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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ドリーム ホーム こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/01/30

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/1/30  Vol.1722     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
        「ドリーム ホーム 99%を操る男たち」  です。

“勝者の勝者による勝者のための国”。だが勝者は100人に1人、残り
の99%から這い上がるには他人の財産を狙うしかない。物語は、我が家
を差し押さえられた男が、退去の強制執行を代行した不動産屋の部下
になり、ローン返済が滞った人々を追いたてる側に堕ちる姿を描く。
真面目に働いても貧困と隣り合わせの社会と弱者を見殺しにする政府
に怒るが、犯罪行為に手を染めるのには胸を痛めている。勝者と敗者
の差は、カネをかぎ分ける嗅覚と、違法でもバレなければ合法と強弁
する図太さを持つか否か。人情やモラルは邪魔なだけ。自由競争の果
ての深刻な格差の現実が、主人公のリアルな心情で再現される。

突然自宅の明け渡しを迫られたナッシュは母、息子とともにモーテル
に引っ越す。その際、工具が紛失、執行代理人であるカーバーに苦情
を言うと、逆に日雇い労働者が嫌がる汚物処理を斡旋される。

清掃を終えたナッシュは、その後もカーバーの汚れ仕事を引き受ける。
空き家から備品を盗んだり、物件に目星をつけたり。そのうち、知人
が立ち退き期限を迎えつつあると知るが、何もできない。それどころ
か、見たこともない大金を1日で稼げる商売にいつしかのめり込む。

息子のためと言い聞かせていたナッシュが、カーバーに一人前と認め
られるとむしろ頑張ろうとする。自分の生業が母や息子にばれるのを
心配するナッシュの、良心がすり減っていく過程が、哀しくも欲深い
人間の真実に触れていた。

       お勧め度=★★★★*(★★★★★が最高)

          「ドリーム ホーム 99%を操る男たち」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20151127
               
          を参考にしてください。




 本日本日はもう1本
 
            「さらば あぶない刑事」  です。

定年間近の年寄り扱いは許さない。事件を嗅ぎ付ければ真っ先に現場
に駆けつけて拳銃をぶっ放し、警察車両を爆走させる。そのスタイル
は30年間ほとんど同じ、この作品でもノリはまったく落ちない。物語
は、凶暴な国際犯罪組織の日本上陸を阻もうとする名物刑事2人組の奮
闘を描く。変貌を遂げた街の風景と裏社会、一方で時を経ても変わら
ない男たちの美学。いまや“刑事もの”は、残忍な犯行をリアルに再
現したり、警察内部の人間関係の苦悩に主流を置いている。それでも
主役の2人が古臭く見えないのは、肉体の鍛練を怠らず流行に身を包ん
でいるから。還暦を過ぎてもなお全力疾走し、バイクにまたがる姿は、
人生80年時代の生き方の指針になる。

日ロ中のギャングたちが微妙な勢力バランスで共存していた横浜に、
ガルシア率いる中南米系の麻薬カルテル・BOBが進出してくる。情報を
つかんだタカとユージはガルシアの腹心・カトーを連行する。

ガルシアたちは短期間で他グループを制圧、ヤクザが持っていたHDの
奪還を狙う元半グレをユージが助けたことから、ガルシアとの因縁が
深まる。さらにタカの婚約者がガルシアと旧知で、誘われたりする。

そのあたり、部外者が関わったせいで主人公が余計な危機に陥るとい
うお決まりの展開ながら、スリルを楽しむ余裕が2人をよりスタイリッ
シュに見せる。荒唐無稽の一歩手前、浅野温子扮する異常にテンショ
ンの高い同僚が映画の世界観を象徴していた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                 「さらば あぶない刑事」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20151219
               
          を参考にしてください。




 本日本日はもう1本
 
            「蜃気楼の舟」  です。

生きていても希望はない。命を絶つ勇気もない。もちろん面倒を見て
くれる身寄りもない。ただ、その日一日を無事過ごすための食べ物と
寝る場所があれば、あとは何もしない。物語は、そんなホームレスに
住所を提供し生活保護費を受給させピンハネする、“囲い屋”と呼ば
れる男の心の彷徨を描く。老人に同情は一切しない、一方で自身も将
来老人たちのようになるのではという不安を抱えている。貧困をカネ
に換える彼もまた、貧困予備軍なのだ。そしてことあるごとに脳裏に
浮かぶ母の面影。深い湖をゆくボート、脚を高く上げて踊る女、谷底
の廃屋、小高い砂丘。それら記憶と幻影が入り混じった豊穣なイメー
ジが、山肌を削った飯場の粗末なプレハブ小屋の殺風景と対をなす。

ホームレスを集めて福祉を食い物にする男は、ある日老人の中に父を
見つける。父は男を覚えておらず、他の老人たちと同様、茫洋とした
日々を送るだけ。しばらくして、男は父を連れ出しドライブに出る。

囲い屋仲間のミツオに誘われ、彼の豪邸に招待される男。なぜこんな
仕事をしているか問われても明確な答えはない。ただなんとなく流さ
れて囲い屋をしているのだろう。良心の呵責はないがのし上がる気概
もない。ミツオもまたカネでは得られないものを求めて囲い屋になっ
たはず。ところが、彼も胸の空白を埋められない。

全編に漂う“生”への欲望の希薄さが、どこか死の世界に足元を取ら
れたような浮遊感をもたらしていた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                「蜃気楼の舟」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160105
               
          を参考にしてください。




 本日本日はもう1本
 
            「99分、世界美味めぐり」  です。

大企業の元重役、国際的スーパーモデル、親のすねかじり、事業で財
をした者、普通のOL。今やだれもが情報を発信できる時代、時間とカ
ネと熱意があればグルメ評論家の一端を担うことができる。ミシュラ
ン星を取った高級店もいつしか彼らの批評を気にするようになり、有
用な指摘はメニューに反映させたりもする。カメラはそんなグルメブ
ロガー・フーディーズたちの世界をまたにかけた美食の旅に密着、シ
ェフと彼らの真剣勝負に立ち会う。レストランに単身乗り込み、盛り
付けを撮影し、黙々と口を動かし、会計して帰る。もはや食事を楽し
むというよりは、ストイックな修行をしているような雰囲気すら漂わ
せている。有名店だからといって決してその看板に気後れしない、そ
の真摯な評価の姿勢こそがブログの人気に直結するからのだ。

ミシュラン3つ星店完全制覇を目指すアンディは、はるばるフレンチア
ルプスのレストランに向かう。だが、期待に反して料理は今一つ、食
前酒から素材選び、調理法にまで細かい欠点を上げていく。

ここで取り上げられた料理の数々は、おそらく舌がとろけるような至
福を味あわせてくれるのだろう。だが、盛り付けの美しさはともかく、
創作料理のほとんどはどんな香りや味わいなのか想像もつかない。

唯一モデルのアイマラが食べた寿司の味だけが脳裏で再現できる。彼
女は高級料理を自腹で食べられる幸せを堪能している。5人のフーディ
ーズの中で彼女の美食に対する姿勢がいちばん共感できた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

             「99分、世界美味めぐり」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20151218
               
          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

2015年のワイン輸入量、チリ産がフランス産を抜きトップになったと
報道されています。量販店でも1本2000円くらいするフランス産に対し、
チリ産は600円ほど。低価格が日本の消費者に受け入れられたようです。

かつてはワインの薀蓄を語るのがおしゃれという風潮もありましたが、
川島なお美の死後はグラスの中でワインを転がす人はいなくなりまし
た。それだけカジュアルになったということでしょう。

でも、甘口好きとしてはやはりオーストリア産が飲みたいところ。ジ
エチレングリコール事件以後輸入が止まり、現地でしか飲めなくなっ
たのが残念です。

しばらくはドイツ産で我慢します。。。

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      次回配信予定は2/4作品は
         
         「オデッセイ」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
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