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こんな映画は見ちゃいけない! 

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たかが世界の終わり こんな映画は見ちゃいけない! 

2017/02/11

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2017/2/11  Vol.1825     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
             「たかが世界の終わり」  です。

安らぐはずの“家”に帰ったのに、待っていたのは愛だけではなく、
刺々しい言葉の雨。長年顔を見せなかった。同性愛者ゆえの葛藤もあ
る。物語は、近づく死を母兄妹に告げるため実家に戻った男が、居場
所を見つけられずに孤独を深めていく過程を描く。母はもちろん歓迎
してくれた。妹も再会の喜びを隠さない。初対面の兄嫁は気を使って
くれる。ところが、毒舌家の兄は不愉快なことばかり口走り、言葉尻
を捕えては絡んでくる。その間、打ち明ける機会を探るが、いつも話
の腰を折られてしまう。クローズアップの多用、言い争いと言い訳の
繰り返し、そんな中、劇中歌に込められた感情が主人公の心象を可視
化する。予定調和的な流れを拒否した展開は、最後までスリリングだ。

12年ぶりに帰宅したルイを迎えるために、母と妹が住む家に兄夫婦も
集まる。だが、控えめな兄嫁以外は気持ちをストレートに出すために
口論が絶えない。ルイはどう反応すべきか戸惑ってしまう。

兄のアントワーヌはルイの性的嗜好が理解できず、気まずい思いをし
てきたのだろう。作家として評価を得ているルイに対する嫉妬もある。
母や妹・妻ら、女たちとはすぐに打ち解けたのも気に食わない。一方
で、仲の良い兄弟だった頃の楽しい思い出も捨てきれない。

複雑な胸中を整理しきれず、つい子供じみた態度を取るアントワーヌ
が、家族に同性愛者を持つ“普通の人々”の本音を代弁していた。そ
の説明を省いた映像がこの兄弟の過去と不在の長さを浮き彫りにする。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

         「たかが世界の終わり」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161208
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
     「ニュートン・ナイト/自由の旗をかかげた男」  です。

大量の命が消費される戦場、重傷者が手当てされず死んでいくのを数
えきれないほど見てきた。“金持ちのための戦争で貧乏人が血を流す”
現実を目の当たりにしてきた。そして、“20人以上の奴隷を所有する
家の長男は兵役を免除される”と聞かされた男は戦う理由を失う。物
語は南北戦争時の米国、戦死した甥の遺体を家族に返すために無断で
前線を離れた兵士が逃亡奴隷の一団と合流、脱走兵や貧農とともに人
種差別のない“独立国”を打ち立てる過程を描く。最初は捕まれば死
刑になる者同士が仕方なく協力しているだけだった。だが原因は社会
にあると気づく。生きる権利は勝ち取るしかない、出自や肌の色は関
係ない。それは民主主義を標榜する米国人の魂なのだ。

南軍兵の徴発に苦しむ女だけの一家を守ったニュートンはお尋ね者と
なり、沼地に隠れ住む黒人グループに匿われる。そこでリーダー格の
モーゼスの首枷を外し、追っ手を撃退したのを機に彼らの信頼を得る。

ニュートンはわずかな偏見は持ちつつもすぐに黒人も白人に劣らぬ人
間であると知り、友情を深めていく。武装し、銃を奪い、搾取された
白人も仲間にする。さらに地勢を利用し時にゲリラ戦を挑み女にも小
銃を撃たせて南軍騎兵隊を駆逐する。失うものがない民兵組織は勇敢
で次第に解放区を広め、ついには自由州を宣言、北軍に密使まで送る。

奴隷容認州で起きた反乱、高等教育を受けなくても理性は育てられる、
あとは立ち上がる勇気こそが必要とニュートンの背中は教えてくれる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

        「ニュートン・ナイト/自由の旗をかかげた男」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170210

          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
               「家族の肖像」  です。

妻も子もいない。代わりに幸せな家族の肖像画に見守られている。そ
んな日常に満足していた老人は突然の闖入者によって静寂を破られる。
物語はローマの高級アパートメントでひとり暮らしをしていた主人公
が、強引に住み着いた若者とその縁者によって平穏な日々を乱されて
いく苦悩と喜びを描く。遠慮なく踏み込んでくる若者と貴婦人に最初
は戸惑った。かみ合わない会話に苛立ちもした。それでもお互いに理
解し合ううちに“同居する他人”以上の思いが湧いてくる。確かに自
分の時間が奪われ余計な気も使う。しかし煩わしさも“家族”だと思
えば受け入れられる。少々訳アリな相手でもかまわない、人は孤独よ
りは誰かと一緒にいる方が楽になれるとこの作品は教えてくれる。

貴族の妻・ビアンカのゴリ押しで上階を貸すことになった教授は、越
してきた彼女の愛人・コンラッドが深い教養を持つと知って興味を抱
く。その後、暴漢に襲われたコンラッドを教授は隠し部屋で介抱する。

数千の蔵書に囲まれた知識人の教授、右翼の企業家を夫に持つビアン
カ、彼ら支配層と闘っていたはずの元活動家のコンラッド。本来は同
じ空間を共有してはならない敵同士、ところがコンラッドの美貌ゆえ、
いくら傍若無人に振る舞ってもなんとなく許されてしまう。

別れると言いつつも熱いキスを交わす、世話を焼いても無礼な態度で
返す。教授もいつしかコンラッドの魅力にひれ伏している。登場人物
の感情を強調するときにアップにする技法が時代を感じさせる。


       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

              「家族の肖像」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161217
               
          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

マクドナルドの業績が急回復しています。数年前、混入物が原因で客
足が遠のき、その後やってきたカナダ人女性社長の改革がようやく実
を結んだということでしょうか。

お店に行って感じるのはきれいになったこと。注文と受け取りのカウ
ンターを分けたことも利便性を高めています。無料wifiにつながるの
も魅力的。

この前「エグチ」を食べたのですが、味もまあまあの水準に戻ったと
思います。

といってもグルテンフリー生活中なのでパン以外の具だけを食べた感
想ですが。。。

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      次回配信予定は2/16 作品は
         
            「セル」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
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