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こんな映画は見ちゃいけない! 

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アスファルト こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/09/03

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/9/3 Vol.1781     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
             「アスファルト」  です。

車椅子の男と夜勤の看護婦、育児放棄された少年と仕事のない女優、
息子の帰りを待つ母と不時着した宇宙飛行士。崩壊した家庭の残滓が
こびりついている団地の一棟、家族から切り離された3組の男女はお互
いを知ることで孤独から解放されていく。物語は、老朽化した高層ア
パートの住人たちの些細な日常を描く。エレベーターの昇降、世代の
違い、異国人とのコミュニケーション。カメラはそれらのシーンで登
場人物が覚える微妙な違和感と、その心理的な壁を乗り越えていく感
情の動きを丁寧に救い上げる。最初は偶然だった、だが関係を続けて
いくうちに必然に思えてくる。手間や時間がかかっても、善意の他者
と交わって起きる変化は人生を豊かにするとこの作品は教えてくれる。

改修費用を出し渋るスタンコビッチはエレベーターの使用を禁じられ
る。母が帰ってこないシャルリは隣人のジャンヌを助ける。アパート
屋上に着陸したジョンはアラブ系のハミダ夫人の世話になる。

2階に住んでいるからエレベーターを使わないと主張するスタンコビッ
チが、車椅子生活になってエレベーターに頼らざるを得なくなる。と
ころが、カネを払いたくない彼は寝静まった深夜に外出、買い出しに
いく。当然商店は閉まっていて手に入る食料は病院の自販機で売って
いるスナック菓子のみ。

わずかな出費を惜しんだせいで不便を強いられる皮肉が、彼のツキの
なさを象徴していた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

               「アスファルト」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160713
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
             「ディアスポリス」です。

帰るところはない。行くところもない。身分もなければ安全の保証も
ない。そんな密入国不法労働者が屯する裏社会、住人は己の才覚で生
き残っていかなければならない。物語はそんな街の秩序を守る男の奮
闘を描く。ハイテク機器も高性能武器も使わず己の肉体と頭をフル稼
働させて、暴力に憑りつかれた若者を止めようとする。政治的に禁じ
られた宗教を信じたがゆえに故国を締め出された逃亡者の、二度と戻
れぬ故郷への思いが切ない。非常階段から狭い道路、そして人がやっ
とすれ違えるほどの裏路地を全力疾走する主人公をとらえたカメラワ
ークが圧倒的なスピード感をスクリーンから発散させていた。

裏都庁の異邦警察官・久保塚の元に風俗嬢誘拐の通報が入る。犯人の
中国人・周と林は、身代金を奪った上に人質とヤクザを殺害、さらに
裏社会の幹部を殺しフィリピン人と朝鮮人を仲間に加えて逃走する。

久保塚とヤクザに追跡されながらも周たちは西に逃げ、大阪を経て地
下銀行のある神戸を目指す。その間、ゆく先々で教会に立ち寄り、懺
悔をしては告白を聞いた牧師を手にかけていく。

自分たちにまともに生きるチャンスを与えてくれなかった世間を恨み、
こんな運命を課した神を憎むかのような周たちの逃避行は、男ばかり
の「俺たちに明日はない」的な風合いのリリシズムを醸しだす。社会
の底辺をはいずりまわっているよりも死と破滅の美学を選ばざるを得
なかった周の曇った瞳が人の世の無常を訴える。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

               「ディアスポリス」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160831

          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
             「ティエリー・トグルドーの憂鬱」です。

長年機械相手の現場で働いてきたのだろう、危険に敏感な彼の目つき
は人を寄せ付けない鋭さがある。しかし、求職活動では気難しい印象
しか与えない。模擬面接で酷評されて苦虫をかみつぶした顔が主人公
の苦境を象徴する。物語は、失業中の労働者に降りかかる不運のスパ
イラルを描く。未経験者は採用されず、手当は減額、トレーラーの売
却は交渉決裂、障害者の息子は成績低下……。経営合理化のしわ寄せ
を食った彼は不満が爆発寸前、それでも家族のために歯を食いしばっ
ている。過当競争の末に富裕層だけが豊かになる21世紀資本主義の最
下流で起きている現実を長回しのショットで見つめるカメラはあくま
でリアリズムに徹し、希望の薄れた世界を浮き彫りにする。

無駄な研修を受けて不採用になったと、ティエリーは職安の職員に食
って掛かるがらちが明かない。銀行の融資担当者からはアパートを売
れと勧められたりもするが、その後、スーパーの警備員の職を得る。

ネクタイにスーツ、慣れない格好で出勤するティエリー。ところが彼
が纏う雰囲気は威圧的に映るのか、証拠があるから警察に通報すると
脅すと捕まった万引き犯は次々に白状する。このあたり、不愉快な仕
事ではあるが、絶対に負けないゲームを楽しんでいるようでもある。

社会的弱者だったティエリーがさらに弱者をいたぶる構造、合法的に
搾取する者には目をつぶり、カネのない老人が肉を盗んで罪に問われ
るという不平等の実態がやるせない気分にさせる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                  「ティエリー・トグルドーの憂鬱」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160902

          を参考にしてください。
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        余|談|
        ━┛━┛

ASUSという台湾メーカーのノートパソコンのOSをWin10にアップグレー
ドして使っていましたが、今度は本体に不具合が出ました。

修理が面倒だから新品に交換するという意味のことを言うのですが、
すでにWin10の無償期間は過ぎているのでせめてOSをアップグレードし
てくれと返しました。でも、サポセンはできませんの一点張り。

大体ここのオペレーターは全員外国人で対応はいかにも中国的。落ち
度があっても謝っていれば何とかなると完全に日本のユーザーをなめ
ています。

ネットで調べると、ASUSサポセンの対応はかなり評判が悪い。やっぱ
り多少高くても日本製を買うべきでした。。。

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      次回配信予定は9/8 作品は
         
            「キング・オブ・エジプト」
         
              です。

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