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こんな映画は見ちゃいけない! 

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TSUKIJI WONDERLAND こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/10/01

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/10/1  Vol.1789    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
             「TSUKIJI WONDERLAND」  です。

“産直にしたときもあったがやっぱり築地に戻ってきた”。フグ料理
店店主の言葉は、安さ新鮮さを追求するよりも、目利きの仲卸から買
ったほうが年間を通じて安定した品質と量を確保できる、この巨大市
場の特徴を象徴する。駆け引きはあっても信頼は裏切らない仲卸業者
の人々、カメラはあらゆる魚介類が取引される東京・築地市場の一年
を追う。深夜0時前から始動、2〜3時にはあちこちでセリがたち、夜明
け前には料理人たちが買い付けに来る。時々刻々、日本はもとより世
界中から集積する海産物を仕入れ飲食店に卸すビジネスは情報戦、鉄
火場のような熱気の中で仲卸たちの誇りがスクリーンからほとばしる。

1935年、銀座のはずれに建設された築地市場は、和食洋食を問わずシ
ーフードを扱う料理人を魅了し続けてきた。一方で小学生の食育にも
力を入れ、焼き魚の食べ方をレクチャーしたりする。

インタビューを受ける仲卸たちは、みなこの仕事が好きでたまらない
気持ちを前面に出して語る。利益を出さなければならないが、それ以
上に客の期待に応えることに無上の喜びを感じている。どういう手続
きを経て出店したのかは説明されていないが、築地に店を構えている
プライドが彼らに公正な競争をさせているのだろう。

商売人よりはむしろ魚貝の良し悪しを見分ける鑑定職人といった風情
の男たちが織りなす日々の営みは、おいしい寿司や魚料理を食べられ
る幸せを改めて思い出させてくれる。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

               「TSUKIJI WONDERLAND」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160729
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
           「Yesterday」です。

“女の子にモテたいならバンドをやれ”。友人の兄にアドバイスされ
た少年は早速3人の親友たちと人気グループを模したバンドを組む。だ
が、彼の関心は次第にクラスメートへ傾き、叶わぬ恋に心は千々に乱
れていく。1960年代オスロ、物語はビートルズを愛する高校生たちの
甘酸っぱい青春と友情を描く。名前だけしか知らない謎の少女への思
いがいつしか美人の転校生に移っていく。好きな気持ちを伝えたのに、
学校ではつれない態度を取られてしまう。でも人目のないところでは
ふたりきりで会ってくれる。乙女心のきまぐれに振り回され、悶々と
した日々を過ごす主人公の心情が切なくもほほえましい。ファッショ
ンからクルマまで、細密に再現された小道具の数々が郷愁を誘う。

映画館で出会ったニーナにラブレターを書いていたキムは、クラス1の
美女・セシリアを救ったのをきっかけに彼女にも興味を持ち始める。
彼女をつけまわすがセシリアはキムに微妙な距離を保ち続ける。

一方でバンドの練習はあまり身が入らず、、ビートルズへの憧れは語
り合っても全身全霊で音楽に取り組むほどの熱意はない。それでも、
“内なる声を聞け”と言われたキムは本当は何をやりたいのかに気づ
く。そんな時、セシリアの家で開かれるパーティでライブ演奏を依頼
されたキムは、初めて本格的に音楽に没頭する。

この世代の少年たちの動機なんて所詮は自分をかっこよく見せたいと
いう程度のもの、その単純さがかえって純粋に思えてくる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

               「Yesterday」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160812
 
         を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
         「シーモアさんと、大人のための人生入門」です。

“芸術家の目指す崇高さと大衆が喜ぶもののギャップ”。パフォーマ
ンスが批評家に評価されるだけでは第一線で生き残れない、ある種の
わかりやすさも必要となってくる。そんな老ピアニストの言葉はあら
ゆるプロに当てはまる正論、どれだけ努力したかを問うているのだ。
カメラは80歳を超えてなお後進の指導に意気軒昂なピアニストの日常
と半生を追う。音楽に縁の薄い家庭でピアノの魅力に取りつかれた幼
いころ。演奏活動より人材育成に充てる決心をしたきっかけ。さらに
都心のアパートでの質素な一人暮らしをする現在。経験に裏打ちされ
た主人公の薀蓄は示唆と教訓に富み、聴衆の感情を揺さぶり時に彼ら
の人生にまで影響を与える“音楽の力”とは何かを教えてくれる。

シーモアの生き方に感銘を受けたイーサン・ホークは、彼のドキュメ
ンタリーを撮り始める。ワークショップから個人レッスン、1日限りの
復活コンサートの準備に密着、彼の素顔に迫る。

鍵盤への力の加え方、ペダルの踏み方、拍の取り方、それらの繊細な
操作でピアノが発するメロディはまったく違った喜怒哀楽を醸し出す
と弟子にアドバイスするシーモア。

特に朝鮮戦争に従軍し前線の兵士にクラシック音楽を聞かせた彼にと
って、その目で見た数多の死が悲しみを表現する技術を磨いたはず。
当時の思い出話をしながら嗚咽するシーモアの涙が、戦争という“毎
日人が死ぬ現実”のトラウマの深さを物語っていた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

               「シーモアさんと、大人のための人生入門」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160906
 
         を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
             「アングリーバード」です。

へそ曲がりで怒りっぽい、村の外れでひとり住まいをしている。だが、
だからこそ皆が信じる常識や習慣にとらわれず、一斉に同じ方向に進
む危険性を知っている。飛べない鳥たちが平和に暮らす島、物語はそ
んな主人公が危機に直面した村の有力者から戦闘部隊のリーダーに任
命され、秩序と安寧を取り戻すまでを描く。先進文明で先住者の歓心
を買った後収奪する侵略者の手口は、近代以降の欧米によるアジア植
民地化の過程を見ているよう。堅牢な国境を越え建物に体当たりする
鳥たちは自爆攻撃を連想させる。子供向けアニメを史実や現実になぞ
らえるのは強引だが、テロリスト国家・集団の理論にも一理ある気が
する。「力ずくで奪われたものは、力ずくで奪い返せ」という。。。

すぐにキレるレッドは怒りコントロールのセラピーでチャックやボム
と知り合う。ある日、機械船で島にきたブタたちにキナ臭さを感じ、
守り神・マイティ・イーグルの預言をもらおうと霊峰に登る。

わがもの顔で島を闊歩するブタたち。ところが彼らからの贈り物に鳥
たちはすっかり気を緩めてしまう。その間、レッドたちは山の霊泉に
たどり着くが、伝説とは全く違うマイティ・イーグルのふがいない姿
に幻滅してしまう。それは、困った時に最初から他者を頼るのではな
く、まず自助努力をしろというマイティ・イーグルの無言の教訓。

そしてマイティ・イーグルは、無理と思える難題にもチャレンジする
勇気を持つ大切さをあえて“協力をしない”態度でレッドたちに示す。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                 「アングリーバード」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160907
 
         を参考にしてください。


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        余|談|
        ━┛━┛

当初見込みの4倍以上に膨らみそうな東京五輪の経費。小池知事より一
部会場の見直し案が出されましたが、またぞろ大会組織員の森喜朗が
反対しています。

水泳会場など、すぐ近くに国際大会仕様の辰巳プールがあるのだから
改装すれば済むはず。ボート・カヌー会場も宮城県でやれば復興の手
助けにもなる。

IOCに対していまさら変更を申請するのは難しいというのが森の主張で
すが、要するにばらまいたカネを回収するのは自分のメンツがつぶれ
るということでしょう。

なんでこんな無節操な男を会長にしたのか。ここは小池知事に踏ん張
ってもらいたいところです。。。

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      次回配信予定は10/6 作品は
         
               「ジェイソン・ボーン」
         
              です。

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