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こんな映画は見ちゃいけない! 

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惑う こんな映画は見ちゃいけない! 

2017/01/21

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2017/1/21  Vol.1819    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
               「惑う」  です。

縁あって出会った男女が結婚し子供をもうける。だがそれだけが「家
族」を作ることではない。物語は、地元の少年少女の教育に情熱を注
いだ男の半生と、彼の妻子が受け継いだ善意と良心を描く。貧しい家
の子も分け隔てなく目をかけた先代、先代の遺志を襲った父、父の娘
たちは自分たちも同じ血脈であるといつしか自覚していく。人を育て
る、それはたとえ相手が子供でも真摯な態度で接し、褒めてやり認め
てやり理解してやるのが肝要と、父は身をもって証明してきた。だか
らこそ父に恥じない生き方をしなければならない。時は流れ世代は下
っても変わらないものは、人が人を想う優しさであると、丁寧に撮影
された映像は訴える。

格式ある旅館の離れで私塾を開く栄士郎の養子になった誠士郎はエリ
ートの道を進むが、大東亜戦争従軍後キャリアを捨てて私塾を継ぐ。
戦後、旅館を元中居のイトと離れで同居しながら2人の娘を養育する。

長女のいずみは家族を守ろうと気を張ってきたが、シングルマザーの
妹・かえでにはきつい言葉を口にして、老いて頑固になったイトにも
手を焼いている。少しでも彼女たちにいい暮らしをさせようと頑張っ
てはいるけれど、父のようにはいかず、そんな己が腹立たしい。

明日には母をひとりにして嫁ぐ、その夜に母娘2人で最後の水入らずの
食事をとるが、いかにも日本の小市民的な風景がゆったりと映画を堪
能しようという気分にさせてくれる。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

              「惑う」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161109
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
           「島々清しゃ」  です。

鋭敏すぎる耳はわずかな音程と音階の狂いを聞き分ける。ゆえに、へ
たくそな演奏は彼女の頭の中で雑音と化し、耐え難い苦痛となる。物
語は、そんな少女がヴァイオリニストと交流するうちに心の壁を取り
除いていく姿を描く。南国の小さな島、美しい音はビーチに打ち寄せ
る波とおじいが爪弾く三線のみ。でも、耳を澄ませば他にも落ち着け
る音はたくさんある。ヴァイオリニストはそれを少女に教えるととも
に、自身も冷めていた音楽への思いを取り戻す。その過程には、“が
んばろう”とかいった熱いメッセージは一切なく、平和な日常を淡々
と送れるのがいかに幸せかを伝える。“生きているだけで80点”、お
じいの言葉は、傷ついた人間の劣等感や後悔、悲しみや孤独を癒す。

慶良間諸島の中学校の音楽鑑賞会に招かれた佑子は、音楽が好きなの
に聴覚過敏で友達ができないうみと出会う。ある日、吹奏楽部の幸太
と音感対決をして勝ったうみは、吹奏楽部に入りたいと言い出す。

音の調和を“ちんだみ”と言ううみ。“ちんだみ”の乱れを嫌ううみ
は散々吹奏楽部の部活を妨害し部員に迷惑がられているが、本当は楽
器に触りたくてたまらない。彼女はフルートの基礎から始め、頭を下
げて仲間と認めてもらう。その間、佑子は彼らを見守っている。

元バンドマンに管楽器の指導を頼みに行ったシーンでの、サックスと
ベースギターと三線と太鼓にヴァイオリンを加えたセッションは、あ
らゆるスタイルを受け入れる沖縄音楽の懐の深さを示す。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

             「島々清しゃ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161029
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
               「マギーズ・プラン」  です。

優しさや思いやりのある善良な人柄なのに、なぜか男とは長続きしな
い。大学で講座を開くほど優秀なのに、駆け引きは苦手。物語はそん
なヒロインが子供を欲したことから起きる奇妙な三角関係を描く。結
婚には不向きと悟り、シングルマザーとして生きようと決意したとた
ん目の前に現れた妻子アリの男。頼られると放っておけない性格がつ
い彼を受け入れてしまう。そしてできた新しい家族。もちろん我が子
は何よりも愛しいし、彼の子供たちともうまくいっている。けれどい
つも犠牲を強いられるのは私。なかなか“No”と言えない彼女の不満
ががリアルに再現され、グータラな配偶者を持つ者の共感を呼ぶ。

小説家を目指すジョンから原稿を読んでくれと頼まれたマギーは、彼
が紡ぐ話に夢中になる。ところが知人の精子で受胎を試みた日に、妻
と不仲のジョンからプロポーズされると、彼をベッドに迎えてしまう。

折角不倫略奪婚に成功したのに、現実は思い描いた幸せとは程遠い。
女の子を出産しジョンと暮らしているが、家を空けがちな元妻に代わ
り彼らの2人の子供たちの面倒も見ている。仕事より子育てに追われる
なか、元妻と会いに行ったマギーは、ジョンを彼女に返すと提案する。
夫婦など所詮は他人同士、我慢して一緒にいるより別れてすっきりし
たほうがいいという都会的で合理的な考え方が羨ましい。

2人の女の間で右往左往するジョンの、男らしさはないが女心をつかむ
術を心得たキャラクターは、往年のウディ・アレン作品を彷彿させる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

              「マギーズ・プラン」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161112
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
            「東京ウィンドオーケストラ」  です。

一流の楽団に依頼したはずなのに、やってきたのは観光半分のアマチ
ュア。一般の島民はともかく、耳の肥えたファンに隠し通せるわけは
ない。物語は、間違った楽団を招聘した役場職員が、なんとかごまか
そうと孤軍奮闘する過程を描く。誰にも相談できない。ニセモノとば
れた楽団員たちは黙って帰ろうとする。絶望的な気分の中で刻一刻と
本番の時刻は迫ってくる。もはや打つ手はない。ならば開き直って出
来ることをやってみる。逃げていては結果は見えている。少なくとも
とも何とかしようと行動すれば最悪の結末だけは避けられる。代わり
映えしない日常に埋没していたヒロインが初めて必死になった時、彼
女の中で何かが変わる。感情の起伏が乏しかった彼女が懸命に頭を下
げてまわる姿は、ピンチが人を成長させると教えてくれる。

屋久島に到着した10人の楽団員を案内する詩織は、彼らが素人集団で
あると気づく。だが、すでに公演は大々的に告知され今更キャンセル
はできず、彼らをプロの音楽家として扱って解決策を練る時間を稼ぐ。

一方の楽団員たちも指揮者の杉崎以外は誤発注を知らずはしゃいでい
る。しかし、詩織にきちんとした演奏を期待されると急に尻込みする。
このあたり、簡単な確認作業を怠った詩織の甘さと、音楽への熱意が
低い楽団員の“仕事”に対する意識の緩さが浮き彫りにされていく。

すれ違いと勘違い、深刻な事態に気づかず楽団員に敬意を示す音楽愛
好家の同僚の反応が笑いを誘う。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

              「東京ウィンドオーケストラ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161221
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
             「本能寺ホテル」  です。

エレベーターを降りたらそこは明智謀反前日の本能寺。最初は夢を見
ているのかとわが目を疑った。だがその世界の人々のリアルな息遣い
に、徐々に状況が飲み込めていく。物語は、現在と戦国時代を往来で
きるエレベーターに乗ったヒロインが、織田信長や小姓・森蘭丸と知
り合い、彼らの生き方に触れるうちに人生を省みる姿を描く。やりた
いこと、一生懸命になれることが特にない失業中のOLが、天下統一に
向かって突き進む信長の純粋な一面に魅力を覚え、人間として尊敬し
ていく。そして、確実に迫りくる運命を告げるべきか、教えて歴史を
変えたらどうなるのかの葛藤を通じ、己の道を見つけていく。その過
程は、人の一生は短い、ならば日一日を精一杯頑張るべしと訴える。

京都を訪れた繭子は不思議なたたずまいのホテルにチェックインする。
エレベーターの中で金平糖をかむと、過去にタイムスリップ、偶然見
かけた信長の横暴につい口出ししてしまう。

捕らえられそうになるが間一髪で現在に戻る繭子。婚約者との仲は不
満ではないが物足りなさも感じていた彼女は、戦に明け暮れた男たち
の命運が手中にあると知って、責任感以上の「生」の実感を自覚して
いく。なんでもお膳立てしてくれる婚約者ではなく、自分の話に耳を
傾けてくれる信長に、信頼されることで心を開いていくのだ。

自己評価の低かった繭子が自信を深めていく、誰かに注目され期待さ
れてこそ人は成長すると彼女は体現する。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

              「本能寺ホテル」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170120
               
          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

少し前に高速道路走行中にスピード違反で罰金を食らいました。覆面
パトカーに乗った警官に20キロオーバーと告げられました。

冷静になって考えると動いているクルマ同士で正確なスピードが測定
できるわけはなく、もしできても、パトカーのほうも制限速度を超え
ていたらその測定記録は無効になるはず。

そのあたり、発売中の「モーニング」連載中の「カバチ」に対処法が
詳しく乗っていました。

警官の横暴に対処するには、こちらも法律を熟知しておく必要がある
ということですね。。。

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      次回配信予定は1/21 作品は
         
            「スノーデン」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
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