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こんな映画は見ちゃいけない! 

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背徳の王宮 こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/03/19

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/3/19  Vol.1736     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
          「背徳の王宮」  です。

数十人の美女ひとりひとりの顔・歯並び・肌のきめ・陰毛の量と形を
チェックした後に、閨房術のトレーニングに入る。雑巾がけや太もも
に挟んだスイカで膣圧を高め、吊るした杏の実を舌先で転がし、様々
な体位や喘ぎ声の出し方まで学ぶ。そんな、性技を磨く修練の日々が
微細に再現された映像は、洗練されたAVを見ているよう。張型で膣具
合を測りお尻にスタンプを押すシーンには思わず笑ってしまった。物
語は16世紀初頭、朝鮮王の腹心が仕掛ける壮絶な権力闘争を描く。排
除すべきは暴君か奸臣か、圧政に苦しむ人々と粛清に脅える高官たち
の不満が沸点に達する中、禁じられた愛に苦悩する主人公が哀れだ。
パンソリ調のナレーションが虐げられた民衆の“恨”を象徴する。

王の側近・スンジェは新たな後宮制度創設を進言する。身分を問わず
子女が狩り集められるなか、と畜人・ダニと妓生・チュンメは自ら志
願する。宮殿に送られた女たちは運平と呼ばれ、厳しい訓練を受ける。

ふたりが直接対決する場面は、相手を先にイカせた方が勝ちのルール
の中、淫靡な官能に満ちたレズプレイが繰り広げられる。負ければ死、
命を削って格闘するふたりの姿は甘美の中にも切なさを秘めていた。

実在の暗君をモデルにした専制政治の崩壊は北の指導者の行く末を、
望んで運平になる女性もいるあたり慰安婦問題を想起させる。裸あり
剣戟あり暴力ありのエロティックかつダイナミックな時代劇ながら今
日的なトピックを織り込む構成に作り手のサービス精神を感じた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                「背徳の王宮」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160123
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
           「つむぐもの」  です。

妻の死後ますます頑固になっている老人。思いがけず老人介護に関わ
るようになった若い女。最初はお互いに、“日本語を話さないお前に
何がわかるか”“他人の気遣いを断る偏屈なジジイ”と距離をおいて
いたが、同じ時間を過ごすうちに良き理解者になっていく。物語は半
身麻痺になった和紙職人が韓国人ヘルパーと暮らすうちに、徐々に心
の壁を低くする過程を描く。和紙工房が人生のすべてだった彼は、新
しい世界を見せられて生きる力を取り戻し、彼女もまた誰かを幸せに
できる喜びに目覚めていく。言葉も性別も年齢も問題ではない。人間
関係にいちばん大切なのは、相手をもっと知ろうという心掛けなのだ。

ひとりでは生活困難な剛生の元に、住み込みヘルパーとしてやってき
たヨナ。剛生は彼女を「韓国人」とあしらっていたが、思ったことを
口にするヨナに日本人にはない素直さを感じ取る。

見つめ合うつもりがにらみ合い、抱き合うつもりが殴りあう。反日嫌
韓の空気が濃く残る隣国との仲、それはそのまま人間同士にも当ては
まる。酒を酌み交わしたふたりはいつしか信頼を結び、剛生はヨナを
頼り、ヨナも剛生の世話に、“仕事”以上のやりがいに満たされる。

同時に介護センターの職員・涼香はマニュアル通りの介護しかできな
い己に限界を覚え、認知症老人の願いを瞬時に察するヨナの奔放さに
嫉妬と羨望を抱く。そのあたり1人で何人もの重度認知症老人を担当す
る介護職員の過酷な現状が浮き彫りにされる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                 「つむぐもの」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160218
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
                      「母よ、」  です。

納得できるまで何度も撮り直す映画監督は、カメラマンの動きもエキ
ストラの格好も気に入らず、何より客演に迎えた俳優にイライラを隠
せない。一方で、死期の近い母親を見舞っては、人と人の結びつきに
恵まれた教養豊かな彼女の人生に想いを馳せる。物語は、完璧主義者
のヒロインが、仕事での壁、母の介護、娘の教育などを通じて、スト
レスをため込んでいく姿を描く。決めなければならないのに決められ
ず、決定を下したのに自信が持てない。やがて思い通りに進まない日
常に焦りと苛立ちが募り、幻覚と悪夢に悩まされる。もうパンク寸前、
別れた恋人に生き方を批判される場面に、「頑張りすぎなくてもいい
よ」と声を掛けたくなった。

米国人俳優・バートを迎えたマルゲリータは、演出プランを再考を迫
られる。夜は入院中の母・アーダの元に駆けつける多忙な毎日。とこ
ろがバートのせいで予定は乱れ、アーダは余命わずかと宣告される。

映画の内容は“工場の買収とリストラ”、社会正義について何十年も
考え続けてきたのだろう、マルゲリータは映画作家というよりは左派
の思想家風の固い信念に囚われている。

その態度は家族に対しても同じ、夫は娘を連れて離婚、反抗期の娘は
むしろ祖母になついている。勤勉に生きてきたはずなのに、社会人と
しても妻としても母親としてもアーダにはかなわない、そんな思いが
ますますマルゲリータを追い詰めていく。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                      「母よ、」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160314

               
          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

スマホであるサイトを見ていると、下端にゲームアプリのバナー広告
がしつこく表示されて、うっとうしくて仕方がない。

調べものをしているのに、つい指先がふれるとそのサイトに飛んでし
まい、いちいちブラウザを閉じなければなりません。

一応、ポップアップ広告はブロックしているのですが、その設定の上
を行くプログラム。きっとこれを作った開発者は“これで広告収入ア
ップ”と意気込んだはず。

でも、こんな不快な思いをさせるサイトの商品など、絶対に買わない
と思うのですが。開発者も採用したサイトもバカなのか。。。

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      次回配信予定は3/24作品は
         
          「砂上の法廷」
         
              です。

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