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こんな映画は見ちゃいけない! 

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砂上の法廷 こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/03/24

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/3/24  Vol.1737     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
          「砂上の法廷」  です。

誰もが嘘をついている。証人は解雇を免れるために、警察官は自らを
正当化するために、母親は息子を守るために、容疑者は憐憫に訴える
ために、弁護士は依頼人の無罪を勝ち取るために。真実のみが語られ
るはずの法廷、ところがそこに集まった人々はそれぞれに秘密を抱え、
記憶に脚色する。物語は父親殺害で起訴された少年の裁判を通じ、人
間の本質に迫る。横暴だった被害者は殺されても仕方のない男。しか
し、死んでしまって言い訳のできない彼は本当にそれほど憎まれる存
在だったのか。個々の供述とは食い違う映像が、なぜ証言台に立つ彼
らが事実を捻じ曲げなければならなかったかを代弁し、“面目を失う
恐怖”と“良心”を天秤にかける彼らの葛藤がリアルに再現される。

逮捕後黙秘を続けるマイクの弁護を引き受けたラムゼイは、検察側の
証人への対抗策もなく、陪審員の心証が悪くなるばかり。助手のジャ
ネルが偽証を見抜くが、ラムゼイは反論せず同情を買う戦術をとる。

隣人の父と息子は、マイクの父・ブーンが妻・ロレッタに対し日常的
に暴言と暴力を浴びせていたと話す。ロレッタも否定はしない。さら
に、検察側の筋書の他に、決定的な要素を加えた発言まで飛び出す。
いまやマイクがブーンにナイフを突き立てたことに異議を唱える者は
おらず、争点は情状の余地があるかどうかに移っていく。

この間、ラムゼイもロレッタもどこか不審な態度を端々ににじませ、
観察眼の鋭いジャネルの直感を刺激していく。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                「砂上の法廷」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160213
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
           「ちはやふる -上の句-」  です。

上の句の最初の子音で下の句を理解する天性の耳の良さ。目にも止ま
らぬ速さで札に手が伸びる反射神経。負けず嫌いで一途な性格。何よ
りかるたを心から愛している。物語は競技かるたに打ち込む高校生た
ちの汗と涙、少しの恋を描く。ひとりで始め、仲間を増やし、力を合
わせる。努力・友情・勝利の3点セットがそろった展開は青春ドラマの
王道だ。そして、可憐な笑顔から必死の形相で全力疾走し、白目をむ
いた寝顔や勝負に挑むときの真剣なまなざしまで、ヒロインの魅力を
最大限に引きだしたショットの数々は、広瀬すずのプロモーションビ
デオのよう。予想通りながら、前向きな彼女のひたむきさが心地よい。

高校入学と同時にかるた部を作った千早は部員集めに奔走、幼馴染の
太一と経験者の西田、百人一首萌えの奏、秀才の駒野を誘って部活動
に最低人数5人を確保する。

小学生時代に競技かるたの面白さを教えてくれた新と再会するために
全国大会出場を目指す千早は、早速合宿を行い部員たちを鍛える。優
雅な歌詠みとは対極的に極度の集中力とスピード・スタミナが要求さ
れ、1試合終わると精根尽き果て失神してしまうくらい激しく消耗する
過酷な競技、かるたを取る技術以上に体力・精神力が必要とされる。
競技かるたがこんなに厳しいとは初めて知った。

そんななか、千早と太一、ふたりの新への思いが複雑に交錯しつつ、
5人は東京都予選に参加する。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                 「ちはやふる -上の句-」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160323
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
                      「僕だけがいない街」  です。

夢を追ってはいるが叶わないまま、バイトも中途半端。冴えない生活
を送っている青年は、突然時間をさかのぼる現象に襲われ、目の前で
起きた惨事を未然に防ぐ。いや、事件の原因を排除するまでは何度も
同じ地点に帰される。それは神に課された使命なのか、心の声が望ん
だ能力なのか。物語は漫画家志望の主人公が記憶を保ったまま小学生
の頃に戻り、クラスメートの女児に手を差し伸べつつ冤罪事件の真犯
人を暴いていく姿を描く。なぜ自分がという戸惑いが与えられたチャ
ンスと思えるようになり、他者と関わる積極性が生きる原動力になっ
ていく過程は、不満をいだいても行動を起こさなければ現実は何も変
わらない、見て見ぬふりをせず逃げないことで人生が開けていくと教
えてくれる。

“リバイバル”で子供の命を助けた悟の元に故郷の母・佐知子が見舞
いに来る。その後佐知子が刺殺されると、悟は警察に追われる身に。
逃亡中に“リバイバル”が起き18年前、小学5年生の悟になっていた。

佐知子の殺害につながるきっかけがこの時代にあると気づいた悟は、
家庭で虐待受けその後惨殺された加代を守れば佐知子を救えると確信、
クラスで孤立している加代に接近する。加代の運命に手を加えなけれ
ば佐知子の死も取り消せない、悟は自ら胸襟を開き友人を作る。

懸命に一人息子を育てるシングルマザーを石田ゆり子がさわやかに演
じ、18年後も老けずに魅力的。彼女も何らかの能力者だったのか。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                      「僕だけがいない街」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160324
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
                    「リリーのすべて」  です。

忘れていたあの感覚がふとよみがえる。それは少年の時からずっと抑
えてきた本当の自分。最初は小さな違和感だったのが、やがて女の服
を着て過ごすのが自然に感じられるようになる。物語は、性同一性障
害が精神病と考えられていた時代、将来を嘱望された画家が内なる女
性に目覚め肉体を変えるまでの苦悩と葛藤を描く。男の人生に疑問を
持たなかった、ところが女装すると別人格が現れる。異常なのか、病
気なのか。答えが見つからないまま、心が「女」でいる時間が長くな
る。そんな主人公を、上目遣いとはにかんだ口元そして繊細な指先の
動きでエディ・レッドメインが演じ切る。鏡の前に裸で立ち性器を股
に挟むシーンに、男に生まれた不満と女への憧れが凝縮されていた。

1926年、風景画で話題になったアイナーは、妻・ゲルダの踊り子画の
代役モデルを引き受ける。その日から女性人格・リリーがアイナーの
中に芽生え、女装のたびにリリーがアイナーの内面を支配していく。

ゲームのつもりだったゲルダも、アイナーの女装への傾倒ぶりに我慢
できなくなる。しかし、リリーを覚醒させたのはゲルダ自身、リリー
の肖像で売れっ子にもなれた。アイナーはかけがえのない夫、一方で
リリーは恩人なのだ。二人が同じ体に宿っている状態にゲルダは混乱
し、悩み、アイナーの古い友人・ハンスに打ち明ける。

夫を何とか元に戻したい、だが、見守るのが愛だとも思っている。そ
のあたり、妻の立場から見た葛藤と逡巡もリアルに再現されていた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                      「リリーのすべて」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160322
               
          を参考にしてください。
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        余|談|
        ━┛━┛

プロ野球界で金銭授受が常態化していることが連日話題になっていま
す。部外者が介入した巨人選手とは違い、選手間で小遣い銭程度の金
額を賭けるのがそれほど大騒ぎすることなのか。

スポーツ観戦で友人同士が小銭を賭けるなんて、高校生でもやってい
ること。あくまで試合を楽しむためのコミュニケ^ションです。

それを大げさに取り上げる新聞記者や報道番組のディレクターは、一
切身に覚えがないのでしょうか。

それに一切禁止しても抜け道を探す人間が現れるだけ。ここまでは許
される的なガイドラインを作るのが先決だと思います。

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      次回配信予定は3/26作品は
         
       「リップヴァンウィンクルの花嫁」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
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