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こんな映画は見ちゃいけない! 

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疾風ロンド こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/12/01

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/12/1  Vol.1807    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
             「疾風ロンド」  です。

与えられた使命のヤバさに狼狽し、手がかりがほとんどない状況から
追跡を始めなければならない事態に弱音を吐く。さらに、活躍するは
ずの雪山では早々に脚を負傷し、苦し紛れについた嘘もほどなくばれ
てしまう。物語は、盗まれた生物兵器を巡って、様々な人々の思惑が
交錯し人間性をむき出しにしていく過程を描く。保身しか頭にない上
司、横取りを企てる怪しげな男女、真摯に力を貸してくれる若いカッ
プル、一人前に扱ってほしい息子、居合わせた家族連れ。重なった偶
然が必然のごとく謎を解くカギとなり、心の澱が思わぬ結果を招く。
そして、事件の渦中で自らを省みた主人公が、人生を見つめ直してい
く。彼の姿を通じて、いくつになっても人は変われると作品は訴える。

生物兵器を開発した研究員が持ち出したまま事故死。回収を命じられ
た栗林は息子とスキー場を訪れ、容器を埋めた場所の目印のぬいぐる
みを捜す。ところが、ぬいぐるみは地元の中学生が持ち去っていた。

栗林はレスキュー隊の根津と千晶に、人命救助と偽り手伝ってもらう。
一方で裏切り者一味も容器を狙って栗林たちをマークしている。その
間繰り広げられるゲレンデから原生林を抜けるスキーとスノーボード
のチェイス、ウェアラブルカメラで撮影されたスピードあふれる映像
は臨場感満点、灌木の間を縫って滑るシーンには思わず手に汗握る。

あくまで栗林を傍観者に留まらせ観客にもどかしさを共有させる構成
が、奇妙なサスペンスを盛り上げていた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

              「疾風ロンド」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/201601019
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
           「エヴォリューション」  です。

ゆらめく光となって差し込んでくる太陽、優雅に漂う小魚の群れ、海
底の苔。身を包み込むやわらかな感覚に満ちた冒頭の映像は、母親の
胎内で羊水に浸かっている気分になる。いや、数億年の昔、原始の水
棲生物たちが見上げた頃の記憶を再現しているのかもしれない。物語
は、10歳ほどの少年たちと彼らの母、医療施設の看護婦だけが暮らす
岩肌がむき出しの島で起きる奇妙な出来事を描く。外部からは隔絶さ
れた空間、そこでの価値観しか知らない少年たちは腹部に怪しげな施
術をされても抗わず、それが当然と受け止めている。情報を遮断され
た世界では、何も考えないのが平和な日常を送る唯一の術なのだ。

海底で子供の死体と赤いヒトデを見つけたニコラは母に報告するが信
じてもらえず、いつの間にか死体も消えている。その夜、出かけた母
を尾行すると、海岸に集まった女たちが子供の死体を抱えていた。

少年たちは医療施設に集められ、エコー検査を受ける。彼らは手術に
よって妊娠させられているようで、心音が聞こえてくる。一方の女た
ちの背中には数個の吸盤があり普通の人間ではない。海に潜っても息
継ぎしない彼女たちは、出産機能を失っているが水中呼吸ができる。
その上で、少年たちの精子と受精させた自らの卵子を、少年たちの腹
に移植した子宮に戻しで次世代を残そうとしている。

「エヴォリューション」とはそういう意味なのか、“進化”というに
は微妙な気がするが……。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

           「エヴォリューション」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161007
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
               「五日物語」  です。

子どもが欲しい。若さが欲しい。自由が欲しい。女たちの願いは、男
たちの言動で、思わぬ形で実現する。だがそれに伴う代償は、想定を
はるかに超えた過酷なものだった。やっとできた息子を溺愛するあま
り同じ“父”を持つ子を憎む王妃。自分を寝室から放り出した王と結
婚する美貌を手に入れた老婆。父の戯れで醜い鬼にさらわれた王女。
物語はそんな3人の女がたどる数奇な運命を描く。姑息な手段で得た幸
福が不幸を呼ぶのか、耐え難い不運の先に幸運が待つのか。いずれに
せよ身の丈を越えた欲望は禍を招き、艱難に立ち向かう者を神は見捨
てない、禍福はあざなえる縄のごとしであるとこの寓話は訴える。

占い師の言葉に従い怪物の心臓を食べた王妃はすぐに妊娠・男児を出
産する。同時に、料理した召使にも同じことが起きる。16年後、双子
のようにそっくりになった2人の少年はいつも一緒に行動していた。

別の町では美しい歌に聞きほれた王が声の主を口説きベッドに迎える
が、相手がしわ・しみだらけの老婆と知り窓から投げ捨てる。ところ
が森で魔法をかけられ美女に変身すると、再び王の求愛を受け入れる。
また別の町ではノミを飼育する王が娘・ヴィオレッタを異形の大男に
妻として差し出すが、彼女は脱出のチャンスをあきらめてはいない。

石造りの建物からきらびやかな貴族の衣装、そして深い森や峻険な岩
山の洞窟までディテール豊かに再現された中世ヨーロッパの世界観は、
この奇妙な話にリアリティを与えていた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

               「五日物語」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161129
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
             「シークレット・オブ・モンスター」  です。

神なんか信じない。神を信じている母親も信じない。少年の心に芽生
えた不信感は徐々に大きくなり、やがて大人への疑いに変わっていく。
だが、所詮は年端もいかない子供、力ずくで言うことを聞かされてし
まう。物語は第一次世界大戦終了後、和平交渉仲介のためにパリにき
た米国高官の息子が、両親の押し付けるルールや習慣に反発を覚え、
抵抗を繰り返す姿を描く。もちろん理論的な背景はなく、感情にまか
せて反抗的態度を取っているだけ。一方で、彼の行為に対してなぜい
けないのかを父も母も理解させようとはしない。女の子と間違われる
ほど未熟な年ごろにして、力、すなわち権力こそ正義と学んだ主人公
の未来を、神経をかきむしるような不穏な音楽が予言する。

父は家族を顧みず、母は慣れない環境でいつもイライラしている。そ
んな家庭に置かれた少年は、教会の信者に向かって石を投げたり、家
庭教師にいたずらしたり、食事が気に入らず部屋に籠城したりする。

少年が気を許すのはベテラン家政婦のみ。偉そうに命令する父は家庭
教師と懇ろになり、母は父の盟友と不倫している。何が起きているの
かは正確に把握できなくても、両親ともに嘘をついているのは見抜い
ている。そして家政婦がクビになった時、少年の怒りは沸点に達する。

いまやその感情をオブラートに包む知恵を身に着けた彼は、裏切りへ
の残酷な仕返しのチャンスをうかがっている。肉体よりもかなり早く
精神的に老成してしまった少年の瞳に宿る狂気がおぞましい光を放つ。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

              「シークレット・オブ・モンスター」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161128
               
          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

東京五輪のボート会場が海の森、水泳会場も有明に新設という線で落
ち着きました。当初の小池知事の鼻息の粗さを思い出すと、反対勢力
の勝利という気がします。

彼女の人気をもってすれば森善朗という老害を排除できると期待しま
したが、したたかな森に外堀を埋められて身動きが取れなくなったの
でしょう。

せめてバレーボールだけは既存施設での開催にこぎつけてほしいとこ
ろです。

いずれにせよ、「レガシー」という言葉は、将来「負の遺産」の意味
で使われるの違いありません。。。

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      次回配信予定は12/3作品は
         
            「ひかりをあててしぼる」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
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