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こんな映画は見ちゃいけない! 

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みかんの丘 こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/09/17

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/9/17 Vol.1785    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
             「みかんの丘」  です。

数発の銃声と爆発音、現場には焼け焦げた軍用車両と数体の死体、そ
して傷ついた兵士が横たわっている。のどかな田舎の小さなみかん畑、
そこにも暴力は色濃い影を落とし、わずかに残った住民の生活を脅か
している。物語はコーカサス系とジョージア系の紛争地帯、避難しな
かったエストニア系の老人が敵味方双方の負傷兵を看護する中で、人
間の本質とは何かを問う。民族単位では争っている、ところが個人と
して相対した時、敵にも愛や感情もあるという当たり前のことに気づ
く。そして叩き込まれてきた“憎むべき敵”のイメージとは異なった
実像に相手を信じてみようと気持ちが動く。抱えきれない哀しみを体
験した老人の瞳が、人の命を奪い合う戦争の虚しさを象徴していた。

イヴォとマルゴスは戦闘で負傷したアフメドと瀕死の重傷のニカを収
容して看病する。アフメドとニカは銃口を向け合った同士、イヴォは
家の中で殺人はしないとアフメドに約束させる。

意識を回復したニカはアフメドと同じテーブルに着くが、2人とも敵意
は隠さない。だが名誉を重んじる彼らはイヴォとの約束は守ろうとす
る。小さな家の中、イヴォとアフメドの会話をニカが聞き、イヴォと
ニカの話題がアフメドの耳に入る。

仲間を殺した男には違いないが、彼も命令に従っただけ。故郷に帰れ
ば家族がいるのは自分と同じ。イヴォを介した間接的な交流だが、ア
フメドとニカの間にある憎悪の壁は理解によって崩されていく。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

               「みかんの丘」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160714
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
           「とうもろこしの島」です。

交戦中の2国間の国境を流れる川、その中州で老人と少女は耕作を始め
る。そこはどの国の領土でもない“耕す者の土地”、軍人たちも中立
地帯とみなしているのか双方とも手を出さない。物語は、そんな島に
兵士が逃げ込んできたことから起きる老人と少女の心の変化を描く。
匿った若い兵士とは言葉は通じないけれど傷ついた彼を見捨てるわけ
にはいかない。どちらの国にも与しないし争うつもりもない。ただ、
人間としての優しさを失いたくないだけ。一方で戦争とはかかわらな
いようにしても、戦場のすぐそばにいる以上、やはり巻き込まれそう
になる。やがてふたりが目指した、畑を守り安寧に暮らす願いは、少
しずつ崩れていく。真の平和などない、危ういバランスの上で成り立
っているだけとこの作品は訴える。

小さなボートで堆積した中州に上陸した老人と孫の少女は、小屋を建
て畝に沿ってとうもろこしの実を埋める。食料は川で捕れた小魚、夏
になるととうもろこしは人の背丈より高く育っていく。

機械や家畜は一切使わず、人力で柱を立て壁板を打ち付け屋根を葺く。
土を起こすのもシャベルと鍬のみ、手撒きの種にバケツで水をやる。
近代文明を拒否する老人のスタイルは、紛争がなかった遠い昔へのこ
だわりなのか、映画もまた道具で手作りする感覚をリアルに再現する。

あくまでも寓話的な設定だが、それは先祖代々、土と共に生きてきた
農民のプライドにも思える。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

               「とうもろこしの島」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160618

          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
             「はじまりはヒップホップ」です。

杖をついて歩く者もいる。車椅子に座ったままの者もいる。集合した
20人以上の老人たちは皆足元が覚束なく動作も鈍い。それでもビート
の効いた音楽がスタートすると左右にステップを踏み、手で拍を取り
始める。カメラはそんな、ヒップホップに目覚めた老人ダンスクラブ
に密着、ニュージーランドの小島からラスベガスのステージに立つま
でを追う。若くても70代、最高齢は94歳の会員はみな長年平穏だが自
立した暮らしをしてきた老人たち。だからこそ“年寄りには無理”と
いった概念にとらわれず大胆な行動ができる。そしてヒップホップを
全く知らず振り付けをなかなか覚えられなかった彼らが、いつしか集
団パフォーマンスをこなしている。その進歩は、新しいことに挑戦す
るのに年齢は関係ないと教えてくれる。

老人ダンスサークルの世話役・ビリーはメンバーに世界大会出場を宣
言、事務局に動画を送ると招待の電話が来る。老人たちはやる気にな
るが、思いどおりにスポンサーが集まらず資金繰りに困窮する。

クライストチャーチでの予選会では、エントリーは皆10代20代の真剣
にダンスに取り組んでいる若者ばかり。遊び半分のジジババグループ
は白い目で見られるのかと思いきや、若者たちは大歓迎で彼らとハイ
タッチする。老人たちも若者たちと同じテンションで彼らに応える。

若者に対して上から目線が多い日本の老人とは違い、年の差を越えて
フランクに接するがゆえに、この国では老人が大切にされるのだろう。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                  「はじまりはヒップホップ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160916

          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

体幹を鍛えようとブルガリアンサンドバッグを買いました。15キロ、
ダンベルではギリギリ片手で持てますが、ブルガリアンサンドバッグ
はずっしりと重く両手じゃないと持ち上がりません。

トレーニング法としては、三日月型のブルガリアンサンドバッグの両
端を持って体の周りを振り回すのですが、これが5回も回すと息が上が
るほどのハードワーク。

5日目で何とか連続10日回せるようになりましたが、心臓はバクバクと
音を打ち、貧血状態になるときもあります。

でも効果はテキメン。1週間でベルト穴ひとつ分ウエストが細くなりま
した。なんか長年悩まされていた腰痛もとれたし。。。

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      次回配信予定は9/22 作品は
         
               「怒り」
         
              です。

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