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こんな映画は見ちゃいけない! 

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アイヒマンを追え! こんな映画は見ちゃいけない! 

2017/01/07

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2017/1/7  Vol.1815     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
             「アイヒマンを追え!」  です。

無実の人々を大勢虐殺した悪党は絶対に許さない。復興を最優先にし、
戦争への反省が薄らいできた1950年代末期の西ドイツ、正義感あふれ
る検事長は大物戦犯の消息を知る。だが、その男は海の向こうに名を
変えて逃亡している。公式ルートは使えない、イスラエルに情報を流
すと国家反逆罪になる。さらに元ナチス党員は続々と復権し検事局内
にも根を張っている。物語は、ホロコースト責任者逮捕に多大な貢献
をしたドイツ人検事長の奮闘を描く。頼りにできる部下はひとりだけ。
情報機関に見張られナチス支持者に脅される中、国内外に協力者を探
し、極秘で計画を進める。建物や服装からマンパワー頼みのスパイ活
動まで、当時の空気を細密に再現した映像はリアリティに満ちていた。

アイヒマンのアルゼンチンでの潜伏場所を密告する手紙を受け取った
バウアーは、拘束後はドイツでの裁判を望み州首相に相談する。同時
にカールを腹心に据え、アイヒマンの肉声テープや偽名を入手する。

すでに戦争犯罪は裁かれたと考えるドイツ人も多く、この当時強制収
容所の実態はほとんど西ドイツでは認知されていない。誰もが新しい
国になったと思いたがっている中、バウアーひとりが旧ナチスの告発
に執念を燃やしている。しかし手続きの壁は厚く、協力を要請したイ
スラエル諜報機関からは第二の証拠を要求される。

一方で、美しいクラブ歌手の誘いに乗ってしまうカール。密かな行為
に癒される彼らの淫靡な感情が切なかった。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

              「アイヒマンを追え!」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/201600929
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
             「疾風スプリンター」  です。

ペダルを乗せた足が力強く漕ぎだす。漲ったふくらはぎ、張りつめた
太もも、ほどなくトップスピードに達する。縦一列の隊列を組んだチ
ームはお互いに風や競走車の楯となり、やがてエースとアシストがゴ
ール目指してスパートをかける。物語はそんな自転車ロードレースに
命を懸けた若者たちの青春と友情を描く。短気でジコチューな男はレ
ースにも恋にも自分が勝つことしか頭にない。冷静で控えめ、闘志を
内に秘める男は着実に階段を昇る。そして彼らの前に現れた不屈の美
女と、立ちはだかるスター選手。時に親友として時にライバルとして
強烈に意識しながら勝利と挫折を味わう過程はスポーツものの王道、
短いショットをつなぐ多彩な映像は圧倒的な躍動と速度を体感させる。

台湾の名門チームに入団したミンとティエンは、エースのジウォンの
アシスト役に任命される。たちまち頭角を現したミンは山岳ステージ
でエースを任されると抜擢に応え、ティエンとの差は広がっていく。

ところが資金難からチームは解散、それぞれ上級クラスの別々のチー
ムに引き取られる。移籍先でもエースになったミンが暴力沙汰を起こ
し出場停止処分を受ける間、ティエンは新チームで結果を出しエース
になる。その時々の毀誉褒貶に伴い、女子選手・シーヤオへのさや当
ても激しくなるが、ドーピングが発覚したティエンは姿を消す。

後に大けがをしたシーヤオを支えティエンを探し出したりと、人間的
にも大きく成長していくミンの屈託のない笑顔が魅力的だ。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                  「疾風スプリンター」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161110
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
  
               「ブラック・ファイル」  です。

圧倒的な資産の経営者。カネが大好きな弁護士事務所のボス。自らの
置かれた立場で一儲け企む美女。みな腹に一物抱え、欲望まみれの本
心を見せようとしない。物語は新薬臨床試験の偽装データを手に入れ
た新進弁護士が巨額訴訟を起こすが、思わぬトラブルに巻き込まれて
命の危機にさらされていく姿を描く。背後で蠢く陰謀の臭い、偶然な
のか嵌められたのかわからないまま警察と殺し屋に追われ、逃げ回る
うちに真実に近づいていくが、それでも謎だらけ。その間、愛しあっ
ているはずの妻の信頼さえ失われている。出世、カネ、名誉、嫉妬…。
“禁断の果実”に手を出した主人公の不安と焦り、もう後戻りできな
くなった時の覚悟や恐怖といった感情がリアルに再現されていた。

製薬会社社長・アーサーの愛人・エミリーは元恋人で弁護士のベンに
極秘の改ざんファイルを渡す。ベンはファイルを証拠に所長のチャー
リーを説得、アーサーに賠償金を要求するが、エミリーが誘拐される。

いかにもケバイ外見のエミリーにベンは振り回され、妻に浮気を疑わ
れる。さらに訴訟から手を引けと殺し屋に脅されたりする。一方アー
サーはエミリーの身代金の支払いに失敗、死体となったエミリーをベ
ンが発見する。ベンは罠を仕掛けられたと気づきその場から去るが、
隣人に顔を見られる。いまや協力してくれるのはハッカーと同僚だけ。

このあたりどんな災難が降りかかっているか不明、逃走するベンの気
持ち同様、交通整理されていないエピソードが混乱に拍車をかける。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                「ブラック・ファイル」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161115
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
              「土竜の唄 香港狂騒曲」  です。

道頓堀から通天閣、ヘリコプターにぶら下がった全裸の男が大阪の中
心部を滑空する導入部はスリルとスピード感満点、ヤクザを丸焼きに
しながら踊るフォークダンスには思わず吹き出してしまう。その後も
きわどい下ネタからしょーもない小ネタまで、一発ギャグが次々と披
露される。あらゆる意味でマンガ的なシーンの連続は観客を楽しませ
ようというサービス精神に満ちていた。物語は、暴力団に潜り込んだ
警官が中国マフィアとの抗争に巻き込まれる姿を描く。主人公を演じ
る生田斗真の独白のくどさ、相棒役の堤真一のクールな男ぶり、その
他すべての出演者の演技が作品独特の過剰な世界観を形成する。

関西ヤクザとの全面戦争を防いだ日浦と玲二は、轟組長から縄張りを
荒らす中国人を排除しろと命令される。玲二が轟の娘・迦蓮のボディ
ガードをしているとき、敵対するモモンガ一味に彼女を誘拐される。

モモンガと中国マフィアは人身売買組織につながっていて、オークシ
ョンにかけられる迦蓮を追って玲二と日浦も香港に飛ぶ。その過程で
暴力団と警察の癒着を嫌うキャリア警察官が暗躍、謎が謎を呼ぶ展開
に玲二も日浦も振り回される。その間、女殺し屋による襲撃、同僚婦
人警官との恋、各々の隠された過去など雑多な要素が詰めこまれた映
像は交通整理がなされておらず混乱の極み。

それぞれのシークエンスはディテールまで凝っているのに全体的にま
とまりがなく、ほとんど行き当たりばったりのような印象を受ける。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

        「土竜の唄 香港狂騒曲」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170106
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
           「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」  です。

通学電車で乗り合わせ、一瞬で心を奪われた。勇気を振り絞って声を
かけたけれど、約束もしないまま別れた。ところが次の日、彼女は唐
突に現れた。物語は、異性関係に不器用な大学生が魅力的な娘と出会
い、惹かれあい、短くも美しい恋の炎を燃やした日々をスケッチする。
退屈な日常に突然光が差した。彼女の笑顔を思い浮かべると居ても立
ってもいられない。そんな、人を好きになる気持ちが夢の中で過ごす
ようなソフトなタッチで描く。だが、気づいてしまった秘密。彼の喜
びは彼女の哀しみ、タイムリミットが迫る中で、愛するとは何かを学
んでいく主人公の姿は、一日を精一杯生きる大切さを教えてくれる。

愛美に一目ぼれした高寿は思い切って告白、ふたりは恋人同士になる。
初めてのデート、初めての手つなぎ、初めての手料理、そして初めて
結ばれた夜。しかし、愛美は幸せの絶頂期になぜか涙を流す。

未来を言い当てる愛美に違和感を覚える高寿。さらに、彼女が忘れて
いったノートに記された、付き合い始めてからの出来事とこれから起
きる出来事を読んで混乱する。高寿の未来は愛美の過去、高寿の過去
が愛美の未来。時の流れが逆行する異次元から来たという愛美の話は
に信じがたいが、命を救われた記憶や証拠写真が高寿を納得させる。

真実を知ってしまった高寿は愛美がすでに体験した時間をなぞってい
ると理解し、急速に愛美への思いが冷めてしまう。このあたり、人生
は自分で選んでこそ価値があると訴える。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

        「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20170105
               
          を参考にしてください。

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        余|談|
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この正月休み、初めてBリーグの試合を見に行きました。横浜対京都、
観客も3000人以上入り会場は熱気に包まれていました。

試合は一進一退、攻撃中は手拍子、守備中は「ディーフェンス」と声
をそろえるのが応援の流儀です。ほとんど点差が開かないまま結局横
浜の勝利。

コートサイドで観戦していたので、170センチくらいの選手が2メート
ルを超える巨漢の間をすり抜けるスピードを体感できました。

ただ、期待したダンクシュートは横浜の2本のみ。マイケル・ジョー
ダンのような空中浮遊する選手は、やっぱりいませんでした。。。

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      次回配信予定は1/12作品は
         
            「ダーティ・グランパ」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
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