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こんな映画は見ちゃいけない! 

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キャロル こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/02/11

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/2/11  Vol.1725     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
              「キャロル」  です。

初めて見かけた顔なのに強烈に視線が吸い寄せられた。名前も知らな
いのに運命を感じた。そして忘れていった手袋と残していった連絡先。
物語は、デパートの女性店員がマダム風の女と道ならぬ関係に堕ちて
いく過程を描く。まだ同性愛が禁忌され治療が必要とされる病気と考
えられていた時代、お互いに恋人も夫もいる身で求め合うふたりは、
年齢も趣味も階級も違う相手にのめり込んでいく。しかし彼女たちは
悩まない、迷わない。結ばれるのは必然と、距離を縮めていく。哀し
みに接するうちに、それに寄り添う歓びを覚える。夢を応援する代わ
りにつらい現実から離れさせてもらう。満たされぬ心を抱えたまま日
常を送る彼女たちの、自由に生きられない閉塞感が胸にしみる。

買い物に来たキャロルの忘れ物を届けたテレーズは、キャロルの自宅
に招かれる。そこに偶然帰宅した離婚調停中の夫は、キャロルを激し
く罵り、テレーズはキャロルがバイセクシュアルであると気づく。

横暴な夫に愛想を尽かしているキャロルにとってテレーズとの会話は
ささやかな息抜きの時間。恋人と溝ができているテレーズも意思を尊
重してくれるキャロルの前では素直でいられる。やがて彼女たちは、
女を一人前に扱わない男社会に別れを告げるべく旅に出る。

いつか別れがやってくるのは分かっている、それでも、その日を一日
でも先延ばししようと西に向かって逃避行を続ける。そばにいたいが
一緒に死ぬ覚悟はない。そんなふたりの、女としての弱さが切ない。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                「キャロル」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20151111
               
          を参考にしてください。




 本日本日はもう1本
 
         「ザ・ガンマン」  です。

夜の酒場でイチャつく年輩の男、彼らを苦々しい思いで見つめるもう
ひとりの男。警備員は偽りの顔、本当は手を血で汚す殺し屋なのに恋
愛感情は失ってはいない。物語は要人暗殺後姿を隠していた狙撃手が、
自分の命が狙われているのを察知して元恋人の前に現れたことから起
きる、裏切りと欺瞞の連鎖を描く。雇い主の多国籍企業が表の事業に
進出するにつれ過去にかかわった暗殺実行部隊は消すべき汚点、人殺
しを職業にする人間など所詮は使い捨てにされる運命なのだ。そして
彼女は真実を知らない。誰かから愛する人を奪った彼らに、人を愛す
る資格はあるのかとこの作品は問う。

内戦が続くコンゴ、大臣射殺任務の後ジムは恋人のアニーに何も告げ
ずに現地を去る。8年後、ボランティア活動中に襲撃されたジムは、真
相を調べるうちに元同僚・フェリックスと結婚したアニーに再会する。

かつての殺し屋仲間が次々と殺されていると教えられたジムはフェリ
ックスのもとを訪れ、彼もまた組織に監視され脅えているのを目の当
たりにする。アニーをめぐる三角関係も早々に決着がつき、ジムと彼
女は追手から逃げつつも反撃のチャンスをうかがう。

その間、銃撃戦や火災・爆発、格闘など様々なアクションが繰り広げ
られるが、斬新なアイデアに乏しく映像の切れ味も鈍い。何より、ジ
ムを演じたショーン・ペンの肉体からはタフネスよりも繊細さが出す
ぎてしまい、元特殊部隊出身には見えなかった。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

                 「ザ・ガンマン」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160209
               
          を参考にしてください。




 本日本日はもう1本
 
              「俳優 亀岡拓次」  です。

撮影後はナックに入りびたり、地方ロケでは地元の居酒屋で転寝し、
ホステス相手のシーンでは本物のウイスキーで飲んだくれ、別の地方
ロケではキャバクラに通う。必要なのは主役を引き立てる技術、演技
力よりさり気なさが要求される。物語は売れない中年俳優の冴えない
日常を追う。オファーが絶えないのは、控えめな性格とどんな端役に
もなり切れる器用さゆえ。俳優は当然人気商売、だがメディアの向こ
うにいる視聴者・観客をファンにする以前に、まず一緒に仕事をする
スタッフや共演者から好かれなければならない。絶対に敵を作らない
主人公の生き方は、突出した能力のない者の処世術を示してくれる。

映画やTVドラマで泥棒やチンピラ、ホームレスなどのチョイ役ばかり
を演じる亀岡は、諏訪のロケに呼ばれる。撮影の合間に入った居酒屋
の美人女将・安曇と意気投合するが、口説く勇気はない。

他にも様々な撮影現場と舞台の稽古場を転々とし、与えられたキャラ
クターを淡々とこなす。脇役俳優として肝に銘じているのは、自己主
張しないこと。本番ではもちろん“渾身の演技”で臨むが、カットの
声がかかるとひっそりと去り、夜は酒の飲めるところにいるのだ。

ところがそんな亀山の本質を大物舞台女優は見抜く。ほかでもない、
役者という職業に命を懸けるほどの情熱を持っていない甘さ。もっと
どん欲にチャンスをつかみにいかなければいつまでたっても低空飛行、
それがわかっていても変われない彼の弱さが共感を呼ぶ。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                 「俳優 亀岡拓次」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160208
               
          を参考にしてください。




 本日本日はもう1本
 
「ロイヤル・コンセルトヘボウ オーケストラがやって来る」 です。

誰もいないホールでひとり打楽器の練習をする奏者。コンサート本番
では彼に関心を払う聴衆はほとんどいない。シンバルを1回鳴らすだけ
の演目の時もある。それでも彼はその瞬間に備えて曲の流れを頭に入
れ、感覚を研ぎ澄まし、完璧なタイミングで音が出せるように心がけ
る。まさにプロの手業、この脇役なくしてはシンフォニーの画竜点睛
を欠くのだ。映画はオランダの管弦楽団とそのワールドツアーに密着
し、音楽と人間の関わりを追う。カメラはさらに他の楽器奏者にも迫
り、演奏家にとって音楽とは何かを問うていく。そして行く先々の外
国で市井の人々に試みられたインタビューでは、平凡な暮らしの中で
も、貧しく危険な環境でも、抑圧された体制下でも、音楽は人生を豊
かにする希望の糧であり続けたと訴える。

オランダ、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団はブエノスアイレス
公演のために荷造りし、飛行機に乗る。近代的なビル群と朽ちかけた
古い建物が混在する町では、皆それぞれのスタイルで音楽を楽む。

南アフリカ・ソウェトのスラムでは、十代の黒人姉妹が現状への不満
と未来の夢を語る一方、黒人バイオリン講師は人種差別に苦しんだ自
らの修行時代を振り返る。アパルトヘイトは遠い昔の話、だが人種間
の経済的格差は一向に縮まらない現実を見せられた。

サンクトペテルスブルグでは、貴族の出自ゆえに運命に翻弄されなが
らも、音楽を支えに生き延びた老人が過去を顧みる。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

   「ロイヤル・コンセルトヘボウ オーケストラがやって来る」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160210
               
          を参考にしてください。
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        余|談|
        ━┛━┛

地位や権力を持つ者にはつい義務が伴うことをノブレスオブリージュ
と言います。昨年末、育休取得宣言のパフォーマンスでマスコミをに
ぎわせた国会議員はこの言葉を知らないのかと呆れていました。

今度はこの議員、妻の出産6日前に京都で別の女性と不倫旅行をしてい
たというから、開いた口がふさがりません。

もしばれなかったら、“育休中”も愛人と密会を重ねることは火を見
るより明らか。

今度はどんな言い分が口から飛び出すか、今から楽しみですね。いや、
もう永遠に育休中になるのか。。。

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      次回配信予定は2/13作品は
         
            「火の山のマリア」
         
              です。

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