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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ミスター・ダイナマイト こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/06/18

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/6/18 Vol.1760    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
                「ミスター・ダイナマイト」  です。

4歳で母に捨てられた。売春宿で大きくなった。荒んだ十代を送った。
だが彼は、圧倒的な声量と高音でたちまちスターダムにのし上がる。
映画は、ファンクの帝王と称された男のデビュー以前から絶頂期に至
るまでを、膨大なアーカイブから厳選された貴重な映像と生前の彼を
知る演奏家らへのインタビューで構成される。まだ人種差別が色濃い
時代、公民権運動と共に黒人の地位向上を訴えた“偉人”の顔を追い
つつ、気分次第でバックバンドのクビをすげ替えたりギャラ払いにセ
コいという人間不信の一面もあぶりだす。一方で、細かく素早いステ
ップでステージを動き回る洗練されたパフォーマンスは、歌は耳だけ
でなく目でも楽しむものであると教えてくれる。

ゴスペル歌手だったジェームス・ブラウンはリズム&ブルースに活路
を見出し、抜群の歌声とダンスでブレイクする。白人層を狙った戦略
は当たり、NYのアポロシアターを超満員にする人気者となる。

音楽を学んだ経験はなく楽譜も読めないジェームスだったが、天才的
な音楽センスは補って余りあるほど。規律を重んじ服装や時間に厳格、
バンドのメンバーには常に完璧を求め、白人が自分を見下すのを決し
て許さない。ファーストネームで呼び合う習わしの米国で“ミスター”
付けさせるなど敬意を示さない者は絶対に相手にしない徹底ぶり。

“黒人として”ではなく“人間として”自由と平等を求める姿は名の
知れた活動家以上の説得力を持っていた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

             「ミスター・ダイナマイト」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160503
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
               「シリア・モナムール」  です。

逮捕者を踏みつけ靴をなめさせる警察の男。デモ行進に発砲する治安
部隊。革命を叫んだ人々はことごとく血だまりの中で息耐えていく。
巻き添えになった子供や幼児までいる。フィクションではない、これ
は現地の人がSNSに投稿した、つい数年前にシリアで起きていた現実。
映画はそれらネット上の動画を集め、独裁政権の下で行われている暴
力と殺戮の真実を告発する。アップロードするのは市民だけではない、
当局も反体制派を痛めつけている場面を公開する。一方、素材を蒐集
するディレクターは、間接的にしか故国の危機に関われないもどかし
さから自責の念が募り、苦悩の中で映像作家な何をすべきかと問う。

パリに亡命中のオサーマは膨大な映像を編集中に、シリアのシマヴと
名乗る女からどんなものにカメラに収めればよいか相談を受ける。オ
サーマはシマヴを通じてこの戦いへの参加する意思を固める。

シマヴも映像作家を目指しているのか、反政府軍支配地域の日常にレ
ンズを向け、時に傷ついた自らの肉体をさらして現状をレポートする。
それは本来オサーマの使命、それゆえドキュメンタリーでありながら
オサーマ自身が深く自省し自問する。やがてオサーマの思いはシマヴ
との詩的なダイアローグとなって、彼らの生きる目的を探っていく。

安全地帯に身を置くオサーマと銃弾を受けても商売道具を手放さない
シマヴによる理性についての語らい、その哲学問答のような言葉の応
報が凄惨な映像をより際立たせている。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                   「シリア・モナムール」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160402
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
          「レジェンド 狂気の美学」  です。

どれほど分別のない愚か者でも羊水を分け合った関係は絶ちきれない。
苦境から救ってやったのに、成功の階段を昇り始めた足を引っ張られ
恋人を侮辱される。これが手下なら厳正な処分を下していた、しかし、
相手は精神を病んだ兄弟。物語は、知恵と度胸と才覚と腕力でロンド
ンの裏社会を牛耳るまでになった男の、正反対の性格・資質の弟に対
する苦悩と葛藤を描く。何度も手を切ろうとした。だが、母の苦しむ
顔は見たくない。何度も信じようとした。そのたびに期待は踏みにじ
られた。舞台は1960年代のロンドン、街を彩る風俗や女性のファッシ
ョン、クラシカルなデザインのクルマがレトロな雰囲気を醸し出す。

ケチな裏稼業でチンピラたちをまとめていたレジーとロンのクレイ兄
弟は、会計係にペインを加えてカジノを開く。さらに対立組織を潰し
米国のギャングとも手を組んで、勢力を拡大していく。

同時にレジーは運転手の妹・フランシスと恋におち、彼女の母親の反
対を押し切って交際を始める。ところがロンや彼らの母によそ者扱い
され、フランシスは孤独を深めていく。やがてレジーは、組織とフラ
ンシスとロンの三者択一を迫られると、大人になってから手に入れた
ものよりも生まれる前からの絆を選んでしまう。

どうするのが最善か頭では分かっている。それでも自分の“出来の悪
い分身”ともいえる存在を見捨てられない。そのあたり、一卵性双子
だけが知る遺伝子レベルの結びつきが切なく哀しい。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

               「レジェンド 狂気の美学」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160420

          を参考にしてください。


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        余|談|
        ━┛━┛

17日の朝日新聞朝刊によると、来月行われる参院選の争点は、やはり
子育て。ブログ騒動以来、保育園の増設と保育士の待遇改善がカギに
なりそうです。

一方で、医療・年金など老人に手厚い政策が財政を圧迫していますが、
選挙に関心の薄い現役世代の声はなかなか反映されません。

今こそ、若者・子育て世代は投票所に行き、政治を自分たちの手に取
り戻すとき。年金生活者に3万円配る予算を子育てに回せと主張するべ
きです。

でも、あまりいきすぎると「老人ホーム落ちた、日本死ね!」と騒ぎ
出す人が出るかもしれませんね。。。

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      次回配信予定は6/23作品は
         
             「ダーク・プレイス」
         
              です。

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