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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ぼくのおじさん こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/11/03

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/11/3  Vol.1798    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
              「ぼくのおじさん」  です。

マンガ代をケチり昼飯代をせびる。万年床でたばこをくゆらせ、怒ら
れても屁理屈で返す。生活能力も世間知もまったくないのに、根は善
人なのでつい面倒を見てしまう。物語はそんな男が恋に落ち、願いを
叶えるために奮闘する姿を描く。相棒は小学4年生の甥、時に厳しく時
に優しく主人公を見守る視線は子供と保護者の役割が入れ替わったか
のようだ。和室に積み上げられた大量の本と灰皿のシケモク、期限切
れのクーポン、中学生以下の英語力、それでも“役に立たないようで
何かの役には立っている”おじさんを、松田龍平が間延びした空気で
演じ、実社会では無用な哲学研究者の実態をコミカルに再現していた。

家族についての作文を宿題に出された雪男は、父の弟で家に居候して
いるおじさんをテーマに選ぶ。ユニークで怠惰なおじさんの日常を活
写した雪男の作文は先生の目に留まり、コンクールに推薦される。

早く家から追い出したい兄嫁はしきりに見合いを勧めるが、断られる
のがわかっているからケチばかりつけている。ところが、ハワイ在住
の写真家・エリーを紹介されると、美しく気さくなうえ自分に興味を
持つ彼女に、おじさんはのぼせ上がってしまう。経験したことのない
異性への抑えがたい感情、おじさんはエリーにハワイ訪問を約束する。

悶々とした思いを昇華させるにはハワイに行かなければならない、そ
のチケットを手に入れるまでの熱意の無駄遣いは、“思索こそ人生”
という哲学者の哀しい性が凝縮されていた。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

               「ぼくのおじさん」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160927
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
                「いきなり先生になったボクが彼女に恋をした」です。

恋人にはアパートを追い出され、勤め先は営業停止。帰るところも行
くところもなくなった青年は出張先でひとり途方に暮れている。そん
な時声をかけてくれた語学学校の経営者。物語は友人も知人もいない
沖縄で語学教師になった韓国人が、熱心な受講生と恋に落ちる姿を描
く。シングルマザーの彼女は誰よりも努力家、息子を育てるために必
死で勉強する真面目さに自らの漫然とした生き方を省みた彼は少しで
も役に立ちたいと願う。“なんくるないさ”と起きてしまったことは
受け入れても、追い詰められたときは底力を発揮する沖縄女子。優柔
不断なのに行動に移すと一気に突き進む韓国男子。ふたりの不器用で
ちぐはぐだけれど見守ってやりたくなる危うさが愛おしい。人情に篤
くよそ者をあまり警戒しない開放的な南国気質がうらやましい。

父と喧嘩して日本で暮らしていたヨンナムは、講師に逃げられた語学
学校の校長にスカウトされ韓国語講座の教壇に立つ。ある日、韓国語
をマスターしないと失職するさくらから個人レッスンを依頼される。

名所旧跡から生活の場まで観光ルートを回るふたり。首里城ではぎこ
ちなかった態度が国際市場ではテンポが速くなる。最初のデートはお
互いの素顔が見える場所が最適という鉄則が見事に生かされていた。
さらにヨンナムはさくらの息子・圭ともすぐに打ち解ける。

ふたりが急速に接近する過程は少女向けコミックの軽さではあるが、
肩の凝らないコメディを求めている女性観客には支持されるだろう。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                    「いきなり先生になったボクが彼女に恋をした」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160930
 
         を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
 「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」です。

深く刻まれたシワと皮膚のたるみは隠しきれないけれど、仕事を任さ
れ生活も安定している。でもやっぱり足りないのは心をときめかせる
相手。物語はそんなヒロインが一夜限りの男と元恋人の2人から同時に
求婚され、迷いながらも幸せをつかむまでを描く。言葉の端々に下品
なウィットをちりばめた会話はここでも健在、泥にダイブしたり電話
応答と業務指示を混信させたりとベタなセンスも受け継がれている。
何より、冴えない中年女が社会的に成功している男にちやほやされ、
三角関係に葛藤するなどという妄想に近い展開は、すっかりオバサン
になってしまった彼女のイタさを象徴していた。まあ、オッサンがス
ーパーヒーローに胸を躍らせるのと同じかもしれないが。。。

友人と音楽フェスに参加したブリジットはジャックのテントに乱入、
翌朝黙って去る。その後、知人の子の洗礼式でマークと再会、気まず
いムードのなか彼が離婚協議中と聞いてベッドを共にする。

ブリジットは妊娠するがどちらの子供かははっきりさせない。男たち
は自分こそが父親と思い込み、ブリジットにアプローチする。米国人
らしくストレートに迫るジャックと英国人らしく遠回しなマーク。2人
を天秤にかけながらかぐや姫気分を味わうブリジットの態度は、彼ら
が鉢合わせして険悪な雰囲気になった後も変わらない。

女の計算と打算、せめて赤ちゃんが生まれるまでは双方から大切にさ
れたいと、子宮を賭けた駆け引きに男たちは巻き込まれていく。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

    「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161101
 
         を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
          「デスノート Light up the NEW world」です。

地上にばらまかれた6冊のデスノートを拾った男女。ある者は世直しに、
ある者は人助けに、ある者は私欲のために、ある者は狂気を発散させ
るようと利用する。そして、前回の騒動からの因縁を引き継ぐ者たち
が、6冊すべてを手中に収めようと新たな戦いを始める。物語はデスノ
ートを追う捜査員とLの遺志を受けた男、キラの後継者の三つ巴の争奪
戦を描く。後手に回る警察官、一歩先を読むL、PCウィルスを通して世
界を人質にするキラ。今やデスノートは研究され、素顔と本名を知ら
れなければ殺されることはない。だからこそお互いに素性は隠し、持
ち主は名前を透視する能力を追加できる。ネット上の足跡をたどれば
あらゆるプライバシーが丸裸にされる恐ろしさがリアルだった。

デスノートを使った無差殺人が発生、デスノート対策本部の三島と探
偵の竜崎は犯人を倒しデスノートを入手する。一方、すでに4冊のデス
ノートを集めた新生キラ・紫苑は、三島と竜崎に残りの2冊を要求する。

スタイリッシュでクールな映像はスピード感に満ち、どれだけ豊かに
なってもさらなる欲望の罠に落ちるという人間の暗部を象徴する。雑
踏で記名殺人を重ねる容疑者を追跡するシーンは臨場感と切迫感にあ
ふれ、事件の現場の空気を生々しく再現していた。

また次々にPCをハッキングしては己の目的を果たそうとする紫苑の監
視モニターの盲点を突く神出鬼没さが際立つ。このあたりの駆け引き
はテンポが速く、細かい齟齬を力技でねじ伏せる。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

               「デスノート Light up the NEW world」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161102
 
         を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
             「奇蹟がくれた数式」です。

証明なんかいらない、神がくれたひらめきだから。差別なんかに負け
ない、自分の能力は絶対だから。だが、故郷に残してきた妻への思い
は募るばかり。物語は、数学を独学で極めた青年が最先端の大学に招
聘され、未知の定理を次々と発見してく姿を描く。植民地出身者への
偏見がまだ根強い20世紀初頭の英国、宗教や習慣の違いに苦労しなが
らも、チャレンジを繰り返す主人公の、妻からの便りもなく孤独のな
かで数式の中に救いを求めているかのような背中が切ない。一方で庇
護者でもある教授は人づきあいの距離感に疎く、彼の気持ちを忖度で
きない。由緒ある学び舎の雰囲気がスノッブな名門らしさを再現する。

インドのマドラスで経理係をするラマヌジャンは、自らの理論を記し
た手紙をケンブリッジ大学の数学者・ハーディに送る。ラマヌジャン
の論理に目を見張ったハーディは、さっそく彼をイギリスに招く。

学位のないラマヌジャンはいくら高度な数学を身につけていてもイン
ドでは相手にされず、才能が発掘されるまでの日々は浮浪者同然の暮
らし。ところが折角ケンブリッジわたっても食生活になじめず、さら
に戦争で食糧事情が悪くなると栄養失調から健康を害する。そして公
式にいちいち過程を要求するハーディとも対立する。

彼にとって定理が導く解は明白なのに、凡人たちは“なぜそうなるの
か”を説明させようとする。天才ゆえに理解されない、本人も理解さ
れようと努力しない。いつの時代にも起きる葛藤がくりかえされる。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

               「奇蹟がくれた数式」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20161031
 
         を参考にしてください。
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        余|談|
        ━┛━┛

PCさえあればオフィスに行かなくても仕事ができる、そんなテレワー
クがなかなか普及しないと毎日新聞が報じていました。

PCとネットで在宅勤務、ホワイトカラーは通勤から解放されより豊か
な生活を送ることができると、1980年代に出版された「第三の波」と
いう本は夢のような予言をしていました。

でも実際は労働時間の管理が難しく、結局仕事は自宅でできても自宅
から出られないほどの量の仕事を押し付けられるというジレンマが発
生しています。

テクノロジーの進歩で人間は幸せになったのか。などと考える最近で
す。。。

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      次回配信予定は11/5 作品は
         
            「インターン!」
         
              です。

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このメルマガは、週2回発行です。

皆様からのご意見、ご要望、感想をお待ちしています。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて体調不良から入院、結核と診断されるラマヌジャン。同時にハーディの尽力で王立協会への入会やフェロー
            otello.com.ua@gmail.com

                         までお願いします。

いただいたメールはこのメルマガで紹介させていただくことがあり
ます。

なお、相互紹介の依頼は受け付けておりません。

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは、よい一日を!

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創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
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