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こんな映画は見ちゃいけない! 

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シング・ストリート こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/07/09

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/7/9 Vol.1766     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
           「シング・ストリート 未来へのうた」  です。

叶わぬ願い、理不尽な規則や暴力への怒り、思いままに生きる人生へ
の憧れ。意のままに運ぶことなんてひとつもない。だが、締め付けら
れた胸の痛みを詞に昇華させメロディに乗せれば心は解放される。物
語は、通りで見かけた女の子の気を引くためにミュージックビデオを
作る決心をした少年の青春を描く。バンド活動を映像に残してこそク
ールと信じる彼らの発想が瑞々しい。そして初々しい恋の行方と希薄
になった両親との絆。格差も貧困も現代ほど社会問題化していなかっ
た1980年代、若者たちは田舎町でくすぶっるのをよしとせず、強烈な
憧憬を都会に抱いている。そんな時代の空気が濃厚に再現されていた。

地元の公立校に転校したコナーはいじめの対象になるが、事情通のダ
レンに助けられる。ダレンを頼りに仲間を募りバンドを結成、自称モ
デルのラフィーネにミュージックビデオへの出演を依頼する。

街角でのゲリラ撮影とMTV風の短いショットを重ねた編集はスピード感
とインパクトに富み、上々の出来。音楽の師匠ともいえる兄からも認
められる。ところが新作の準備に入ったときラフィーネは恋人とロン
ドンに去ってしまう。壊れたハート・切ない気持ち、全身全霊を注ぎ
込んだ魂の叫びをノートに記したコナーは、サウンドに磨きをかる。

やがてバンドは米国のプロムを模したギグへの出場を決める。このあ
たり、少年たちの熱量はそれほど高くないが、このままではダメにな
るという危機感が切実だった。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                  「シング・ストリート 未来へのうた」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160610
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
「フィレンツェ、メディチ家の至宝 ウフィツィ美術館3D・4K」です。

緑濃いなだらかな丘陵、その先のわずかに開けた平地を流れる川の両
岸に古い街並みが広がる。優美な曲線を描く大聖堂のドーム、様々な
装飾を施された庁舎、堅牢にして豪奢な宮殿。映画は、そんな古都と、
欧州の価値観を一変させたアートがいかにして生まれたかを紐解いて
いく。建物の俯瞰、天井や壁のフレスコ画・ステンドグラスから美術
品まで、高解像度のカメラで迫った映像は、作品に込められた意志や
感情だけでなく、手がけた製作者の情熱や人柄まで反映させていた。
特に、3D加工された絵画の数々は主題が背景から浮かびあがりホログ
ラムを見ているよう。細部まで吟味された彫刻は今にも動き出しそう。
それらは、魂の自由が人間の真理という彼らの主張を浮き彫りにする。

メディチ家によって発展したフィレンツェは15世紀以後ルネサンスの
中心地となり、偉大な芸術家たちが足跡を残す場となる。彼らの作品
はウフィツィ美術館に収蔵され、後世に伝えられる。

建物自体が至高の芸術品のサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂
を始め、町そのものが美術館と言えるフィレンツェ。広場や屋根付き
橋・小道のショットは、ミケランジェロやダ・ヴィンチといった天才
たちと同じ空気を吸っているような気分にさせてくれる。

そして「受胎告知」「メドゥーサ」「春」「ヴィーナスの誕生」など
の躍動感あふれる名画は、カタログ的な解説に留まらず、作品を立体
的に再現することで見る者のイマジネーションを刺激する。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

   「フィレンツェ、メディチ家の至宝 ウフィツィ美術館3D・4K」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160602

          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
     「死霊館 エンフィールド事件」  です。

軽い気持ちで作ってしまった交霊盤が悪意に満ちた地縛霊を呼び覚ま
した。それは少女と彼女の家族を脅えさせ、少女の肉体を借りて自ら
の孤独を慰めようとする。物語は、そんな悪霊と霊媒師夫婦の壮絶な
戦いを描く。深夜の異音、悪夢と夢遊病、背筋をなでる気配、突然現
れる悪相……。おどろおどろしいサウンドとなめるようなカメラワー
クで緊張感を高めていく手法はホラーの定石、一方でマスコミや専門
家といった第三者を登場させ客観的な視点で検証する。真実かペテン
か、神を信じる心には鋭い爪を立て不安を持つ者には付け入るが、唯
物論者の前では馬脚を露わす。はっきりと白黒をつけないスタンスが
より不気味さを誘う。

心霊研究家のエドとロレイン夫妻は、ホジソン家の調査を依頼される。
TVクルーとオカルト否定派の研究者を同席させた上で、エドは次女の
ジャネットに憑依した霊に質問するが、どこか不自然さを覚える。

ビリーと名乗った霊はその後もジャネット一家に絡むが、パターンに
一貫性がない。ロレインは予知夢で邪悪な力の存在を察知していたが、
ビリーの霊視はしない。やがてジャネットが暴れているところをTVク
ルーが撮影したため、一連の出来事は彼女の狂言と結論付けられる。

その過程で、世間から“他人の不幸を商売にしている”と胡散臭い目
で見られているエドとロレインの苦悩と、お互い以外に理解者のいな
い寂しさが浮き彫りにされていく。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

           「死霊館 エンフィールド事件」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160707

          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
             「疑惑のチャンピオン」  です。

筋骨隆々の上半身を一瞥しただけで欠点を見抜き、きっぱりと協力を
断る医師。勝者は血液の質で決まる持論の下、積極的に病気治療の薬
を健康なアスリートに投与する。物語はツール・ド・フランスを7連覇
した絶対王者の、ドーピングまみれの競技生活を暴く。ガン闘病で無
駄な筋肉が落ち理想的な体型になった彼は、様々な方法で禁止薬物を
体内に入れていく。その過程で描かれる、注射器の配り方と捨て方、
赤血球を薄める点滴など、検査を逃れるテクニックがあまりにも原始
的なのは、競技場に集合する種目ではないゆえの監視のユルさが原因
だろう。さらに、スキャンダルをもみ消そうとする選手や運営者側の
意識の低さ。カメラは自転車レース界の隠蔽体質を浮き彫りにする。

若手の有望株・ランスは赤血球増加剤を使って優勝するが、直後にガ
ンが見つかる。手術後現役復帰しランスは、フェラーリ医師の指導で
以前よりパフォーマンスが向上し、破竹の連勝街道を突っ走る。

一方でガン撲滅運動にも熱心にとり組み、ランスは名士ともてはやさ
れるようになる。待望のスターの登場に業界は沸き、いつしか彼と彼
のチームの違反は見て見ぬふりされ、ランスは増長していく。異常に
気付いた記者のデイヴィッドは取材を進めるが関係者の口は重く、や
っと証言者を見つけて記事にしても名誉棄損でつぶされそうになる。

ズブズブの利害と人間関係で有形無形のプレッシャーをかけ口を閉ざ
させるやり方は万国共通、スポーツはクリーンという幻想を打ち砕く。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

               「疑惑のチャンピオン」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160708

          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

東急線二子玉川駅で改札階(1F)からホーム(2F)行きのエレベーターに
乗ったのですが、降りたところは何にもない通路。

ガラス張りの空中廊下を30メートルほど歩いて、そこからまたエレベ
ータに乗り、今度は下降。そこでやっとホーム階にたどり着きました。

つまり1Fから3Fに上がってから2Fに下りるというややこしい行き方。
どうりでいつも利用者がいないわけです。

エレベーターを後付で設置するときスペースがなかったからでしょう
が、なんだかなあという気がします。でもあの通路、多摩川の花火大
会では絶好の鑑賞スポットになるかも。。。

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      次回配信予定は7/14 作品は
         
      「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
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