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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ミモザの島に消えた母 こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/07/23

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/7/23 Vol.1770    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
                「ミモザの島に消えた母」  です。

大人から聞かされた話をずっと信じていた。だが、忘れていた過去が
ふとした瞬間によみがえった時、隠ぺいされたのではという疑念が頭
から離れなくなる。物語は、幼い頃に経験した「母の溺死」の真相を
探る兄妹が思いがけない展開に戸惑い、苦しみ、葛藤しながらも、本
当は何が起きたか調べ上げるまでを描く。知りたくはなかったけれど
知らなければならない一族の秘密。それを暴くことがたとえ父や祖母
の愛情を損なうものであっても、血のつながった母親がなぜ死んだの
か子供たちには知る権利と義務がある。本土に通じる一本道が満潮時
に水没する小さな島が、閉ざされた人間関係の中で追いつめられるよ
そ者の心を象徴する。逃げ道も逃げ出すチャンスも少ししかないのだ。

30年前に亡くなった母の死因に不審を持つアントワーヌは妹のカデッ
トと共に故郷の島を訪れる。昔を覚えている島民の口は重かったが、
やがてアントワーヌは元使用人から形見の腕時計を手に入れる。

帰路交通事故を起こし2人は入院、アントワーヌは病院で死化粧師のア
ンジェルと言葉を交わすようになる。退院後、アンジェルの協力を得
て聞き取り調査と古い記録を精査するうちに、事故前後の不自然な状
況を思い出していく。父と祖母は重大な事実を隠している、彼らの頑
なな拒否反応にアントワーヌは母が死に追いやられたと直感する。

わずかな物証と証言から細い記憶の糸をたぐっていく過程は、家族と
いう名の不毛と人間の業の深さが凝縮されていた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                  「ミモザの島に消えた母」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160513
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
            「ロスト・バケーション」です。

ジャングルの奥にある秘密のビーチ。ひとり小さな岩礁に取り残され
た彼女は必死で助けを呼ぶが、声は虚しく響くだけ。傷口を縛っても
完全には止血できず、血のにおいをかぎつけた怪物が巨大な口を開け
て襲い掛かってくる。物語は、人食いザメの海で孤立したサーファー
が、知恵と勇気を振り絞り危機を脱出する過程を描く。水中から見上
げる“ジョーズ目線”は次に起きる惨劇を強烈に予感させる一方、予
期せぬタイミングでサメが現れる古典的な演出はいまだに衝撃的。同
時にヒロインが感じる恐怖をリアルに再現するとともに、絶望的な状
況を切り抜けようとする不屈の精神力を謳いあげる。あきらめたら確
実に死ぬ、リスクは高くても動かなければ活路は見いだせないと彼女
の奮闘は教えてくれる。

人里離れた入り江でサーフィンを楽しむナンシーは、沖でクジラの死
骸を発見、それを貪っていたホオジロザメに太ももを噛まれる。彼女
はクジラの上に避難し自ら応急手当てをする。

一緒にサーフィンいた2人組は帰ってしまった。ナンシーはわずかに海
面に顔を出す岩の上に移動し、夜明けを待つ。水も食料もなく寒さが
体力を奪う上に、傷ついた左足から感覚が薄れていく。さらに翌日に
なってナンシーに気づいた男たちが次々とサメの餌食になっていく。

医学生らしく現状を分析し、生き残り確率がいちばん高い方法を選ぶ
彼女の姿は、冷静な判断と大胆な行動がサバイバルの基本だと訴える。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

               「ロスト・バケーション」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160721

          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
     「シュガー・ブルース 家族で砂糖をやめたわけ」  です。

糖尿病だけではない、心臓にも悪影響と主張する医師もいる。妊婦が
過剰摂取すれば胎児が肥大し、生まれてきた赤ちゃんや幼児にも継続
して与えるとADHDになる可能性が高くなる。その上統合失調症やアル
ツハイマーの原因になりうるとまでいう。にもかかわらず大人も子供
も甘い誘惑に負けてしまう。そして食品・飲料メーカーは様々な製品
に忍び込ませ、消費者を中毒状態にする。カメラはそんな“砂糖漬け
の暮らし”にレンズを向ける。啓蒙活動は企業に妨害され、世間には
なかなか声は届かない。それでも警鐘を鳴らし続けるディレクターの
執念は“SUGER CAN KILL”の言葉に凝縮されている。

映像作家のアンドレアは第三子の妊娠中に“妊娠糖尿病”と診断され
る。彼女の故郷・チェコでは製糖業が盛んで、国民はみな幼少時から
スイーツに囲まれた食生活を送っていた。

まず手を付けたのは砂糖がもたらす弊害を取り除くこと。自分はもと
より家族の健康を考えると、オーガニック作物で自炊するのがいちば
ん。まともな料理が作れなくても、そのうち体が砂糖なしの味に慣れ、
体調がよくなっていく。またNYの運動家はジュースや炭酸飲料がいか
に大量の砂糖を含んでいるかをわかりやすく解説する。

ただ、肉体や頭脳を日常的に酷使する職業の人はカロリー制限しすぎ
ると機能不全に陥るはず。あくまで適量を守るのが肝心という観点を
取り入れるべきだろう。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

            「シュガー・ブルース 家族で砂糖をやめたわけ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160625

          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
                  「太陽の蓋」  です。

錯綜する報告、秘匿された事実、無責任な役人、他人事のような電力
会社、そして迷走する政権。あの日、未曾有の事態に直面した人々は、
何を考えどんな行動をとったのか。あえて火中の栗を拾いに行く者、
言い訳に終始する者、苦渋の決断を下す者。ダイナミックな演出は臨
場感に満ち、当事者の苦悩を浮き彫りにする。物語は、東日本大震災
と原発事故の対応に迫られた政府幹部たちの数日間を描く。もちろん
すべてが想定外の出来事で参考になる前例はない。だからこそ迅速か
つ正確な情報が必要なのに、原子力の知識のない者が管轄機関のトッ
プを務めていた皮肉が滑稽だ。問い詰められ“東大経済出身”と言い
放つ無神経さが保身に走る役人の卑しい心情を象徴していた。

宮城県沖が震源の大地震発生と共に、内閣と関係省庁からなる首相直
轄の危機管理センターが招集される。福島原発が津波に襲われると、
課題は原発の停止と放射能の影響に移っていく。

官邸内外のエピソードはすでに報道されてはいるが、セットやCGの作
り込みおよび実名の登場人物たちが圧倒的なリアリティを再現し、当
時に引き戻された気分になる。

建物内のシーンがほとんどだが、数十人いるオペレーションセンター
から10人ほどの政府首脳会議まで、隅々にまでディテールがいきわた
った映像も大がかりかつ丁寧で、もはやメジャー会社が製作した「大
作」の風格すら漂っていた。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                「太陽の蓋」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160723

          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
                  「AMY エイミー」  です。

心配してくれる親友もいた。守ってくれるマネージャーもいた。だが
激情に任せて結婚した男は彼女の付加価値にしか興味がなかった。な
のに彼女はそれを愛だと信じていた。映画はメロウでビターな歌声で
世界を魅了した英国人シンガーソングライターの短すぎる半生を追う。
切ない恋と日常のやるせない風景を切り取った歌詞はたちまち同世代
の共感を呼んだ。しかし早すぎた富と名声は世間の荒波にもまれる心
の準備を彼女に与ええない。後はなすすべもなく流されていくお決ま
りの転落コース。何度もやり直しの機会を持ってもそのたびに挫折し、
周囲の期待がさらに彼女を追い詰めていく。何気なく撮影されたプラ
イベート映像の中に人間の弱さが凝縮されていた。

16歳で音楽活動をスタートさせたエイミーはすぐにレコード会社と巨
額の契約を結び、20歳でアルバムが評価される。その後も作詞作曲を
続けるが、ブレイクという男との出会いを機に運命は暗転していく。

マヨルカ島に出かけたころは、まだ成功をおさめたことに実感が持て
ずに戸惑っているよう。新作を生み出すための苦悩にも必死で耐えて
いるが、やがて酒に手を出し、ついには依存症になる。

その後も、とりあえずエイミーはヒットに恵まれる。ところがグラミ
ー賞、受賞式は中継参加のみ。もはや自分は利用されているだけ、そ
う誤解したエイミーは自暴自棄になっていく。己を傷つけながら生き
ているような彼女の姿が痛々しかった。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                「AMY エイミー」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160722

          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

関東地方の水源となる利根川水系のダムの貯水率が落ち、10%の取水制
限が実施されています。

今のところ生活に支障が出るレベルではありませんが、このまま梅雨
明けしてしまうとさらなる節水が呼び掛けられるはず。

ただいつも不思議に思うのは、東京で渇水が起きると、相模川水系の
神奈川県まで役所が節水を言い出し始めます。

まあ、無駄遣いすることはないけれど、便乗節水して神奈川県は何か
得することでもあるのでしょうか。。。

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      次回配信予定は7/28 作品は
         
           「トランボ」
         
              です。

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