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こんな映画は見ちゃいけない! 

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太陽のめざめ こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/08/06

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/8/6 Vol.1774    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
           「太陽のめざめ」  です。

我慢を知らず、感情を抑えられないまま暴走する。大人を敵視し誰に
対しても敬意を払わず、怒りすら抱いている。家庭に問題を抱える典
型的な少年、だが判事と教育係は根気よく彼を見守り、更生させよう
とする。物語は非行に染まった少年が思いやりを学び、少しずつ変わ
っていく過程を描く。まともにペンを持てない彼が身上書を書けるよ
うになり、誕生日を祝ってもらうと柔和な笑顔を見せる。怠惰な母親
でも非難されるとかばおうとする。本当は悪い子じゃない。愛されな
かったから愛し方がわからないだけ。ところがそう信じても期待はす
ぐに裏切られる。一歩前身二歩後退の後に成長していく主人公をロッ
ド・パラドが迫真の熱演、人間の弱さと脆さを再現する。

育児放棄の母親と暮らすマロニーは窃盗で逮捕され、フローランス判
事から矯正施設行きを命じられる。教育係のヤンに励まされ一時落ち
着くマロニーだったが、再入学の面接で難色を示されキレてしまう。

その後も、心を入れ替えたかと思えば自制が利かなくなる事態を繰り
返すマロニー。ヤンは無断欠勤したマロニーを説教するが、聞く耳を
持たない。マロニーの胸にあるのは決定的な不信感、自分が傷つく前
に傷つけてやろうという防衛本能が働くのだろう。せっかくできたガ
ールフレンドにもつれない態度を取ってしまう。

マロニーがフローランスに召喚される度に同席する彼の母親の、手前
勝手な理論を振り回すバカ親ぶりが非常にリアルだった。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

               「太陽のめざめ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160624
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
             「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」です。

スカーフを頭に巻いた卒業生の入校を断る教師。十字のネックレスも
校内では禁止される。公教育の場での宗教色を出すのは認めないフラ
ンス人の“偏見”をなくそうとする決意が印象的だ。物語は礼儀も言
葉遣いも未熟な落ちこぼれクラスの生徒たちが、ホロコーストを調べ
るうちに歴史を知る大切さと話し合う意義を学んでいく過程を描く。
人種も宗教もまちまちな生徒たち、だがやる気がないのは共通してい
る。そんな彼らにガス室に送られた同年代の少年少女の思いを想像さ
せることで、あらゆる命はかけがえのないものだと気づかせる。やれ
ばできると自信を与える先生の信念は、まさしく教育者の鑑だ。

おちこぼれ学級を受け持つゲゲン先生は、「アウシュビッツ」をテー
マにコンクール出場をクラスに課す。無関心な生徒たちだったが、強
制収容所の生き証人の話を聞いて目を見開く。

授業中に騒ぎ、代用教員をあざけり、 “将来は失業手当で暮らしてい
く”と言う女生徒までいる。若者らしい夢も元気もない崩壊寸前のク
ラスにゲゲン先生は根気強く語りかけ、なぜ平和を享受できているか
を理解させようとする。そしてナチスの傀儡政権が手を貸していた事
実は、彼らフランス人もホロコーストの加害者だったと知らしめ、自
分たちとは無縁の遠い昔話ではないと実感させる。

その間、いつしか学習意欲が増している生徒たち。彼らの可能性を信
じ伸ばそうとするゲゲン先生の厳しくも優しいまなざしに魅了される。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

               「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160528

          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
            「花芯」です。

見合いの席で相手のエゴを見抜いてしまった。初夜の布団の中で夫の
デリカシーのなさを知ってしまった。愛を感じない男との暮らし、気
持ちは冷めるばかり。物語はそんな人妻が夫の転勤先で性に目覚め愛
欲に溺れていく姿を描く。一目で恋に落ちた同じ下宿の男、乱れた関
係を続ける未亡人、そして芸術家崩れの青年に激しく欲せられたとき、
彼女の肉体に欲情の火がつく。戦前の道徳観が色濃く残る時代、心の
命ずるままに愉悦を追い求めたヒロインの凛としたたたずまいが美し
い。愛なしでもセックスできる、どうでもいい男でも快感は得られる。
「子宮が恥知らずな悲鳴を上げる」女の生理が生々しく再現される。

学徒動員を免れた雨宮と戦後すぐに結婚した園子だが、雨宮にまった
く魅力を覚えないまま子供を産む。その後、雨宮の転勤にともない京
都に転居するが、そこで越智という男に恋心を抱く。

「純潔を守る」とか「童貞でいた」とか、園子に近づいた東京の男た
ちは形式的・禁欲的で、園子を傷つけてはいけない神聖なものと勘違
いしている。京都ではその垣根が低く園子の周りの人々は比較的おお
らかで、自我の確立した園子は解放感を味わう。雨宮に抱かれている
ときは上の空といった表情なのに、彼女をひとりの女として扱う男に
は積極的に体を開き間男の存在も隠さない。

残酷なまでの雨宮への仕打ちは、女を「跡取りを産むための装置」と
してきた“家制度”に対する園子の憎しみを象徴していた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

               「花芯」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160520

          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
             「秘密 THE TOP SECRET」です。

殺人事件被害者の脳から取り出した記憶の視覚化に成功した近未来、
被害者が最期に目にした光景に犯人は顔をさらしている。だが、その
イメージを受容するには捜査員の脳が必要。物語は、一家殺人事件犯
死刑囚の脳をスキャンした結果真犯人が別にいると知った警察の極秘
組織が、さらなる連続殺人に直面し暗闘を繰り広げる姿を描く。死人
のプライバシーを暴くのは許されるのか。禁断の装置が正常な人間の
精神を蝕んでいく過程は、科学が侵してはならない領域があると訴え
る。本当に戦うべき相手は死んでいるのに生きている者を巧みに操り、
追い詰められた捜査員は脅え苦しむのだ。

脳内捜査研究所「第九」に配属された青木は、室長の薪の下、犯人が
刑死した事件を行方不明の娘・絹子の犯行と断定、再捜査する。とこ
ろが絹子が名乗り出ると、日本全国で同時に怪死事件が起きる。

事件の特異性から、以前獄中で自殺した殺人鬼・貝沼との関連を疑う
薪。しかし貝沼の脳内を見た者はことごとく異常をきたし、親友だっ
た鈴木も犠牲になっている。もはや後戻りできなくなった薪は、鈴木
の脳を通じて貝沼の記憶を復元させる。

このあたり、斬新なヴィジュアルとスリラーが融合した映像が非常に
洗練されていて、機能的だが息苦しいパラレル社会がリアルに再現さ
れている。現在と過去、現実と脳内ヴィジョン、圧倒的な情報量は錯
綜する奔流となって見る者の脳になだれ込む。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

               「秘密 THE TOP SECRET」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160805

          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

自民党を飛び出して東京都知事選に立候補・当選を果たした小池知事。
早速安倍総理をはじめ自民党幹部が関係修復に奔走しています。

これでは反小池だった都議会の自民党議員は面目丸つぶれ。あの都議
会のドンもそそくさと都庁を去りました。

昨日の敵は今日の友と言いますが、ラグビーのノーサイドのようなさ
わやかさはみじんもありません。

状況が変われば気に食わない相手とも笑顔で手を組む。政治家には欠
かせない資質なのでしょう。。。

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      次回配信予定は8/11 作品は
         
           「ゴーストバスターズ」
         
              です。

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