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こんな映画は見ちゃいけない! 

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LIVE FOR TODAY 天龍源一郎 こんな映画は見ちゃいけない! 

2017/02/04

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2017/2/4  Vol.1823    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
           「LIVE FOR TODAY 天龍源一郎」  です。

もちろん延髄斬りやパワーボムといった必殺技を仕掛ける体力は残っ
ていない。出せるのは立ったまま繰り出すグーパンチと逆水平チョッ
プ。攻撃を正面から受け、胸元を真っ赤になるほど張られても決して
逃げたりはしない。65歳、年々肉体はいうことを聞かなくなっている。
かつて一緒に戦った仲間たちも去った。それでも何かに追い立てられ
るようにリングに立ち、ファンが望むファイティングスタイルを貫く。
カメラはそんなプロレスラーの、最後の9か月に密着する。ボクシング
のごとき真剣勝負ではない、顔見知り同士が常人の想像を絶する頑強
さを競い合うというプロレスの神髄を見せられた気がした。

一人娘の紋奈とともに興行に飛び回る天龍は、2015年2月、引退会見を
開く。11月のラストマッチまでを、ファンに感謝を伝えるツアーと位
置付けた天龍は、全国を巡業し残りの日々を精一杯走り続ける。

馬場や鶴田はもうこの世にいない。猪木が活躍したのも遠い昔。彼ら
とほぼ同世代の天龍がついこの間まで現役だったのも驚きだが、衰え
ていないプロレスへの愛は感服の限りだ。

どの会場にも熱狂的なファンが待っている。プロレスに革命を唱え、
道を切り開いてきた。所属団体が変わってもいつ招聘されるかわから
ない狭い業界、レスラー間の人間関係にも気を遣う。リングを降りた
天龍の、それなりの年齢だから闘魂むき出しではないけれど、プロレ
スを職業としてとらえる顔が新鮮だった。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

         「LIVE FOR TODAY 天龍源一郎」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170107
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
           「エリザのために」  です。

コネとしがらみと義理人情。娘を先進国の大学に進学させるため、父
はどんなに細くても伝手をたどり、何とか試験で好成績が修められる
ように奔走する。物語は、近代化からは程遠い東欧で、悪習に浸かり
ながらも、我が子には的外れな期待を寄せる男の愚かさを描く。公正
に生きろと娘には言い聞かせてきたのに、自身は汚職と不倫に身をや
つしている。“民主化したからルーマニアに戻った”と嘆く一言が、
彼の挫折の深さを象徴されていた。それでも娘を愛する一念だけは本
物、暴走を抑えきれない父親の思いがリアルに再現される。

登校途中のエリザが暴漢に襲われ手を負傷、父・ロメオは留学資格試
験を控えた彼女が不利にならないような配慮を有力者たちに依頼する。
同時に犯人探しもするが一向に容疑者は浮かばない。

警察署長から副市長、そして試験管理官と、自ら持つ医者としての権
限を取引材料にするロメオ。一方で、妻とは家庭内別居、子持ちの愛
人とも微妙な空気が流れている。さらにエリザの恋人が絡んできたり
検察官の尋問を受けたりと、一息つくま間もなく難題が降りかかる。
そこであぶりだされるのはこの国の後進性。人々の閉塞感は石を窓ガ
ラスに投げつけるくらいでは変わらないと冒頭のシーンが訴えていた。

その後もロメオは愛人の息子の子守をしたりエリザが愛人宅にやって
きたりする。いまや虚栄の皮がはがれていることに気づかないのはロ
メオひとり、その滑稽さには哀切すら漂っていた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

             「エリザのために」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170203
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
            「エゴン・シーレ 死と乙女」  です。

乳白色の透き通った肌から褐色の野性的な肉体まで、彼にスケッチさ
れた女たちはいつしか内面までさらけ出す。やがて、独特のタッチの
作品は1910年代ウィーン画壇を席巻する。物語は革新的なデッサンで
時代の寵児となったアーティストの後半生を追う。追求したのは女性
の“真実”、描かれた女たちの裸体は肉感的でもエロティックでもな
いにもかかわらず、セックスそのものの匂いが濃厚に漂っている。そ
れは妹を除いて、モデルは娼婦か彼と寝た女だから。女が抱かれた男
にだけ見せる事後のけだるさ、恍惚と放心と少しの背徳の表情を彼は
決して見逃さない。鋭敏な観察眼が女たちに心と体を開かせるのだ。

スペイン風邪にかかり、妻・エディットともに高熱にうなされるエゴ
ンはいまや虫の息。世話をする妹のゲルティは彼の部屋から膨大な数
の素描を発見し、かつて輝いていたエゴンの青春を振り返る。

ストリップショーの出演者・モアを専属モデルにし、仲間たちと避暑
地で過ごすエゴン。その後も、クリムトに紹介されたモデル・ヴァリ
と同棲したりと、エゴンは女遍歴を重ねるごとに斬新な筆致に磨きを
かけていく。彼のアートに対する向上心は、それ以上に女たちへの情
熱となって昇華され、もはや女なしでは生きられない状態になる。

さらにヴァリと付き合いながらもアトリエの向かいに住む美人姉妹に
粉をかける。傲慢とも思える手の速さに女たちは苦も無く落ちる。そ
の過程に愛や恋といったまどろっこしい苦悩や葛藤がない分潔い。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

              「エゴン・シーレ 死と乙女」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170202
               
          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

節分に巻きずしを食べる習慣がすっかり定着しましたが、「恵方巻」
という呼び方にいまいちなじめません。

それまで、巻きずしとか太巻きとか呼ばれていたものが、セブンイレ
ブンのマーケット戦略で「恵方巻」と呼び始めただけなのに、今では
「恵方巻」が正式名称と思っている人もいます。

その証拠にNHK「ためしてガッテン」では、出演者は一切「恵方巻」と
は呼ばず、巻きずしもしくは太巻きと言っていました。

別に節分以外でも食べているのにやはりこの呼び名はおかしい。老舗
のすし店はなぜ反発の声を上げないのでしょうか。

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      次回配信予定は2/9 作品は
         
            「君と100回目の恋」
         
              です。

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