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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ゆずの葉ゆれて こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/08/20

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/8/20 Vol.1777    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
           「ゆずの葉ゆれて」  です。

苦楽を共にしてきた糟糠の妻、実の孫のようにかわいがってきた隣家
の少年。死の床に横たわる老人は最期の思いを彼らに伝えようとする。
物語は、在宅死した老人の葬式に出席した少年が体験した不思議な出
来事と夫婦の絆を描く。50年にも及ぶ夫婦の歴史の中、妻子のために
あきらめた夢があった。子供たちが独立してからは隣人が家族となっ
た。危篤から臨終、通夜・葬儀のミニマルな設定の中で、先に逝った
者は感謝と希望を残された者に託し、参列者たちはまっすぐに生きた
彼の生涯に想いを馳せる。己のためだけに頑張ったのではない、誰か
のために汗を流したからこそ死者は他人から偲んでもらえるのだ。

隣に住むばあちゃんから寝たきりのじいちゃんの見舞いに来てくれと
頼まれた武は、理由をつけて断る。その夜、じいちゃんは息を引き取
る。翌日、武はヒサオを名乗る少年と競走するが全く歯が立たない。

一方、次々と集まってくる知人や親族は、駅伝選手・監督だったじい
ちゃんの武勇伝を語り始め、ばあちゃんも思い出に浸る。馴れ初めか
ら新婚生活、今でももあの頃の気持ちはすぐに思い出せる。死語とな
った“駆け落ち”をし、ふたりで婚礼を上げ、力を合わせて畑仕事に
精を出し、祭りの夜店でリングを選んだ懐かしい日々。

すべてがかけがえのない記憶となってよみがえる。苦労も多いがいつ
も一緒にいれたのが何よりの幸福だった。人を真剣に愛した人生はき
っと愛された人々の心で美しく再現されるとこの作品は教えてくれる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

               「ゆずの葉ゆれて」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160701
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
             「ストリート・オーケストラ」です。

子どもの頃は神童と呼ばれていた。今はしがない演奏家、オーディシ
ョンでは緊張のあまり指が止まってしまう。物語は売れないバイオリ
ン弾きがスラムの少年少女に弦楽器を指導しながら、彼らと共に音楽
から希望をもらい成長していく姿を描く。貧困の中で育ち心が荒んで
いる生徒たちは何事にも集中力が続かず、まともなレッスンにならな
い。ところが、楽器の持ち方楽譜の読み方から始め、彼らに音楽の素
晴らしさを伝えようとする過程で、行き詰っていた主人公もまた生き
る意欲を取り戻していく。スラムから出たいと願っているのに警察の
手が入るとスラムを守ろうとする。憎いけれど愛しい故郷というスラ
ム対する住民のねじれた感情が、彼らへの接し方の難しさを象徴する。

NGO支援の学校で音楽教師をするラエルチは、絡んできたチンピラを超
絶技巧の演奏で黙らせる。ラエルチ自身もその話を聞いた生徒たちも
音楽の力に未来への可能性を見出し、真剣に練習に取り組みだす。

一応生徒たちは演奏会を目指しているが、真面目で才能があるサムエ
ルは少年院帰りのVRとつるみ借金を抱えている。ラエルチは彼らの窮
地を救い、生徒たちの信頼を得ていく。一方で、一つ間違えれば命を
落とすような環境で暮らすスラムの人々と交流するうちに精神的にも
タフになったラエルチは、オーケストラのオーディションに合格する。

やる気のない生徒をまとめる先生といった通俗的な展開ながら、スラ
ムを舞台してブラジルが抱える厳しい格差問題をリアルに再現する。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

               「ストリート・オーケストラ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160817

          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
            「ソング・オブ・ラホール」です。

かつて中央アジアにおける文化・芸術の中心地だったパキスタン・ラ
ホール。軍事政権のイスラム化政策とタリバンの台頭ですっかりその
地位を失っていた。民族音楽を守ろうとする一部のミュージシャンは、
新たな聴衆を開拓するために米国の大衆音楽を取り入れる。カメラは
伝統的な楽器と奏法でジャズの名曲に挑戦するパキスタンの演奏家た
ちの奮闘を追う。使われていないバイオリン、年季の入ったドラム、
幻想的な音を紡ぐ多弦楽器、それらが奏でる新感覚の旋律は聞きなれ
たリズムとは異なった表情を持つ。それでも彼らの演奏は、人の心に
響く音楽は表現方法が変わってもその魂は変わらないと教えてくれる。

古びたスタジオに楽器を持った男たちが集まり、サッチャルというバ
ンドを結成する。新しいことをしなければジリ貧と思った彼らは“テ
イク・ファイブ”を民族楽器で再現、動画をYoutubeにアップする。

たちまち世界中から注目を浴びたサッチャル。NYの有名ジャズバンド
から共演のオファーが届き代表者が渡米、話がまとまる。選りすぐら
れたメンバーはNYに乗り込み本場のジャズの神髄に触れるとともに、
自分たちの音楽を自由に演奏できる幸せに浸る。

だが、NYのビッグバンドと音合わせをしているうちに、ジャズに対す
る理解や音楽の洗練度の違いから齟齬が乗じる。全米から集まった一
流のジャズ奏者と田舎町の民族楽器奏者の差は明らかで、NY側も彼ら
を持て余している様子がスクリーンからありありとうかがえた。

               「ソング・オブ・ラホール」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160819

          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

子どものころから変人扱いされてきたヒロインが、マニュアル化され
たコンビニ店員としてのみ能力を発揮する「コンビニ人間」を読みま
した。

大学入学以来18年、コンビニアルバイトとして生活してきた彼女は、
他人が敷いたレールの上を歩くことで世間と折り合いをつけてきたの
に、奇妙な男との出会いで自立を求められます。

彼女の生き方は「個性」や「自分らしい」ことを求められる、学校教
育をはじめとする現代社会への強烈なアンチテーゼとなってました。

高度成長期は横並びが美徳とされていた。目立たずに過ごしたい人に
とって、21世紀は生きづらい時代になってしまったようです。。。

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      次回配信予定は8/25 作品は
         
           「イレブン・ミニッツ」
         
              です。

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