映画

こんな映画は見ちゃいけない! 

映画批評系メルマガで読者数No.1! プロの編集者が簡潔な文章と的確な表現で書き下ろす「1分で読める新作映画批評」です。映画紹介だけのメルマガにはない「本物の批評」を堪能したい方だけご登録ください。

全て表示する >

レヴェナント こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/04/21

■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □

☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/4/21 Vol.1745    ☆
   
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■

 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
         「レヴェナント 蘇えりし者」  です。

ここでくたばるわけにはいかない、息子の仇を討つまでは。埋められ
た男は墓穴から這い出して復讐を誓う。だが、彼を待ち受けるのは極
寒の荒野と敵意に満ちた原住民。それらと戦いながら、折れた足を引
きずり、草や木の根を食べ、凍てつく山野と冷たい水が横たわる大地
でひたすら裏切り者を追う。そんな主人公の姿は、“生きる”とはい
かなることなのかを考えさせる。壮大な氷雪の冬景色、流麗かつダイ
ナミックなカメラワーク、何よりレオナルド・ディカプリオ入魂の熱
演。この唯一無二の圧倒的な映像体験に、すべての意識がスクリーン
に集中し、気づけば体が固まっていた。

原住民居留地区で毛皮採取するハンター団のガイド・ヒューは、偵察
中にクマと遭遇し瀕死の重傷を負う。ところがヒューのケアと看取り
を任されたジョンは、彼の息子を殺した上、ヒューを見捨てる。

巨大な爪で引き裂き圧殺しようとするクマの用心深い習性がよくリサ
ーチされていて、恐怖以上に妙な説得力があった。さらに馬上の戦闘
や急流での潜水、崖からのジャンプ等、リアリティと臨場感にこだわ
りぬいた演出は、ヒューの感覚だけでなく心の動きまで再現する。

特に「怒りのアフガン」や「帝国の逆襲」を思わせる止血術や避寒法
は彼の痛みや寒さを体感させる。そして凍える手で熾した火の温かさ。
まだ死んでいないと実感するヒューの息遣いに、怒りや憎しみが時に
絶望から救ってくれると教えられた。

       お勧め度=★★★★★(★★★★★が最高)

               「レヴェナント 蘇えりし者」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160130
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
        「スポットライト 世紀のスクープ」  です。

膨大なアーカイブから関連記事を抽出して特徴を見つける。資料の山
を一件ずつ精査して法則性を引き出す。そして関係者の元に何度も通
い証言を得る。気の遠くなるような地道な作業の連続、調査報道の基
本を忠実に実践する記者たちの努力がリアルに再現される。物語は、
何十年にもわたって巨大組織にもみ消されてきた事件を明るみにした
新聞記者たちのスクープに至る過程を描く。加害者は神父、町に深く
食い込んだ教会に守られて事実は表には出てこない。被害者はトラウ
マに口をつぐみ、警察も検察も裁判所も非協力的。さらに教会のため
に暗躍する弁護士。それらの壁をひとつひとつ切り崩し真相に迫って
いく記者たちは、まさにジャーナリストの鑑だ。

新任の編集局長からカトリック神父による児童虐待事件の再調査を命
じられたロビーたち4人の記者は、過去の記事をもとに被害者や弁護士
を直撃する。だが、ほとんどは時効、公的な記録も非公開扱いだった。

被害者は大人になっていて、忌まわしい記憶を封印して精神のバラン
スを保っている。彼らは皆、神父という絶大な存在の前でNOと言えな
いままに性的行為に応じた末に恐怖と絶望、自責の念と罪の意識に苛
まれている。記者たちは共感を示し聞き役に徹して重い口を開かせる。
守秘義務を盾に口を閉ざす弁護士には正義と良心に訴えウラを取る。

寝る時間を惜しんでまで仕事に没頭する彼らの姿は、幸福なアドレナ
リンに満ちていた。

       お勧め度=★★★★(★★★★★が最高)

               「スポットライト 世紀のスクープ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160418
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
  「関西ジャニーズJr.の目指せ♪ドリームステージ!」  です。

目標もなく無為に日々を過ごしていた若者は、失敗を恐れて夢中にな
れないでいる。一緒に行動する同僚たちもどこか厳しさが足りない。
物語はそんな崖っぷちアイドルグループに加入した主人公が苦悩と葛
藤を通じて成長していく姿を描く。目の前に危機が迫っているのに、
どうせ頑張っても無駄と現実から逃げる彼らが、人生を賭けて芸能活
動に打ち込む仲間を見て一念発起する過程は青春モノの王道。そう、
この作品はジャニーズファンでへのメッセージである以上に、しのぎ
を削るジャニーズJrたちに問うているのだ。「アイドルとして成功す
るために他のすべてを犠牲にする覚悟があるのか」と。

ご当地アイドル・小姓ズに応募した風太は先輩メンバーたちのやる気
のなさに当惑するが、同調してしまう。ところが、1カ月後のライブを
満席にできなかったら解散と宣告され、新たな演目を模索する。

ミュージカルをやろうという風太の提案に他のメンバーも従うが、ど
うしていいかわからない。やむを得ず披露したトークショーは素人以
下のクオリティ。タウン誌に掲載されたおかげで客足は伸びるが、稚
拙な芸はすぐに飽きられる。そして、このままではいけないと思って
いても、このままでもいいやと諦めてしまう風太の心を見透かしたよ
うに、唯一プロを目指している翔吉が脱退する。

努力や友情ではどうにもならない意識の差、翔吉の決意を知った風太
と他のメンバーも初めて真剣な思いを抱く。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

       「関西ジャニーズJr.の目指せ♪ドリームステージ!」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160325
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
             「獣は月夜に夢を見る」  です。

胸にできた小さなあざから剛毛が生えている。医師は顔を曇らせ、父
は動揺を隠せない。そして見てしまった、意識がない母の体毛を剃る
父。自分はいったい何者なのか、母はどんな“病気”なのか。物語は、
肉体の変化に戸惑いながら少しずつ真実に近づいていく少女の悲痛な
運命を描く。心身とも人間でいられる時間は確実に短くなっているの
に、進行を遅らせる手立てはない。海辺の小さな村、居場所を失った
ヒロインは、残された愛に希望を託す。力のない光、深い夜の闇、青
みがかった陰鬱な映像が彼女の不安と苦悩を象徴する。これからどう
なるのか、こんな私に人を愛し人に愛される資格はあるのかという。

水産加工場に職を得たマリーは同僚の冷たい視線に耐えながら懸命に
働いている。ある日、出入り業者のダニエルと知り合い、クラブに踊
りに行く。そこで母にまつわる不穏な噂を聞かされる。

母のカルテを盗んだマリーは、似た症状がわが身にも起きていること
にショックを受ける。母のように注射で発症を抑え廃人となるか、目
覚めた本能のまま野獣になってしまうか。誰にも相談できず、父を困
らせる行動でしか己の気持ちを表現できないマリーの、やり場のない
怒りが哀しく切ない。

何より、愛した女が獣と知りつつ結婚し、生まれてきた娘も同じ体質
と分かっても黙々と彼女たちの世話をする父の、呪われた人生から逃
げずに責任を果たそうとする姿が涙を誘う。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                 「獣は月夜に夢を見る」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160419
               
          を参考にしてください。

==============================================================

        余|談|
        ━┛━┛

熊本の震災避難者の中で、エコノミークラス症候群が原因で亡くなっ
た人が10人以上もいると報道されています。

止まらぬ余震のせいで自宅に戻れず、長引く車中箔でできた血栓が肺
の血管などに詰まるそうです。

学生時代は20時間くらい飛行機を乗り継いで海外旅行をしたこともあ
りました。結構きつかったのを思い出すと、避難生活がそろそろ1週間
になる被災者の苦痛は想像を絶するものだと思います。

次回自家用車を買い替える時は、後部座席がフラットになって車内で
横になれるミニバンタイプにしよ。。。

==============================================================

      次回配信予定は4/23作品は
         
         「アイヒマン・ショー」
         
              です。

---------------------------------------------------------------

このメルマガは、週2回発行です。

皆様からのご意見、ご要望、感想をお待ちしています。

            otello.com.ua@gmail.com

                         までお願いします。

いただいたメールはこのメルマガで紹介させていただくことがあり
ます。

なお、相互紹介の依頼は受け付けておりません。

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは、よい一日を!

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
発行周期:週3回  
Score!: 98 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。