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こんな映画は見ちゃいけない! 

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カルテル・ランド こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/05/07

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/5/7   Vol.1748     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
              「カルテル・ランド」  です。

上納金を断った者は焼かれ、吊るされ、斬首される。警察は見て見ぬ
ふり、公権力も何もしてくれない。ならばと、ひとりの男が小銃を手
に立ち上がる。彼の決意に賛同した人々が徐々に集まり、悪党を容赦
なく取り締まっていく。もはや戦争、とても近代国家の出来事とは思
えない。一方で、国境を守る男たちは歩兵並みの装備で密入国者の摘
発に当たる。彼らは皆、正義感に駆られて行動を起こした有志たち。
映画はそんな自警団のリーダーに密着、巨大化した麻薬カルテルとの
血で血を洗う抗争を追う。町をギャングから奪還した自警団の元に駆
けつけた正規軍が武装解除を要求するが、住民が楯となって軍隊を追
い返すシーンは、民主主義はまだ死んでいないことを象徴していた。

メキシコ・ミチョアカン州の医師・ミレレスは、麻薬カルテルの横暴
に業を煮やし自警団を結成する。米国・アリゾナ州では、ティムがメ
キシコからの不法入国者を見張る自警団を運営している。

カルテル構成員を撃退したミレレスたちは一躍ヒーローとして迎えら
れ、瞬く間に数十人の志願者を集める。彼らはさらに数か所に進出、
警察が機能していない地域をカルテルから解放する。

その過程で当然激しい銃撃戦や暴力の応酬があるが、カメラは一歩も
引かずにレンズを向け続ける。まさに命がけのリアリティ、その映像
は、逆説的だが“ドキュメンタリータッチの劇映画”に見えるほどの
圧倒的な緊迫感を紡ぎだす。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                   「カルテル・ランド」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160227

                を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
           「スキャナー 記憶のカケラをよむ男」  です。

いやな出来事、つらい体験、隠しておきたい秘密。人は自分を守るた
めに嘘をつく。だが、物や場所に残った思いは正直に過去を再現する。
物語はそんな“残留思念”を読み取る力を持つ男が相棒と共にピアノ
教師の失踪事件を追う過程を描く。いがみ合いながらも助け合う2人組
の掛け合いはあくまでコミカル、謎が謎を呼ぶ展開は意外とスリリン
グ、次々と予想を裏切りつつ偶然と必然を巧みに織り交ぜた構成は70
年代のミステリーのような空気をまとう。人間の醜い本性が見えてし
まうゆえに世間との関わりをなるべく断って生きている主人公の、己
の記憶がないのに他人の記憶にうなされる姿が哀しい。使いこなせな
い能力は身につけているだけで本人を苦しめるのだ。

消息を絶った雪絵の捜索を亜美から依頼されたコメディアンの丸山は、
かつての相方で超能力者の仙石に協力を求める。仙石が雪絵の自転車
に手をかざすと、髪の長い女に襲われ拉致されるヴィジョンが浮かぶ。

髪の長い女のイラストを警視庁に送ると、佐々部という捜査員が担当
となり、直近2件の殺人事件容疑者像と酷似していると知らされる。2
人の被害者と雪絵の共通点、髪の長い女の正体、佐々部は警察の捜査
力とIT技術を駆使し容疑者を絞り込んでいく。

一方で仙石と丸山は独自調査の途中で何者かに襲撃されたりする。髪
の長い女の単独犯なのか共犯者がいるのか、断片的な仙石の情報では
核心に迫ることができず、事態は混迷を極めていく。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                  「スキャナー 記憶のカケラをよむ男」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160506

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
    「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」  です。

悪党どもから世界を守るために体を張るスーパーヒーローたち。彼ら
の戦いはおおむね評価されてきた。だが破壊兵器を使う相手を倒すた
めに一般市民を巻き添えにしてしまった時、当然批判が沸騰する。物
語は、国際機関の管理下に入る条約に賛成するグループと反対するグ
ループに分かれた超人組織のメンバーたちが、各々のプライドをかけ
て激突する過程を描く。宇宙や異次元からの侵略者という強大な敵が
いないときもろくも崩れ去る友情は、超越したパワーを手に入れても
決して超越した存在にはなれない彼らのエゴと弱さを象徴していた。

アベンジャーズの行動規制にサインしようとするトニーは拒否するス
ティーブと対立、2派に分裂する。折しも爆弾テロ事件が起き、スティ
ーブの旧友バーンズが容疑者として指名手配される。

バーンズを保護しようとするスティーブと逮捕しようとするトニー。
さらに復讐の鬼となったブラック・パンサー。そこに仲間が加わり一
大カーチェイスを繰り広げる。圧倒的な疾走感と目くるめく情報量の
多さは、何が起きているか理解する間もないほど複雑かつスピーディ
で、一瞬たりとも目を離すとついていけなくなる。

そして12人の超人が入り乱れる壮絶なバトルは、なるべく世間に迷惑
をかけないように市街地ではなく空港を決戦の場に選んだものの、や
っぱり建物や旅客機を破壊してしまう無神経さ。それはかっこよさよ
り、もはや必要とされなくなったヒーローの悲哀を感じさせる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                  「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160502

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
        「ちはやふる -下の句-」  です。

個人競技ゆえ練習は一人でもできる。意識も技術も自分より低い部員
と一緒では向上はままならない。ともに夢を追う同志と信じた少年の
脱落は、ヒロインを孤立させてしまう。誰のためにやるのか、何を目
指しているのか。物語は東京都大会を制した高校かるた部が、さらな
る強敵に備えて日々努力する姿を描く。対戦は一人ずつ、だからこそ
団体戦では戦略が重要となり、相手校を研究するほどで優位に試合を
運べる。しかし己の目標が優先の彼女はスタンドプレーに走り、部員
たちの結束にひびが入る。そして迎えた全国大会。会場の近江神宮の
鮮やかな朱塗りの山門と、そこに映える色彩豊かな振袖袴が美しい。

現役かるたクィーンの詩暢が個人戦に出場すると知った千早は、彼女
との勝負を望み、左利き対策に励む。だが団体戦での勝利を目指す他
の部員から反発を買い、部長の太一から退部を言い渡される。

出稽古でエゴを見透かされた千早は、なぜチームワークが必要なのか
に気づき頭を下げ部室に戻る。「荒ぶる」のではなく「千早ぶる」。
勢いに任せて前進するのではなく凛と一本芯の通った姿勢でかるたに
臨むもうとする部員たちの目からは、もはや迷いは消えている。

このあたり、いかに千早が短慮で思い込みの激しい性格とはいえあま
りにも身勝手だ。そもそもかるた部を作るために部員を集めたのは千
早だったはず。千早も他の部員も深く悩まずテンポよく話が進むのは、
この作品の客層はそんなことは気にしないからだろうか。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

          「ちはやふる -下の句-」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160504

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
            「追憶の森」  です。

「地球上で最も人気の自殺スポット10」の第1位に選ばれた富士山麓青
木ヶ原樹海。2位以下がすべて橋梁や崖など投身限定の一方で、深い森
での死に方には決まりがなく、静かに死ぬことができ、死後も死体を
発見されにくい。物語は、自らの命を絶とうとして樹海に入った米国
人が脱出しようとする日本人と出会い、ともに出口を探す過程を描く。
負傷した日本人を助けるうちに米国人は妻との思い出を洗い直し、生
きる目的を取り戻していく。容赦なく襲いかかる寒さと戦うために死
者の衣服はぎとり道具を盗む彼らは、いつしかサバイバルの戦い始め
るのだ。ここまで自死しに来る外国人が多数いるのには驚いた。

樹海の深いところで薬を飲んだアーサーは、行き倒れになったタクミ
を救う。タクミの傷を手当てし行動を共にするうちに、アーサーの脳
裏によみがえるのは妻・ジョーンとの不毛な結婚生活だった。

樹々の間に放置された死体は白骨化したものからミイラ化したもの、
まだそれほど時間のたっていないものまでさまざま。悲しみや絶望を
かかえたまま彷徨する魂が佇んでいそうな濃い緑に囲まれると、死の
入り口に立つような感覚におちいる。そこから抜け出そうとするタク
ミは、アーサーの中に眠っていた“生きたい”という願望なのだ。

やがてアーサーはジョーンと口論した日々よりも闘病中の彼女の姿を
思い出すようになる。壊れていた関係が思わぬ病魔のおかげで修復す
る皮肉に、ままならぬ人生が象徴されていた。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

                  「追憶の森」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160430

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
           「アイアムアヒーロー」  です。

郵便受けから覗いた部屋の中、ベッドの上で横たわっている女が痙攣
したかと思うと、あらぬ方向に体をねじり、跳ね上がり、逆回転しな
がらのたうち回る。異形の表情は憎悪と憤怒以上に人肉への渇望を発
散させ、もはや屍鬼となった彼女は歯を失った口で恋人に噛みつく。
主人公の性格とこの作品におけるゾンビ=ZQNの特性をワンシーンで説
明する強烈なシーンだった。物語は、売れないマンガ家がゾンビ感染
の広まった都市から安全地帯を目指すサバイバルを描く。その名のご
とくヒーローになりたいが、一歩踏み出す勇気がない。偶然出会った
女子高生を守ると宣言するが、やっぱり足がすくんでしまう。そんな
優しいが意気地なしの中年男を、くどさを抑えた大泉洋が熱演する。

パニックになった東京を抜け出すためにタクシーに乗った英雄は、同
乗した比呂美と共に高速道路に放り出される。標高の高いところでは
感染しないとネットで知り、彼らは富士山に向かう。

道中、比呂美の首に歯形を見つける英雄。だが比呂美は半分しかZQN化
せず、肉体も意識もわずかに生きている。比呂美に助けられた英雄は
彼女と森の中を歩き続ける。やがてたどり着いたショピングモールで
英雄と比呂美は元看護師の藪ら生存者たちに迎えられる。

そこは伊浦が支配するコミュニティ。主導権争いが表面化するなど、
人類存亡の危機でも権力闘争を止めない人間たちの愚かさが浮き彫り
にされる。少なくともZQNは同類を襲ったりはしないのだから。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

                  「アイアムアヒーロー」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160505

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
           「ズートピア」  です。

肉食も草食もなく動物たちが仲良く暮らす町、そこに行けば夢は叶う
と信じられている。だが現実は詐欺師や泥棒がはびこり、相変わらず
偏見に満ち溢れている。物語は、ウサギとして初めて警察官になった
ヒロインが、世間の壁に跳ね返されながらも仲間に助けられて成長し
ていく姿を描く。理想に燃えるあまり周りに迷惑がられるけれど、決
してめげたりはしない。一度や二度の失敗では絶対にあきらめない。
映画は種類や形状・考え方が違う個体が共存する難しさと、機会の均
等は求めても結果の平等なんて誰も望んでいないと訴える。管理され
た日常からは独創的発想は生まれない。そして公正な競争が社会を活
気づかせ発展させる。その活動を規制しようとする者が危険なのだ。

正義感が強いウサギのジュディは警察学校卒業後、ズートピアの警察
署に配属される。折しも多発する連続行方不明事件に首を突っ込むが、
48時間以内に見つけなければクビという条件を付けられる。

ジュディは駐車違反取締中に知り合ったキツネの詐欺師・ニックの伝
手をたどって裏社会のボスから情報を得、肉食動物が突然野生に目覚
めて暴れ出していたことを知る。ラジュディはニックと行動を共にし
つつ、世の中はまっとうな動物たちだけでは運営できず、非合法の汚
れ仕事を引き受ける者がいるからうまく回っていると学ぶ。

このあたり、新米警官と詐欺師の軽妙なやりとりとミステリーの要素
が程よくブレンドされ心地よいスリルが味わえる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                  「ズートピア」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160507

              を参考にしてください。 

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        余|談|
        ━┛━┛

先日、横浜の中華街に行ったのですが、以前至る所で通行人に声をか
けていた天津甘栗の売り子が一人もいなくなっていました。

その代わりに急増していたのが手相占い。数件しかなかったのがいつ
の間にか雑貨店や物産店よりも多く、表通りも裏通りも5軒に一軒くら
いの割合に増殖しています。

しかも、500円プラス消費税で手相を見るというディスカウントぶり。
試しに入ったけれど、しつこくオプションを勧められます。

もともと占いは信用していないのでオプションは断りました。まあ話
のネタにはなったので元は取れた気がします。。。

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      次回配信予定は5/12作品は
         
        「ヘイル・シーザー!」
         
              です。

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