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こんな映画は見ちゃいけない! 

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マクベス こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/05/19

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/5/19 Vol.1751    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
                「マクベス」  です。

予想も期待もまったくしてなかった未来を告げられると、男の忠誠は
揺らぎ始め、野望に火をつける。だがその手を血で汚して予言を実現
させた後は、疑心暗鬼の染みが幻覚の波紋となって彼の胸に広がり、
悪夢と妄想に憑りつかれる。物語は、3人の魔女の声に惑わされ卑劣な
方法で権力を握った男が、苦悩しのたうちまわり破滅する過程を描く。
荒涼とした丘陵地帯、重く立ち込める雲、夜陰に浮かぶろうそくの炎。
力なき光は主人公の心に宿る闇の濃さのメタファーとなり、たやすく
も言葉の毒に侵される弱さを象徴していた。運命は自ら切り開くもの、
同時に運命には逆らえない。運と不運、嘘と真は表裏一体。「きれい
は汚い、汚いはきれい」の呪文に人生の矛盾と皮肉が凝縮されていた。

反乱軍を鎮圧したマクベスは“領主になり、王になる”、と魔女に告
げられる。ほどなく領主となったマクベスの元を王が訪れると聞いた
マクベスの妻は、この機会に暗殺し王位を奪えと夫を唆す。

もはや後戻りはできない。善良で人望があった王に短剣を突き立てた
マクベスは、今度は“子孫がおうになる”と告げられたバンクォー父
子に刺客を送るが息子を取り逃がす。ところがバンクォーの亡霊に悩
まされ、魔女たちにさらなるアドバイスを求めてしまう。

このあたり、手段を選ばずのし上がった現代の成功者が抱えるうしろ
めたさにも似て、先の見えない不安を少しでも和らげようと都合のい
い解釈をする姿は、信頼できる部下が身近にいない孤独に通じている。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                  「マクベス」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160514
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
           「心霊ドクターと消された記憶」  です。

降りしきる雨。窓のそばを走る列車。夜の診療室。この世とあの世の
境界のようなビルで開業する精神分析医は、患者たちの奇妙な共通点
に気づく。物語は、死者に導かれて少年時代の大惨事を再検証する主
人公が、闇に葬られた事実にたどり着くまでを描く。死者たちは彼を
憎んでいるわけではない。だが、口をつぐみ、それ自体を忘れて暮ら
しているのには不満を抱いている。あの日をきちんと思い出してほし
い、そして何が起きたかを明らかにしてほしい。幻覚と悪夢の中で記
憶の断片を拾い集め幽霊たちの願いを叶えようとする過程はおどろお
どろしさが漂い、死者と交信する忌まわしさを強調する。一方でそれ
はお互いの救済にもなる。真実こそが人の心を自由にするのだ。

愛娘の死後、ピーターは怪しげな少女・エリザベスのカウンセリング
をする。彼女は一言も発しないが、ピーターを故郷の町にいざなって
いく。そこではかつて脱線事故で多数の乗客が落命していた。

自分の自転車が原因だったと警官のバーバラに打ち明けるピーター。
ところがバーバラは事故の資料に不審な点を見つけ出す。公式見解に
隠された別の事件、バーバラはピーターの父を問いただすうちに、エ
リザベスの死体だけが事故とは無関係な上、重大な秘密があると直感
する。さらに良心の呵責に苛まれてきたピーターの友人が首を吊る。

このあたり、ホラーとミステリーが巧みにミックスされたタッチが、人
間の弱さとエゴを浮き彫りにしていく。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

               「心霊ドクターと消された記憶」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160516
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
        「すれ違いのダイアリーズ」  です。

山奥に広がる広大な湖、舟着場からボートに乗ってやっとたどり着い
たところに小さな教室が文字通り浮かんでいる。電気は自家発電、飲
料水は不足しがち、当然電話もなくケータイは圏外。物語はそんな小
学校に赴任してきた新任教師が、地元漁師の子供たち相手に週5日間、
寝食を共にして教育を施していく姿を描く。児童はたった4人、まとも
な指導方は身に着けていないけれどやる気は十分の彼は次第に孤独感
にさいなまれていくが、折々に前任者が残していった日記に力づけら
れる。彼女もまた挫折と失敗を重ねながらも己を奮い立たせていたこ
とに共感し、励まされるのだ。ここ以外に行き場がないという後向き
の気持ちが、ここが自分の生きる場所と思えるまでに変わる過程は、
人を育てつつ自らも成長する楽しさと充実感に満ちていた。

元レスリング選手のソーンは水上分校の先生の職を得るが、スキルが
ないまま児童の前に立つ。それでも、児童との距離が近くダイレクト
な反応が返ってくる環境にソーンはやりがいを覚えていく。

決して熱血教師ではないが、今置かれている状況を受け入れ順応しよ
うとするソーン。むしろ子供たちから学ぶ機会が多いく、くじけそう
になった時は前任者のエーンの日記をひもとく。そこに記された彼女
の行動と思いを反芻するうちに、ソーンはまだ見ぬエーンに恋をする。

そのあたり、デジタル機器をはじめとする近代文明から切り離された
不便さが想像力を養うとこの作品は教えてくれる。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                    「すれ違いのダイアリーズ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160518
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
     「世界から猫が消えたなら」  です。     

死の運命を1日先送りするために世界から何かを消す。己の分身から提
案を受けた男は、驚き、脅え、ためらいながらも応じてしまう。物語
は、漫然と過ごしてきた主人公が余命わずかと宣告されたのを機に、
大切なものはなんだったかに気づく過程を描く。謙虚に生きてきたの
に、若くして命を奪われつつある皮肉。そんな彼の前に現れた“内な
る自分”はずっと抑圧してきた彼の本音なのだ。便利だけれど煩わし
かった、楽しかったけれうんざりもした。だが、それが人間関係を築
くということ。なくして初めてかけがえのないものだと悟る姿は、愛
し愛され、想い想われた記憶が人生を豊かにすると教えてくれる。

電話を消すのに同意した僕は別れた恋人に連絡を取る。間違い電話が
きっかけで知り合い、デートよりも長電話で仲を深めた間柄。ふたり
で過去を振り返るが、電話が消されると彼女は僕を認識できなくなる。

翌日は映画を消すと言われ親友を懐かしみ、その後時計を消すと言わ
れ時計屋だった父と南米旅行で一緒だった男を思い出す。そして猫を
消すと言われて亡き母との会話を反芻する。そのあたり、消えた元恋
人や父がなぜか後に復活したりするなど、腫瘍に冒された僕の脳が記
憶と幻覚を混同して思考の整合性をなくし始めている。

それでも、彼らとの出会いで生まれた、優しさに包まれた感情だけは
確かに残っている。感謝し、感謝された実感が人の気持ちを安らかに
させていくのだ。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

                    「世界から猫が消えたなら」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160517
               
          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

結構売れている新書をPDF化したファイルを全文無料で読めるというサ
イトがあったので覗いてみました。

メアドとパスワードを登録すると、なぜかクレジットカード情報の記
入欄に切り替わります。番号・名前・有効期限の他にPINコードまで入
力させようとします。

「一切課金はされない」と強調しているものの、これは明らかにカー
ド情報を盗むサイト。

でも、世の中には「無料」の文字に目がくらんで、騙される人もいる
んだろうな。タダほど高いモノはない。。。

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      次回配信予定は5/21作品は
         
         「海よりもまだ深く」
         
              です。

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