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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ハンズ・オブ・ラヴ こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/11/26

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/11/26  Vol.1806    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
           「ハンズ・オブ・ラヴ」  です。

地域の安全を守るために命がけで尽くしてきた。だが長年コンビを組
む相棒にさえ打ち明けられなかった性的嗜好を抱えている。そんな時、
若く魅力的な娘と恋に落ちる。物語は余命宣告をされたレズの刑事が、
自分の遺族年金を同性恋人に受け取ってもらうために、制度の壁や人
々の偏見と闘う姿を描く。ヒロインの誠実な人柄から共感の輪が広が
り、少しずつ理解されていく。そして、支援団体による公的機関での
デモンストレーション。理性に依った主張ならば真意は通じる。多少
強引でも民主主義的な手続きを経れば人々は納得する。米国の自由と
人権はこうやって保障されてきたのだと、この作品は訴える。

危険な現場も顧みないローレルは、男性捜査員のデーンと共に数々の
犯罪者を検挙してきた。ある日、ステイシーから声を掛けられたロー
レルは彼女と意気投合、同棲を始め役所でパートナー登録をする。

平和な日々は長く続かず、ローレルは病に倒れる。その間、彼女から
何も知らされていなかったデーンは信頼されていなかったと傷つく。
このあたり、同性愛者への風当たりの強い保守的な土地柄で、警察と
いう規律を重んじる組織に身を置いてきた苦悩が浮き彫りにされる。

それでもデーンは群委員会や同僚警官にローレルの思いと闘病を助け
るよう働きかける。個人でできることは小さくても、数が集まれば大
きな力になる。やがて支援団体が動き出すと争点が性的マイノリティ
の権利全般に拡大、ローレルひとりの問題ではなくなっていく。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

           「ハンズ・オブ・ラヴ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/201601103
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
 「グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状」 です。

マリア・テレジア像を挟んで対称に建てられた荘厳な双子のミュージ
アム。ひとつは、有名な絵画彫刻や贅を尽くした工芸品を厳重な保管
体制の下で展示、主に観光客の目を楽しませる。もうひとつは、恐竜
の化石や動植物の標本、古遺物の数々が研究者や学生の知的欲求を満
たす。それらはハプスブルグ家の威信をかけたコレクション、次世代
に引き継ぐべき壮大な人類の財産でもある。カメラはそんな、ウィー
ン美術史・自然史博物館の改装に伴う運営方法の改革と、ミリ単位の
修復に全神経を集中させるスタッフといった、そこで働く様々な人々
の日常を描く。収益を上げるつつ文化財保護の役割も果たす企画部門
の、様々なアイデアの取捨選択が“民営化”の厳しさを訴える。

大統領執務室から外されたオーストリア王室の肖像が修復のために運
び込まれてくる。別の部屋では小さな虫やほこりの中の蛾の卵など入
念に取り除き、真珠で飾られた王冠の手入れも怠りない。

植民地や古代遺跡から持ち帰ったキラーコンテンツこそないが、あら
ゆるディスプレイから芸術を愛し自然や文明を保存しようとするコレ
クターの情熱が発散している。だが、今は21世紀、ただ陳列している
だけでは飽きられ、明確なブランド戦略が必要となる。

展覧会の名称に「帝国」の単語を入れると入場者への訴求力が違って
くると語る場面は、オーストリア人の間には欧州の半分を支配した全
盛期への憧憬がいまだ強いことを感じさせる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

   「グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160910
               
          を参考にしてください。





 本日はもう一本
 
               「古都」  です。

近代的なビルの谷間に残された木造の町家。せめぎ合う立地は、伝統
ある家業を継承すべきか広い世界で己の実力を試すべきか、人生の岐
路に立つヒロインたちの胸中を象徴しているようだ。物語は“原作小
説の双子姉妹”の、それぞれの娘たちが迷い悩み苦しみつつ進路を見
出すまでを描く。変わる部分と、変えてはいけない部分の対比が古都
の洗練された趣を感じさせる。京都から出た経験のない者はしがらみ
の複雑さにうんざりし、離れて初めて京都の良さに気付く。その、洛
中人の価値観が逆に京都の魅力に磨きをかけているのだ。

老舗呉服店の一人娘・舞は就活中だがなかなかやりたい仕事が見つか
らない。絵画を学びにパリに留学中の結衣は才能に限界を覚え始めて
いる。2人の母は双子の姉妹だったが、当人たちは知る由もない。

コネ内定に反感を抱いた舞は断った上に家を出る。自分が何者か探っ
ている最中なのに、答えが見つかる前にレールを敷かれることへの不
満と不安に耐えられない。そして過去と未来の板挟みになりながら結
論を出せないでいる。一方で唯は自由にやらせてもらっているからこ
そひとりで戦わなければならない。母の代から世代は下ってもいかに
生きるかの選択に迷う、等身大の彼女たちの葛藤がリアルだった。

時間の流れがゆったりとした古い町並を背景にした映像は決して先を
急がず、心を落ち着かせてくれる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

           「古都」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161015
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
             「L-エル-」  です。

かわいがってくれた両親は死に、引き取られた家では虐待を受けてい
る。心が休まるのは、ひとりで絵を描いている少年とのひととき。ど
れほど悲しくても、いちばん素敵な笑顔をスケッチしてくれる。でも
ある日目を合わせてくれなくなった……。物語は色のない町の少女が
大都会に旅立ち、恋を重ねるうちに不幸のスパイラルを転げ落ちる姿
を追う。美しい顔立ちゆえに男たちが言い寄ってくる。それを愛と勘
違いしていると、男たちは思わぬ本性を現し彼女を裏切っていく。満
天の星に手を伸ばした夜、極彩色の電飾の繁華街、きらびやかなステ
ージで見せる切れ味鋭いダンスetc. ミュージッククリップのような
テンポの映像は、おとぎ話的な展開にスピード感をもたらしていた。

幼馴染のオヴェスとの語らいが唯一の楽しみだったエルは、オヴェス
に黙って故郷を去る。新天地の人混みでひったくりにあったところを
劇作家の青年に助けられると、そのまま彼の世話になる。 

劇作家と同棲するエルは女優の道を歩み始めるが、ほどなく彼は借金
まみれのDV男と発覚、エルは部屋を出る。今度はダンスホールに拾わ
れダンサーとしてデビュー、売れっ子になるが、面倒を見た男が横領
を働きダンスホールにも居づらくなる。

他人を疑うことを知らず、ひどい目にあわされても相手を恨んだりし
ない。ひとりでは生きられない、ひたすら人のぬくもりを求めてさま
ようエルのナイーヴさがあまりにも健気だった。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

              「L-エル-」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161108
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
    「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」  です。

逃げ出した魔法動物を捕まえるために大都会をさまよう若者が遭遇し
たのは、故郷の英国とは似て非なる文化。言葉や起源、人種や宗教は
共通でも、数百年もの間大西洋を挟んで交流もあまりなく、独自の進
化をしたのは魔法界も同じなのだ。この地では魔法を使わない人々に
敵視されるがゆえに、魔法使いたちは厳しいルールを自らに課してい
る。映画は、そんな状況を打ち破ろうとする勢力の陰謀に巻き込まれ
た主人公が、仲間と共に危機を切り抜けるまでを描く。魔法使いたち
も感情豊かな上、組織や社会でのサバイバルに必死、競争と一線を画
した変人の雰囲気を漂わせる彼の頼りなさそうな表情が共感を呼ぶ。

NYに上陸したニュートのスーツケースから魔法動物が脱走、追ううち
にジェイコブ、ティナ、クイニーらと知り合う。一方で魔法を憎むメ
アリーが、養子を集めてカルト集団を作り魔法撲滅運動を進めていく。

ニュートらが街中で魔法動物捕獲をしている間、米国魔法界の長官・
パーシバルが養子・クリーデンスを操ってメアリーの動向を探ってい
る。その後ニュートとティナは魔法界の秩序を乱す存在と判断され、
死刑を言い渡される。苦痛を伴わず人道的に行われる死刑執行のシー
ンは、死とは生きる意志の放棄にほかならないことを教えてくれる。

ただ、このあたりからの展開は非常に目まぐるしく、主要登場人物・
クリーチャーも10を超え顔と名前を覚えるのに一苦労。映像のテンポ
も速く、ついていくのに瞬きを忘れるほどだった。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

       「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161124
               
          を参考にしてください。


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        余|談|
        ━┛━┛

昨日の金曜日は、あちこちの小売店で「ブラックフライデー」という
セールでにぎわっていました。

クリスマス商戦の前哨戦として消費を煽る意図から始められたそうで
すが、“ブラック”なのは黒字になるからだそうです。

「ブラックマンデー」や「ブラック企業」と言われるように、「ブラ
ック」にはいい意味があまりありませんが、こういう解釈もあるのか
と首をひねりました。

これからは儲かっている会社が「ブラック会社」と呼ばれるようにな
るかも。。。

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      次回配信予定は11/26作品は
         
            「疾風ロンド」
         
              です。

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