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こんな映画は見ちゃいけない! 

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オマールの壁 こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/04/16

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/4/16 Vol.1744    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
             「オマールの壁」  です。

愛や友情まで分断する高い壁。物理的には乗り越えられるが心理的に
は大きな障壁、抑圧のシンボルになっている。そしてその隙間にくさ
びを巧妙に打ち込んでくる当局の手。自由を奪われたまま死ぬか、飼
い犬となって生き延びるか。物語はパレスチナ分断地域に住む青年が
テロ行為を実行し、徐々に追い詰められていく姿を描く。親友を売る
フリをして一矢報いようとするが、そんな浅はかな計画はとっくに見
破られている。敵味方双方からスパイのレッテルを張られた主人公は、
信頼を取り戻すには何をすべきかわからず奔走する。知人からは白眼
視され、恋人にも拒まれ、家にも居場所がなくなる過程で、イスラム
の男にとって命より大切な名誉を失う苦悩がリアルに再現される。

オマール、タレク、アムジャドの3人は銃を手に入れ、検問所のイスラ
エル兵を狙撃する。その後、秘密警察に拘束されたオマールは、ラミ
捜査官から釈放する代わりにタレク逮捕に協力しろと迫られる。

拷問にも口を割らなかった。自分だけが苦しむのなら耐えられる。だ
が恋人のナディアに捜査が及ぶのを恐れたオマールは取引に応じる。
しかしまだ逆転のチャンスはあると考えているオマールは、ラミの狡
猾な戦術にはまり後戻りできなくなってしまう。

事態は悪化するばかり、行動はすべて裏目にでる。一度信念を捨てた
“戦士”には帰る場所はないという厳しい現実が、普通の若者だった
オマールたちの覚悟の甘さを浮き彫りにする。

       お勧め度=★★★★(★★★★★が最高)

                 「オマールの壁」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160331
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
             「ハロルドが笑う その日まで」  です。

ビジネスでは完敗した。職人の矜持も奪われた。長年連れ添った妻は
他界した。大切にしてきたものをすべて失った男は、復讐を決意する。
具体的な計画はなく行き当たりばったりで行動を起こすが、思わぬ偶
然から事態は急展開。物語は、倒産に追い込まれた高級家具店の店主
が、その元凶となったグローバル企業の創業者と濃密な時間を過ごす
うちに、奇妙な感情を抱いていく過程を描く。傲岸不遜な老人と思っ
ていたのに、実は仕事一筋で浪費を嫌う倹約家。同時代を生き抜いた
共通点も多いと知って、親近感を持ってしまう。別の機会で出合って
いたら友達になれたかもしれない、だがやっぱり素直になれない。そ
んな主人公が小さな意地を張り通す姿が、いとおしくも滑稽だ。

イケア経営者・カンプラード誘拐を思いついたハロルドは、クルマで
スウェーデンに向かう途中、エバという少女を拾う。エバが教えたカ
ンプラードの家に忍び込むが、家人が帰宅する前に寝入ってしまう。

成功するとは考えていない、誰かに止めてもらいたい気持ちもあった
はず。しかし雪道で立ち往生していたクルマの運転手を助けると、な
んとカンプラード本人。ハロルドは拳銃を突き付けて彼を拉致、エバ
も加わって“安物の家具を流通させた罪”を告白させようとする。

期待外れと拍子抜け、彼の言い分と愚痴を聞くうちにハロルドの胸か
ら怒りが引いていく。2人とも孤独、悪人にはなりきれないハロルドの
やさしさが柔らかな笑いを誘う。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                 「ハロルドが笑う その日まで」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160226
               
          を参考にしてください。



 本日はもう一本
 
             「グランドフィナーレ」  です。

アーティストとして時代の先端を切り開いてきた自負はある。カネも
名誉もそれなりに得た。しかし、失ってしまった“若さ”はどうして
も取り戻せない。過去は抱えきれないほど肥大し忘れなければ心のバ
ランスを崩してしまうのに、未来は先細りし残りわずか。気持ちは若
くても体は言うことを聞いてくれない。物語はスイスの高級リゾート
ホテルで余暇を楽しむ老人を通して、余生の送り方を模索する。芸術
へのパッションを封印し静かに過ごそうとする音楽家と創作意欲旺盛
な映画監督、長年の親友だが対照的な生き方をする2人の姿は、誰かに
必要とされてこそ人は生きる価値があると教えてくれる。そして、振
り返ってみて、どれだけ自分と自分に関わった人々を愛せたかが豊か
な人生の指標になると訴える。

大ヒットした自作の名曲を女王の前で演奏するというオファーを断っ
たフレッドは、いまだ妻への深い思いを抱いている。新作の脚本作り
に没頭するミックは、往年の大女優からの返事を待ち続けている。

いつ死んでもいいと覚悟はできている。それでも、もう一度スポット
ライトを浴びたい願望が頭から離れない。潔く身を引くか現役でいる
か、それは“引退”のない職業で成功した彼らの贅沢な悩み。

同施設内でかつての“サッカーの神様”がリハビリしているが、節制
から解放され過食に走ってしまったのは、築いてきた名声とうまく向
き合えなかった彼の未熟さゆえ。天賦の才を存分に発揮しても精神的
に成長する努力を怠った悲劇を、でっぷりと肥満した肉体が象徴する。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                 「グランドフィナーレ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160305
               
          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

石川遼がイメージキャラを務める警視庁のポスターのキャッチコピー
は「全力で!銃器の根絶」です。

さらに小さい字で銃器の情報提供を求めるホットラインの電話番号、
さらに「拳銃を持つな持たすな社会の目」というザブコピーが並んで
います。

薬物乱用を根絶を訴える福原愛のポスターはまあ納得しますが、この
標語、警官が拳銃を腰からぶら下げて街を巡回している現状とは明ら
かに自家撞着です。

銃器根絶を訴えるなら、非常の場合を除いて、まず警官が銃を持たな
いようにするべきではないでしょうか。。。

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      次回配信予定は4/21作品は
         
         「レヴェナント 蘇えりし者」
         
              です。

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