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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ルーム こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/04/14

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/4/14 Vol.1743    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
             「ルーム」  です。

幼い男児にとって、小さな空間の中にある家具と天窓から見える空、
一緒に暮らすママが世界のすべてだった。若い母親にとっては息子が
恐怖と怒り、孤独と不安を和らげてくれる、生きる支えだった。彼女
は、そんな境遇から息子を救い出すために思い切った賭けに出る。物
語は、7年間にわたって監禁されたヒロインが、その間にできた子供と
ともに失われた時間を取り戻していく過程を描く。外部の情報はTVの
み、現実と虚構の区別がつかない男児が、初めての外界で切り取られ
ていない空を見上げる姿が痛ましくも切ない。自由の象徴であるはず
なのにすっきりしない、むしろ彼にとってあの部屋はサンクチュアリ
だったのではないかと思わせる映像が胸にしみる。

頑丈に補強された納屋に閉じ込められたジョイとジャック。2人は中年
男が差し入れる食料品と日用品で生活している。ジャックが5歳になり、
ジョイは自分たちの状況をジャックに説明し、脱出を図る。

できる限りジャックを教育しきちんとした人間になれるよう努力して
いるジョイ。最初のうちはなぜこんな目にあわねればならないのかと
いう不条理に憤慨し、やがてきっと誰かが助けに来てくれるといった
期待があきらめにかわり、ジャックが生まれて以降は彼に希望を託し
て正気を保っている。

彼らの日常をディテール豊かに再現することで、ジョイが拉致されて
からの年月の長さと彼女の気持ちを想像させる構成には舌を巻いた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                 「ルーム」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160411
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
             「コップ・カー」  です。

家を出て、見渡す限りの平原をふたりきりで徒歩の旅を続ける小学生
は、藪の中でパトカーを見つける。周りに人はいない、鍵は車内に置
かれたまま。これが自由へのパスポートだと確信した彼らは、エンジ
ンをかけアクセルを踏み込む。物語は放置されたパトカーに乗り込ん
だ少年たちが、持ち主に追われる道中、さらにヤバイ状況に陥る過程
を描く。フロントガラス越しに見える地平線にまで届く一本道、その
先には“今”を変えてくれる何かがあるのではと期待している。そん
な少年たちの願望が彼らが抱える閉塞感を象徴していた。拳銃と小銃
で戯れる彼らのショットは、安全装置がかかっているのがわかってい
ても、いつか暴発するのではないかとハラハラさせられる。

死体を林に埋めた保安官のミッチーはパトカーが消えているのに気付
き、あわてて家に戻る。無線に細工して盗んだ少年たちからパトカー
の現在地を聞き出したミッチーは、罠とも知らずに現場に駆けつける。

ドラッグ売買に手を染めているミッチーは裏切り者を粛清したのだろ
う、少年たちを追跡する前に証拠を隠滅する。その、悪事が露見する
のを恐れるあまり胸に去来する焦燥と不安をケヴィン・ベーコンがリ
アルに表現する。そこには“ガキに足元をすくわれた”という自分に
対するふがいなさも含まれ、怒りの炎に油を注いでいる。

明らかに低予算映画ながら、登場人物の感情に迫った映像はぎりぎり
の緊迫感を再現していた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                 「コップ・カー」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160413
               
          を参考にしてください。



 本日はもう一本
 
             「モヒカン故郷に帰る」  です。

結婚の報告に帰った故郷は、時間が止まったように何も変わっていな
い。両親は小言を繰り返し弟も頼りないまま。それでもやっぱり皆年
を取っている。物語は瀬戸内海の小さな島に婚約者と共に戻ったバン
ドマンが、父のがん闘病を通じて人生ついて再考する姿を描く。ミュ
ージシャンとしては限界を感じている、赤ちゃんができたら心機一転
も考えている。しかし、できるのは実家の店番くらい。そんな男でも、
父の世話をするうちに親の心情を理解していく。父が自分に伝えたか
った事をくみ取り、自分がこれから生まれる子供に伝えるべき事を学
ぶ過程は、あえてドラマティックな演出を避けてゆる〜い日常の延長
に終始する。年老いた父と成人した息子、二人きりで相対するときの
照れと面はゆさがリアルでほのかな笑いを誘う。

妊娠した恋人の由佳を両親と弟に紹介した永吉だが、お祝いの宴席で
倒れた父・治が余命わずかと宣告される。治は若いころ、武道館コン
サートで矢沢永吉と目が合ったとずっと信じていた。

入院中も中学のブラスバンド部を指導する治。ところが今の中学生が
YAZAWAに共感するはずもなく、生徒はみな治を迷惑がっている。一方
で永吉は彼らの気持ちを巧みにつかみ、音楽の楽しさを教えていく。

このあたり、“生涯現役”を貫こうとする老人が職責にしがみつくほ
ど「価値観の違い」という弊害が顕著になり、ひいては若者の活躍の
場を奪っているとやんわりと皮肉っている。時代遅れの老人は潔く身
を引くべきなのだ。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                 「モヒカン故郷に帰る」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160412
               
          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

各競技でリオ五輪の日本代表選手が続々と決まっていますが、34人も
代表に選ばれた水泳はちょっと数が多すぎないでしょうか。

団体競技は基本男女1チーム、格闘技などでも各階級1人ずつです。個
人で複数種目に出られるのは水泳・陸上競技・体操くらいでしょう。

しかも水泳は種目がやたら多く、同一大会で複数個金メダルを取る選
手も珍しくありません。

掛け持ちエントリーできない競技の選手と比べると、メダル1個の価値
が落ちるのではと心配です。。。

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      次回配信予定は4/16作品は
         
         「オマールの壁」
         
              です。

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