミスリードする罠が巧妙に仕込まれている。

首謀者を見つけテロを止めるのだけが目的ではない、犯人の真意を探
り出すために頭をフル回転させる杉下の言葉はあくまで人間への深い
洞察にあふれ、まず相手を理解することが肝要と教えてくれる。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

            「相棒 劇場版IV 首都クライシス」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170214
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
               「サバイバルファミリー」  です。

西に向かえば何とかなる。そう考えた父は妻と子供たちとともにひた
すらペダルをこぐ。今や水と食料と移動手段が価値を持ち、貨幣に意
味はない。物語は、突然電気が使えなくなった世界で、遠く離れた親
族の家を目指す一家の冒険を描く。最初はすぐに復旧すると思ってい
た。だが、あらゆる情報が遮断され生死にかかわる問題だと知った時、
自助努力が必要と悟る。エゴをむき出しにする者はいても暴徒化する
者まではいない奥ゆかしさの一方で、寸借する程度には大胆になって
いる。希望や愛などといったきれいごとは無用、家族4人のサバイバル
活動はディテールに満ち、彼らの心情はリアリティにあふれていた。

社会のインフラが停止、1週間ほどで都市機能が完全にマヒする。東京
脱出に踏み切った鈴木家は自転車を手に入れて鹿児島にある妻の実家
への避難を決意、高速道路をひた走るが早々に備蓄は底をつく。

清潔で快適だった暮らしが一瞬で消えた。排泄や体臭、汚れた衣服の
処理など、19世紀中盤まで退化した文明レベルで生き残るための方策
を見つけなければならない。その過程でお互いに目をそらしていた4人
は力を合わせて事態に向き合う術を覚えていく。

それぞれ何ができるか、何をすべきか。反抗的だった大学生の息子も
高校生の娘も、両親の必死な姿を見て愛されている実感に包まれてい
く。絆とは血縁ではない、助け合ううちに生まれてくるものだとこの
作品は教えてくれる。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

              「サバイバルファミリー」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170215
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
               「王様のためのホログラム」  です。

近代的な高層ビルが建ち並び、クルマが忙しなく行き交う。見かけは
先進国と変わらないのに、ホテルを一歩出ると自分たちの常識が通じ
ない別世界。物語は強烈なカルチャーギャップと与えられた責任の重
さに己を見失いそうになった男の苦悩を描く。もともと乗り気ではな
かった出張、だが娘の学費を稼がなければならない。寝坊・遅刻・泥
酔そしてまた遅刻、そんな状況では当然アポはいつも空振り、彼はプ
レッシャーに押しつぶされそうになるうちに、とうとう腫瘍ができて
しまう。それでもタイミングよくあらわれる助っ人が手を差しのべて
くれる幸運。じっとしていてもジリ貧になるだけ、苦境に立った時こ
そ行動すればおのずとチャンスは訪れるとこの作品は訴える。

サウジアラビア王子と面識があるアランは、コネをたどり通信ホログ
ラムを売り込もうとするが、取引相手となかなか会えない。受付嬢が
席を外した隙にオフィスに入るとデンマーク人女性に声をかけられる。

受付嬢は慇懃だが取り付く島もない。一方で雇った運転手はいろいろ
相談に乗ってくれる。異教徒の外国人に対して親切なのか警戒してい
るのか、とにかく現地の人々の思考回路が読めずアランは苦労する。

その後、背中の脂肪腫の診察で女医と知り合うが、戒律の厳しいサウ
ジで医師になるほどの高度な教育を受けた彼女の胸中を察し、アラン
はやっと価値観を共有できる人物に出会ったと実感する。誰にも弱音
を漏らせない孤独、だからこそアランも女医もお互いに惹かれていく。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

              「王様のためのホログラム」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170216
               
          を参考にしてください。
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        余|談|
        ━┛━┛

東芝が決算発表を1か月先延ばしにしましたが、いよいよ解体のXデー
が迫ってきたという感じです。まあ、数万人の従業員を抱える大企業
ですからさすがに倒産はさせないと思いますが。

ただ、東芝に勤める知人の話だと昨年末のボーナスは出たということ。
社員を大切にする社風はそのままのようです。

今後、三洋電機やシャープのように他社に買われるのでしょうが、血
のにじむようなリストラは必至。

歴代経営者の責任を厳しく問うべきだと思います。。。

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      次回配信予定は2/18 作品は
         
            「愚行録」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
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