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こんな映画は見ちゃいけない! 

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リップヴァンウィンクルの花嫁 こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/03/26

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/3/26  Vol.1738    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
          「リップヴァンウィンクルの花嫁」  です。

控えめな性格ゆえに大きな声で話せない彼女はSNSでしか本音を吐けな
い。“ネットで買い物をするように”出会った男と結婚するが、すぐ
に破局、当てもなく街をさまよう。両親は離婚、友人もなく、頼れる
のは、これもネットで知り合った便利屋。他者との深いかかわりを避
けてきた彼女はどこか無垢で影が薄いが、それでも必死に生きようと
している。物語はネット社会に育ったヒロインが、リアルで濃い人間
関係を築くうちに少しだけ人生に前向きになる過程を追う。困った時
に手を差し伸べてくれる男と初めて心を許した女。彼らとの日々はし
っとりと落ち着いた詩的な映像で再現され、静かな音楽がマッチする。

便利屋の安室にサクラを頼んだ七海は、新婚早々夫の不倫を疑う。し
かし、逆に姑から浮気の濡れ衣を着せられ、アパートを追い出される。
行き場をなくした七海は安室から住み込みメイドの仕事を紹介される。

世間知らずの七海はすっかり安室を信用している。安室の言いなりに
なる七海の危うさは、壊れやすい陶器人形のよう。だが、根は善人な
のか、安室は決して七海を泣かせたりはせず、守護天使のように見守
っている。姑の依頼で逆ハニートラップを仕掛けたのも、別れたほう
がむしろ七海のためと考えたからだろう。

そのあたり、七海と安室の距離感が絶妙で、いままで他人に親身に構
ってもらったことのなかった七海には新鮮な体験。管を巻く七海に付
き合ってやる安室のやさしさが胸に染みる。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                「リップヴァンウィンクルの花嫁」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160220
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
         「バンクシー・ダズ・ニューヨーク」  です。

権威、伝統、富、名声、既成の価値観。男はそれらすべてに背を向け、
匿名のまま町のあらゆるところに足跡を印す。最初のうちはすぐに塗
りつぶされるが、やがて値打ちに気づいた人々は様々な反応を示す。
映画は、正体不明のストリートアーティストが1か月間にわたって行っ
たゲリラパフォーマンスの膨大なSNS映像を編集して、彼の功績を追う。
おおむねNY市民は好意的だが、警察は取り締まろうとし、芸術ではな
いと否定するTVコメンテーターやあえて棄損する者もいる。さらに、
アクリルボードで保護する者、転売目的に持ち去る者や美術商なども
暗躍して社会現象となっていく。彼のアート以上に、そこに群がった
老若男女の赤裸々な人間模様が興味深い。

2013年10月、日替わりでグラフィティを町に残すと宣言したバンクシ
ーは、描いた絵の写真をネットに公開する。ファンはそれがどこなの
か探し、見つけた者がSNSにアップするとたちまちイベント化する。

ステンシル画のみならず、ジオラマやぬいぐるみなどジャンルにとら
われない発想がファンを飽きさせない。そして次の出現場所がわから
ない宝探しのような興奮がお祭り騒ぎに発展していく過程は、ネット
社会ならではスピードと拡散力。日ごとにメッセージ性を帯び、日常
にある矛盾から世界の現状に怒りを示す作品まで展示される。

いずれにせよ製作に時間をかけた大作よりも、それこそ数分で完成さ
せたグラフィティ的な作品の方が印象は強いのは確かだ。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                 「バンクシー・ダズ・ニューヨーク」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160304
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
                      「木靴の樹」  です。

家族総出で畑を耕し、種を撒く。刈った草は飼料として蓄え、敷地内
で飼う牛や馬、豚や鶏のエサになる。夜は集会所で取り留めもない話
をし、日曜日には教会で祈りをささげる。決して豊かではないが、大
人数の家族が集まった、濃密な人と人の関係。物語は19世紀末の北イ
タリアの農村地帯、小作人4家族の日常を描く。高額の上納金を領主に
支払うのを当然と思い、とりあえず衣食住が足りればそれ以上を求め
ていない。都市部では社会主義者が運動を始めているが、意味が理解
できない。そんな、無知のせいで搾取に気づかず、現状に甘んじてい
る農民たちの暮らしをリアルに再現する。生活を向上させるには教育
が大切であるとをこの作品は教えてくれる。

神父から息子を小学校に通わせるよう勧められたバティスティはしぶ
しぶ了承する。絹糸工場勤務のマグダレーナは帰り道にナンパされる。
子だくさんのルンクは娘を施設が引き取る話を断る。

小さな事件や問題は起きるが、春夏秋冬、作物を育て家畜を世話する
サイクルはほとんど同じ。子供たちは成長し、娘は恋をし、大人は老
いていくが、みな親の代とそう変わらない一生のはず。あえて登場人
物の感情に深くフォーカスせず情景を淡々と見せるだけで力強さを感
じるのは、圧倒的なリアリティゆえであろう。

ストーリーを展開させるのではなく日々の風景を丁寧に切り取った映
像は、人生の真実に迫っていた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                      「木靴の樹」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160303
               
          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

選抜高校野球をネットのライブ中継で観戦しているのですが、なぜか
試合後の勝利チームの校歌斉唱シーンがいつもカットされます。

TVがなくても試合を楽しめるのは便利なのですが、やっぱり校歌斉唱
がなければ試合が終わった気がしません。

学生の頃までは春休みは基本暇だったので、甲子園に行かないときも
基本はTVで観戦。だから、優勝チームの校歌はほとんど覚えていまし
た。

そういえばPL学園の校歌はもう7年ほど聞いていません。今年の夏甲子
園に出場できなければもう二度と聞けないのかな。。。

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      次回配信予定は3/31作品は
         
         「見えない目撃者」
         
              です。

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